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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『シービスケット』ローラ・ヒレンブランド(著) 奥田祐士(訳)

2006年10月02日 | ノンフィクション
競馬というのは、実に不思議な競技です。

というのも、ギャンブルとして忌み嫌われる一面と、まったく逆の、キングオブスポーツと呼ばれ、天皇賞やエリザベス女王杯といった名が表わすように、国の最高の栄誉が与えられるという一面があるからです。

凱旋門賞、ディープインパクトの場合は、まさに後者で、NHKの生放送というのは、史上初だそうですね。フランスの上流階級らしき、きれいに着飾った紳士淑女がたくさん観戦していました。日本からの応援団は普段着が多かったように見えましたが…。

3着、残念でした。もちろん勝って欲しかったのですが、これこそ良い夢を見させてもらったという気がします。オリンピックやワールドカップで負けるのは悔しくて、その気持ちが尾を引くのですが、競馬だと“夢”だったんだと感じます。みなさんはいかがでしょう。


さて、本書です。

1938年(昭和13年)、
世界恐慌 を経て、戦争の足音が近付くアメリカ…。

この年、新聞を最もにぎわしたのは、第4位、
ムッソリーニ、第3位、ヒットラー、第2位がルーズベルト大統領。そして何と第1位は、政治家でも、大リーガーでも映画俳優でもなく、シービスケットという足の曲がった小さなサラブレッドでした。

まだラジオしか普及していない時代に、これほど人々の心をとらえた一頭のサラブレッド。本書はその馬をめぐるノンフィクションです。 


自転車修理工から車社会の波にうまく乗ったオーナーのハワード、ほとんどしゃべらず馬のことしか知らない無名の調教師スミス、ボクシングの試合に出ることによって日銭を稼ぎ、そのために片目を失明しながらも、この馬にかける騎手のポラード。

この3人が地方の競馬でもほとんど勝てなかった一頭の馬を奇跡の名馬へと変貌させます。荒らくれだっていた時代の残酷な競馬社会で起こった実際の感動物語です。

冒頭で述べました、競馬に対するマイナスイメージの典型のような状況から、ディープインパクトのように、いや、それ以上に、国中が注目するヒーローになってしまうわけです。


競馬の知識に関係なく楽しめる内容で、後半の大勝負の場面などは本当に手に汗握ります。ノンフィクションではありながら、よくできた小説のようでもあり、アメリカではベストセラーの上位にランクされ、映画化もされました。


500ページを超える大作ですが、時間を忘れて読める作品でした。


シービスケット―あるアメリカ競走馬の伝説

ソニーマガジンズ

詳  細
シービスケット プレミアム・エディション

ポニーキャニオン

詳    細

http://tokkun.net/jump.htm 


『シービスケット』ローラ・ヒレンブランド(著) 奥田祐士(訳)
ソニーマガジンズ:521P:1890円(文庫もあります)



■■  名馬の影に  ■■

こうして、人々の記憶に残るような名馬というのは奇跡に近いわけで、その影には無数の普通の馬たちの、時には悲惨な現実があります。以前ご紹介した 『
馬の瞳を見つめて(渡辺はるみ・著』 は、それを取り上げた、本書に劣らぬ、逆の感動物語です。よろしければご覧下さい。ランキングです。ちょっと停滞気味です(笑)。

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個人的にちょっとうれしいニュース:ガンメタルブラック3勝目!クラシカルウィーク3着。