この何の変哲もないストレートな書名に、ごく普通の表紙。特徴のない、ありふれた一冊かと思いきや、中身は抜群に楽しいリスニングのテキストです。やっぱり人とテキストは外見だけじゃあ分からない!
ダイアローグリスニングとありますから、すべてが対話文で、28ものストーリーが用意されています。CDは1枚ですが、非常に中身は充実しています。
ただし、易しめのものがいくつか入っているとはいえ、全体的には、大学受験のリスニングレベルをかなり超えた内容で、TOEICよりも上でしょうから、大学生以上にお薦めです。
さまざまな日常の場面、職場や家庭だけでなく、学校、レストランやバーやビーチ、病院やスポーツクラブでの会話を取り上げますが、教科書のように、場面の決まり文句を覚えるのではありません。酔っ払いやサーファーが出てきたり、浮気がばれたり、嫁姑の争いがあったりして、かなり実用的です(笑)。
さらに特筆すべきことは、ほとんどすべての話にオチがある、つまり笑い話になっていて、おもしろいんです。いずれも日本通の人が作った話らしく、外国人じゃないとわからないといった類のジョークではまったくありません。とにかく楽しい。(もちろん言っていることが分かれば、ですが)
その上、ナレーターは著者に名を連ねる、ナディア・マケックニーの他、エリック・ケルソー、ビアンカ・アレン、マシュー・ホールの男女2人ずつ、英米2人ずつの4人。 いずれも日本のテレビやラジオの英会話番組などで活躍する“大物外国人!?”ですから、それだけでも聞く価値がありそうです(笑)。さらに他2名います。
ネイティブが1名か2名で済ましてしまうリスニングテキストも多いのですが、大物含め6人も動員しているということだけで、本書の力の入れようがうかがえます。
いきなり聞いてわからなくても、本書にはページ数をご覧になってもらえばわかるように、テキスト自体もリスニングとしては、かなりのボリュームです。ですから、簡単な質問から、穴埋めのディクテーション用テキスト、覚えておきたい表現、さらに重要構文の解説などが丁寧です。
後半などはかなりのスピードですから、これが音読できれば、大したものです。私も車の中で、飽きることなく聞いています。 今はまだ、このレベルが難しいかなという方は 『英語耳(松澤喜好)』 で基礎を作り、そのあと 『確実に英語力が上がるシャドーイング&ディクテーション(浅野恵子)』、そして本書という感じでしょうか。
伊藤氏の著書は以前、『リスニング英“聞”法』 をご紹介させていただきました。そちらもちょっと大学受験に的を絞っているわけではないのですが、なかなか意欲的な一冊で感心しました。
本書などは聞いて楽しんで、何となくわかった気にさせるのではなく、ちゃんと単語や口語表現のチェックができるように作ってありますし、アウトプットにも気を配った解説に、氏の熱意を感じる一冊です。難しいけど、お薦めです。
http://tokkun.net/jump.htm
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ダイアローグリスニング 旺文社 詳 細 |
『ダイアローグリスニング』伊藤裕美子
Nadia Mchnie 旺文社:207P:1575円(CD1枚付き)
P.S. 生徒諸君!そういえば 当教室 でも、リスニング講座とTOEIC IPテストの実施が近付いています。では、講座でお会いしましょう!
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