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『オトナ語の謎。』 糸井重里

2007年09月20日 | ビジネス書・マスコミ関連


オトナ語の謎。.jpg


 “オレ的にはアグリーできかねるんだよね” と表紙にも書いてあります。

こんな言葉使っている人、職場にいますか(笑)?少なくとも私の知っている塾講師にはさすがにおりませんが、オトナ語は 「ほぼ日刊イトイ新聞」 の人気コーナーだそうですから、やはり、“いるいるこういう人” という感覚があるんでしょう。


本書は、その人気コーナーをまとめたものです。何かの書評に、抱腹絶倒、絶対おもしろいと書いてあったので、読んでみました。そうですね、“塾講師的にはリコメンドできかねるんですが” (ごめんなさい)、 ペラペラめくっている分には楽しく読んだ、そんな感想です。


確かに、大人独特の言葉というのはありますよね。

高校生や大学生の諸君がアルバイトなんかしてみると、いきなり出くわす表現です。それらを取り上げて解説している本です。

「なるはや」 「午後イチ」 「ペンディング」 などは基礎だそうですよ。それぞれに意味や使い方がユーモラスに書かれています。


例えば 『お世話になっております』というオトナ語に関してはこんな説明が。


オトナの世界はこのひと言より始まる。いわば「お世話になっております」は大人の世界における万物の始まりといっていい。使い方の基礎を述べるとすると、とにかく、開口一番、あっという間にそう述べるべきだ。

「お世話になっております」そう、たとえあなたがまるでお世話になってなくても。「お世話になっております」 むしろオレがおまえをお世話しているのだと思っても。「お世話になっております」

あなたと私は絶対に初対面であるけれど。「お世話になっております」 たとえ先方の電話に出たのがベッカムだとしても。「お世話になっております」 たとえメールを送る相手がローマ法王だったとしても。「お世話になっております!」



写すの疲れた(笑)。

いかがです?一つだけこうして読んでいる分にはおもしろいんですが、ずっと続くとちょっとね。興味がわいた方だけ(笑)、どうぞ!



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オトナ語の謎。 (ほぼ日ブックス)
糸井 重里
東京糸井重里事務所

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『世界は日本・アジアをどう伝えているか-報道検証』 千野境子

2007年09月13日 | ビジネス書・マスコミ関連

 

世界は日本をそう伝えているか.jpg


安倍首相辞任のニュースには驚きました。どうしてこんなタイミングなのか、あまりにも唐突です。好き嫌いや政策はさておき、こういう辞め方はどうも賛成できないのですが、有権者はどう感じるのでしょうか。

内閣改造を終えて、所信表明演説で改革の決意を明らかにしたばかり。政治家の言葉や国会という場所をどう考えているのでしょう。一国の首相としてのプレッシャーというのは、常人の想像をはるかに超えているのでしょうが、あまりにも無責任。


本当にわかりにくい。アメリカに見放されたか、麻生さんや自民党のベテランか誰かに操られていただけのか、官僚たちとの戦いに敗れたのか、スキャンダルでもあるのか、あるいは気まぐれ…。わかりません。

小泉氏が最後に靖国神社に参拝して任期を終えたのとは対照的で、中途半端な幕切れ。“美しくない” と感じてしまいます。


他の政策はともかく、公立学校の改革には大いに期待していただけに、そちらの方がどうなってしまうのかも大きな心配です。でもこの人物が日本の教育改革のリーダーだったのかと思うとちょっと…。


きっと海外のメディアも驚きを伝えていると思うのですが、どうでしょう。

そんなことを考えている間に思い出した一冊が本書です。海外メディアに対し、いわゆる報道検証をしている本です。


毎月一度産経新聞に掲載されているものを1999年から2003年7月までのものを一冊にまとめて出版されたものです。ニュースとしては古いのが残念ですが、非常に興味深い内容で、世界における日本・アジアの報道のされ方がよくわかります。

ワシントンポストニューヨークタイムズフィナンシャルタイムズウォールストリートジャーナルといったクオリティーペーパーと呼ばれるものだけでなく、人民日報東亜日報などアジア系の新聞、さらにさらにそれ以外のヨーロッパ、アジア、南米、アフリカなどまでカバーしています。 

話題も多岐に及んでいますので、さまざまなことがわかるのですが、筆者の意見では特にニューヨークタイムズの日本関連の記事は、事実関係から誤報が多く、この新聞をありがたがって読んでいる人はいい加減に目を覚ませと主張します。 

1999年(ユネスコ事務局長選;国旗国歌・防衛意識 ほか)

2000年(首相の東南アジア歴訪;NYタイムズの対日報道から ほか)

2001年(森首相のアフリカ歴訪;実習船沈没事故 ほか)

2002年(小泉首相の東南アジア歴訪;アフガン復興会議 ほか)

2003年(首相のロシア訪問;日本の「新外交戦略」 ほか)


ところ変われば…と申しますが、本当に世界の人はいろんなことを考えるものです。英字新聞を辞書なしで読める方なら、本書に頼らずともネットで記事をチェックできますが、それにしても、これほど広範囲に情報を集めることはかなりの手間がかかるはずです。

お薦めの一冊です。筆者は昨日・今日のニュースもしっかりウオッチしているでしょうが。続編が待ち遠しいです。




P.S. 記事を書いてから話を戻すようで、恐縮ですが、それにしても、それにしても、首相の突然の退陣で、例えば舛添氏はどうするんでしょう。やる気まんまんの期待の大臣だったのに完全にはしごをはずされてしまいました。

教育再生会議だけじゃなく、防衛問題や拉致などなど、決着の付いていないものが他にもいろいろあるのに。

日米首脳会議後の会見を見て、靖国の曖昧戦略とかいうごまかしを見て、あっ、危ないと感じていましたが、まさかこんな形になるとは…。細川護煕氏の退陣の時とイメージがダブります。


日本でも政治家の言葉が軽すぎると痛感した一日でした。



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世界は日本・アジアをどう伝えているか―報道検証
千野 境子
連合出版

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『できる人の「書きかた」「話しかた」ー 伝えたいことを確実に伝える表現力』 吉野秀

2007年07月18日 | ビジネス書・マスコミ関連

 

できる人の「書き方」「話し方」.jpg


当教室、小論文(国語)講師の吉野秀先生の著作をご紹介しましょう。

拙ブログを継続的にご覧頂いている方は、吉野先生が “笑っていいとも!” の「口八丁手八丁・いいわけ番長」コーナーに解説者でレギュラー出演していたことをご存知でしょう。言葉の専門家です。読売新聞の『Y&Yしごと』 コラムも現在連載中です。

 
昔から、大人が若者の言葉遣いに苦言を呈するというのはあったと思いますし、また、日本語が乱れているとか、活字離れという指摘もされ続けていますね。“ら抜き言葉” の論争もありましたし、言葉は常に変化していますから、なかなか難しい問題です。

実際、数年前は、『携帯』 という言葉には、“身に付けていること” という意味があるだけで、“ケータイ電話” の意味などあるはずもありませんが、今では広辞苑にもちゃんと出ています。


ところが、そうした技術革新や世の中の変化、流行による言葉の正当性に対する疑念などが指摘されるだけでなく、最近は書いたり、話したりする時の表現力、論理性の欠如にまで焦点が当たっています。

英語に関しても同じことが時々指摘されますが、国語となるとさらに問題は深刻です。

私も一年ほど前にNHKのテレビ番組で、“やらせじゃないか” と思うほど、大卒の新入社員のひどい国語力に関する特集を見た記憶があります。ビジネスの世界では、社員の国語力の欠如が仕事の効率にも影響し始めたということでしょう。

もし仮に自分にそういった能力が欠けていると気付いたとしても、こればかりは一夜漬けとはいきません。相当な意識改革とトレーニングが必要となるわけで、本書はそうした現場を熟知した吉野先生が、その問題点や実際のトレーニングの仕方や考え方について述べています。


目次です。

第1章 なぜ書けないのか

第2章 自分に関わることから書いてみる

第3章 整理・推敲して形にする

第4章 新聞雑誌の記事を材料に「わかりやすさ」を研究する

第5章 書いたものを口頭で相手へ伝える

第6章 言い訳とクレームで表現力を考える

第7章 観察・聴察力の高い人から学ぶ



身内だからほめるのではなく、本書はなかなか、あっいや、とても良いです(笑)。ほんとですよ、韓国語に翻訳されることも決定したくらいです!から。(韓国人の非論理性も日本人同様有名ですから、きっといけるでしょう(笑)。)


特にプロ野球の星野監督の言葉の解説、実は私は単に星野監督の熱い性格や、時に見せる優しいキャラクターが魅力的なのだと思っておりましたが、やはり私は素人でした。実に言葉が、(したがって思考が) しっかりしていることが本書の解説でわかりました。

ただし、読んだだけで書き方、話し方がマスターできるのではありません。英語の勉強でも、野球ーの技術でもやはり練習が必要なように、書き方、話し方も自分の課題をきちんと認識して、習慣を付ける覚悟でトレーニングを積む必要性を説いています。


“読むだけで力が付く” というようなことを謳っていないところも好感が持てます。私も読んだだけでトレーニングを実行していないので、いまだこんな文章ですが…。吉野先生、HELP!




なかなか一人でトレーニングできないという方、

当教室の夏期講習で吉野先生に直接、個別指導を受けてみてはいかがでしょう。

一日2時間で、5日間連続という単位から始められます。

(ここだけの話、吉野先生に講演をお願いするとウン十万円もかかるんですって!!!)


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そして…、いつも付け足しておりますが(笑)…

私、VIVAや他のプロ講師の授業も受け付けております。

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できる人の「書きかた」「話しかた」 伝えたいことを確実に伝える表現力 [ソフトバンク新書]
吉野 秀
ソフトバンク クリエイティブ

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『日本マスコミ「臆病」の構造』 ベンジャミン・フルフォード

2007年06月29日 | ビジネス書・マスコミ関連


日本マスコミ臆病.jpg


朝鮮総連の中央本部の売買をめぐる詐欺事件で緒方重威・公安調査庁長官が東京地検に逮捕されましたね。この取引には、元日弁連の会長というもう一人の超大物までかかわっていたそうですが、よくわからない事件です。

菅義偉総務相は、「日本人拉致事件に関連のある朝鮮総連に関係すること自体が公職にある者として慎むべき問題だ。このような事件に発展したことは、公安調査庁の存在そのものが国民から問われる重大な事態だ」 と語り、私も確かにその通りだと思いますが、今回の詐欺の被害者は朝鮮総連になっています。


当初は朝鮮総連を救うために違法な行為を共謀してやったということだったと思いますが、それなら管総務相の指摘通り重大事態です。朝鮮総連側が巧みに大物を抱きこんだ事件だったはずですが、今度は総連側が詐欺にあった被害者という構図に変化しています???


昨晩、逮捕・起訴は免れないことを予期した緒方氏が、逮捕直前の単独インタビューをテレビで行い、“今回の事件(逮捕)は官邸主導だ” というのですが、それもよくわからない説明でした。

これまで何度も腑に落ちない事件がありましたが、そういう場合は、権力側と大手のマスコミの間に共通利害のようなものがあって、めったに真相が表に出ないという気がしますが、今回も何かいやな感じの事件です。事件の背景に関して、マスコミからはいまだ、納得のいく報道がありません。


以前ご紹介した、『日本がアルゼンチンタンゴを踊る日』の著者、ベンジャミン・フルフォード氏が、本書では日本のマスコミについて、大いに批判的に書きました。こういう事件があると思い出す一冊です。


そもそも、かつて氏が日本のマスコミ(日経新聞) に籍を置いて、ヤクザ関連の記事を書くことを上司に止められたのが、その活動の原動力になっているかのようです。

よく批判される記者クラブの制度の問題点はもちろん、なぜそういうものを守る勢力が日本には強いのかということに言及します。そのしくみを温存したがっている勢力は大手マスコミや官僚に限らず、裁判所や警察までふくまれていると指摘します。

そう言えば、本書に出てくる武富士。拙ブログでも、その問題点を鋭く突いた一冊『武富士サラ金の帝王 (溝口敦)』 を取り上げましたが、その悪徳ぶりをひどく批判していた朝日新聞が、武富士から高額の広告宣伝費をもらっていたことがかつて報道されましたね。

警察までもが、不祥事を告発したジャーナリストや闇とつながっていると思われ、武富士の会長のインタビューが掲載されています。こうなると、いったい正義はどこにあるのかと絶望的な気分にすらなります。

目次は以下のようなものです。


1 人質
2 小泉純一郎
3 記者クラブ
4 皇室
5 武富士
6 NHK
7 ソニー&松下
8 差別
9 住専
10 堀江貴文
11  私はこうしてジャーナリストになった



一口に言えば、日本のマスコミはみんな臆病だと言っています。

皇室報道は最も典型的だそうです。その点においては週刊誌や右翼の街宣車の方が真実を伝えている場合が多いとも述べています。 マスコミだけでなく、国全体が悪に覆われてしまっている印象で、日本人にはおそらく書けない内容でしょう。

とここまで書いて、いや宮崎学氏が 『地下経済ーこの国を動かしている本当のカネの流れ』 を読んで、本書と似たような読後感を持ったことを思い出しました。

いずれにしろ、非常に刺激的な本で、マスコミの問題点に興味のある方にはお薦めします。

ただ、上に挙げた “アルゼンチンタンゴ~” や、そのあとの 『ヤクザリセッション』を読んでいる人にとっては、重複する部分が多いため、新鮮さに欠けるとの印象は否めないのではないでしょうね。

もう一つ…、ベンジャミン・フルフォード氏は先日取り上げた、『
さらば外務省
』の著者、夏の参議院選挙に出馬を表明した天木直人氏を応援しているようです。また、創価学会に関しても 『イケダ先生の世界』 という著作があります。




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増補・改訂 日本マスコミ『臆病』の構造

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『プロ弁護士の思考術』 矢部正秋

2007年05月18日 | ビジネス書・マスコミ関連


プロ弁護士.jpg


弁護士とひとくちに言っても、さまざまな専門分野があり、仕事の仕方や交渉相手のタイプもそれによっていろいろでしょう。本書の著者、矢部正秋氏は1943年生まれで、ビジネス・国際取引法務を専門とするベテラン弁護士です。


そうなると扱う紛争の規模や金額も大きく、相手も一級の知識と戦略を持ったタフなネゴシエイターであると想像しますが、どうでしょうか。本書を読みますと、実際、そういう相手との交渉を有利にまとめ上げるのは容易なことではないようすで、あらゆる手段を駆使するのですね。

そもそも書名の “プロ弁護士” という言葉自体、逆に “しろうと弁護士” のようなものが存在することを暗示していますが、弁護士の中にも、将棋のプロとアマなみの差があるそうです。


筆者は、自分が扱ったり、見聞きした事件などを例にとり、ベテラン弁護士の考え方を7つに集約。そうしたことが一般の人々が煮詰まったり、トラブルに巻き込まれた時にも役立つのだということを示してくれます。

ここ数年、日本で “訴訟” にまで持ち込まれたものが約50万件もあるそうです。そこまでいかない紛争の数は、おそらくその30倍くらいという法則を紹介し、仮に日本に1500万件の争いがあるとすれば、まさに 「社会のあるところ紛争あり」 だというわけです。


その7つがそのまま各章になっています。


第1章
 話の根拠をまず選りすぐる―具体的に考える

第2章
 「考えもしなかったこと」を考える―オプションを発想する

第3章
 疑うことで心を自由にする―直視する

第4章
 他人の正義を認めつつ制する―共感する

第5章
 不運に対して合理的に備える―マサカを取り込む

第6章
 「考える力」と「戦う力」を固く結ぶ―主体的に考える

第7章
 今日の実りを未来の庭に植える―遠くを見る 



まず、最初に強調するのが、“意識的に考える” こと。人間のすべての尊厳は “考える” ことにあり、考えが人間の現在をもたらし、未来を決めるのだと言い切ります。

“いつだって自分は考えている” と反論したくなりますが、著者は、普通人の言う“考える”は単に “意識している” に過ぎないと指摘、意識しているというのは、漠然としたアイデアや雑念にすぎず、常に具体案を捜し、思いつくことが “考える” ということで、それには精神の飛躍が必要であると述べます。


やや抽象的で分かりにくいかもしれませんが、私は大きくうなずきました。自分を振り返ってみても、“考えている” という場合の多くは、“忘れていない、気になっている” というだけに過ぎません。それでは問題解決には役立たないということを言っていて、本来、考えることは人間の本能ではなく、意識的な行動、あるいは精神的な戦いだということでしょう。

訴え、訴えられるという世界の中では、味方だと思っていた証人が寝返ってしまう、裏切られてしまうということもベテランは想定します。厳しい社会、「大方の人間は欲得で動く」 と警告します。どんなに不愉快であっても、そういう現実を直視して、復数の解決策、つまりオプションを提示できるのがプロ弁護士だそうです。

我々、一般の人間に 「人を見たら泥棒と思え」 と言っているのではありません。ありとあらゆる可能性を考慮に入れて行動するように促すのです。そのためには、権威や先入観を取り払い、感覚を研ぎ澄まし、自分を含めて事態を客観視すること俯瞰することの重要性を説いています。

ただし、筆者がそうできるようになったと感じたのは、50歳くらいだそうです。ですから言葉でいうよりもそれを実践することははるかに難しそうですが、こういうことを知っておくだけでも有益ではないでしょうか。


昨日ご紹介した『子どもを育てる絶対勉強力(外山滋比古)』でも、日本人は論理が苦手だと指摘していました。以前に取り上げた名著、鈴木光司氏の『なぜ勉強するのか』 では、子どもや教育者向けに、論理的に考えることの重要性を説いていました。

本書では、一般の人やビジネスマンなどがトラブルになった時、論理的に考えることの有用性を解説した感じです。拙文がやや固い内容紹介になってしまいましたが、本書は体系立った学問的な記述ではなく、古典的な書物などから言葉を引用した、エッセイ、教養書といったおもむきです。大学生以上にお薦めです。



P.S. 本書は、相互リンクの雨さんが、『おもしろいそうだよ』 と教えてくれたものです(笑)。

Thank you、アニキ!

 
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プロ弁護士の思考術

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『読売VS朝日(社説対決50年)』 読売新聞論説委員会編・井沢元彦解説

2007年05月03日 | ビジネス書・マスコミ関連


読売VS朝日.jpg


憲法記念日ですよ、生徒諸君!新聞社はみな憲法に関してそれぞれ社説で意見を述べています。ぜひ読み比べてもらいたい。新聞を買わなくても、ネットで読めるからね。産経新聞のサイトに他社の社説へのリンクが付いているから便利。いろいろな意見があって勉強になります。

 ⇒ Sankeiweb


小泉前首相が訪朝し、北朝鮮が拉致を認めて以降、すっかり言論、特に国防や憲法に関して次々とオープンになってきました。以前は政治家が改憲などを口にすることは、即、“タカ派” のレッテルが貼られて、議論すらタブーのように感じていましたが。

今や、総理大臣が堂々と憲法改正を訴えて選挙をするかもしれないという状況で、ほとんどの世論調査で改憲が支持されているというのは、実に隔世の感があります。

今から15年くらい前でしょうか、読売新聞が自ら改憲試案をど~んと掲載した時は本当に驚きました。私は読売新聞のあの不遜な態度の○○さんは、絶対に好きにはなれませんし(笑)、朝日新聞はもう…、申し上げるまでもないかな(笑)。


読売に関しては、『虚飾のメディア』で、朝日に関しては『メディアの迷走』 を取り上げましたし、また、以前ご紹介した名著 『社会調査のウソ』 を見れば、読売が改憲、朝日が護憲の立場から、どちらも世論操作を行っているのは明白です。

が、それでも本書は興味深い一冊でした。


戦後、同一テーマについて書かれた両新聞社の社説を比較するという企画です。サンフランシスコ講和条約から始まり、消費税、日の丸君が代問題、石原都知事発言、歴史教科書問題など、両社の主張が大きく異なった30以上の話題を取り上げています。  

一応それぞれの論争にレフェリー役の作家、井沢元彦氏がコメントをするのですが、氏の判定では読売のほぼ一方的な勝利になっています。事実、時の経過によって“読売が正しかった” と証明されたものが多いようですが、個人的には、井沢氏の判定ほど一方的ではないような気がします。


本書の編集は読売側が行なっているため、(また中央公論というのは確か読売が買収したと記憶しています)、議論の形式は見かけ上は公平であっても、題材の選び方、コメントテーターの人選など、あらゆる点でそう言えるかどうかはかなり疑問です。

下世話に言えば、“読売が朝日にケンカを売り、朝日はコテンパンにやられた”形になっていますが、ただ、仮に不公平な設定であれば、今後、朝日新聞が同種の企画をして、反撃をしてくれることをぜひ期待します。  


二社の優劣はさておき、日本の世論をリードしてきた大新聞の社説を比較し、検討を加えるというのは、極めて単純な方法ですが、人々に与えた影響力を考えるとジャーナリズムの歴史的な資料ですね。

掘り下げ方次第で大学生の研究論文の対象にもなるでしょうし、中学生レベルでも非常にわかりやすい手法です。新聞の社説ですから、普通の中学生にとっては平易な内容ではありませんが…。


高校生以上なら、難解なところは飛ばし、自分の興味のある話題だけで構わないのでぜひ読んでもらいたいなと思う一冊です。そして、それらについて、できれば自分なりの意見を持つ、さらに他紙を調べても良い、そうすることは絶好の知的訓練になると思います。


また、一口に新聞と言えどもこれほど大きく主張が異なる、新聞に書いてあることは必ずしも一致しないし、正しくないということを明確に教えてくれるという点で本書を推薦したいと思います。

1 1950~70年代(講和条約;60年安保;70年安保)

2 80年代(モスクワ・オリンピック;82年元旦社説;84年元旦社説 ほか)

3 90年代以降(PKO;村山社会党、安保・自衛隊政策転換;憲法改正試案発表 ほか)


本書の他に、同様の企画で、北朝鮮問題に絞ったもの、そして21世紀に入ってからの話題に焦点をあてたものが出されているようです。

憲法改正について、是か非か、どちらの側に立ってもディベートできるくらいになるまで、本書のようなものを参考にしっかり勉強して下さい。



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読売VS朝日―社説対決50年

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読売vs朝日―21世紀・社説対決

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『ハゲタカは飛んでゆく』 ラリー・S・ジュニア著 高木ハジメ 訳

2007年04月26日 | ビジネス書・マスコミ関連
 

ハゲタカは飛んでゆく.jpg



安倍首相がいよいよはじめての日米首脳会談のために訪米します。小泉元首相はブッシュ大統領といると、日本にいるとき以上にはしゃいでいたパフォーマンスを見事にして見せましたが、安倍首相はどうでしょうか。

日本のアメリカに対する信頼感は、北朝鮮の拉致が明確になった時には一気に盛り上がった印象ですが、やがてイラク戦争が泥沼状態になると、ブッシュ政権に対する評価が逆にあっというまに悪化しました。大量破壊兵器はなかったんですから当然ですね。


本書は非常に面白い一冊です。以前『ライオンは眠らない』という本がありました。経団連の奥田元会長がみんなに薦めているということで話題になりました。

そちらの内容は、日本がこのまま財政赤字を放っておけば、近い将来、破産してしまうとか、預金封鎖にならざるを得ないというようなものでした。


本書も同じように寓話を用いて、経済を扱うのですが、主にアメリカの陰謀を語ります。登場するのは…

『タカ帝国』:世界最大の権力を誇る。最近、武闘派が目立つ。

『ハト王国』:動物世界大戦でタカに破れたあと、頭を押さえつけられている。

『カバ人民共和国』:頭数の大きさは動物界ナンバーワン。領土が大きすぎ、カバの意思統一がはかれない。

『クマ帝国』:かつてタカ帝国と勢力を二分。内部分裂で弱体化するも復権を狙う。

『ハチ王国』:他とは違う特有の教義をもつ。他の動物の冬越えに必要なハチミツ生産地帯を押えている。


これらの国の関係を、日本人のある老人とアメリカ人ジャーナリストが、タイにいる日本人の若者の質問に答える形です。


日米関係が中心ですが、要旨は、アメリカは絶対にドル高は阻止する。日本が持っているアメリカの国債を売らせない。これを基本戦略に、すべての政策を組み立てているのだから、そのことを日本は明確に認識しなければ、いつまでたっても経済は復活しないということです。

この考え方に納得するかどうかは、人によって意見が分かれると思いますが、短いですし、高校生でも楽しみながら読めると思いますので、ぜひどうぞ。お勧めです。


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『ハゲタカは飛んでゆく』ラリー・S・ジュニア著 高木ハジメ 訳
実業の日本社:141P:899円





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ライオンは眠れない

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『ウサギはなぜ嘘を許せないのか?』 マリアン・M・ジェニングス(著) 山田真哉(監修)

2007年04月17日 | ビジネス書・マスコミ関連


ウサギはなぜ嘘を許せないのか?.jpg



最近よく聞く言葉に “コンプライアンス” というのがあります。私も時々、どういう意味かと生徒たちから聞かれることがあります。普通は “法令遵守” と訳されます。特に企業活動において、法律を守るという、実はごく当たり前のことですね。


当たり前とはいうものの、現実は、雪印や三菱自動車、ライブドアなど大きな問題を起こす企業は後を絶ちません。厳しい競争の中で利益の最大化を至上命題とする企業の現場にとって、バレなければ良いのだという誘惑に勝つのは難しいようです。


アメリカの状況はさらに深刻で、ワールドコムエンロンといった超巨大企業の粉飾決算が明るみに出て、倒産までしています。経済がグローバル化している中での大企業の経営破綻は、その影響が世界経済にまで及びかねないため、コンプライアンスがあらためて問われているということでしょう。


企業を取り締まる法律は商法、独占禁止法、証券取引法、特許法、電子商取引法などなどいくらでもありますが、そういう難しいものに違反しているかどうかというテクニカルな議論とは別に、そもそも企業人のモラルの低下を問題にすることもあります。(モラルハザードという言葉が使われますが、実は意味が違います)


本書は、Library Journal の“全米ベストビジネスブック” というのに選定されたそうですが、実践的なビジネス書でありながらも、その内容はモラルを説く現代版おとぎ話なのです。

あるいは “ビジネス童話” とでも呼びたくなるような内容で、非常にユニークかつ、おもしろい一冊です。


どこの国のいつの時代の文化でも “正直さ” ということに価値が置かれていると思いますが、逆に言えば、それほどまでに人間は、放っておけば、自分の利益を最大化するためには平気でうそをついてしまう、ごまかしてしまうということでしょう。

少し広い視野で眺めると、ある社会でそれが横行すれば、結局、社会全体が不利益を被ってしまう。本来はそういうことを理解している大人たちが若者を教育すべきなのでしょうが、その大人たちも社会全体より自分優先で、あやしくなっているのですね。

ドラフトの裏金問題、落語家の巨額脱税!まで、あげればきりがない。

本書では、大人ではなく、身長190cmの大ウサギの「アリ(アリストテレスの略)」 が主人公の少年エドにつきまとって、教育するという物語なのです。


■~■ストーリー



エドが8歳、お母さんの運転する車に乗っている時に、突如として現われた大ウサギのアリ。お母さんが教会へ急ぐので、スピード違反をしているのですが、それを注意するようにエドに迫ったのです。お母さんにはアリの姿は見えません。

それ以降、エドのお母さんが何かずるいことをするたびにアリがエドの前に姿を見せるようになります。母親に注意しないとアリはエドを手や足で攻撃してきます。

人間誰でもやってしまう、ちょっとしたごまかしや他愛のないうそ。エドも大学生になって、そういうことをする仲間につられそうになると、やはりアリが現われて、エドを優しく蹴飛ばしながら(笑)いさめます。まじめにやっていたら損だと言ってもアリはそんなことを意に介しません。

エドの仲間たちが、テストや就職で“うまくやっている” のと対照的に、真っ正直に生きてきたエドには、いつも割りに合わない結果がついて回ります。もうその頃にはアリに文句を言うこともありません。

その正直な行動と性格ゆえに、“うまい話し” も来ない、仕事でもごまかしができないために、まわりから疎んじられ長続きしません。しかし、やがて人生も後半に入った頃、逆にその正直さゆえ、仕事でもプライベートでも大きなチャンスが訪れ、成功をつかみます。




姿を現すのが、ウサギ。最後に成功するエドの会社の名前が “トータス”エンタープライズ、そうカメです。つまりウサギとカメの話しがモチーフになっているわけです。このストーリー自体もそうですが、この本がアメリカで売れているという事実がとにかく興味深く、監修の山田氏もそれを指摘しています。


(実はですね、日本の大学受験の英語の例文でよく出ていた、

Honesty will pay in the long run.” (正直は長い目で見れば得だ)というのが、最近は

Honesty does not always pay.” (正直が常に得とは限らない) 

になっていて、あれ?おかしいなぁ~と気になっていたところなのです(笑)。ほんとに。)


生き馬の目を抜くアメリカのビジネス界で、なぜ今本書が尊重されるのか、山田氏は、結局、価値観(問題意識)は日米でそれほどかわらないと述べています。

これほどの高度情報化社会、複雑化した法律・経済制度を持つ現代ですから、コンプライアンス違反かどうかという問題も複雑、高度になっているでしょうし、ちょっとした違反がこれまで以上に企業の存続さえも危うくするという危機感があるのではないでしょうか。


物語の部分だけなら、本当に短時間で読めますし、仕事が忙しい人ほど、ぜひ一度手に取ってみて下さい。


ただ、難点は物語の途中途中に、コンプライアンスに関するコラムが10本くらい入るのですが、これがはっきり言ってじゃまでした。私の場合、気になって読んでしまうのですが、そうすると肝心のストーリーが中断してしまいます(笑)。後からまとめて読めば良いでしょう。

もう一点。本書は『さおだけやはなぜ潰れないのか』 の著者、山田真哉氏(拙ブログでも『女子大生会計士の事件簿』を取り上げました)が、まえがきも解説(あとがき)も担当しています。

山田氏の文章自体はわかりやすく、内容にまったく不満はありませんが、こういう独特な本だけに、ぜひ著者自身による解説や出版に関する意図などを知りたいと思ったのですが、本書にはそれがありません。きっと著者はこの風変わりな物語を書いた意図を強く主張したいはずなのに…。


そこで原書を購入して確認してみました。予想通り、小説の途中なんかにコラムも入っていませんし、ちゃんと長いまえがきと解説、あとがきなどがありました。しかも最後に、コラムがまとめてあり、それを小説で出てきたアリに置き換えて、解説が入っています。

はっきり申し上げて、原書の構成の方がずっとすばらしいと思います。従ってこちらも(英語ですが)お薦めです。


 ↓ 原題はストレートに 『A BUSINESS TALE』 (144P:1765円)
A .jpg


おそらく原書に出ている例が、エンロンやワールドコムといったアメリカ企業だったので、日本の読者にわかりにくという配慮から、日本版ではそれのかわりに、ライブドアなど国内企業による不祥事の一覧を付けたのでしょう。(これがコンプライアンス違反だったらシャレでは済まされない(笑)。)


それはともかく、本当は訳知り顔の大人たちに薦めるよりも、これからビジネス界に入る人、就職前の高校生・大学生にぜひ読んでもらいたい一冊です。



P.S. 街中の案山子さんが本書をご紹介して下さいました。私の故郷の近くに今、お住まいのようなので、こちらが一方的に親近感をもっております(笑)。ありがとうございました。


ウサギはなぜ嘘を許せないのか?

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A Business Tale: A Story of Ethics, Choices, Success and a Very Large Rabbit

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アスコム:159P:1029円




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『迷いと決断 - ソニーと格闘した10年の記録』 出井伸之 

2007年04月02日 | ビジネス書・マスコミ関連


迷いと決断.jpg


アメリカ人の中には、ソニーを日本ではなくアメリカの会社だと思っている人がいると聞いたことがあります。それだけソニーのイメージは、グローバル企業そのもので、他の日本企業とは異なるようです。現在のトップは外国人ですしね。


トランジスタラジオやテープレコーダーの時代からの 井深大盛田昭夫 という両カリスマ経営者が去ったあとでも、ソニーのブランドイメージは非常に高いですね。かくいう私も大学3年生になる時、ゼミの試験を受ける時、尊敬する人という欄に、盛田昭夫と書いた記憶があります。

その頃(1980年前後)は、エズラ・ヴォーゲル氏の書いた『ジャパンアズナンバーワン』 という本が象徴的ですが、日本の経済力はそのうちにアメリカを抜くのではないか、欧米は日本式経営に学べ、という時代でしたから、盛田氏のことが英雄のように見えたのでしょう。


その後、結局バブルがはじけ、ついこの前まで、日本経済はデフレに苦しみ、ソニーもいろいろ困難な時期がありましたが、95年~2005年という長期に渡ってソニーの最高経営責任者(CEO)を務めたのが著者の出井氏です。6代目だったそうです。


本書は出井氏の回想録のようなものです。創業者グループに属さない、はじめてのプロ経営者として登場するわけですが、在任中にも、しっかりとプレイステーションVAIOなどの強力なブランドイメージを作ることに成功し、今や従業員16万人、売り上げ総額7.5兆円の巨大企業に育て上げました。


やはり、当然のごとく様々な苦労や失敗談もあるわけですが、本書ではそのあたりを非常に率直に、専門的なことには深入りせずに振り返っています。世界中を飛び回り超多忙なスケジュールをこなすビジネスマン、超人並みの精神力を持っているはずですが、やはり基本的な経営者の悩みは、レベルの違いはあれ、その本質はみな同じだなという気がしました。


笛吹けども踊らず、苦境に追い込まれこのままでは倒産するという危機感が共有できずにいらだちます。短期でしかものを見ない外部の人間。外からは想像もできないような、社内の壁にいくつもぶつかっています。眠れずに、ずっと睡眠薬も服用していたことも告白します。


世界にまたがる企業の経営を、出井氏は 「時速120km以上の猛スピードでハイウェイを失踪する車の運転席にいるようなもの、と思って下さい。一瞬の判断ミスが大きな事故につながります」 と述べています。絶え間ない緊張の連続なんでしょう。

ソニーは、意地とプライドがじゃまして、時に失敗もする企業というイメージがありますが、それを恐れない文化、魅力があります。どこまでもチャレンジを続け、勝つまでやめないという根性が良いですね。


そういう個性の強い会社の中で、創業者グループ以外の人間がトップになったわけですから、自分がどれだけ求心力を保てるかが、巨大組織を動かせるかどうかのポイントになるわけです。企業としてのソニーの魅力というより、副題にもあるように、そのための “格闘” が印象に残りました。

上場企業というのは、組織や業績を維持するだけではなく、絶えず成長させなければならない。そのためには先を読んだ布石も必要だし、常にどこかの変革が迫られるわけですね。現在の成功に少しも安住できない。企業経営は厳しいものだと実感しました。


日本経済が本当に復活したといえるのは、起業しようという若者が大勢出てきた時だと、どなたかが指摘していました。その通りかもしれません。経済・経営学部や商学部などに進もうと考えている高校生には良い刺激、勉強になる一冊だと思います。


迷いと決断

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『迷いと決断 - ソニーと格闘した10年の記録』 出井伸之
新潮社:218P:735円

 

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『黒字亡国ー対米黒字が日本経済を殺す』 三國陽夫

2007年03月07日 | ビジネス書・マスコミ関連

 

黒字亡国.jpg


日本の三大証券グループの一つ、日興コーディアル証券がみずほグループではなく、シティバンクグループの子会社になるというニュースが流れました。TOBを実施するそうですね。驚きました。

私は大学の友人が数人、日興証券に就職しましたので、何となく他人事のように思われず、これが良いニュースか悪いニュースか正直判断できませんが、不正会計で上場廃止に追い込まれても、かつての山一証券のようにはならないようだという安心感はあります。


日銀のわずかな利上げが話題になった直後の、上海の株安から始まったここ数日の世界同時株安と、急激な円高、そしていざなぎ景気を超えた、景気は回復したと言われながら、個人消費が伸びずに格差が問題となります。日本経済、どうなっているんでしょうか。

GDPは成長していて、絶好調らしいのですが、よく言われるように庶民には実感がない、デフレも明確には脱却し切れていない状態は果たしてこれまでの経済学で説明できるのでしょうか。


本書は意外な指摘をします。今の経済構造を見ていくと、日本の貿易黒字こそが、国内消費が伸びない、デフレが克服できない元凶であるというのです。

普通どんな会社でも、国でも、あるいは家庭でも赤字よりは黒字が良いに決まっていますが、今の日本にはそれが当てはまらないということなのです。


今、日本の大手企業は確かに業績を伸ばしていますが、それは国内での販売(消費)が好調なわけではなく、相変わらず、自動車や家電製品など、輸出企業の業績が著しく伸びているわけです。アメリカ・中国のバブルのおかげですね。

通常、取引がドルで行われますから、日本国内には黒字によって巨額のドルが入ってくるわけですが、そのドルは日本の企業の支払いには使えませんので、銀行などに入ります。その巨額のドルを円に変えてしまえば、日本は大金持ちになるはずです。

その金が日本国内で消費されたり、設備投資に向けられればデフレもなくなり経済は好転するはずですがそれをしません。国内はすでに生産力過剰のようで、使い道が限られているようです。


それで、その余ったドルはドルのままアメリカへ投資されるというのです。国債を買ったりするわけです。ドルは金利も高く魅力的に見えますね、確かに。日本ではようやくゼロ金利は解除されたものの、依然として日米の金利差は歴然です。また、輸出立国日本は円安を望みますが、巨額のドルを売って円を買えば、円高ドル安を誘発してしまいますから、積極的に円を買おうとはしない。

アメリカから見ますと、日本に黒字のドルがたまればたまるほど、自分が払ったドルが返ってくる訳ですから、むしろそれを望みます。そりゃそうですね、自分がものを買えば買っただけ、ものと一緒にその金がいくらでもまた戻ってくる(借りられる)わけです。

その金でさらに設備投資をしたり、研究開発をしたりできますから経済の規模は赤字のまま拡大する。戦費の調達にだってなっているでしょう。筆者が、調べてみるとかつての宗主国イギリスとその植民地インドの関係と同じだと指摘します。

アメリカがあれほどの巨額の財政赤字、貿易赤字を出しながら、ドル高を放置いやむしろ維持しつつ、相変わらず好景気が続き、逆に日本はこれほど黒字を積み上げながらも、デフレが収まらないのはそのせいだというしくみが理解できました。


つまりまじめな労働者である、日本人の夫が、かせげばかせぐほど、悪妻であるアメリカはクレジットカードで多額の買い物をし、豊かになる。夫はいつまでたっても自分で自分のものを買わず(消費をすることなく)、豊かさが感じられないという構図です(笑)。

ただ、悪いのは妻というより夫ですね。手許のお金を自分で使わないで、妻に買い物をさせるわけですから。妻は夫がかせぐことに異論をはさむはずがありません。アメリカもしたたかですが、日本の経済政策そのものが輸出に頼りすぎているために起こっている現象だと、筆者は分析します。


なぜそうなってしまうのかをニクソンショックなど、国際的な通貨の歴史をひも解きながら、順を追って説明してくれます。

今回の株暴落場面では円キャリートレードも話題になりました。バブル崩壊時のハゲタカファンドや金融派生商品のデリバティブなど、いろいろありましたが、残念ながら、どうも金融や経済政策ではアメリカなどの方が一枚上手のようです。


基軸通貨としての強みを発揮しているだけにとどまらず、日本にアメリカ国債を買わせてしまう政治力など、そう簡単に日本がこの状態から抜け出せそうにないこともわかりますし、日本自体がむしろそれを選択していることも気になります。日本の当局は、“貿易黒字が悪”だと気付いているのか、気付いていても他に選択がないのか。


私もこれまで単純に、貯金と一緒で、日本の外貨準備高(ドルの資産)が増えれば増えるほど良いことだと認識していましたが、円安を望む日銀の巨額な円売りドル買い介入の結果で膨れ上がっただけで、本書を読んだ後は、この大量のドルをいったいどうやって処分していくのか不安になりました。


何よりもまず、日本は一刻も早く貿易黒字を減らし、国内の需要を喚起するような政策に変更し、デフレを退治するべきだという主張です。内需主導のインフレになってやっと経済が健全化するということです。

今回の株暴落ではありませんが、バブルはいつかはじけます。どこかで調整が必要で、放置すれば、やがてアメリカの赤字を日本が埋められなくなります。

資金供給をストップされたアメリカが消費を抑えるようになれば、唯一好調だった日本の輸出企業の業績も悪化。再び、日本はデフレ不況に陥りかねませんね。銀行の企業に対する不良債権は処理されたようですが、アメリカ国債自体が実質的に回収不能の不良債権だったらぞっとします。回収する政治的決断ができるとは思えませんので、今のうちから少しずつ健全化に向けて動いて欲しいと感じます。


こうした経済の問題を、歴史や国民性や政治力といった観点からも分析しており、非常に勉強になりました。数式は一切出てきませんので、経済学部に進学が決まっている高校生が、入学前に読むには 最適かもしれません。私は専門家ではないので、どこまでこの指摘が的を射ているのか断言できませんが、非常に興味深い指摘で、お薦めできる一冊だと思います。


 P.S. ちょうどタイミング良く、今日のニュースで外貨準備高が過去最高の9000億ドルを越えたとありました。良いニュースのように伝えられていますが…。9000億ドルって……、えっ、100兆円くらい!? 確かに円にして使った方が良さそうです(笑)。消費税なんか上げなくたって、これを使えば年金問題も一発で片付きそうな額だと思いません? だって日本全体の国家予算、一般会計って80兆くらいでしょ。一年の国家予算より多いドル!? う~んそんなにいるのかなぁ~?わかりません。



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黒字亡国―対米黒字が日本経済を殺す

文藝春秋

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文藝春秋:242P:788円

 

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『ネクストソサエティ 歴史が見たことのない未来がはじまる』 ピーターF ドラッカー

2007年01月31日 | ビジネス書・マスコミ関連
 

サエティー.jpg



一昨年95歳で亡くなった、ドラッカー氏の著作です。本書、執筆当時は93歳でしょうが、鋭い分析は衰えを知りません。本当にすごい。


新聞記者として、ヒトラーなどにインタビューをし、その記事でナチスから迫害を受けることを恐れ、出国。やがてアメリカに移り数々の活躍、日本政府からも勲章をもらっているほどの大経営学者ですね。


本書はこれまでに発表された論文やインタビューを集めたものですから、学問的な大論文を期待されると拍子抜けしてしまうでしょうが、その分非常に読みやすくなっています。

グローバリズムポスト産業化社会とはどんなものか。知識階級が中心となる 『ネクストソサエティー』 とはどういうものか、まだ見ぬ時代を具体的に大胆に予測します。

competition” という英語を、“競争” と訳し、その概念を日本に知らしめようとしたのが、福沢諭吉なら、“民営化” という、今となっては当たり前の政策を世界中に定着させたのがドラッカーです。


未来を予想するには、過去や現在を冷静に分析しなければなりません。例えば、日本の官僚システムこそが欠陥だと、新聞などを通じて知っていても、


「そういう構造になるのは歴史の必然であり、官僚組織が絶大な権力を持つことはフランス、イギリス、ドイツなどは日本以上である。権力を持たないほうが例外的である」


こう指摘されるだけで、視野が広がりませんか?


グローバル社会というもののなかで起こる現象、日本の他、アメリカ、中国、韓国など各国の歴史を踏まえた行動パターンの予測など、本来は経営者向けに書かれているとは思うのですが、学生にとっても知的刺激を得られる内容だと思います。


これからはどんな社会になるんだろう、自分は何をやったら良いのか、単にぼんやり考えても、答えは出ませんね。何学部を受けたらよいのか、迷っている生徒は非常に多いです。もちろん本書にその答えがあるわけではないのですが、きっと考えるきっかけになると思います。


いくつかの章は既に読んだことがあるような気がしますが、いずれも示唆に富む指摘で、高校生以上に勧めたい一冊です。



ネクスト・ソサエティ ―

歴史が見たことのない未来がはじまる

ダイヤモンド社

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ダイヤモンド社:320P:2310円


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『ヤバい経済学ー』スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー 望月衛:訳

2007年01月27日 | ビジネス書・マスコミ関連


ヤバい経済学ー悪がき教授が世の裏側を探検する.jpg



本書の第一章は、『学校の先生と相撲の力士、どこがおんなじ?』です。


学校の先生と言ってもアメリカの公立校の先生ですが。どこが同じだと思います? 何と筆者の主張は、両者ともズルをする、という点です。


私の愛読するブログ、『米流時』 の ysbee さんが教えていただいたように、ブッシュ政権の政策 “ No children left behind ” (一人も落ちこぼれさせない法) のため、学校にテストが義務付けられ、生徒の成績の良い先生や学校は表彰されますが、悪い学校には、罰が与えられたりします。


テストですから、すべてのデータがそろっています。それをあるアルゴリズムで解析し、確率的にあり得ないパターンを指摘します。明らかに教師が手を加えた解答だとわかってしまうわけです。どこかで見たことがあると思ったら、サイモンシンの 『暗号解読』 で見られたような手法でした。


えっと、本書からではありませんが、“不自然な並び” の単純な例は、例えば…

100問ある4択の選択式のテストで50点という点数はごく自然ですが、答案を見ると、前半50問がすべて正解で、残り50問がすべて誤りだったしたら、不自然というよりほとんどあり得ない結果です。確率を調べればそう判断できます。

テスト結果から、そういうあり得ないパターンが見つかり(もっと複雑な解析ですが)、先生のズルがわかってしまうわけですね。経済学というより、数学、統計学を応用している感じです。数学的解析の仕方としては、『数学ができる人はこう考える(シャーマンスタイン)』の一部に似ていました。



さて、日本人にとっては相撲が大問題。力士が八百長をしたのではないかと週刊誌が報道し、力士たちの事情聴取をしたというニュースは本当にショッキングでした。


相撲も学校のテスト同様に、すべての取り組みの記録が残っていて、学者たちにとってはさまざまなデータ分析をするうえで理想的です。

ここでは7勝7敗の力士が千秋楽に勝つ確率、8勝6敗の場合、また、7勝7敗対8勝6敗の対決、7勝7敗対7勝7敗など、またその同じ力士が別の状況で戦った場合など、さまざまなパターンを紹介し、明らかに八百長が行われているとほのめかします。

残念ながら、説得力のあるデータのように見えます。

他にも、さまざまな興味深い分析、データ解析がならんでいるのですが、いずれも読者を納得させるに充分です。教育分野にも多くのページが割かれていますから、お薦めできます。


データというものが、人によっては単なる数字であっても、筆者にとっては宝の山になっています。学校ごとのテスト結果など、人によっては、ランク順に並べて終わりになってしまいますが、使いかたによっては大変な証拠資料になるわけです。教師のインチキがあると仮定、推測し、データのどこをどう分析するかが勝負です。まさに暗号解読です。相撲も同様のやり方です。


データの読み取り方やアンケート自体に手を加えれば、世論を作り出せるとか、自分の主張に見せかけの客観性をほどこすことができることを見事に暴いたのが、谷岡一郎氏の『社会調査のウソ』 です。こちらもすごい一冊でした。


本書は、それ以前の、疑う余地のない、何の変哲もないデータの中に、信じられないような真実が隠されているということを教えてくれます。谷岡氏の著作に劣らず、刺激的です。データによって、人々の思い込みを正していくわけですね。


また、分野は異なりますが、やはりデータを利用して、人々の心理を分析したものに『なぜ美人ばかりが得をするのか(ナンシーエトコフ)』。また、そういったことをビジネスに活用しようとするものに、『影響力の武器(ロバートチャルディーニ)』 があります。


この二冊とも、特に後者は超お薦めと言っても良いほど、私のお気に入りですが、本書もそれに劣らず、ひきつけられました。書名は “経済学” となっていますが、専門用語は全く使われておらず、“ヤバい” が表わすように訳もくだけた書き方で、高校生でも読めるのではないでしょうか。




P.S. 本書はブログの達人、相互リンクの “ふるさん” が紹介して下さいました。いつも軽いジョークでブログを楽しませてくれます。ありがとうございました。


そうだ、それと “すかいらいたあさん ”もだ! すばらしい書評ご覧下さい。


ヤバい経済学 [増補改訂版]

東洋経済新報社

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『ヤバい経済学ー悪がき教授が世の裏側を探検する』 スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー
東洋経済新報社:336P1890円


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『情報の「目利き」になる!メディア・リテラシーを高めるQ&A』 日垣隆

2007年01月06日 | ビジネス書・マスコミ関連


情報の目利きになる.jpg


常に斬新な切り口で、読者を驚かせたり、楽しませてくれたりする日垣隆氏ですが、本書はその中でも、もっとも読みやすく、高校生以上の人にお薦めしたい一冊です。


本当に情報があふれている時代ですから、やはり基本的なメディアのしくみや、知識人の生態などを知っておくことは大変重要ですね。すぐにワイドショー、ニュースショーの受け売りをしてしまう生徒が多いです。


メディア・リテラシーという言葉はかなり広く定着しつつありますが、書名にうまく表現されていますね。“情報の目利きになる”と。日垣氏はそのための基本として…

ニュースを理解する

本を読む

専門家や当事者の話を聞く

考えながら書く」 

を挙げています。勉強の復習と一緒で、実は最後のアウトプット、実際に書かないとダメなんですね。アウトプット前提で情報を集めるという姿勢はなかなか難しいんですが…、みんなブログでもやるべきかな。


ちょっと話がそれて恐縮ですが…、
私は、かつて自分自身が英語が苦手だったために、ありとあらゆる方法を試みて来ましたから、今、英語を苦手にしている生徒のわからない気持ちや、気になるところが推測でき、従って参考書の解説の不備がすぐに目に付くと思っています。だからこそ、効率的に成績を上げられるし(あっ言っちゃった)、生徒との連帯感まで生まれるのではないかと(笑)。


偉そうですが、それと似た構造と申しますか…、

日垣氏は3度の瀕死体験と3度の失業を経ているために、俗に言う世間の裏、死の世界を垣間見た経験が、常人の心を読んで、それをつかむコツを会得しているのではという気がしてしょうがないのです。

表の言葉を裏の意味に言い換えたり、表と裏の矛盾をついたりするのが、天才的に(もちろん経験と努力のなせる業ですが)うまいと感じます。従って、真意を付かれた側の反発もやはりあるようですが、覚悟の上でしょう。


本書は Q&A形式ですから充分読みやすいのですが、問う側の表現不足を補ってあまりある回答をして見せます。この人の聞きたいことはこのポイントだと、容易に察してしまうんですね。

たとえば、 “どうして一週間に30冊も本を読めるんですか”、 と質問され、(当然その人はできないから聞くわけですが)、そもそも質問自体が、相手がプロだということを忘れたもので、“プロゴルファーに、どうしてハンデが無いのかと聞くようなもの” と答えます。つまり的外れ。

そりゃそうでしょう。そもそも職業的に本とかかわりのない人が週に30冊読む必要など無いでしょうから。しかし、回答はそれにとどまりません。実際に質問者が不思議に思っているであろう、読むスピードに関して、非常に丁寧に具体的に説明します。

さらになぜそれほど読むようになったかというエピソード、なぜ現在読まなければならないかという職業上の説明までします。質問者も読む側も完璧に満足させる回答です。


他に、原稿料を教えてください、とか、なぜ実名報道なのか とか や大腸洗浄や北朝鮮、ファッションや科学知識、旅に関するまで、質問はさまざまですが、すべて上で述べたような姿勢で答えています。

最後には、究極の読書論として、もう一度、読書を取り上げており、私も参考になりました。きつい言葉もありますが、卑屈でも不遜でもなく、そのまま自分の体験や考えを述べている氏の態度が多くの人をひきつけているのだと思います。



P.S. このブログでは、メディアリテラシーに関して、

メディアの迷走ー朝日 NHK論争事件(保阪正康ほか)

アメリカ人はなぜメディアを信用しないのか(ジェイムズ・ファローズ)

テレビの嘘を見破る(今野勉)

テレビ報道の正しい見方(草野厚)

社会調査のウソ(谷岡一郎)


などをはじめ、他にいくつか話題にしました。この5刷の中では、特に下の3冊は実証的でお薦めです。読み比べてみても良いでしょう。他にも日垣氏の著作はおもしろいものが多くありますが、本書が一番多くの方に読みやすいものだと思います。興味があればぜひ…。


情報の「目利き」になる!―メディア・リテラシーを高めるQ&A

筑摩書房

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『情報の「目利き」になる!』日垣隆
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『グーグル・アマゾン化する社会』 森健

2006年12月28日 | ビジネス書・マスコミ関連

 

グーグル・アマゾン化するミ会.jpg


2007年まであと少し。2006年の世相を表す漢字が 『命』 だというのはまったく異存がありませんが、私にとっては、この一年を象徴する言葉は、まさに、この “ブログ” です。

去年までは、当教室 のHPの読書掲示板を担当していましたが、毎日更新なんてとてもとても…。週に1・2回本の紹介をしていただけだったのが、今年はブログにいったい何時間費やしたのでしょう(笑)。


それにしてもホームページを作るのに比べて、ブログとは何とも簡単で、ほとんど無料で、ネット業界のビジネスモデルは完全に新しい形になり、まだまだ進化していきそうな勢いですね。

そんな企業の先頭に立っているのが、グーグルとアマゾンですね。


これまでも、『ウェブ進化論(梅田望夫)』 と 『グーグル-Google(佐々木俊尚)』や『ブログの正体(伊藤譲一)』 など、ネット社会に関する興味深い書籍を紹介しました。

本書も、それらと重なる部分は有るものの、参考になる視点がいくつもありました。まず世界中の検索エンジンで、グーグルがシェア第1位ではないのは日本くらいで、まだグーグルの独走態勢に日本人は気付いていない。アマゾンもアメリカでは、日本とかなり様子が違います。やがて日本に訪れるであろう、グーグルやアマゾンがアメリカなどで実施しているサービスとその意図を解説します。


さらに、世界のネット界の現実を見ると、誰でも情報を発信する、情報の民主化というか多元化が進んでいる一方で、それとは逆の情報の一元化が進んでいることを検証してします。実際、グーグルの検索エンジンに認識されなければ、その情報はネット上に存在しないも同然だというわけです。

実は、私が大変感銘を受けた一冊で、だいぶ前にブログでご紹介した、『新ネットワーク思考 (アルバート=ラズロ・バラバシ)』 の考え方で、物理学の 『つながりの科学(小田垣孝)』 で紹介されている研究にも通じます。

ネットワークを構築する際には、大きなハブが必要で、多極化のはずが、ある面ではそれが一極に集中するという現象を説明、危惧を表明します。


つまり、世界がフラット化しつつあるのは確かでも、そこではネット上の情報が、ネットの世界に限らず、文化や政治にまで波及し、さまざまな一元化を招きかねないということです。

実態経済のグローバル化が拍車をかけますので、世界中がみな豊かになって車を買えるようになって、ふと気付いてみると、どこへ行ってもトヨタ、ホンダ車だらけということもあるでしょう。

実際、日本のどんな新幹線の駅へ行っても、駅前はマクドナルドやスターバックスにドコモ、似たようなビルに同じようなコンビニ、ホテルや銀行ばかり、風景が似ていてつまらないと感じます。(そういえば、マックは北京やモスクワにまであるとか。すし屋もそのうち世界中にできそう)


また、前回の総選挙の時、『靖国神社』 と検索するとどうなったか、『売国新聞』 と検索するとどうなったか。つまりSEOと呼ばれる検索エンジン対策にたけた人が常にさまざまな場面で勝利する可能性があるとも示唆します。

ある言葉を検索し、その結果を3ページ分見る人の割合はほんの数パーセントしかないようで、検索エンジンの前の方にヒットしなければ見てもらえないということですね。

つまり 多くの声がネット上に確かに存在していても、結局、影響力を持つのは発言機会が多く、声の大きいサイトになるということが起きているということです。


ネット社会の進化はまだまだ未知の世界ですから、一概に良い悪いとはいえないところです。何事にも正と負の部分があり、特に黎明期に適切に予想をすることは難しいものです。

かつての日本、現在の中国のように、工業発展の段階で公害問題が出てくるというようなものであれば、経験もありますし、何とか対処の仕方もあるでしょうが、それが、ネットが進化する段階で貧富の差が拡大したり、情報の一元化、独占化が進んだりすれば、かなり皮肉な結果だといわねばならないでしょうね。


さて、来年はどのようにネットと関わるでしょうか?私はほとんど予測不能です(笑)。少なくなることはないかな~と思いますので、来年もよろしくお願い申し上げます。




■■ ランキング、できれば1位で締めくくりたい! ■■

ブログランキングも今年のキーワードのひとつですかね。こいつが無ければきっとここまで毎日は更新しなかったような気がします。でも、その結果、一冊でも良書が生徒やご父母が手にしているとすれば、こんなうれしいことはありません。

グーグル・アマゾン化する社会

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光文社:253P:735円

 

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『アジアはどう報道されてきたか』 永井浩

2006年12月26日 | ビジネス書・マスコミ関連


アジアはどう報道されてきたか.jpg

 

少し前の本ですが、東南アジアの国々の現状を、読みやすい文で書いてあります。

中高生向けの「ちくまプリマーブックス」シリーズですが、大人にも東南アジア入門として良い本だと思います。

アジア・アフリカへの中学、高校生の関心は、韓国、北朝鮮、中国を除きますと、非常に小さいと、授業をしていてそう感じます。ワールドカップ参加国でも場所がわかる生徒はごく少数です。

私も、別の仕事をしていたら、知らないかもしれません。その原因の一つに、これら第三世界=発展途上国の扱いが、報道・出版で小さいことでしょう。 そこで、立場を入れ替えて、例えば一般的なアメリカ人が日本のことを知っているかと言えば、ほとんど知りません。恐ろしく無知だと日本人が思うでしょう。


少し前のアンケート調査で、当教室のメルマガで取り上げたものを紹介しましょう。

びっくりしますよ。




■■■ アメリカ人の知っている日本人 ■■■


アメリカで実施され、東京電機大学が公表したアンケート結果です。アンケートに答えたのは中堅レベルと思われる公立高校2校と公立大学1校の生徒418名。平成10年の調査で古いのですが、それにしても…

日米同盟とさかんに言っていますがホントに大丈夫でしょうか?


 <アンケート>

 【 あなたの知っている日本人をあげてください 】  


 ★★ 結果 ★★  

第1位 【 Emperor Hirohito 】:18人 (昭和天皇です。やはり偉大でした)  

第2位 【 Yoko Ono 】:17人 (うっ、オノヨーコ。まぁジョンレノンも有名ですし)  

第3位 【 Jackie Chan 】:14人 (ジャッキーチェン!?えっ日本人じゃないし)  

第4位 【Emperor Meiji】:11人 (明治天皇、ホ・ホントに知ってんのかな~)  

第5位 【Miyagi】:10人 (たぶんベストキッドに出演の老人でしょう。外国人だよ)

第6位 【Tokugawa Ieyasu】:9人 (家康登場!?やけくそか!)  

第6位 【General Togo】:9人 (連合艦隊の東郷平八郎、確かに海外で有名です)

第8位 【Hideo Nomo】:8人 (やっと出た現代人、ほっとしました、野茂英雄)  

第8位 【Kristy Yamaguchi】:8人 (スケート選手?これアメリカ人だぞ、こら!)  

第10位 【Meiji】:7人 (こんな人知らない、誰だよ~これ)   

第10位 【Bruce Lee】:7人 (ブルースリー!だからさぁ、違う!ってば)

 

◎今なら断然イチローでしょうか? それにしても…いやはや。しかも今調査ではアメリカ人学生418人のうち280人(67%)は無記入、つまり一人の日本人も知らなかったそうです!

アメリカ人学生よ勉強せい!は言い過ぎでしょうか?


■■■

いかがです。むちゃくちゃでしょ(笑)。


しかし、アメリカ人が日本を知らないように、我々日本人もアジアのことを知らないのではないでしょうか。

同じようなアンケートを日本の高校生がアジア諸国に関してやったとして、中国、韓国を除くと、ひとつの国で10人も出てくるでしょうか。

日本の学生が無知だというより、報道そのものがなく、従って関心がわきません。バラエティー番組やエスニック料理など、興味本位の報道はあっても、その社会や歴史を深く掘り下げたものはあまりにも少ないですし、選挙などの結果もよほどのことがない限り大きく報じられません。

ミャンマー(ビルマ)のアウンサンスーチーさんが、軍政の監視下にありながらなぜあれほどの人気を持ち続けられるのか。 マレーシア首相が「戦時被害の謝罪はもういい。今後の話をしよう」と言った背景には何があるのか。そう言われた村上首相(当時)は、どう対応したのか。

タイ=世界1の米輸出国。インドネシア=原油の多くを日本に輸出。フィリピン=バナナとキリスト教。など、東南アジアに関する表層の知識やステレオタイプな見方が、少し軌道修正されました。


クリスマスも終わったことですし、少し別の方向へ眼を向けて見るのもおもしろいと思います。

アジアはどう報道されてきたか

筑摩書房

詳  細

 

http://tokkun.net/jump.htm 【当教室HPへ】


 

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『アジアはどう報道されてきたか』永井浩
筑摩書房:206P:1155円

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