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『金正日への宣戦布告-黄長回顧録』 黄長(ファンジャンヨブ)著  萩原遼 訳 ★蓮池氏除名!

2010年03月31日 | 政治・経済・外交


金正日への宣戦布告.jpg


北朝鮮による日本人拉致問題の象徴でもあり、あの『奪還』 を書かれた蓮池透さんが、拉致被害者家族会から強制的に退会させられるという信じ難いニュースが流れました。どう思われますか?

民主党政権で拉致問題はどうなるのだろうとずっと思っておりましたが、中井拉致問題担当相は元気がよく、問題解決の進展を期待していましたが、元気がよすぎて女性問題を取り上げられる始末…。

それはともかく、本書の著者である黄氏が来日するかもしれないというニュースが流れました。どれほどの衝撃を与えるのか分かりませんが、個人的には注目しています。さらに金賢姫氏の来日も予定されているらしいので、そちらにも大注目です。

本書を読めば、黄氏が日本、韓国、北朝鮮にとって特別の存在であると理解できるのではないでしょうか。

以下は以前にご紹介した記事を手直ししたものですが、よろしければお読みください。

■■■

実は私の教え子のお母さんが、拉致被害者のお一人と同級生だったこともあり、間接的にいろいろお話を聞いておりまして、どうしても北朝鮮の拉致は許せないのです。

これまで、何冊も北朝鮮関連の本を取り上げました。その中でも 宿命-「よど号」亡命者たちの秘密工作(高沢皓司)』 はとうてい忘れられない一冊で、やはりそこで書かれている、日本人が深く拉致などに関わっていることが証明されたと思いました。


そしてもう一冊、『宿命』 に劣らず、深く心に残った一冊だと思われるのは 『
北朝鮮に消えた友と私の物語』 です。そう、本書の翻訳者である、萩原遼氏が日本共産党員のころに出した衝撃の一冊です。


萩原氏がはじめて北朝鮮の強制収容所の存在を暴いたと言われています。その萩原氏が必死になって翻訳の権利を取って出版されたのが本書です。(こういう英雄的活躍をした人をどうして 『
日本共産党』 は除名にしてしまうのか、理解に苦しみます。)


本書の著者は元北朝鮮の思想的リーダー、
主体思想を発展させてきた黄長(ファンジャンヨブ)氏です。戦前に日本の中央大学、その後モスクワ総合大学に留学。42歳の若さで金日成総合大学総長就任。さらに72年からは11年間、北朝鮮最高人民会議(国会)議長を務めるなど、多くの要職を歴任している北朝鮮の元大幹部です。

黄柱婪.jpg


金日成・金正日親子が、北朝鮮を宣伝する際に、思想的に最も頼りにしていた人物で、97年に韓国に亡命した時は大ニュースになりました。しかし…、今から考えると、残念なことにタイミングが非常に悪かったですね。

当時、
金大中韓国大統領が太陽政策で2000年には南北首脳会談をすることになり、北への批判はできず、韓国内でも軟禁状態。小泉首相の訪朝は2002年ですから、北朝鮮や日本人の拉致問題に対する関心は日本では低かったですね。

北朝鮮の実態に世界中が気付いた今であれば、氏の亡命はとてつもないインパクトがあったでしょう。が、同じく超太陽政策の盧武鉉大統領下の韓国では、とても自由な活動ができませんね。

金大中 金正日.jpg



黄長氏は、実に淡々とした書き方で自らの出生から北朝鮮で果たしてきた役割や、家族を捨ててまで、亡命を決断するに至る経緯を語ります。金正日の実態が明らかになった今でこそ、続編を望みたいのですが、韓国では出版させてもらえないようです。


父親である金日成は確かにそれなりの人物であったようですが、金正日はそれに比べて権力闘争には天才的なひらめきを見せるものの、凡庸な俗物であるようです。とにかく経済とか思想といったものにはまるで無知で、度々繰り返される、北朝鮮の飢餓は天災ではなく、完全に経済失政が招いた人災であると指摘します。『
餓鬼』で描かれた大躍進時代の中国そのままです。


氏が亡命を決断するのは、日々多くの人が飢え、あるいは拷問にかけられながら、自らは権力の維持しか考えていない金正日が許せないという気持ちからです。本気で南を攻めようとしている軍部に嫌気が差したのかもしれません。


すべてが金正日の一存で決まり、国全体を自分の奴隷のようにしか考えていないと指摘します。危険分子はそれと疑われるだけで次々と粛清され、でたらめの伝説をでっち上げることなどを通して、偶像崇拝を徹底させています。

それが貫徹しているため、他の国の独裁者のように人民の前に出て演説し、力を誇示したり、民衆を扇動する必要すらないというわけです。権力を完全に掌握した後は、父親の金日成さえ、金正日のご機嫌取りをしなければならないほどだったというのですから、驚きです。


金日成は晩年、自分が中心となって世界革命を起こすと妄想し、金正日はアメリカ・中国は自分の権威におびえていると吹聴し、高飛車な外交姿勢に周りが異を唱えることができず、後押ししている構図です。

さすがにソ連や東ドイツが崩壊した時には、言葉で表現できないほどの衝撃を受け、国内にも動揺が広がったそうですが、皮肉にも理論的裏付けでもって、その動揺を沈めたのが著者なわけです。とにかくけたはずれに頭が良いのですね。本書を読みますと、ものすごい学問的な修行をしているかのようです。


もちろん今では、金政権の権威付けに手を貸してしまったことで、良心の呵責にさいなまれるわけですが、当時、金正日にとって黄長氏は絶対に捨てられないコマだったわけです。


金親子を崇拝する自分の家族、最愛の妻にすら、何も告げずに亡命を実行します。亡命すれば、家族はもちろん、親戚など一族郎党が捕らえられるだけでなく、自分と一緒に仕事をした経歴を持つものまで疑われ、最悪、死を覚悟しなければなりません。しかし、家族や仲間よりも民族全体を救うという信念で亡命したそうです。


亡命者の意見をどこまで信用して良いかという疑問もあるでしょうが、萩原氏が信頼しているのであれば、ほぼ確実な情報ではないかという気がします。巻末に萩原氏が素朴な疑問をぶつけるインタビューが付いています。



P.S.今、ネットで黄長氏の論文を見つけました。ぜひご覧下さい。テレビ朝日が今年インタビューしたものに、氏が活動する“
コリア国際研究所” が手を加えたものです。新しいです(2007年2月)。


 ⇒6ヵ国協議合意をどう見るか 金正日政権に騙されるな 

                北朝鮮民主化同盟委員長 黄長

金正日への宣戦布告―黄長〓@57F6@回顧録

文藝春秋

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北朝鮮に消えた友と私の物語

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『金正日への宣戦布告-黄長回顧録』 黄長(ファンジャンヨブ)著  萩原遼 訳 文藝春秋:422P:859円

 

 


『復讐する海ー捕鯨船エセックス号の悲劇』 ナサニエル・フィルブリック(著) 相原真理子(訳)

2010年03月22日 | ノンフィクション


復讐する海.jpg


シーシェパードによる調査捕鯨妨害でクローズアップされるクジラの問題、アカデミー賞受賞作品「ザ・コーヴ」で取り上げられたイルカ。そして、つい先日ワシントン条約締約国会議で採決されたクロマグロと、たて続けに日本の漁業関係者のみならず、国民にとっても関心の高い海の生物が話題になっています。

これらは単に不良環境保護団体の問題ではなく、またパンダのような絶滅危惧種の問題ともことなり、各国の伝統や文化、あるいは宗教に深く関わることだけに常に対立が起こりますね。どうやっても満場一致なんていうことはあり得ない。

クロマグロ取引禁止に関するモナコ提案否決に向けて、日本の水面下での多数派工作でも、「欧米は話しても無駄」 と、アメリカやEU各国は根回しの対象にすらならないようです。


本書は、「話しても無駄」 という相手でも、「読ませれば何とかなる」 のではないかと思わせるような一冊です。クジラ、イルカ、マグロなどの問題で日本に反対の立場にいる人々にぜひ読んでもらいたい一冊。しかも、全米図書賞を受賞したすばらしいノンフィクションです。


世界一の海洋小説とも呼ばれる、ハーマン・メルヴィルの書いた『白鯨』。そのクライマックスシーンは、怒り狂ったマッコウクジラが実在していた捕鯨船エセックス号を沈めてしまった事件を元に書かれていたのだそうです。 


『白鯨』 では船が沈没したところで物語を終えてしまうのですが、実際のエセックス号の悲劇は、その沈没後からはじまったと言っても過言ではありません。エセックス号の乗組員たちは、クジラに沈没させられたあと、小さなボート3隻に乗り移り、それぞれ故郷の町、ナンタケットへたどり着くことを目指したのです。


1820年、今から180年も前、江戸時代のできごとです。当時アメリカでは、鯨から油を取るために多くの捕鯨船が太平洋に出ていました。1853年にペリーが浦賀に現われた理由のひとつも捕鯨の中継地として日本を利用したかったためですね。


アメリカ近海の鯨を捕りつくし、日本沖、西太平洋に鯨の群れがいることを発見していたからです。彼らは日本人のように鯨を食べるのではなく、わずかな鯨油を採ったらあとは全部捨てる。こんな乱獲をしておきながら、今頃になって日本の捕鯨反対なんてよく言えたもんです。まったく。


(日本の調査捕鯨:マッコウクジラ、大きいですね)
マッコウクジラ3.jpg

このひれでたたかれたら、ひとたまりもないでしょうね。 

マッコウクジラ.jpg
「(財)日本鯨類研究所 提供」


さて、その鯨油を求めて次第に遠くまで出なければならなくなった捕鯨船、エセックス号が沈没した後、彼らは必死で5000キロ離れた故郷を目指しますが、20人のうち生き残ったのはわずかに8人。

いったい何があったのか、3隻のうちの一つが救出された時、半死半生の状態の船員二人は手に、仲間の骨を握っていた…。そう、彼らは仲間の肉を食べながら生きながらえてきたわけです。


実際に起こったことが、あまりにも衝撃的であったために、当初はその事実が簡単には受け入れられませんでした。敬虔なクエーカー教徒たちの町でできたその捕鯨船なのですが、最初に食べられたのが黒人たちであったということも、彼らにはうまく説明できなかったそうです。


生き残った乗組員たちは、それぞれにいろいろな形で事件について語ったり、書いたりしていたのですが、それらのなかには、近年になって見つかったものがあります。当時考えられていたとは異なる事実も判明し、本書はそれを綿密に収集分析した一冊なのです。

できごと自体も想像を絶するすさまじさですが、本書の取材がすごい。筆者はエセックス号の故郷であるナンタケットに住む歴史家ですが、すべてのできごとを実に丹念に調べ上げているのがわかります。いったいこれを書き上げるのに何年かかったのか、そう聞きたくなるくらいの力作です。


どんな悲惨なできごとも、どんな予想外の事故に対しても徹底して冷静な筆致で、その状況を再現しようと努め、何が失敗だったのかを見極め、船員たちの心理を読み解こうとします。この、感情を徹底的に排した書き方が、返ってその時に起こっていたことの深刻さ、不気味さを印象付けます。


途中で見つけた小さな無人島にとどまって、地獄のような航海をやめ、仲間と別れる決断をした船員もいます。仲間に進んで食べられたものまでいます。人肉を食べてでも、その筆舌に尽くしがたい困難を乗り越えて還ってきた船員たち。

しかし、それは英雄として賞賛されるでしょうか、それとも…。故郷の人々はそれをどう受け止めたのかを知るために、生還した船員のその後の人生までしっかりと追跡をしています。


以上のような内容だけに目をそむけたくなるような事実もたくさん出てきます。決して美しい物語ではありません。エセックス号が転覆して以来、食料も水も減る一方で、自分たちの正確な位置すら確認できず、仲間も一人、また一人と力尽き死んで行ってしまうわけです。

絶望の淵で、極限の状況に置かれた者たちの姿、地獄絵図でもあります。刻々迫ってくる自分の最期を感じながら、自然に翻弄されながらも生き続けてしまう人々。人間のたくましさというより、生の虚しさまで感じるような一冊でした。



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復讐する海―捕鯨船エセックス号の悲劇

集英社

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『復讐する海ー捕鯨船エセックス号の悲劇』 ナサニエル・フィルブリック(著) 相原真理子(訳)
集英社:296P:2415円


『叱らない教師、逃げる生徒』 喜入克

2010年03月20日 | 教育関連書籍

 

愛子さまの登校拒否の報道には驚きました。

公立の小中学校であれば、学級崩壊やいじめなどはどこの学校でもあり得ると思っておりましたが、まさか私立の名門校、しかも皇族がいらっしゃる学習院で起こるとは。

皇太子ご夫妻が、「国民のみなさまにご心配をおかけしており、私たちも心を痛めております。」 とおっしゃり、天皇皇后両陛下は、「いずれかが犠牲になる形で解決がはかられることのないよう、十分に配慮を払うことが必要ではないかと思う」 とまで。


普通、学校関係者はそういう問題は内部で解決するというか、隠したがるものですが、それが公表されたことも意外な気がします。もはや手に負えないほどひどいということなのでしょうか。今後どういう経緯をたどるのか気になります。

現場の先生方は大変でしょうね。学習院には抗議の電話やファックスも多数送られているそうですから。


さて、本書は学校現場の教員達の抱えている問題が非常にわかりやすく、実例を挙げて説明されています。学習院の教育方針はよくわかりませんが、一般的に 『自分らしさ・個性』 を尊重するということが、『今の自分のままでよい』 ということになってしまいました。結果として、社会に出る前に身につけておくべき、大人としての振る舞いは身に付かず、未熟で幼稚なままで成人してしまうということです。

学校へ行きたくなければ、行きたくなるまで待つということになるし、修学旅行も自由参加。むしろ行きたくないような学校が悪いことになってくるというわけです。

様々な実例を挙げて、現場の教師ではどうしても手に負えない事態を紹介します。なるほど我々が学校の実態を正確に把握する難しさも痛感します。教師にはさまざまな“縛り”があるのだと分かります。とても自分には務まりそうもない、やる気のある学校の先生ほど厳しい状況に悩まされそうです。

そして、こういう本をご紹介するたびに思うのですが、学校はすぐ身近にあるにもかかわらず、また子供の担任の先生とは気軽に話せるにしても、こと学校という組織やしくみ全体となると、得体の知れない部分があるなぁと。


今年に入っては、北教組の違法献金の問題もありました。まじめにやっている先生方にとって、あるいは教師を信頼したい親にとっても許しがたい犯罪です。何よりもそんな環境で学ばなければならない子供たちは…。


相変わらず、いじめによる自殺事件も後を絶ちませんし、ついにというか天皇陛下までコメントを出しておられるわけですから、学校というものが依然として期待に十分応える教育を実践できているとは、残念ながら考えられません。



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叱らない教師、逃げる生徒―この先にニートが待っている
喜入 克
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『金閣寺』 三島由紀夫

2010年03月19日 | 小説


金閣寺.jpg


朝日新聞に 「百年読書会」 という企画があります。作家の重松清氏がナビゲーター役になって、読者からの感想文などを紹介してくれます。太宰治の 「斜陽」 から始まり、月に一冊のペースで名作を取り上げます。

ネットでも読めますし、楽しみにしていましたが、3月が最後だそうです。残念!そして、そこで取り上げられているのが、本書です。

これも一度取り上げた記事ですが、よろしければ、お読み下さい。

□□□□

南大門 (崇礼門) という韓国の国宝1号が放火によって消失、崩壊するという事件が起きました。ソウルのシンボルであり、歴史的にも日本とつながりがある建造物だそうですから、それがなくなってしまうというの大変残念なことです。


そういえば、以前にアフガニスタンのバーミヤン遺跡がタリバンによって破壊されたという報道もありましたね。変わり果ててしまった映像を見て、唖然としたものです。特定の政治勢力や宗教を越えた、人類共通というか世界遺産的な価値があると思うだけに悔やまれます。

南大門は韓国最古の木造建築。朝鮮王朝時代に建てられたという国を代表する文化財だそうですから、日本でいえば、金閣寺や法隆寺が放火であっという間になくなってしまうというようなことでしょうか。その衝撃は計り知れないほどでしょう。


実際に日本でも1950年に、国宝の金閣寺が見習いの僧侶によって放火、焼失しており、それを題材にした小説が本書。言わずと知れた名作ですが、今回の事件で取り上げたいと思いました。

 (金閣寺放火事件


かなり以前に、ある国語の先生から「描写、組立が完璧」 と薦められて読んだ本書ですが、確かに私も圧倒されました。実際に起きた事件をどの程度取材しているのかはわかりませんが、哲学的な論理で見事に 「ゆがんだ心」 を表現しています。 


それにしてもこの豊かな言葉はどこから出てくるのでしょうか。三島由紀夫はノーベル賞候補にも挙がったという世界レベルの作家ですから、枯れることのない表現力があるのは当然でしょうが、読んでいてため息が出るほどでした。

心理描写だけでなく、金閣寺が迫ってくるのか、金閣に対して迫るのか、緊迫した言葉の連続と、緻密な文章が印象的でした。 


実際には読んでいる途中、「ここまで書かれると、饒舌すぎるのではないか」、平たく言えば、くどいのではないかとも感じましたが、最後に付いている解説を読んで納得しました。こう書いてありました。


「文章の厳しい節度が、何より主人公にたいする作者の批判であると同時に、主人公の肉体が、作者の豊穣すぎる言語映像に、適切な制約として働き、これをつねに或る貧寒と惨めさを伴う現実に止めていることを、読者は自然に感得します」 

私は自然に感得できなくて、ちょっと残念(笑)。なるほどなぁ~と…。


連続放火魔逮捕などという事件の折に、“火を見て興奮した” という供述が出されますが、確かに、火というものは人間を穏やかならぬ心境にさせるのでしょうね。


 


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今日の金閣寺ライブ映像です。

金閣寺ライブ.jpg

金閣寺ライブ


 P.S. 実は、数年前のクリスマスイブの夜10時ごろ、自宅マンションの隣の部屋で火事が発生。警報機が鳴り続け、マンションの住人は部屋から飛び出し、近所の人々が集まり、消防車が何台も駆けつけるという大騒ぎがありました。

その時、たまたま翌日からの冬期講習に備えて早く寝ていた私は、妻に「大変、起きて、火事よ火事!」 と言われ、隣の家のお子さんの 「火事です。誰か助けて下さい」 という繰り返し叫ぶ大声に起こされ、寝ぼけたまま消火器を持ってお隣に上がりこみ、キッチンで燃えていた鍋やフライパンを消火した経験があります。消防署から感謝状までいただいたんですよ。

実際には、大きな火事にならずに済んだのですが、いまだにその時の炎と、立ち込める煙の向こうで点滅していたクリスマスツリーを忘れられません。その時は夢中でしたが、あとで考えると “怖かった…”。


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金閣寺
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『小3までに育てたい算数脳』 高濱正伸

2010年03月15日 | 中学受験関連【算数・国語参考書など】


小3までに育てたい算数脳.gif


昨日、TBSの情熱大陸で本書の著者、高濱氏が取り上げられておりました。同じ塾講師という立場ですから、なかなか興味深い内容でした。
http://www.mbs.jp/jounetsu/2010/03_14.shtml


そこで以前ご紹介した本書を再度取り上げてみたいと思います。

高濱氏のお名前やご意見は時々、いろいろなところでお見受けしておりましたが、著作を読むのは初めてです。こんな題の本を出すとは意外で、いったいどんな英才教育をするのだろうと思って読みました。


やはり、予想通り、早期教育のようなものを勧めるのでは全くなく、むしろ子どもが小さいうちに、外で遊べ!というような、まっとうな自然体験や理想的な家庭環境、積み木遊びなどから生まれる刺激が、あとになってからでは難しい空間把握能力や好奇心を育てるのだというような内容です。


高濱氏は以前から百ます計算に批判的でした。本書の帯にも“「百ます」だけでは子どもは伸びません!”とあります。本当の算数の楽しさをゆがめられたように感じたのではないかと推測します。

確かに“百ますブーム” が行き過ぎだった面は否めませんが、ちょっと違ったスジからの批判だと私は感じましたので、その発案者の陰山先生の著作『本当の学力を付ける本』を紹介し、百ます計算をどう考えるべきかを述べました。よろしければご覧下さい。


本書では、計算能力とは違った面の算数の力について述べられています。非常におもしろい一冊ですが、親野智可等先生(『親力で決まる』 『「ドラゴン桜」わが子の「東大合格力」を引き出す7つの親力』と同じような、家庭教育重視の立場です。



唐突ですが…、例えば、本書で紹介されている灘中学の算数の入試問題です。


  『次の □ にふさわしい数字を入れなさい』 

「平成元年(昭和64年)は西暦1989年である。昭和の時代には、西暦の年数が昭和の年数で割り切れる年は □回 あった。」


ちょっと見、難しいです。とても。


昭和と西暦との数の差はいつも 1925 (例えば西暦1945年は昭和20年:1945-20=1925) ですから、この問題は

1925の約数のうち、64以下のものの個数を答えよ」 と言い換えなければ解けません。 逆にそれがわかる子には簡単です。

 ちなみに答えは、1・5・7・11・25・35・55の7つですから、 答え 7


これは国語能力や発想力がポイントですが、そういう力は百ますでは付かないというわけです。そりゃそうですね。他にも開成、麻布、桜陰などの有名中学の入試問題をいくつか上げて、どういう能力が求められているかを解説、それを付けるには幼いうちに家庭で…、という調子で進みます。


一方、『強育論』や『合格パズル』『強育パズル』 などの宮本哲也先生はパズルなどを用いた、独自のメソッドで合格実績をあげていますが、家庭教育に関してはほとんど言及しませんね。入塾テストさえないのですから、同じ算数の専門家とはいえ高濱氏とは対照的です。


こちらのブログで昨年春に 『算数オリンピック問題集』 をご紹介しましたが、高濱先生は、本書でも算数オリンピックの問題を引用し、やはりそういったものに対応する力を付けるのは、家庭でのしつけや子育ての工夫、そして小3までの遊びの中で身に付けていかざるを得ないという主張です。実際に高濱先生は算数オリンピックの問題作成委員、解説などを担当されています。


 ところで…、


田舎育ちの私も、小3までの“自然体験だけ”なら人後に落ちないと自負しております。家の周りは田んぼ、畑と山ばかり、塾はもちろんテレビゲームもなかったのですから。で、確かに数学は英語以上といっても良いほど好きです。

が、算数脳にはなっていな…(笑)ような気がします。また、当時一緒に遊んでいた連中はみな “超算数脳” のはずですが…、ヤッパリ…(笑)。


親野智可等先生の著書がお好きな方は、本書も大変参考になり、秀逸な教育論と感じるでしょう。私もそう思います。大変気に入りました。つまり大変良いことが書いてありますのでお読みいただきたいのですが、ちょっと書名から受ける印象が冒頭で書いたような、早期教育を促すのではなく、むしろ逆だということを頭にいれておいていただきたいと思います。


高濱氏をご存じなく、本書を購入し、読まれるような親ごさんは、教育に関心があり、問題意識があり、まぁ不安もおありかと思います。


こういった本を読むときは、受験生が学習方法の本を読むのと同じで、すべてをやろうとしないことです。親野氏の著作同様、ダメな会話の例や親子関係、逆に理想的な例も出てきますが、どれか気に入ったものを一つでも取り入れれば良いのだと思います。


本書で批判されていると思われる、百マス計算や公文式をあわててやめる必要もありませんというのが私の意見です。




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健康ジャーナル社:229P:1575円

 

 

 


『穴』 『HOLES』 ルイス・サッカー(著) 幸田敦子(訳)

2010年03月09日 | 小説

  
穴.jpg     



これも学校が休みの間にぜひ読んで欲しいなと思う一冊です。高校生諸君はがんばって英語版に挑戦して下さいね。


邦訳が出される前に私が読んだのは、きっと10年近く前になると思うのですが、テレビか新聞かで、当時、アメリカの児童文学として大絶賛されていると聞いて、また 『HOLES (穴)』 という妙な書名が気になって取り寄せてみました。

自分で楽しむというより、“英語の授業で一部でも使えないかな” と思って読み始めたのですが、大人の私も夢中になって読んでしまいました。


主人公のスタンリーは無実の罪で少年院のようなところに入れられます。少年の更生施設ですが、果てしなく広がる荒地で、炎天下、来る日も来る日もショベルを握って穴掘りをさせられます。

そもそも無実のスタンリーですが、その施設では罪を犯して入ってきた、くせものだらけの先輩少年たちに新入りいじめにあったりします。そこの所長や監守たちも決して少年たちを甘やかさず、立っていられなくなるほど、ひたすら穴を掘らせるのです。


ところがその作業はどうやら、更生のためということを装ってはいるものの、大人たちのある事情がからんでいることに気付きます。

友達もいなかったスタンレーですが、やがて同じ班の少年ゼロに字の読み書きなどを教えることによって、徐々に心が通い始めます。互いを助けあったり、自分の思いを語ったりすることのできる友情が生まれます。

そのゼロがあることをきっかけに、監守をショベルでなぐってしまいそのまま逃走してしまいます。そしてゼロのことを放っておけないスタンレーも翌日に…。


そんなストーリーですが、それまでも、さまざまなエピソードや人々の背景が語られ、二人の決死の逃亡のあとも予想の付かない展開、息を呑むようなできごとが続いてどんでん返し、一気に読んでしまいます。

全米図書賞など多くの賞も取っているそうです。最後まで読めば忘れられない一冊になるのではないかと思います。実際に 当教室 の生徒たちの中で何人かが読み、彼らの感想もすべて好意的なものでした。お薦めします。



P.S. そういえば、以前ご紹介した 『英語耳』 の著者、松澤氏も本書を強く推薦しておられました。CDやDVDにもなっているそうですから、それを英語学習に使おうということですね。 (『英語耳』はお薦めですが、同じ松澤氏の 『セ耳』 は???ですが。)


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