朝日新聞に 「百年読書会」 という企画があります。作家の重松清氏がナビゲーター役になって、読者からの感想文などを紹介してくれます。太宰治の 「斜陽」 から始まり、月に一冊のペースで名作を取り上げます。
ネットでも読めますし、楽しみにしていましたが、3月が最後だそうです。残念!そして、そこで取り上げられているのが、本書です。
これも一度取り上げた記事ですが、よろしければ、お読み下さい。
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南大門 (崇礼門) という韓国の国宝1号が放火によって消失、崩壊するという事件が起きました。ソウルのシンボルであり、歴史的にも日本とつながりがある建造物だそうですから、それがなくなってしまうというの大変残念なことです。
そういえば、以前にアフガニスタンのバーミヤン遺跡がタリバンによって破壊されたという報道もありましたね。変わり果ててしまった映像を見て、唖然としたものです。特定の政治勢力や宗教を越えた、人類共通というか世界遺産的な価値があると思うだけに悔やまれます。
南大門は韓国最古の木造建築。朝鮮王朝時代に建てられたという国を代表する文化財だそうですから、日本でいえば、金閣寺や法隆寺が放火であっという間になくなってしまうというようなことでしょうか。その衝撃は計り知れないほどでしょう。
実際に日本でも1950年に、国宝の金閣寺が見習いの僧侶によって放火、焼失しており、それを題材にした小説が本書。言わずと知れた名作ですが、今回の事件で取り上げたいと思いました。
(金閣寺放火事件)
かなり以前に、ある国語の先生から「描写、組立が完璧」 と薦められて読んだ本書ですが、確かに私も圧倒されました。実際に起きた事件をどの程度取材しているのかはわかりませんが、哲学的な論理で見事に 「ゆがんだ心」 を表現しています。
それにしてもこの豊かな言葉はどこから出てくるのでしょうか。三島由紀夫はノーベル賞候補にも挙がったという世界レベルの作家ですから、枯れることのない表現力があるのは当然でしょうが、読んでいてため息が出るほどでした。
心理描写だけでなく、金閣寺が迫ってくるのか、金閣に対して迫るのか、緊迫した言葉の連続と、緻密な文章が印象的でした。
実際には読んでいる途中、「ここまで書かれると、饒舌すぎるのではないか」、平たく言えば、くどいのではないかとも感じましたが、最後に付いている解説を読んで納得しました。こう書いてありました。
「文章の厳しい節度が、何より主人公にたいする作者の批判であると同時に、主人公の肉体が、作者の豊穣すぎる言語映像に、適切な制約として働き、これをつねに或る貧寒と惨めさを伴う現実に止めていることを、読者は自然に感得します」
私は自然に感得できなくて、ちょっと残念(笑)。なるほどなぁ~と…。
連続放火魔逮捕などという事件の折に、“火を見て興奮した” という供述が出されますが、確かに、火というものは人間を穏やかならぬ心境にさせるのでしょうね。
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今日の金閣寺ライブ映像です。
P.S. 実は、数年前のクリスマスイブの夜10時ごろ、自宅マンションの隣の部屋で火事が発生。警報機が鳴り続け、マンションの住人は部屋から飛び出し、近所の人々が集まり、消防車が何台も駆けつけるという大騒ぎがありました。
その時、たまたま翌日からの冬期講習に備えて早く寝ていた私は、妻に「大変、起きて、火事よ火事!」 と言われ、隣の家のお子さんの 「火事です。誰か助けて下さい」 という繰り返し叫ぶ大声に起こされ、寝ぼけたまま消火器を持ってお隣に上がりこみ、キッチンで燃えていた鍋やフライパンを消火した経験があります。消防署から感謝状までいただいたんですよ。
実際には、大きな火事にならずに済んだのですが、いまだにその時の炎と、立ち込める煙の向こうで点滅していたクリスマスツリーを忘れられません。その時は夢中でしたが、あとで考えると “怖かった…”。
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「ムシャクシャして」だったら許し難い、のは勿論ですが、おっしゃるように金閣寺や法隆寺に火をつけることに匹敵する程の事。何がそうさせたのか、単なる無知、とも思えず複雑です。
金閣寺の事件では、犯人は自殺未遂、犯人の母親が自殺しています。今回の事件が小説になるなどということがあるのでしょうかね。不謹慎かな?
でも、でも「描写、組立が完璧」と言われる作品を死ぬまでには読んでおかなきゃいけませんね。
息子の入試が終わってからというもの、な~んか気が抜けちゃて、何もする気が起きず、受験勉強中は何かと忙しく読書もできなかったので、終わったら読書をしようと思っていたのに、本当に魂が抜けたような状態になってしまい、所謂燃え尽き症候群?受験生本人ではなくて、親がなっちゃうもんなんですかね~。
下の子を兄と同じ学校に送り込むことは至難の業・・・、再来年あたりからまた忙しくなりそうなので、やはり今のうちに心を入れ替えて、まずはこの「金閣寺」から読みます!
ところで…、受験本当にお疲れ様でした。お兄ちゃんは確かに立派すぎるくらいの成績でしたが、下のお子さんもかなりのもんでしょう。少し先の話ですが、私の期待は大ですよ!マジで。頑張りますよ!
こちらの教室でも、中学受験を終えた子どもたちに今日から英語のアルファベットの授業を始めたところなんです。どこまででも伸びそうで楽しみです。
今朝市川監督の訃報を新聞記事で見て、「金閣寺」は正にタイムリーなことなのだなと思いました。
映画「炎上」は原作に忠実でありませんが、細君和田夏十の脚本は
象徴としての金閣寺に集約されてゆく、主人公の苦悩や葛藤の様子の描かれ方に作家の温度が感じられるようです。
先生の忙しさもいよいよ佳境といったところでしょうか?
ひどい雪の日が続くようです、お身体ご自愛下さい。
まずは私立高校合格おめでとうございます。一安心じゃないですか。実は私の甥も同じ愛知県で同じ状況下なんですよ。本番はここからですよね。Fight!
そうですか、娘さん情緒不安定ですか。親ごさんとしてのHIRO。さんのブログを拝見していて、HIRO。さんご一家はどこから見ても大丈夫なご家庭ですし…。(むしろ理想的!)
私が直接娘さんを知っていれば「○○注意して、こうして下さい」と具体的に言えるのですが…。
親に対するアドバイス、困ったなぁ~。
あくまで一般的にという意味ですが…、例えば、
最近、ちょっといらついている、というくらいなら我慢してあげましょう。彼女にとっては、自分の人生が変わってしまうという大一番を控えているのですから。
(お父さんは、“オレは日々、人生を戦っている”とか、“受験などしょせん誰でもいつかは通り道なのだ”いうのは、子供には頭で理解はできても知覚できない段階ですよね(笑))
ただし、それが家族にあたり散らしているというレベルにまでエスカレートしているとすれば、きちんと叱るべきですね。
我が家の受験の折も一度だけ、秋口だったと思いますが、普段は仲の良い家内と息子が言い合っているのを聞いて、子供の方に
「つまらないことで家がごたごたするくらいなら、受験なんかすぐにやめなさい。行く学校はいくらでもある」
としっかり目を見て、叱った覚えがありますし、時々塾生にも言う言葉です。中学・高校・大学受験生では言い方は全く違いますが、基本線はそこではないかと思います。
注意するのは、そのイライラの原因が受験そのものに対する不安というより、それに伴う友人関係や学校の先生にある場合が多いのです。
それに思い当たるふしがあれば、徹底的に探し出すか、成長の過程だと見て見ぬフリをするのか、ケースバイケースではないでしょうか。
少しでも、参考になると良いのですが。HIRO。さんちなら大丈夫でしょう。
私は映画は詳しくないのですが、市川氏の訃報も残念でなりません。日本映画界の象徴、宝のような方ですよね。映画の「炎上」Wikiで調べたら、
「三島由紀夫の原作は主人公の内面に迫る、あまりにも完成度の高い作品だったため、市川は原作の脚色は無理と判断。そこで三島から創作ノートを借りて、これをもとに和田夏十にオリジナル脚本『炎上』を新たに書き上げさせた。」
とありました。見てみたいです。
暖かいお言葉ありがとうございます。そういえば今日最後の最後になって、buckyさんのお子さんの親友が第一志望に合格しました。
これで当教室の生徒は、数は少ないのですが、小6は全員第一志望合格を果たすことができました。ここからは公立高校と私立大学難関校、国公立大学ですね。
気が抜けません。
sadaさん、コメントありがとうございました。またぜひお立ち寄り下さい。
時局がらたいへんですね。ご苦労様です。小生身内でも防衛大医学部キャンセル生難関学を再挑戦するみたいですが、家庭の経済的観点から国立一本槍らしいですが、入試はどうなっているのか小生のほうは全く分かりません。本人より、やはり母親がクシャクシャしているみたいですね。あっ!ランキングWクリックします。T・Bもしました。
それにしても、防衛医大キャンセル!とはこれまた、すごい!ひょっとしたら、以前、教えていただいた開成高校のおいっこさんというのが彼でしょうか。
もしそうだとしたら、実は実は、私の今年の教え子にも、開成高校の3年生がおりまして、東大志望です。ひょっとしてひょっとしたら、クラスメートとという可能性がありますね!
ちょっと聞いてみます。
あっ、先輩TBして下さいよ。
コメント本当にありがとうございます。深謝