本を読もう!!VIVA読書!

【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『高校を変えたい - 民間人校長奮戦記』大島謙 (草思社)

2006年10月31日 | 教育関連書籍


高校を変えたい!.jpg


世界史の未履修問題とつながっているのかどうか定かではありませんが、とうとう茨城県立佐竹高校の高久校長の自殺というところまできてしまいました。

教職員たちの司令塔、学校のシンボルであるはずの現役校長が、自殺という衝撃的な事件によって、突然いなくなってしまった高校の混乱はいかばかりでしょう。残念この上ないできごとです。


常々思っていたことの一つに、“校長先生” という立場は、もちろん学校という組織の頂点には位置していても、どうも企業の社長とは全く違う、というのがあります。

部下である自校の教師たちは、企業サラリーマンとは根本的に異なって、入れ替わりもあります。 企業であれば、その会社の将来に自分の夢をかけた人物がその組織に参加していますから、社長と共に企業の繁栄という一つの目的を共有できますが、学校はそうはいきません。

企業が社長のもとに“一丸”となるのと、学校が校長と“一致団結”するのとは全く違うプロセスなり、戦略が必要だと思うのです。どちらがやりやすいかは明白です。

また、社長の上には何もありませんが(株主を除けば)、校長の上には教育委員会、さらに文部科学省に常に“指導・研修”を受けなければなりません。要するに、企業でいえば、校長先生の気持ちとしては、一国の主とはいえ、中間管理職に過ぎないということです。


校長という職は難しい、分かりにくい、そんなことを教えてくれた一冊が本書です。


筆者は三重県で初めての民間人校長として、公募によって選ばれました。大島氏は東芝入社後、東芝アメリカベンチャーキャピタル社の社長まで勤めた後に、公募に応じた純粋なビジネスマンです。

私は大会社のビジネス慣行も、学校の運営の実態も直接は何も知りませんが、本書を読んで、同じ“組織” と呼ばれていても、両極端といってもよいほど違うなという気がしました。本書には、大島氏の応募の経緯から、その後の苦悩まで、すべて書かれています。

私自身が生徒の時には、校長先生はいつも優しくニコニコしながら生徒に声をかけていらっしゃいましたが、普段は授業もなく一日何をしているのだろう、と思ったものです。

筆者も校長業務の予想外の忙しさに苦しめられます。その中でも、有益でないものがかなりあるために、さまざまな改革に乗り出します。

何かしようとすると、必ず抵抗勢力が現れます。ビジネス界の常識で乗り切ったり、それではどうにもならないものに様々な工夫をして改革を成し遂げていく過程は痛快です。

同時に、“学校のしくみ” というやつは、こんなにも複雑なんだと知ることができました。 以前、ご紹介した、底辺高を改革する校長の物語 『熱血!ジャージ校長奮闘記(鈴木高弘著)』 も最高におもしろかったのですが、こちらの著者はまったくの畑違いの出だけに違った意味で勉強になりました。


結局は、システムの問題がどうであれ、命がけで改革しようというリーダーが校長になって、どれだけ先生方を巻き込めるか、そこにつきるのではないかという気がしました。

先生が変われば、生徒は自然に変わっていく、その様子が感動を呼び起こす、そんな一冊です。


それにしても校長先生の自殺というのはやはり衝撃です。本書のようにすべてがうまくいくわけではないでしょう。日本全国に校長先生は何万人もいます。偉そうですが、すべての校長にエールを送りたい、僭越ながら、教職を志した時の気持ちを思い出していただきたい。そう思いました。


高校を変えたい!―民間人校長奮戦記

草思社

詳  細

http://tokkun.net/jump.htm 



 『高校を変えたい! - 民間人校長奮戦記』大島謙
草思社:241P:1575円


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『ナビゲーター世界史B 新課程用』 鈴木敏彦(山川出版社)【参考書】

2006年10月31日 | 大学受験【国語・社会】情報・参考書
 

ナビゲーター世界史B.jpg


NEW 青木世界史B講義の実況中継』 を取り上げた折、生徒らからコメントはなかったのですが、それに対するアクセス数が相当数ありました。そこで、もう一冊の世界史のメジャーな参考書である本書を紹介します。


今回も、本書の使い方などを、genio先生にお願いしました。受験生のみんなよく読んで。


■■■

しばしば「青木世界史B講義の実況中継」との優劣が議論される一冊ですが、それぞれに個性があり、両者そのものの優劣はつけられませんので、大事なのは受験生それぞれとの相性です。

ナビゲーター世界史は、全体の情報量で実況中継に劣ることは決してないのですが、冒頭で鈴木先生が書いているように、基礎の徹底に重点をおいているのが特徴です。

従ってメインストーリーは、最初に重要項目をまとめ、何処に注意して読み進めていったら良いのかが明確に記されています。その意味ではじめて勉強する高校生にとって、ナビゲーターは親切な参考書と言えるでしょう。

また、雑談やエピソードなどはフォントサイズを小さくして、あくまでオマケという扱いです。(しかし、鈴木先生の雑談レベルは相当に高い。)  

更に、受験生が苦手とする現代史に関しては、先ず世界全体の流れを追って柱を作ってから、もう一度各国の状況について詳述するという方法を取っており、現代史をはじめて勉強する受験生の皆さんにはナビゲーターの方がお薦めです。

全体的には受験参考書として真面目な内容で信頼できる反面、青木先生ほどのダイナミックさがない印象であることも事実で、個人的には青木先生のものが合うのですが、もちろん受験生一人一人にとっての使いやすさとは次元の違う話です。

従いまして、


【ある程度力のある受験生→実況中継】

【基本から固めさせたい受験生→ナビゲーター】



ということになります。

私の教室 では、それを納得させるため、自分の目で比較検討できるよう、両方とも全巻揃えて、生徒には貸し出しもしています。

■■■

ということです。 生徒諸君!もし直接、ききたいことがあれば、genio先生のブログにコメントして下さい。(もちろんこちらでもOKです)

→『試験に出る!!時事ネタ日記』  ガンバレ世界史受験生!


http://tokkun.net/jump.htm 

ナビゲーター世界史B 新課程用』鈴木敏彦
山川出版社:231P:980円



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『スパイス戦争-大航海時代の冒険者たち』ジャイルズ・ミルトン(著)松浦怜(訳)

2006年10月30日 | 歴史
 

supaisusennsou.jpg


大変おもしろい一冊です。本書はその綿密な調査で、発売と同時に大絶賛を受けたそうですが、筆者によれば、東インド会社の資料館のようなものには、誰も手を付けていない貴重な資料がまだまだ山のように残っているそうです。

大航海の時代、スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダなどが胡椒やナツメグなど東インド諸島の香料を巡って繰り広げた争奪戦を描くノンフィクション。 途中イギリス船に乗った日本人傭兵が登場しますが、そんな話、聞いたことありますか。

まぁ大した役割はなく、だまし討ちにあったり、拷問にあったりして殺されてしまうのですが1600年前後、朱印船に乗った人々の中にそういう争いに巻き込まれた日本人がいたというのを不思議な感覚で読みました。

以前、使ったこの地図でじっくり見てみると、彼らの船は日本のすぐ下にまで来て、やりたい放題の悪さを働いていたんです。

map2.JPG← クリックで拡大されます。

  
彼らが、日本に興味を持ってしまったら、江戸時代以降、かなり歴史は変わっていたんだなぁ~と実感しました。ヨーロッパ人がもう少し足を伸ばしていたら、と考えるとぞっとします。

というのも、後半部分は “イギリスVSオランダ” の戦いが描かれていますが、ヨーロッパ人の冒険心や勝負の徹底振りはため息が出ます。この宿敵同士の戦いはすさまじく、殺し合いや裏切りは、日常茶飯事。

原住民などは人間と見なしていないのでしょう。捕らえては、拷問、虐殺、または奴隷狩りのような対象に過ぎません。『ちゃんと歴史の教科書に書いとけよ!』と叫びたくなるくらい(笑)。

ただ、私の生徒から、その時代、日本に最初に来た外国船には、仲の悪いはずのイギリス人(ウィリアム・アダムス、のちの三浦按針)とオランダ人(ヤンヨーステン)が一緒に来たと聞いて驚きました。

いずれにしろ非常におもしろく、香料、特にナツメグは肉の防腐剤としてヨーロッパでは非常に貴重らしいのですが、東インド諸島では、それがただ同然で入手できたそうで、巨万の富を築くために命がけでヨーロッパ諸国が争いました。

その後、日本は、出島は開港したものの、占領されず、無事に鎖国を続けられたのは、奇跡的な幸運だと思わずにはいられません。


スパイス戦争―大航海時代の冒険者たち

朝日新聞社

詳   細


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P.S. 受験生は大航海の時代を復習! 例によって、genio先生のブログ

→ 『入試に出る!!時事ネタ日記』   ガンバレ!世界史受験生!

『スパイス戦争-大航海時代の冒険者たち』ジャイルズ・ミルトン(著)松浦怜(訳)
朝日新聞:362P:2940円

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私立・国立中学受験 『2006年度入試【国語出典】』(女子校)

2006年10月30日 | 中学受験関連【算数・国語参考書など】

前回の男子・共学校に続き、女子校の出題データを、掲載いたします。

【学校名】     【作家】       【書名】

■女子校■
桜蔭               高階秀爾                 新編・日本美術を見る目
桜蔭                               岩瀬成子                  となりのこども
双葉                                 伊集院静                  きみとあるけば
お茶の水                        あさのあつこ             バッテリーⅡ
お茶の水                        森山卓郎                  コミュニケーションの日本語

豊島岡女子学園            李御寧                      ジャンケン文明論
豊島岡女子学園            笹生陽子                  ぼくらのサイテーの夏
頌栄女子学院                梶原しげる               そんな言い方ないだろう
頌栄女子学院                いしいしんじ             麦ふみクーツェ
学習院女子                    三浦哲郎                   ユタと不思議な仲間たち
日本女子大学附属           新聞記事より
日本女子大学附属           宮崎駿の文章

立教女学院                   森永卓郎                      岩波ブックレット657)
立教女学院               パトリシア・ライリー・ギフ     ホリス・ウッズの絵
東洋英和                       小川洋子                       偶然の祝福
共立女子                       晴佐久昌英                   恵みのとき
共立女子                       三宮麻由子                   目を閉じて心開いて
共立女子            金田一春彦                   日本語を反省してみませんか

大妻                             佐々木瑞枝                     壊したの?壊れたの?
大妻                             増田みず子                     ナガレボシ
大妻                             齋藤孝の文章
跡見学園                    伏見憲明                          さびしさの授業
跡見学園                    斉田てる子の文章
跡見学園                    財部鳥子                         詩の贈りもの12ヶ月(秋・冬)
実践女子学園           火野葦平                         天にのぼる話
実践女子学園           勝見勝                             手・道具・機械ー人間の進化の跡ー

十文字                          ルィーゼ・リンザー              波紋
光塩女子                      小川洋子の文章
光塩女子                      田中優子の文章
浦和明の星女子        渡辺淳一                          知的冒険のすすめ
浦和明の星女子        中沢けい                          うさぎとトランペット
鴎友学園女子            大屋研一                          のめっこ少年戦中紀聞
鴎友学園女子            宇佐美彰朗                     女子マラソン どうして強くなったのか

東京女学館                    横山充男                          夏のてっぺん
東京女学館                    中山元                              貨幣
横浜共立学園                西加奈子                         さくら
横浜共立学園                柳澤桂子                         「いのち」とはなにか
普連土学園                     内田樹                              先生はえらい
普連土学園                    朱川湊人                          花まんま


まだ、細部にわたるチェックをしたわけではありませんので、あくまで目安として下さい。




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『図書館の神様』 瀬尾まいこ

2006年10月29日 | 小説
 

図書館の神様.jpg


■読書週間■ ですから、素敵な書名の付いた一冊、“図書館の神様”をご紹介しましょう。もちろん中身もすばらしい。


瀬尾氏は1974年生まれ、中学の講師をしているのですが、本書の主人公も中学講師です。 彼女はある事件をきっかけに、自分の勉強や進路をよく考えないまま、都会を離れて、地方の学校の講師になります。

人生の方向性を見失ってしまい、何となく妻子ある男性との付き合いは続いているものの、熱愛というのではなく、大人の諦観を持ちつつ、また教育に対する情熱のわかないまま、授業をし、文芸部の顧問を任されます。ただし、文芸部の部員は垣内くんという生徒たった一人。

部活の場である図書館から、主人公の心の再生の物語が始まります。たった一人でも部活動に参加し、本を読み考え、先生にも自分の純粋な意見をいう垣内くん。大人の世界のいやな面を知ってしまって、気力のわかない主人公との対比が自然に描かれています。

主人公の語る、学校や同僚に対する不満は経験者ならではのものでしょう。塾講師として、そのあたりも興味深く読みました。


 じ~んと来る、そんな感じです。びっくりするような派手なストーリーの展開はないにもかかわらず、最後の感動シーンまで読者を離さないような一冊だと思います。秋の夜長、きっと一晩で読みきってしまうのではないでしょうか。



http://tokkun.net/jump.htm 


P.S. 『図書館の神様』という日本語は英語になるんでしょうか。八百万の神の日本ならではの日本語??? 誰か教えて!
P.S.(2) 不倫場面さえなければ、私ももっと大声で生徒に薦めやすいし、きっと入試にいっぱい使われますよ(笑)。良い本です。


図書館の神様

マガジンハウス

詳 細

『図書館の神様』瀬尾まいこ
マガジンハウス:165P:1260円


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私立・国立中学受験 『2006年度入試【国語出典】』(男子校・共学校)

2006年10月29日 | 中学受験関連【算数・国語参考書など】


公立高校に出題される本・作家ランキング を以前ご紹介しましたが、中学入試はないのかというご要望をいただきました。

実は、以前申し上げたように、公立高校と私立中学入試では、重なる部分がかなりありますので、そちらもぜひ参考にして下さい。

いわゆる大手塾から、その類の情報が出ていますので、当教室では、集計しておりませんでした。ただ、“ネット上で見つからない” という方もおられましたので、今年の入試で使われた素材を問題集から拾いました。


とりあえず、有名中学の男子校および共学校を載せます。女子校もすぐにお知らせしますので、しばらくお待ちください。

【学校名】     【作家】     【書名】

開成中学校        永井龍男        黒い御飯
開成中学校        石井政之        人はあなたの顔をどう見ているか
武蔵中           リリー・フランキーの文
筑波大学附属駒場   今江祥智       そらまめうでてさてそこで
筑波大学附属駒場   石原勝敏       背に腹はかえられるか
筑波大学附属駒場   中尾舜一       セミの自然誌

駒場東邦   ベアトリーチェ・ソリナス・ドンギ、 ジュリエッタ荘の幽霊
慶応義塾普通部  ドリス・カーンズ・グットウィン 来年があるさ
慶応義塾普通部     長田弘         記憶のつくり方
慶応義塾普通部     壽岳章子       人名について
早稲田           林望           東京坊ちゃん
早稲田                     赤瀬川原平の文章

聖光学院               瀬尾まい子                 狐フェスティバル
聖光学院               永江朗                 インタビュー術!
栄光学園           C・アドラー                 おき去りにされた猫
浅野                 三浦哲郎           みちづれ
浅野                 佐藤洋二郎              ちょっと偉そうな話
立教新座         長野まゆみ               天然理科少年
立教新座               養老孟司          ニッチ産業は穴埋め作業と同義なり

桐朋                    窪島誠一郎               無言節ものがたり
桐朋               マイケル・ルイス   コーチ
海城                海老沢泰久              空を飛んだオッチ
海城               小柳晴生           ひきこもる小さな哲学者たちへ
巣鴨                田中修               ふしぎの植物学
巣鴨               池田晶子            「コンビニエントな人生」を哲学する

暁星                森絵都                 子供は眠る
学習院                 田口ランディの文章
学習院                 池上彰の文章
明治大学付属中野     大塚柳太郎の文章
芝                    河合隼雄               日本人の心のゆくえ
芝                    重松清                   ひこうき雲

成城                 河合雅雄                   学問の冒険
成城                三田誠広                   いちご同盟
世田谷学園          小澤征良                    おわらない夏
世田谷学園            佐々木健一            美学への招待
城北                唐沢孝一                   カラスはどれほど賢いか
城北                あさのあつこ           あかね色の風
本郷                長野まゆみ                ぼくはこうして大人になる
本郷                 辻秀一                   弱さを強さに変えるセルフコーチング

灘                   阿刀田高                 殺し文句の研究
灘                    森武生                メスとパレットー外科医の春秋ー
灘                  竹西寛子                   兵隊宿
ラ・サール              菅原健介                 羞恥心はどこへ消えた?
ラ・サール                森詠                   イヌの放課後


■共学校■
筑波大学附属       重松清           その日のまえに
筑波大学附属       長谷川眞理子      科学の目、科学の心
早稲田実業               梅崎春生                    魚の餌
早稲田実業      中央大学総合政策学部編     小学生にもわかる大学の学問
青山学院中等部              窪島誠一郎               「無言館」ものがたり
青山学院中等部              青木和雄                    ハートボイス いつか翔べる日

渋谷教育学園幕張    ピーター・フランクル     美しくて面白い日本語
渋谷教育学園幕張        角田光代                    キッドナップ・ツアー
東邦大学付属                 高村薫                          落ち着きがない子供たち
東邦大学付属                 笹生陽子                      ぼくらのサイテーの夏
市川                                   宮沢賢治                      祭の晩
市川                                   猿谷要氏が語った文章

桐蔭学園                         外山滋比古                 右往左往しない「生きる知恵」
桐蔭学園                         ポーラ・フォックス        西風がふくとき
渋谷教育学園渋谷       角田光代                      キッドナップ・ツアー
渋谷教育学園渋谷       青木保                          異文化理解
開智                                  尾上圭介                    大阪ことば学
開智                                  村上春樹                    海辺のカフカ(上)


以上です。


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『安河内の英語魂』 安河内哲也 (ダイヤモンド社)

2006年10月28日 | 大学受験【英語】参考書など


eigo魂.JPG

副題は 『 偏差値50から東大・早稲田・慶応・上智に受かる英語力を身につける究極の勉強法 』。

表紙うらには、でかでかと、『死ぬ気でやってみろ!』 と書いてあります。 びっくり。


産経新聞の書評では本書を、“入試まであと4ヶ月に迫った受験生にはうってつけ”であるとし、

文法の形や理屈だけを覚えるのではなく、“聞いて話し、読んで書く”実践的な英語を身につける方法論を述べている。「英語、英語」と頭を悩ませる受験生を抱える親の方も一読して、いっしょに英語を勉強してみては。』 と好意的に書かれていたので購入してみました。

安河内先生の本は、以前、『きめる!センター英語リスニングトレーニング』 をご紹介させていただきました。テキストには注文を付けたのですが、BGM付きCDは気に入っておりましたので、期待をして読みました。

そうですね、単語暗記など、英語の勉強方法をずらっと紹介しているのですが、通り一遍と言っては申し訳ないのですが、もう少し掘り下げて欲しかったです。

これなら少し前にご紹介した『東大生が教える!超暗記術(徳田和嘉子著)』 の方が、ずっと実践的だと思います。 確かにいくつかは参考になる指摘もありますが、とても、副題にあるような、早慶上智レベルではありません。英語の指導経験があって、方法を工夫したことのある人間であれば、アルバイト学生でもアドバイスできるのではないでしょうか。

英語の参考書なのか、英語に関するエッセーなのか、残念ながらやや中途半端な印象を持ちました。 誤植も目に付きます。特に、分数の解説のある、P171は肝心のところでミスがあるので、受験生は戸惑うでしょう。

非常に売れている、泉忠司先生の『歌って覚える英文法完全制覇』 も肝心なところでの、誤植の多さに驚きました(そういえばこれも産経の書評に出ていた)が、英語の本ですから、英語の部分だけでも細心の注意を払っていただきたいですね。ホントに。


英語の勉強すべてを網羅しようとしているため、結局、リスニングにしても、文法や作文にしても、説明や例文が少なく、それを補うように、各課の最後にご自分の別の参考書を紹介されています。実際、本書よりそちらの方が良いでしょう。

厳しい書評になりましたが、安河内先生は、アマゾンで見ますと、著作が60冊以上になっています。また、東進ハイスクールのカリスマ英語教師と言われ、受験生に対する影響力はかなり大きいはずですから、もう少し丁寧に作って欲しかったですね。

英語を教えた経験のないアルバイト講師が、指導方法の参考にするのが良いかもしれません。失礼ながら…、安河内先生! 『死ぬ気』で書いていただきたかった。


http://tokkun.net/jump.htm 

安河内の英語魂 偏差値50から東大・早稲田・慶応・上智に受かる英語力を身につける究極の勉強法

ダイヤモンド社

詳  細

『安河内の英語魂』 安河内哲也
ダイヤモンド社:214P:1365円 


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東京六大学弁当 【代々木】 大学受験生の定番!浪人生の味方!

2006年10月28日 | Pictures

当教室 のある代々木には、知る人ぞ知る、名物弁当屋さんがあります。

“しょうが亭弁当” さん、通称、【東京六大学弁当】 です。

マスコミでも何度か取り上げられましたので、ご存知の方、あるいは召し上がったことのある方もいらっしゃるかも。

代々木名物なんです。

東京六大学・店2.JPG       東大弁当2.JPG

左の写真が、しょうが亭さんの店構え。東大他、一橋、慶応、早稲田、立教、聖心、白百合、上智、日大弁当などがあります。昔から予備校生や塾講師に人気です。

そして、右の写真が、王様、東大弁当!

うちの塾が代々木にできたのが、およそ20年くらい前(都筑区、中川は10年くらい)で、それより前、なんと私が大学生時代から、親子二代に渡ってのお付き合いなんですね~。

お店は30年以上前からありますから、老舗ですよね。医学部弁当が、ステーキ入りで、一番高くて1000円以上しましたから、めったに食べられませんでした(笑)。

今日も東大いただきました(ハハ)。これまで何百回食べたんだろう…。若い頃は、一日2回買っていたころもありました。お気に入りは、青学弁当(笑)ですが、どれもみんなおいしいんです。

 全国の受験生に届けたい! ガンバレ受験生!  

http://tokkun.net/jump.htm


     
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『「受験世界史」の忘れもの』 井野瀬久美恵

2006年10月27日 | 歴史


世界史.JPG

高校の必修科目である世界史の未履修問題、こんなことがあるんですね。誰かが責任を取るのでしょうか。校長への注意だけなら生徒は助かりますが、ゆとりの時、あれほどもめていた“指導要領”とは一体何なんだということになるでしょうね。

少なくとも公文書に、虚偽の記載は法律違反でしょうし、岐阜の裏金でもあったように、教職員のモラルハザードはどこまでも続いてしまう。一方、自分の受験科目じゃないのに、まじめにやっていた学校の受験生は、どう感じるでしょうね。


かといって厳しく対処すれば、世界史を受験科目にしていない生徒はたまったもんじゃないですね。たまたま2007年度入試を受ける現役の生徒たちが、受験直前に世界史受験でもないのに、その集中講義を70時間も受けなければならないという、信じがたい状況に追い込まれてしまいます。 学校の不始末を生徒たちが責任を取らされるわけです。

卒業延期して、入試の後に補習というのが現実的でしょうか。それにしてもやっぱり誰も従いたくないような指導要領だった。文部科学省は、裸の王様だということがよくわかったでしょう。

センター試験まであと3ヶ月を切って、1時間、10分でも時間が惜しいときに、70時間取られる。実にバカバカしい。 高校3年生諸君に“世界史は抜群におもしろい!”と言っても、何の慰めにもならないでしょうが、その“受験世界史” の問題点を指摘し、授業では決して語られない、“本物の世界史”を語った一冊を紹介します。

まずは、生徒にも、この地図をじっくり見て欲しいですね。

map2.JPG← クリックで拡大されます。

  
そうです。見慣れた地図と異なり、日本は端っこに来ています。世界の人々は、こういう地図を見ながら、ものを考えます。世界の中心は日本ではなく、あくまで西欧。そして、受験世界史も西洋中心主義が過ぎる、と筆者は指摘します。

さまざまな興味深いエピソードが登場しますが、受験世界史と筆者が大学で教えている世界史に橋をかけたい、そんな思いで書いたそうです。今回の事件で、再読してみましたが、やはりおもしろいです。この先生の大学の世界史の授業に参加したくなるでしょう。


【本書の裏にある言葉】

世界史は、物言わず静かに流れる時の大河。その壮大な流れを受験世界史は古代・中世・近代・現代と切り刻み、細かな事実を羅列する。かくして、歴史は無味乾燥な年号と人名と事件の集積と化す。しかし、実際の世界史は教科書と裏腹に、もっとダイナミックに、人間くさく動いてきた。本書は、そうした歴史の裏側に光をあて、本当の世界史の醍醐味を満喫させてくれる一書。



誇大広告でなく、その通りだと思います。ただ、残念ながら、本書はアマゾンのユーズドでしか入手できないようでした。(またPHPだ)。しかし、井野瀬氏には、他の著作もたくさんありますので、きっとそちらでも同じような興奮が味わえると信じています。

http://tokkun.net/jump.htm 


『「受験世界史」の忘れもの』 井野瀬久美恵
PHP研究所:198P:480円



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「受験世界史」の忘れもの

PHP研究所

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『NEW 青木世界史B講義の実況中継 (1)-(4)』 青木裕司 【参考書】

2006年10月27日 | 大学受験【国語・社会】情報・参考書
 

青木世界史Bタ況中継.jpg



今日は、高校の世界史、未履修問題を受けまして、世界史に関して、参考書紹介の記事をUPします。

当教室 では、授業はオリジナルなテキストで進めていますが、自分ひとりで勉強する人には、購入できる良い参考書が不可欠ですね。急きょ、genio先生にお願いして、世界史でもっとも人気の高い参考書、『 NEW 青木世界史B 講義の実況中継 』について、使い方や特徴を教えてもらいました。

以下が、genio先生の意見です。テキスト選びの参考にして下さい。


『 青木先生の実況中継は受験生のベストセラーです。が、率直に言って基礎用語をある程度押さえた受験生や歴史好きの受験生に向いている参考書です。

というのも、第一にテーマによってはかなり深い内容だからです。恐らくある程度勉強した受験生でも、フランス革命、ビスマルク外交、ロシア革命、ナチス政権、中国革命史はかなりのボリュームで読み応えがある反面、大きな流れを理解するのに苦労するからです。

もちろん、逆に言えば早稲田・慶應を狙う受験生の皆さんにとっては、大いに役に立つと言えるでしょう。

また、青木先生直筆の重要人物の似顔絵につけられたコメントは印象に残りやすく、単純暗記にはない面白さを兼ね備えています。

なお、よく受験生の間で話題になりますが、山川から出ているナビゲーターと比較すると、覚え方にオリジナリティがあり(中国の王朝名や遊牧民族など)、雑談も交えて臨場感たっぷりで読み進めやすいのですが、雑談とメインストーリーとのメリハリの点ではナビゲーターの方が整理されていると言えるでしょう



genio
先生のブログ→  『入試に出る!時事ネタ日記 



急な、お願いでしたので、細部にわたって紹介はできませんでしたが、他の科目でも、こうした参考書等の書評が、ブログをお読みいただいている方にも有益であれば、他の先生にもお願いして、参考書関連の記事をUPしてみたいと思っております。


http://tokkun.net/jump.htm 


『 NEW 青木世界史B 講義の実況中継 (1)ー(4)』 青木裕司
語学春秋社:356P(1):1155円


本記事のような、参考書紹介ものも良いという方は、恐れ入りますが、クリックしていただけるでしょうか。こちらでランキングの投票数などから、解析をしてみたいと存じます。よろしくお願いします。

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NEW青木世界史B講義の実況中継 (1)

語学春秋社

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『プーチニズム-報道されないロシアの現実』 アンナ・ポリトコフスカヤ(著) 鍛原多恵子(訳)

2006年10月26日 | 外国関連

putinizm.jpg

日ソ国交回復50年という、記念すべき年なのですが、最近のロシアは変ですね。日本漁船に対する銃撃での船員射殺や、日本の商社が参加している“サハリン2”に対する突然の業務停止命令。

ロシア国内ではチェチェン人だけでなく、外国人の殺害が相次いでいるという報道がありますし、極東のダルネゴルスク市長選挙の候補者が暗殺され、市長選が延期になりました。

そして、何と言っても、本書の著者、アンナ・ポリトコフスカヤ氏が殺害されたことです。


アメリカのライス国務長官は、先日ロシアを訪れた際に、プーチン大統領との会談で、わざわざ彼女のことに言及し、その遺族と面会までしています。こうした批判が世界中から浴びせられることを覚悟で、権力側が、著名なジャーナリストを抹殺したのでしょうから、国内批判勢力に対する見せしめでしょう。それにしてもひどい…。

沖縄サミットで見せた、子ども相手に柔道の稽古をするプーチンの姿に、新しいロシアの指導者像、民主主義時代の到来を感じた人も多いでしょうが、(その前のエリツィンは酔っ払い、人相も良さそうではなかったし…<失礼>)とんでもない。古いソビエト、スターリン時代へ逆行しています。
 

プーチン 柔道.jpg

 
では、ポリトコフスカヤ氏は本書で、何を訴えていたのかと言えば、まさに、プーチン独裁体制に対する批判です。政府だけではなく、司法やマスコミにいたるまで、かつて所属していたKGBの手法プラス、大統領の権限を駆使し、すべてを思うままに操っています。

北朝鮮も独裁体制ですが、少なくとも経済的に困窮していますし、国連の場での糾弾などで、暴発の可能性は指摘されるものの、何をするにも制約があります。

ロシアは違います。石油や天然ガスなど豊富な資源と、このところの価格高騰で資金はふんだんにありそうですし、国連安全保障理事会で拒否権を使える超大国ですから。 疲弊していたロシア経済のゆがんだ復興が、為政者に大きな自信を与えてしまっているかのように感じます。


政治資金をめぐる争いも描かれています。街のチンピラが、その地区の裁判所や政治家を金と脅しで思い通りに動かし、他人の企業をいともたやすく乗っ取ってしまい、敵対するマフィアを叩き潰し、最後は政権中枢部に強い発言権を持つようになるさまなど、克明に記されています。

チェチェンの武装集団による、モスクワ劇場占拠事件もご記憶でしょう。学校全体を人質にするという前代未聞の事件もありました。チェチェン人はひどいことをするもんだと思いましたし、いずれもプーチンのすばやく、勇敢な解決策に、テロには絶対に屈しないという強靭な正義感と、卓越した指導力だと感心しましたが、勘違い。

彼らは人質の命など、何とも思っていなかった。おそれるのは、事件によって自らの政治的な発言力、権威が失墜することのみ。本書では、豊富な取材と証言によって、驚愕の事実(このフレーズ使いましたね)、戦慄の陰謀、恐怖政治の実態が暴かれています。


半分ほど読んだだけでため息がもれ、まだこれ以上書くことがあるのかと思ったほどです。『パウロを殺せ』 で描写されているコロンビアも、マフィアの跳梁跋扈がひどいのですが、一応、悪は悪として認識されています。

ところが北朝鮮や本書で描かれるロシアは、政権そのものが犯罪組織、秘密警察です。またまたジョージオーウェルの『動物農場』や『1984年』を彷彿させます。仮に北朝鮮の政権が平和裏に倒れたとしても、ロシアの現体制が残ったのでは、世界に対する危険度は比べ物になりません。


今は亡き筆者の勇気をたたえ、冥福を祈ります。その筆者が凶弾に倒れてしまったことは、本書が真実であることの何よりのあかしですし、驚天動地というのを通り越して絶望感さえあたえる、そんな一冊でした。


 http://tokkun.net/jump.htm 


『プーチニズム-報道されないロシアの現実』 アンナ・ポリトコフスカヤ(著) 鍛原多恵子(訳)
NHK出版:397P:2205円




P.S.(1) 国境なき記者団というのをご存知でしょうか。長くなりますので、説明は省きますが、毎年、世界報道自由ランキングを発表しています。英語で恐縮ですが、ご覧下さい。
 
      → 世界報道自由ランキング

168カ国をランキングしており、最下位はもちろん北朝鮮ですが、ロシアも147位と、記者の取材活動が、制限されているのがわかります。今回の事件で来年はかなり下げるでしょう。中国も163位とひどいですね。

ちなみに日本は、昨年より14も落として、51位だそうです。大きく下げた理由は、悪名高い、記者クラブ制度があるために海外メディアが情報にアクセスできないことと、富田メモに関して、右翼が日経新聞に火炎瓶を置いていったことだそうです。 韓国の31位にも劣っていますから、ホントかな?という気はしますが、記者クラブは早く廃止した方が良いですね、きっと。


P.S.(2) 受験生諸君は、時事の基本を確認!→『試験に出る!時事ネタ日記!

プーチニズム 報道されないロシアの現実

NHK出版

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コビトカバ (世界四大珍獣) 【上野動物園】

2006年10月25日 | Pictures


コビトカバ2.jpg


ご存知でしたか? コビトカバ。 生きた化石、世界四大珍獣の一つです。

上野動物園にいるんです。英語名は 【 Pygmy Hippopotamus 】、ピグミーなんですね。

普通のカバが体重2~4トン(4000キロ)で、こちらは、たった200キロ前後だそうです。

キュート!


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『PAY DAY!!!』 山田詠美

2006年10月25日 | 小説
 

payday2.jpg



大学入試でも、話題になる山田詠美さんの一作です。他の作品も良いのですが、25日じゃないですか! Payday

本書では、アメリカの一家庭を描きます。

男女の双子の親である夫婦が離婚をします。高校教師である夫は息子と一緒に生まれ故郷の田舎に帰り、キャリアウーマンである母親の方は、娘と大都会ニューヨークに残ります。

ところが、その一年後、9.11のテロがあり、母親は亡くなってしまい、取り残されてしまった娘は、結局ニューヨークを離れ、父親の田舎で住むことになります。

アメリカの南部で、再び同居する兄妹、湾岸戦争帰還後アル中になってしまったおじ、新しい伴侶を静かに求める父、信心深く、暖かいおばあちゃん。母親抜きの5人家族が、時に、互いをわずらわしく思いながらも、支えあって生きていることを確認していきます。

きれいごとだけで人間は生きられない、傷や秘密を持ちながらその相手を認め合うようになる情景が、子供の成長と一緒に美しく描かれています。

アメリカ南部という雰囲気がよく出た作品だと思いますが、山田氏とテロとか、アメリカというところに、やや違和感を持ちました。 文体自体もアメリカの小説スタイルのように感じます。はじめ英語で書いてから訳したのか、(だから前作から7年もたった?)または誰かの作品を山田氏が翻訳しているのじゃないかと何度か確かめたほどです。

そうでないなら、英訳されるのが前提に書かれているような印象を持ちましたが、ひょっとしたら読み方が足らないのかな?少し前に読んだ、『ラブリーボーン』アリス・シーボルト著に、雰囲気が似ていて、そう感じたのかもしれません。どこかに筆者のインタビューでもあればいいのに…


良い作品だと思いますし、生徒たちにも自信をもって薦められる一冊ですが、他の作品とはちょっと違う気がして、山田詠美ファンが本書をどう読んだのか気になります。

http://tokkun.net/jump.htm 

PAY DAY!!!

新潮社

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PAY DAY!!!

新潮社

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こちらは文庫の表紙。イカしたイラストですね。
新潮社:310P:1575円    


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『宿命-「よど号」亡命者たちの秘密工作』 高沢皓司

2006年10月24日 | ノンフィクション


syukumei.jpg


ある北朝鮮専門家が『北朝鮮関連の中でとにかく最高に面白い』と絶賛していた本をご紹介します。そのとおり、臨場感あふれる、読み応えのある一冊で、以前ご紹介した、『北朝鮮に消えた友と私の物語』に勝るとも劣らぬ一冊、双璧だと思っております。

講談社ノンフィクション賞を受賞し、ある雑誌の編集長は「これこそが本当のドキュメンタリーだ」と言って、社員に配って読ませたそうです。

1970年、日本赤軍の9名が日本航空機ボーイング727“よど号”をハイジャックし、北朝鮮へ向かいました。本書はその事件の経緯から、その後の犯人たちの北朝鮮での生活を実に丹念に追ったものです。

いくつも驚愕の事実が見えて来ます。(週刊誌風ですね、でもそう表現したくなる内容です) 彼らが北朝鮮へ着き、そこでの生活や待遇、洗脳のされ方、そして、日本に対する工作へ協力し、拉致にまでかかわるようになる様子などなど。きっと拉致された方々の状況もこれに近いのかなという気がします。そういえば彼らの娘たちは、堂々と日本に来ましたね。



著者は北朝鮮に出向き、よど号ハイジャック犯のリーダー田宮高麿と何度も会ううちに、友情とも同情ともいえる、ある種の共感を持つにいたります。

一方、北朝鮮では当時、日本では全く想像を絶するような計画が実行に移されていました。そこでも田宮は中心的な役割を演じ、金日成の絶対的信任を得ているわけです。

ゆえに筆者に対しても、明らかなうそ、北朝鮮のすばらしさを宣伝をするのですが、度重なる筆者との接触の中で、徐々にマインドコントロールが解かれ、著者には隠しきれない田宮氏の本音が読み取れるようになります。

かつての世界革命の旗手として日本中を騒がせた若者は疲れ果て、とうとう「日本に帰りたくても何もできない」旨を語るようになるのですが、もしそれが、北朝鮮当局に知られてしまったら、即、死を意味します。そして実際、彼は謎の急死をしてしまいます。


他のメンバーとその妻たちは有本さん拉致にかかわっていることはわかっているのですが、妻たちの中にも拉致同然に連れて来られた人物もおり、その一人一人を慎重に分析し、世界中を駆け回って情報を集め、ありとあらゆる彼らのうそ、謀略を暴き出しています。この取材の丹念さ、執念はすごいです。

本書は小泉訪朝(2002年)で拉致問題がクローズアップされる前(2000年)に出版されているわけですから、すでにかなりの証拠が一ジャーナリストの手にあったことがわかります。

金正日、金日成は本気で日本の「北朝鮮化」を画策しており、そのためには手段を選びません。対日工作は多岐に渡ります。 それに乗せられたマスコミ、政治家、知識人が日本に溢れていることを思うと背筋が寒くなります。

拉致被害者がいったい何人いるのかわかりませんが、彼らを北朝鮮から取り返せば、その口からさらなる驚愕の事実が次々に語られることは間違いないと確信しました。 



http://tokkun.net/jump.htm 

宿命―「よど号」亡命者たちの秘密工作

新潮社

詳  細


『宿命-「よど号」亡命者たちの秘密工作』高沢皓司
新潮文庫:685P:900円 



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P.S.
 どういうわけか、よど号ハイジャック事件や浅間山荘事件イスラエル・ロッド空港襲撃事件は入試には出ないんですよね。知らない人も増えました。北朝鮮といえば、不審船のイメージがあるためか、当教室の川柳で数年前、『よど号は ずっと船だと 思ってた』という川柳まで…。助けて~。

『青い月のバラード―獄中結婚から永訣まで』 加藤登紀子

2006年10月23日 | エッセイ
 

Aoituki2.jpg


昨日の記事 『日本共産党』にいただいたコメントに触発され、本書を取り上げてみます。

世代論は同じ時代に生まれた人々をひとくくりにしてしまうため、本質的な議論ではないという人も多いですし、結論や合意を得るのが容易ではありません。


例えば、我々が大学生の頃、新人類と呼ばれました。今、Wikipedia で調べてみますと、新人類の旗手と呼ばれている人々として、秋元康尾崎豊双羽黒光司石橋貴明、の各氏だそうです。

“お前はこれらと同じくくり”、と言われると、確かに『ちょっと待って、僕は違う!』と言いたくなります(笑)。あまり好きな人じゃないんです。選んだ人の“新人類”に対する悪意を感じます(笑)。


ただ、確かに指摘されると何となく時代の雰囲気が思い出されます。 そういうわけで、自分ではくくりを拒否するくせに、他の世代を理解しようとすると、くくりたくなるんですね。


本書の著者、加藤登紀子氏の夫は元学生運動のリーダー、全学連委員長の藤本氏です。新人類の上の世代ですね。その夫との出会いから永別までを加藤氏が赤裸々に語っています。

人気歌手であった加藤氏が、学生集会へのイベントとして参加を請われたのが最初の出会い。藤本氏は学生集会やデモで投石や乱闘をし、逮捕されてしまうものの、意を決して獄中結婚。時代の変化で、徐々に学生運動が下火になるものの、出所後さまざまな形での闘争を仕掛ける夫。


いちご白書をもう一度』、などが読んでいて思い出されます。戦い続け、家庭を顧みない夫で、片や芸能人、何度も離婚の危機を迎えますが、時に冷却期間をおき、時に徹底して話し合い、時代を経ながら、年を取りつつ絆が深まっていきます。 

藤本氏はやがて農業に生きがいを見出し、日本の農業を変えようとその後も精力的な運動を続け、忍び寄る病をものともせず、最後には参議院議員にまで立候補します。読む前の予想と異なり、藤本氏の詳しい思想変遷などは書かれていませんでしたが、“権力と戦う”ことにとりつかれているようです。


「農的幸福論」という思想を抱き、ガンにおかされても戦いをやめないのですが、最後に力尽き、病室で孫と再会した直後、「もういいだろう」という言葉を残して永眠します。大きな目標を掲げ、死の間際まで闘争し続けた一人の男のドラマでした。


読む前の、世代を感じるという目的とは、だいぶ違った読書になってしまいましたが、最後は実に感動的でした。


http://tokkun.net/jump.htm 


『青い月のバラード―獄中結婚から永訣まで』加藤登紀子
小学館:239P:1365円



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青い月のバラード―獄中結婚から永訣まで

小学館

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