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『一神教VS多神教』 岸田秀

2006年09月03日 | 教養
 
例えば、“常に笑顔を絶やさず、人付き合いの良い人” のことを、“八方美人で信頼のおけないやつ” と批判することは、決して的外れではありませんよね。(え~と、明石家さんまさんとか?)

逆に、“思慮深くて、慎重な人” は、“決断力のない暗いやつ” になりますし、(今なら福田元官房長官?) さらに単純化すると、“元気で活発な人気者の女の子” は ただの“おてんば” と一言で片付けられたりします(笑)。(い~っぱい、いますよね)


これらは、すべて同じ人物の同じ資質を、肯定的に評価するか、否定的に切って捨てるかだけなのですが、本書の著者、岸田氏は、人間を、 

“理性のある動物” としてではなく、 “本能が壊れた動物” であると規定します。

どう思われますか。哲学的にはこういう言い方は普通なのでしょうか、私はいきなり深く考えてしまいました。同じことの逆の言い方ですよね。う~ん、なるほど、と。 

その、本能のままに行動できない動物である人間は、どうしても必要なものとして、“自我” を持ち始めます。しかし、そもそも自我というのは肉体以外には実体のないものであるため、非常に弱く、当然単独では成り立たず、他人あるいは “神” という存在を意識せざるを得ないのだというわけです。

特に差別、殺戮などをされた経験のある弱い民族 (ユダヤ教、キリスト教、イスラム教信者) は、自分を支えるために、他とは妥協しない強い自我を求めるようになり、他の存在を否定するような、一神教が誕生したというのです。 


海の神、山の神など、何でもあがめてしまう八百万(やおよろず)の神 の日本とは相容れないわけで、そう言われてみると、“なんでそこまでやるの” というような争いは、一神教の国々に多く見られます。逆に、日本人は何を考えているのかわからないと指摘される原因でもありそうです。

本書は、多神教である我々が、一神教というものをどう理解し、付き合うのかのヒントを与えてくれます。インタビュー形式で、テンポ良く読み進められます。

なるほど世界観はこれほどまでに違うということを、政治家ならずとも、特に若い人たちも、よく考えておく必要性を感じました。

以前、ご紹介した 『 世界がわかる宗教社会学入門(橋爪大三郎) 』 も、高校生、大学生にお薦めの一冊でしたが、本書の指摘も新鮮でした。関心のある方にぜひ。


P.S. 実は、岸田氏の著作は好きでいくつも読んでいるのですが、一方で、これまた私の好きな、小谷野敦氏が、『 バカのための読書術 』 の中で、岸田氏の別の著作を “かつては夢中で読んだが、オカルト的と気付いた” というような趣旨のことが書かれており、困ったなぁ~と思って、ご紹介をするのを逡巡しておりました(笑)。そういう意見もあるということを、一応お伝えしておきます。


http://tokkun.net/jump.htm 


一神教vs多神教

新書館

詳 細


『一神教VS多神教』 岸田秀
新書館:249P:1575円

■■ 宗教は難しい ■■

とにかく日本人にとって、苦手なのが宗教。教科書にも載っていませんしね。でも海外に出たい、大きな会社で活躍したい、という生徒は避けて通れません。少しずつ勉強していきましょう。まぁ少し付き合っても良いかと思われましたら、 クリックしていただけるとありがたいです。

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6 コメント

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Unknown (風竜胆)
2006-09-03 20:02:00
こんばんは

一神教の世界は、我々日本人には、なかなか理解し難いですね。

日本人の宗教観の一端を良く表している本についての記事をTBさせてもらいました。

この度、gooブログで「風と雲の郷 別館」もオープンさせましたので、本館同様よろしくお願いします。
海外組必読 (ysbee)
2006-09-04 08:59:24
VIVAさん

昨日に引き続いての良書紹介、ありがとうござます。



御説のように、海外では異人種という言語・文化違いの他に、宗教という厚い壁が存在します。特にアメリカでは、生粋のアメリカ原住民はインディアンとエスキモーだけですから、大部分は他国からの移民の子孫であって、「アメリカ人種」というのは存在しないわけですが、宗教の違いはかなり意識します。

普段の生活でも、職場や近所付き合いには前もってお国や宗教を確認しておかないと、冠婚葬祭の際に「ああ、勘違い」のヘマをやりかねません。特にユダヤ人は政財界のトップを牛耳っていることが多いので、うかつにイスラエルの悪口はたたけないのが現状です。

岸田さんのこの本は以前に読んでますが、世界の動きを把握する上で、その背景に存在する宗教観の相違をひきずった各国人のギャップを理解することは、海外在住組ならず日本の、特に若い方には必須だと思います。昨日に引き続き、格好な良い本のご紹介、ありがとうございました。



余談ですが、敵を叩く際に理論武装できない輩が便宜上貼付けるレッテルが「カルト」だと思います。

『バカのためのXX術』という表題からして、米国のベストセラーシリーズ『How to xxx for Idiot』のまんま受け売りで、著者の底の浅さ・オリジナリティの無さがむき出しですね。

VIVAさんの知性と洞察力でふるいにかけた本を、これからもどんどんご紹介ください。
風竜胆さん (VIVA)
2006-09-04 10:40:38
拝見しました。とてもおもしろそうな本ですね。ありがとうございます。gooの方も寄らせてもらいます。楽天は非常に使いやすいんですが、ちょっと内向きで、どういうわけか、goo の検索では楽天のブログは入らないんですよね。これからもよろしくお願いします。
ysbeeさん (VIVA)
2006-09-04 10:43:48
力強いコメント恐縮です。ありがとうございました。ysbeeさんのブログにお礼の書き込みをしようと思いましたが、すばらしいデザインですね。さすがプロ!と感心しきりだったのですが、どこに書き込めばよいのか見つけられませんでした。すみません。



もし書き込みができるところがありましたら、リンクをこちらに、URLを書き込んでいただけるとうれしいのですが。
Unknown (milesta)
2006-09-04 12:45:14
海外にいると、これは大変興味のあるテーマですね。いつも自分で考えていると「多神教は寛容だ。日本人で良かった。」というところに落ち着くのですが。(笑)



それから“本能が壊れた動物”、私は最近の日本人に感じていたことです。世界一便利で平和な国だから、危険予知能力がなかったり、困難にぶち当たったときの応用力がない気がします。

しかも、そのことに気づいていないから、自我も育たないし、ひ弱な感じに見えます。



こちらに会社の研修か何かで来た日本人のグループ(社会人)が、コンビニがなくケータイが使えない生活で、半分パニックだったという話を聞いて、「へぇ!」と驚きました。

milestaさん (VIVA)
2006-09-04 18:16:07
本当に寛容というかナイーブですよね。きっと今の日本人は特に。おっしゃるようにmilestaさんや、ysbeeさんのように、海外にいらっしゃる方の方が、当然強く感じられると思いますよ。日本人が思っているように、仲良くやるとか、丸くおさめるというのは難しいでしょうね。

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