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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『小泉純一郎最後の賭け』 大下英治

2006年06月30日 | 政治・経済・外交

小泉首相は、いろいろなところへ卒業旅行に出かけたわけですが、国民は、のちの歴史家はこの5年に及ぶ政権をどう評価するのか非常に興味があります。

良くも、悪くも大きな話題がいくつもありました。思いつくままに挙げてみても、

■ 北朝鮮に拉致を認めさせた
■ 自衛隊を海外に派兵
■ 郵政・道路公団の民営化
■ 靖国参拝を続けた
■ 旧橋本派など派閥を徹底的に破壊
■ 不良債権の処理
■ 郵政解散で総選挙の大勝

さらにキーワードだけだと、小さな政府、日米蜜月、抵抗勢力、格差社会、変人、パフォーマンス、骨太、構造改革、小泉チルドレン、などでしょうかね。(大きいものが抜けていたらご指摘を)
野党も、社民党や共産党がますます弱体化し、自由党、民主党が一緒になったり、かなり動きました。

本書は三年ほど前に出たものです。小泉首相と山崎元自民党幹事長、そして加藤紘一氏のYKK、中でも小泉、加藤の両氏を中心に描いた政界ドキュメンタリーです。それぞれの生い立ちから、小泉政権誕生の舞台裏など側近や家族、親戚などを丹念に取材して書かれています。

YKKにとって節目となる出来事、協和献金問題や山崎派旗揚げ、森首相に対する加藤(山崎)の乱、それぞれの大臣就任、そして加藤氏の秘書逮捕から議員辞職、その時々の会話などが詳細に生々しく描かれています。

全体を通して3人の描かれ方の印象は、
■加藤氏:政界有数の実力、人望もありながら、脇が甘い。天下取りをあせって墓穴を掘った。
■小泉氏:信念を曲げないことが良くも悪くも特徴である。政治的センスは天才的で、決断力も抜群にあるが、首相として必要な世界観や経済知識はあやしい。
■山崎氏:能力はともかく人を裏切らない。

450ページにも及ぶ大作ですが、好悪は別にして小泉政治に関心のある方なら、実に多くののエピソードや周りの証言、回想などが織り込まれていて、どんどん読めてしまうのではないでしょうか。大下氏の著作はどれを読んでも読みやすく、政治家が身近に感じられるものばかりです。


http://tokkun.net/jump.htm

小泉純一郎最後の賭け

河出書房新社

詳  細



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★入試に出題された本・No.2 ★

2006年06月29日 | 受験関連書籍

前回の 『入試に出題された本』 また、『教育に関する本』 の特集に関しまして、さまざまなご意見、ご質問などをいただきました。もっと紹介して欲しいとのご要望がありましたので、とりあえず当教室の講師陣が注目した書籍、5冊を追加いたします。



その日のまえに』 重松清著 (文藝春秋 1500円)
★芝中学・筑波大附属中学など出題★

その日のまえに



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重松氏の本は中学入試に毎年のように出題されている。しかし本書が出題されるとは・・・というのが率直な感想である。その内容は生と死をテーマにした、短編から成っており主人公も大人が中心なのである。泣けるという評判の本書であるが、意図的に泣かせようとする感じはなく、淡々と死をテーマに日常を書き綴ったもので、それだけに好感が持てる。また短編それぞれが独立しているように思われるが、実はカラクリがあり、凝っている。親子で読んで、感想を語り合うには最高の一冊だと思う。


希望格差社会』 山田昌弘著 (筑摩書房 1945円)
★北海道大学法学部出題★ 
  
希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く



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日々の勉強、仕事、暮らしに追われていると、社会を俯瞰するということがなおざりになってしまいます。親の所得格差が子どもの教育に重大な影響を与えることをデータで示した苅谷剛氏、ベストセラー『下流社会』を著した三浦展氏などのおかげで格差というものにかなり注目が集まるようになって来ました。山田氏はより広範にデータを収集し、格差の正体は『お金』ではなく『希望』であること、さらにその対処法を提言します。気鋭の社会学者が、ニューエコノミーの時代に何が起こっているのかを鋭く分析した一冊です。来年もこのテーマは必ずどこかで出題されます。


取材学』 加藤秀俊著 (中公新書 660円)
★慶応大学法学部出題★ 
 
 取材学.jpg 取材学―探求の技法



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  本書は1975年に初版が出ていますが、内容は極めて新しく、情報教育=メディア・リテラシーを意図して書かれています。慶応大学法学部で出題されたものの、一部小学生対象の教材に使われるなど、どの年齢の方が読まれても参考になると思います。特に大学生がレポートを書く際には入門書として使えるでしょう。大学の授業はつまらないなどとぼやく前に本書を読めば、「先生の使い方」が一発で分かります。


女子マラソン』 宇佐美彰朗著 (ちくまプリマーブックス1155円)
★鴎友学園女子中学出題★ 
   
女子マラソン―どうして強くなったのか



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女子マラソンの世界記録は2時間15分25秒です。日本人では野口みずき選手、高橋尚子選手が2時間19分台の記録をもっています。一昔前まではそれほど強くなかった女子マラソンが、最近は選手層が厚くオリンピック選考レースはどの大会も本番並みの激戦です。この本ではこれだけ記録が伸びた理由を中心に、マラソン選手が走っている間、いったいどういうことを考えながら走っているかということも書かれています。マラソン選手には小柄な選手が多く、どこに42.195kmも走るパワーがあるのかと思わされますが、本書を読めばわかります。


Jポップとは何か』 烏賀陽弘道著 (岩波新書 780円)
★中央大学経済学部出題★ 
 
Jポップとは何か―巨大化する音楽産業



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  バブル景気の最盛期である88年末から89年当時、邦楽を一切かけることが無かったFMラジオのJ-waveにおいて、邦楽をかける際に「Jポップ」という名前が生まれました。そもそも「Jポップ」とは単純な音楽ムーブメントではなく、レコード会社が販売促進を目的とするキャッチコピーとしての「ジャンル名」、あるいは購買動機となる価値を持たせた「ブランド名」として生み出されたものでした。このJポップの成長に絡むレコード会社、放送局、一般企業の戦略や、メディア、再生装置などの技術革新による音楽の視聴方法の変化など、ただ、音楽文化の変化を紹介するのではなく、その時代の社会や経済の動向が記されています。ポピュラーな固有名詞が多く出てくるため、社会、経済には疎い生徒でも非常に興味深く読み進めることができます。


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『ジーコ セレソンに自由を』 増島みどり

2006年06月28日 | サッカー関連
 
日本サッカー界では、すでに4年後に向けて、新監督“オシム”という名前があがっています。結果がすべての世界ですから、期待を裏切ったジーコ監督の評価が低いのは仕方ないですね。中田選手は、試合終了後寝転がっていたのが、かなり批判もされてしまいました。

ジーコが現鹿島アントラーズ、かつての住友金属に入団したのが1990年ですから、日本に来てもう16年。どれほどジーコが親日家かということは、こちらに出ています。⇒ジーコ(wikipedia)

本書はジーコの監督就任時から、筆者が節目節目におこなったジーコへのインタビューと、最後には、川渕キャプテン、中田選手のジーコに関するインタビューが収録されています。題にある 『セレソン』、これはポルトガル語で国の“代表選手”のことだそうです。

鹿島時代に手取り足取り選手を指導していたはずのジーコが、代表監督になると、細かい指示をせず、選手は戸惑ったそうです。ジーコにとって選ばれしセレソンとはそういうもの。自己管理を完璧にして、国のために戦うのだと。セレソンに対する敬意がそのまま、日本代表選手に対する指導方法に表れているのがわかります。

トルシエが選手に体をぶつけ、怒鳴り散らし、彼らを一人前扱いしなかったのとは対照的です。トルシエが海外のマスコミに流した、中田に対するコメントです。

『ジダンはサッカーを心から愛している。公園でもし出会ってサッカーをやろうと誘えば、すぐに何時間だって楽しむだろう。しかし中田は違う。もし中田に公園でサッカーをやろうと誘ったら、彼はまずマネージメント会社に電話するはずだ。いくらでやっていいですかと』

筆者はここらあたりが、中田に代表辞退を決意させた遠因ではないかと推察します。トルシエは、“リーダーはいらない”と、他の選手にも厳しい人格批判を浴びせました。以前『山本昌邦備忘録』でも紹介しました。

ジーコは選手を信じきっています。自分の選手を見る目にも自信を持っていますから、少しのミスでは選手を入れ替えません。見ていてイライラするほど、同じ選手にこだわりますよね。選手は自分を信頼してくれたジーコのために勝ちたいと思っているようですが…。

本書を読むまでは、ジーコと長島元巨人監督がダブりました。つまり名選手、必ずしも名監督にあらずのような。長島氏は圧倒的なファンの支持がありながら、なかなか結果が出せませんでしたが、采配に対して激しい批判は聞かれませんでしたね。マスコミも含めて。取り上げられるときも、監督としての能力よりもキャラクター。個人的に長島は大好きでしたが、監督としてはやはり…。彼の言葉はディフィカルトで、イージーにアンダスタンドできませんでした(笑)。

ジーコは違います。サッカーや日本代表に対する考えは明確に述べられています。中田選手ははっきりジーコで無ければ代表辞退を明言していました。自分を殺して戦うトルシエ式のサッカーはできないと。セレソンを最大限尊重するジーコの考え方と、中田のサッカー観は似ているわけです。

中田はジーコを完全に信頼していますが、トルシエ式のディフェンスも、日本にあっていると高く評価していて、それをかえてしまったのは、残念だとも語っています。結果、残念なことにジーコの理想に近いパフォーマンスをするには、中田以外は、力も経験も足りなかったのだなという印象を受けます。

ワールドカップの結果がわかってしまった今、本書を読むのは何とも悲しいですね。とにかく、ジーコは金銭抜きでも日本のサッカーに貢献したかった。ジーコのためにも勝たせたかったなぁ、と強く思ったしだいです。


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ジーコ セレソンに自由を

講談社

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『ジーコ セレソンに自由を』 増島みどり
講談社:270P:1785円


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『片手の音  ’05版ベスト・エッセイ集』 日本エッセイスト・クラブ

2006年06月27日 | エッセイ
  
すばらしいニュースです。私のブログで “湖の騎士” というニックネームで拙文にコメントを下さる、廣淵升彦先生。先生のエッセイ 『脱皮するカニ』 が、日本エッセイストクラブが選ぶ、2006年度のベスト・エッセイのひとつに選出されました!

心よりお祝い申し上げます。

廣淵先生は現在、“国際ジャーナリスト”という肩書きですが、テレビ朝日ニューヨーク・ロンドン支局長、テレビキャスター、大学教授、横須賀市教育委員長などを歴任されました。こうして先生の作品が、ベスト・エッセイに選ばれたのは、“3年連続5回目”のことです。イギリスのチャールズ皇太子にもインタビューしていらっしゃいます。

詳しくは先生のブログ、
 【 Masuhiko Hirobuchi - View of the World 】 をご覧ください。

さて、このベスト・エッセイというシリーズですが、日本エッセイストクラブが、毎年5月、前年度に発表されたエッセイの中から約60編を「ベスト・エッセイ」 として選出しています。そしてその作品を集め、毎年8月に、一冊の本として刊行します。

従いまして、廣淵先生の 『脱皮するカニ』 が収録される‘06年版が出版されるのは、2ヶ月後です。(発売前ですが、先生に許可をいただいて、リンクを貼らせていただきました。ぜひお読み下さい)

今日はお祝いをかね、昨年度のベスト・エッセイ集である本書をご紹介します。ここに収録されている廣淵先生のエッセイは 『禁酒の国の赤ワイン』です。


■■■■■■■ ご紹介 ■■■■■■■

世界が恐れる独裁的なテロリストであり、敬虔なイスラム信徒ともされる、カダフィー大佐との会見のために訪れたリビア。

酒が厳禁されているはずのリビアのレストランで“赤ワインがある” とウエイターにもちかけられたエピソードを元に、厳しい戒律の中でも育まれる文化、たくましく生きる人々のユーモアやウィットを紹介します。

そして、アメリカと戦うことさえいとわない、“狂犬”カダフィー大佐との緊迫した単独会見の場面へ。

限られた時間の中で、カダフィーの本質に迫るため、核心を付く、ストレートな質問を発する国際ジャーナリスト、Mr. Hirobuchi、大佐の逆鱗に触れないか、身の危険はと心配し、戸惑い恐れる老通訳、はぐらかすカダフィー。読み応えがあります。

さすがに迫真の筆、珠玉のエッセイと申せましょう(先生は、レーガン元米大統領やポールマッカートニーとも単独会見をされています)。読者に、マスコミの流す表面的な情報を鵜呑みにしてしまう危うさにも、それとなく警鐘を鳴らします。

稚拙なご紹介で、かえって先生のエッセーの品性を落としてしまうと申し訳ないので、ここでやめておきますが。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

他の方々のエッセイもすばらしい。それもそのはずで、収録されているのは、堺屋太一、藤原正彦、山藤章二、夏樹静子、佐藤愛子、紺野美沙子、泉麻人、玄侑宗久、日高敏隆の各氏を含め、きら星のごとく、60名の日本を代表するような名文家、知性が並んでいるのですから。

取り上げるテーマはまさに千差万別ですが、どれをとっても、その信じられないほどの感受性や、深い洞察力に豊かな教養が、最高の表現力でもって目の前に現れます。一冊の中に、無限の広がりのある宇宙が存在するかのようです。

さしでがましいようですが、私はぜひ本書を翻訳し、諸外国の日本語学科などにどんどん配ったらどうかと思います。日本の経済だけでなく、教養人のレベルの高さ、文化の奥深さをアピールするのに最高のテキストではないかと思うのです。この時代の日本人が何を考えているのかという、歴史的な文学史的資料としても大変価値のあるものだと思うのですが、いかがでしょうか。

廣淵先生、これからもますますのご活躍、祈念しております。


また、そもそも廣淵先生のような高名な方に、拙ブログをご紹介いただいた、tiakujoさま、本当にありがとうございました。この場でお礼申し上げます。


片手の音 ’05年版ベスト・エッセイ集

文藝春秋

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『片手の音  ’05版ベスト・エッセイ集』 日本エッセイスト・クラブ
文藝春秋:277P:1600円


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『世界は腹黒い』高山正之

2006年06月26日 | 外国関連
   
お人よしで、“平和ボケ” と批判される日本人に知らせたい、世間あるいは権力の裏を指摘している本とでも言えば良いのでしょうか。

いつもコメント下さる福禄太郎さんが、またまた偶然同じ本を読まれており、また、三億円事件を題材にした映画 『初恋』 で、事件の犯人は女子高生!?と聞き、えっ、その前に、ぜひ本書を、ということで紹介します。

もうすでに40年近く前のことになりますが、三億円事件というのが東京・府中でありました。日本史上、最高額の強盗事件でした。どれほどの衝撃だったかを今の30歳以下の人に説明するのは難しいのですが、上で申しましたように、いまだに映画の題材になるほどだということはわかりますよね。

遺留品はたくさんあり、モンタージュも作られました。土地勘があり、オートバイ好きという犯人像が容易に描け、すぐに逮捕されると思いきや、とうとう時効になってしまいました。当初の思惑は見事にはずれ、結局、容疑者のリストは10万人を超え、延べ警察官17万人という空前絶後の捜査体制を敷かざるを得なくなりました。

ところが、当時、新聞記者たちはみな 『彼がホシだ』 と言い切る青年を知っていたというではありませんか。土地勘があり、オートバイ好き、おまけに父親は警察官で白バイに乗っていた。その青年は自殺をした、三億円分の札束を燃やすのに充分な焚き火の煙がその家から目撃もされていた、と。

しかし新聞は書かなかった。なぜ書かないのか、先輩記者によれば、親が警察官だったから。警察に貸しを作り、いつか便宜を図ってもらうのだそうです。書かなかったために、警察はいない犯人を追って何年も捜査をし、新聞も『ついに時効』 などと大々的に報じる始末。信じられますか?

以上が、まえがきに紹介されている一つのエピソードですが、とにかく新聞記者は、政治担当を含めて、事実を書かないというのが筆者の主張です。本書は新聞、テレビで報じられるさまざまな世界のできごとについて、どう読み取ったら良いのか、エッセー風に書かれています。非常に面白い一冊です。

福禄太郎さんのブログ 『 福禄太郎の書評と時事評論 』 では本書の宝くじの部分に注目、記事にされていました。ぜひご覧下さい。


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世界は腹黒い―異見自在

高木書房

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とりあえずのリスト50

2006年06月25日 | 一覧 【LIST】



これまでUPした記事が、200ほどになりました。また、ご覧頂いている方から、一覧が欲しいと、ご要望がありました。これでは、まだリンクもできず、使いにくいと思いますので、いずれ、もう少しスマートに、見やすくしたいと思います。

“とりあえず” というかたちで、直近の50を一覧にしてみました。(1万の字数制限のため、リンクが貼れず、100のリストを一つの記事に載せることもできません)

このブログで取り上げたものは、基本的に “すべてお薦め” したい本ですが、個人的に特に印象深いものは、色をかえておきます(白の方です)
。何かアドバイスがあればぜひともお願い申し上げます。

『ほんとうだよ』松見秀
『英語達人読本』斎藤兆史 上岡信雄
『国家の罠』佐藤優
『医者井戸を掘る』中村哲
『自衛隊VS北朝鮮』半田滋
『本はどう読むか』 清水幾太郎
『銀河のワールドカップ』 川端裕人
『文明の衝突』 サミュエル・ハンチントン
ブログランキング経過報告!
『博士の愛した数式』小川洋子

■特集!教育に関する本■
『ケリーギャングの真実の歴史』ピーター・ケアリー 
『武士道』 新渡戸稲造 
【相互リンク】
『監視国家』 アナ・ファンダー
『もう一度キックオフ』 風野潮・作 真咲ナオ・絵
『入試超難関突破!解ける!英語長文』竹岡広信
『ブログの正体』伊藤穣一+デヴィッド・L・シフリー&デジタルガレージグループ
『サッカー株式会社』クレイグマクギル
『ウェブ進化論』梅田望夫

『最強のファイナンス理論』真壁昭夫
『ぼくの翻訳人生』工藤幸雄
『日本がアルゼンチンタンゴを踊る日』ベンジャミン・フルフォード
【溝口敦氏の長男、刺される!】
『昭和史』半藤一利
『決戦前夜』金子達仁
『ピッツァぼうや』ウィリアム・スタイグ
『ハーバードで語られる世界戦略』 田中宇、大門小百合
『ユダヤ人とローマ帝国』大沢武男
『歴史の方程式』マークブキャナン

『ジョッキー』松樹剛史
灘高・キムタツこと木村達哉先生:リスニング3部作
『東大へ行こう!(“ドラゴン桜”公式ガイドブック)』 三田紀房&モーニング編集部
『中国が「反日」を捨てる日』清水美和
『パブロを殺せ』マークボウデン
『誤訳をしないための翻訳英和辞典』河野一郎
ブログランキング参加に関して…
『「電池が切れるまで」の仲間たち』宮本雅史
『検死秘録』支倉 逸人
『封印される不平等』橘木俊詔

『食肉の帝王』溝口敦
備忘録(コラム)『英語を子どもに教えるな』市川力
『米長邦雄の運と謎』団鬼六
『北朝鮮に消えた友と私の物語』萩原遼
『転落の歴史に何を見るか』齋藤健
『山本昌邦備忘録』山本昌邦
『競走馬私論』藤澤和雄
『動物農場』ジョージ・オーウェル
『もしキリストがサラリーマンだったら』鍋谷憲一
『あおくんときいろちゃん』レオ・レオーニ


はじめた頃には、予想もしないほど、多くの方にご覧いただき、本当にありがとうございます。できる限り、これからも、良書をご紹介したいと思っております。 

まぁこれからもガンバレ! と思われる方、応援していただけるとありがたいです。

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『ほんとうだよ』 松見秀

2006年06月24日 | 絵本

ここ数日ヘビーな本が続きましたので、書く方も、(もちろん好きでやっているのですが)、つたない文とはいえ、間違いがあってはいけないと、頭フル回転(これでも)で、気が付くと、受験生のように“頭”が疲れたりするわけです(笑)。

特に政治に関わる書籍は、“声のでかい人々”の逆鱗に触れることもありますし、塾講師ですから、生徒を誘導していると思われても困ります。自分が良いと思った本でも、慎重に、慎重に…と。そういう作業をしている間は、“楽しい”ではなく、“難しい”ですね。

すみません。前置きが長くなりました。というわけで(どういうわけ?)今日は久しぶりに、絵本をご紹介します!これなら書いている時から楽しいです。

【ストーリー】
かえるのがーちゃんが、春になったのを喜んで、池の中の魚たちに伝えに行きますが、外を見たことがない魚たちは信じてくれず、がーちゃんはがっかり。するとその時、突然一匹の魚が…。


すばらしい一冊で、これも「ふたりdeぶろぐ」のカヲルさんから教えていただきました。絵本の持つ哲学性を感じますし、お子さんの豊かで柔軟な発想力、イマジネーションを刺激してくれると思います。

ストーリーも良いのですが、絵が非常に印象的です。菜の花、さくら、野原がとても美しく、目にしみます。うちの子も見入っていました。隠れた名作として有名!あれ?じゃあ“隠れて”ないですね(笑)。まぁいいや。

今年1月から、ファンの声に応えるかたちで、出版社が限定復刊したそうで、今なら入手可能です。他にも紹介したいものがあったのですが、無くなる前にということで…。


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ほんとうだよ

福音館書店

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『ほんとうだよ』松見秀
福音館書店:27P:840円



P.S.それにしても、ピンと張り詰めた状態で、UPをしたあと、コメントで励ましていただいたり、ランキングが上がっていたりすると、そのスリル、達成感で、続けられるのではないかと(笑)。



にほんブログ村 本ブログへ おかげさまで、はじめて、一週間1位を続けられました。本当にありがとうございます。どこまで続くかやってみます。
 あれ、上との差が、260が130点くらいに…。ひょっとして“声のでかい人”たちに近付ける?こわ。
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『英語達人読本』斎藤兆史 上岡信雄

2006年06月23日 | 英語関連書籍
   
サムライブルー、本当に日本中をブルーにしてしまいましたね。残念です。茫然自失、応援疲れを癒したいところですが、受験生はそうもいっておられません。さぁ気分を変えて勉強!ということで、とびきり楽しく、ただし難し~い一冊を紹介します。

斎藤先生の著書は以前 『 英語達人列伝 』 をご紹介しました。他にも何冊か読んでいますが、どれも受験参考書ではありません。本書も“英語学習用”ではありますが、受験英語以上に高級なものです。

ただ、英文科志望の生徒、早慶上智などの英語難関校や外国語大学などを目指す生徒であれば、ぜひ読んでもらいたい一冊ですし、社会人でも、英文学に興味のある方には、その格好のガイドブックとも言えます。

副題は『音読で味わう最高の英文』となっており、編者のお二人が厳選した“名文集”です。著作権なども問題があり、なかなかこの種の本の出版は難しいそうです。英語教育が『実用』 の名の下にどんどん軽いもの、口語表現中心へと進む中で、非常に貴重な一冊です。

28の英文学の作品から、名文と思われるところの一節を抜粋しています。どれも大体200語前後の短いものですが、その小説(家)の時代背景や、文学的意義、もちろん訳と語・文法解説がついていますので、やる気があれば、何とかなるでしょう。

取り上げている作品をいくつか紹介します。

スコット・フィッツジェラルド 『グレートジャツビー』
ウォルド・エマソン『自然』
アーネスト・ヘミングウェイ『二つの心臓をもつ川』
アガサクリスティー『自伝』
チャールズ・ディケンズ『オリヴァー・トゥイスト』
フレデリック・ダグラス『フレデリック・ダグラスの生涯の物語』
マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』
オスカー・ワイルド『まじめが肝心』
岡倉覚三『茶の本』
ポール・オースター『シティ・オヴ・グラス』

他にも、このブログで取り上げた、新渡戸稲造『 武士道 』、カズオイシグロ『 日の名残り 』、ジョージ・オーウェル『パリ・ロンドンどん底生活』(本ブログで取り上げたのは『 ビルマの日々 』と『 動物農場 』) や、一昔前の受験の定番、最近復活の気配を感じる バートランドラッセル『幸福論』 などの一節もあります。

残念なのは、CDです。上記の名作を朗読しているのが、ピーター・バラカン氏とクリスティーナ・ラフィン氏。バラカン氏はご存知の方も多いと思いますが、声は暗いですよね。 

ラフィン氏(女性)はそれ以上に暗く、震えているようにも聞こえます。プロのアナウンサーの方がずっと良かったと思うんですが…、何度も繰り返し聞いていると、不思議なもので、その暗さが“名作の重み”かな~と、感じ始めてしまうからおそろしい(笑)。

一応どのレベルか、参考までに、1番最初の作品(年代順に並んでいます)ウォルド・エマソン『自然』の半分だけ、書き出しておきます。

【 Ralph Waldo Emerson , Nature(1836) 】

In the woods, we return to reason and faith. There I feel that nothing can befall me in life, -- no disgrace, no calamity (leaving me my eyes), which nature cannot repair. Standing on the bare ground, -- my head bathed by the blithe air and uplifted into infinite space, -- all mean egotism vanishes. I become a transparent eyeball; I am nothing; I see all; the currents of the Universal Being circulate through me; I am part or parcel of God.

高校生であれば、最強軍団ブラジルを倒すんだ!というくらいの意気込みで、この最高峰の英文と知的格闘をして下さい。

CD付き 英語達人読本

中央公論新社

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『英語達人読本』斎藤兆史 上岡信雄
中央公論新社:156P:1575円 


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わたくしはこちらで、俗世間の格闘(笑)をしております。
にほんブログ村 本ブログへ おや、後ろからお知り合いが。つらいなぁ。
 300点くらいが260点の差に。まだ、はるかかなたです。
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『国家の罠』 佐藤優

2006年06月22日 | 政治・経済・外交
  
唐突ですが、 【 藤原正彦 VS 櫻井よしこ 】 といったら何を想像されるでしょうか。両者とも憂国の大物論客であり、多くの支持者は重なるはずです。

お二人でまったく異なるのは、本書に対する評価です。ある賞の選評において、藤原氏が『不屈の精神に感動した 』 と絶賛すれば、櫻井氏は『事実関係をとりまちがえてきた』 とバッサリ。いかに本書が、センシィティブなものかということの証左です。

詳しくはこちらをご覧下さい。http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20050922bk09.htm (読売新聞)

さて、今日報じられた(産経新聞ではトップ) 大きな動きとは…
第二次大戦時の外相、東京裁判でA級戦犯とされた東郷茂徳氏の孫にあたる、東郷和彦氏。本書にもたびたび登場する、「エリート中のエリート外交官」でしたが、鈴木宗男代議士や、本書の著者である佐藤氏との関係を糾弾され、外務省を追われました。

私は逮捕を逃れるために、海外に逃げていたと思っていました。一審で証人申請され、それを拒んだのですが、4年の沈黙を破って、とうとう佐藤氏擁護の立場で、証言しました。外務省には衝撃が走ったようです。

つい最近も村上ファンドの村上世彰氏が逮捕されましたが、こういう著名人、大物逮捕劇の裏には、複雑な構図、血みどろの権力争いなどが絡んでいるものだということが、本書を読むと推測できます。

佐藤氏は本書で、自分の逮捕劇を“国策捜査”、外務省の権力闘争として、ほとんどすべて実名で外務省の幹部、政治家、検察などを告発します。特に逮捕後の検事とのやりとりは生々しく、時間を忘れて、読みました。

本書の内容が全て真実であれば、ノンキャリアでありながら貴重なロシアとのパイプを持っている氏を“いけにえ”にするとはとんでもないことです。一方、キャリア外交官で佐藤氏同様の容疑を持たれながら海外に逃げている東郷氏、彼が逮捕される日が来るのかを注目していたのですが、昨日、法廷に出てきたというわけです。

はたから見ておりますと、佐藤氏を“売って” おきながら、自分は身の安全を図っているように見えていたのですが、当の佐藤氏自身が、東郷氏は “国家のため” に働いていたとして、うらむどころか、高い評価をしていたのです。

これまでの東郷氏の行動の真意はわかりませんが、これで外務省に宣戦布告をしたようなものでしょうか。つい数日前、佐藤氏が、ラジオで田中康夫長野県知事と対談していたの聞き、以前と違う明るい声が印象的だったので、何か…と思っていたところ、今日のニュースでした。

田中真紀子氏が外務大臣に就任して以来、ずっと続いていた外務省の混乱は、鈴木宗雄氏や佐藤氏の逮捕でようやくケリが付いたかたちになっていたのですが、これでまた、動くでしょう。佐藤氏が指摘する『国策捜査』、 裏で糸を引いている存在が明らかになることを願います。とにかく本書は、外務省を揺るがす一冊であったことは確かなようです。

私は本書の続編である『国家の自縛』 の方を先にブログで書きました。そちらも衝撃的ですので、興味のある方はお読み下さい。


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P.S.
時々このブログにコメントを下さる、『日暮れて途遠し』さんのブログに裁判の様子や、弁護士の方のコメントがありますので、ぜひご覧下さい。日暮れて途遠しさんはずっと佐藤氏に注目されていて、私にも、いくつか資料や書籍の紹介をいただきました。

http://blog.goo.ne.jp/taraoaks624/e/7452aa557a2710a6deac014c88baf821


国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

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『医者井戸を掘る』 中村哲

2006年06月21日 | ノンフィクション

実は、ワールドカップサッカーの日本の初戦、対オーストラリア戦が放送されている、裏番組で、中村哲氏を特集する番組があったのですが、ご存知でしたか。“これじゃあ誰も見ないじゃないか!” と一人憤慨しておりました。

本書はアメリカでの9・11テロ前に出版されたもの(従ってもちろん、タリバンが話題になる前)で、アフガニスタンの窮状を訴え、自らのNGO「 ペシャワ-ル会 」 の活動報告をしたものです。

非常に印象深い一冊で、何人かの評論家が“今年のベスト3冊” (2001年の)などに選んでもいました。中村氏はお医者さんですが、

~~~とにかく生きておれ、病気はあとで治す~~~ 

と語りかけなければならないくらい、切羽詰った悲惨な現状が、アフガニスタンにあります。水がないのです、病院よりもまず、井戸を掘ってやらなければ…。

筆者は9・11以降“アフガニスタン通” としてテレビにも出演していましたので、ご存知の方も多いでしょうが、一貫してアメリカ寄りの報道を批判していました。

今でこそ“NGO” は玉石混交だということが明らかになりました。本書でも、特に海外のひどいNGOの例などが出てきます。人の弱みや、ODA(政府開発援助)やNGOのしくみを、自分のために利用している連中がいるのです。

真の援助とは何か考えさせられます。確実に人々の役に立っている活動であっても、いつもお金が足りない、人材が足りず、大きく評価されません。実際、イラク戦争の方に世間の目が行ってしまうと、アフガニスタンはほとんど報道されません。W杯の裏程度しか。

中村氏たちの活動は命がけで、こんな日本人もいるのだと感動させられます。こういう本を読みますと、力になりたいけれど何もできない自分、というのをいつも思い知らされます。うわべを繕っただけのODAやその報道、まして自分の選挙区の業者を潤わせるための援助など到底容認できません。

以前ご紹介した、『アフリカの瞳』 も同様ですが、テレビだけではとても知りえないような、その土地の文化なども感じ取ることができる、名著だと思います。


(いつかアフガニスタンがワールドカップに出場してくれたら、本書を読んだ人々はどれほど感激するだろうか、なんて考えてしまいました。)

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医者井戸を掘る―アフガン旱魃との闘い

石風社

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 最大のランキングサイトで目標10以内を達成し、7位にまで押し上げていただき、感激しました。本当にありがとうございます。さすがにこれより上には、化け物のような(失礼)巨大サイトが壁を作っております。バーミヤンの仏像のようにど~んと…(笑)。“来るなら来てみろ!”と。とてもとても戦える相手ではありません。ふ~、しばらくはじっとがまんで記事を充実させたいと思います。ひとまずお礼申し上げます。

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『本はどう読むか』 清水幾太郎

2006年06月19日 | 新書教養
   
読書ブログなのに、最近は、あまり本を読んでおりませんでした。生徒のみなさん!こういうのを“本末転倒”という。みんなもサッカーの見過ぎに注意!

で、初心にかえって、大御所の読書論がしるされた一冊を紹介します。

著者、清水幾太郎氏は、EHカーの『歴史とは何か』やマックスヴェーバーの『社会学の基本概念』の翻訳、そして『論文の書き方』や『倫理学ノート』の著作で知られ、著作集まで出ている、大社会学者です。

実は、本書は今から30年ほど前に書かれ、私が20年以上前、高校生の頃買ったまま、いまだ読んでいなかったのを、つい最近、たまたま見つけて読んでみました。どうして本書を購入したのかはもちろん、購入したこと自体を忘れていました。

『古いほんだなぁ~』と思ってページを繰っていったのですが、おもしろくて一気に読んでしまいました。誠に誠に誠に、大学者に僭越ながら、本に対する考え方が同じだと感じたからです。きっと高校生当時は最初の方であきてしまって放っておいたのでしょう。

私が本を無理してでも、借りるのではなく、買ってしまうのは、借りてしまうと、その本が興味を引かない時に、早く返さなければ、とか、気の利いた感想を言わないと、いう気になってしまう。もちろん書き込めない、汚せないからというのが一つ。

また、そもそも万人にとって、良い本、というのはありませんし、同じ人でも読む時期によって感じ方はまったく異なりますから、本書のように、最初はつまらなくても、20年後に読んで感動することもあります。だから手元に置いておきたくなるのですね。特に名著などと呼ばれるものは。

で、生徒のみなさん! 他の人から薦められてもおもしろくなければ、それがどんな有名で、絶賛されていても、しばらくは放っておいていいのです。大事にしまっておくこと。

で、ご父母のみなさま! 『せっかく良い本を買ってやったのに全然読まない。もったいない』 などとは思わないでいただきたい。名作ならいつか手に取るときが必ず来ます。

本書の中にも“おもしろくなければ読むのをやめる”と主張されていますので、私の本書に対する扱いも、お許しいただけるでしょう。

本の選び方や読み方、整理の仕方などのガイドブックでありながら、著者のエッセー風の文章で楽しいです。外国語の本の読み方や、読書を忘れないための工夫や、本の貸し借りについてなどなど、人生に触れながら読みやすくなっています。

おもしろくて、印象に残ったのは、以下の内容です。本は買わなければならない、ケチはいけないというところで、

『本はどんな無理をしても買う。私がいつまでも貧乏なのは、おそらく、この主観主義的読書法の結果であるに違いない。とにかく、書物と細君だけは借りることのできないものと諦めている。』

と、読書法について答え、この一節が、何冊もの高校の国語の教科書に収録されているのだそうですが、教科書では必ず、『細君』という言葉が削られているのだそうです(笑)。

(もうひとつ、ついでに、生徒のみなさん!『細君』 を“ほそくん” とか “ほそぎみ” とか読んでないだろうねぇ。授業できくぞ。)

http://tokkun.net/jump.htm



本はどう読むか (1972年)

講談社

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『本はどう読むか』清水幾太郎
講談社:182P:714円


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最大瞬間風速に近付いております。まさにあと“一押し”(笑)。
 集計時間がバラバラなのでよくわかりません。
ブログランキング こちらのシステムをご存知の方がいたら教えていただきたいのですが…。

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『銀河のワールドカップ』 川端裕人

2006年06月18日 | サッカー関連
 

先日ご紹介した『もう一度キックオフ(風野潮)』 も子どもを主人公にサッカーを扱った、すばらしい一冊でしたが、こちらも負けていません。というか、前者は子ども向け、絵も挿入されていますが、本書は子どもも読めますが、400ページ近い長編です。川端氏の本をはじめて読みました。

主人公は、元Jリーガーの花島勝、フリーターのような生活をしていた彼が、ひょんなことから、少年サッカーチームのコーチを引き受けます。花島の純粋なサッカー愛と、逆に、子どもたちの大人びた、そして豊かな個性がいつのまにかシンクロし、登場人物たちがみな成長する姿がすがすがしいです。

日本一、世界一、さらに…大きな夢を追う物語で、今からでもドイツの日本チームに届けたいくらいです。ブラジル人だって、足は二本しかないし、どこでやってもサッカーボールは丸いんだ!と。(笑)

私はサッカー自体、あまり詳しくないのですが、少年サッカーの実態、“親”応援団のすさまじさは知り尽くしております(笑)。お父さんコーチの情熱や知識欲のすごさも。 “銀河” といえば、レアルマドリードだとお気付きになるはずです。

作家というのは、もちろん観察眼が人並みはずれて鋭いのですね。少年サッカーの実態だけでなく、他のエピソードを見ても、筆者が、よく観察、研究、取材していることがうかがえます(プロだから当然か)。素人にも、サッカーファン(あるいはマニアまで)にも楽しめる一冊になっていると思います。

その上、『サッカーとは何か』 『自分はサッカーが好きなのか』 『強いとは』 などという哲学的な問いかけが出てくるのが大変気に入りました。それが気になって、略歴を見てみますと、ピンポーン!筆者は東大卒で“科学哲学”専攻だそうです。

最近は、仲正昌樹氏、小谷野敦氏、赤川学氏など、60年代生まれの東大卒の学者が、個性的な良い本を書いているなぁと、常々感じていましたが、作家のカテゴリーでもすばらしい人材を輩出するとは…。

ちょっと褒めすぎです(笑)から、難点を2つ。

1. あまり必然性があるとは思われない、性描写が、わずかながらところどころにあり、塾講師としては(親としても)子どもに勧めづらい。(こんなこと書くと逆に宣伝になる(笑))

2. “鳥肌が立つ”という表現は、誤用の代表格です。筆者は“感動する”という意味で何回か使っていると思います。“感動”の文学的表現として、許容範囲なのか、あえて承知で使っているのでしょうか。塾講師としてはお聞きしてみたいところです。(鳥肌という表現:新聞のサイトにも出ていました。http://blogs.yomiuri.co.jp/wcup06/2006/07/post_e93b.html

もちろん全体的には楽しめる良書であると思いますし、今後に期待を抱かせる作家という気がします。

ジーコジャパンがんばれ!

P.S. 作家、サッカーで思い出したのですが、以前、川柳を作りました。
 『作家らが、なれないサッカー、擦過(さっか)傷』  失礼しました。


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銀河のワールドカップ

集英社

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『銀河のワールドカップ』川端裕人
集英社:378P:1995円

昨日の記事で、にほんブログ村 本ブログへ の点数がぐっと上がりました。本当にありがたいものです。心よりお礼申し上げます。この記事にはあと2つ付けさせていただきます。夢は大きく3冠王!な~んて。あっ、調子に乗りすぎました(笑)。


すみません。今後とも、よろしくお願い申し上げます。



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『文明の衝突』 サミュエル・ハンチントン

2006年06月18日 | 教養
 
少し前の田中宇氏の、メルマガのタイトルは、【文明の衝突と東チモール】 でした。要旨は、【アメリカは、冷戦後、イスラム諸国を相手に、文明の衝突をたくらみ、世界を反米に向かわせることに成功した。しかし不必要に過激な行動が、反米グループの中でも多極化を生み、東チモールがそのあおりを受け混乱している】 と理解しました。

スポーツは政治や文化とは別だ、という見方もありますが、ワールドカップサッカーなどはそう思えません。何となく文明・文化(同義ではありませんが) ぶつかっていると感じてしまいます。

日本選手は行儀が良いと感じますし、クロアチア人にとって、サッカーは生活そのものという報道もあります。イギリスは紳士の国、といいながら、フーリガンは何でしょう。 中国でのアジアカップの騒ぎは? 

そもそもが、戦争で勝ち取った相手の将軍の首を蹴りまわして、戦果を称えたのが起源だそうですから、サッカーは武器を持たない戦争だと断言する専門家も多くいますね。自国の文化の優秀さを競うという気持ちが、世界中を熱狂させるのではないかと思うわけです。

そんなことから、今日は、その、文明の衝突を取り上げます。世界中に衝撃を与えた一冊というのは、大げさでしょうか? だいぶ前に読み、あの中国の反日デモを見てもう一度読み、今日また、パラパラと読みかえしてみました。

9・11などテロの過激化やアメリカがアフガニスタン、イラクなどと戦争をすることを予言した形になっていたハンチントン氏 (田中氏の嫌いなハーバード大の教授) が、世界の文明を8つに分けて論じています。

中華と日本は別文明だということは学者の中ではほぼ同意ができているようです。キリスト教を信ずる西欧文明はすでに成熟期に入っており、徐々に衰退していく傾向であり、代わって発展してくるのが、中華文明、イスラム文明、インドを中心とした南アジアのヒンドゥー文明。

本書が書かれた時点(98年)で衝突が起こる可能性が最も高いのがイスラムだとしていたわけです。その後、中国が急速に成長を遂げた時に、衝突の確率が高いシナリオは、 “中華文明 VS 西欧文明” ですが、氏の予測では、日本は迷いに迷って、アメリカではなく、中国と共同歩調を取る方を選ぶのではないかというものでした。(2010年頃の推測として書かれています)

昨今のニュースを見ていると信じがたいのですが、何と言っても、ハンチントン氏の分析です。田中氏なら、それも、日本にショックを与える謀略だと指摘するでしょうか?

本書は 『文明』 を視座に、さまざまな紛争や歴史的できごとの分析、将来予測などが書かれています。分厚い本で、気軽に読める類ではないのですが、非常に刺激的ですので、歴史に興味のある生徒さんにも薦めたい一冊です。アメリカ社会に興味のある方は、同氏の『分断されるアメリカ』 もお薦めです。


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文明の衝突

集英社

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『文明の衝突』サミュエル・ハンチントン
集英社:554p:2940円



■□■□■□□■□ ここから↓は ランキングに関して ■□■□■□■□■□■□
本当に、目を疑ったのですが にほんブログ村 本ブログへ でのランキングが 1位 になっておりました。ついこの前まで大差を付けられ、相手の強さに感心し、半分、あきらめていたので、大いに驚き、感激しました。ありがとうございます。

(実は2位と1位の差は、私の場合は、プライドの問題などではまったくなく、見ていただける数が大きく違うということです。偉そうで恐縮ですが、わずかな経験から申し上げますと、2位から1位になりますと、そこからのアクセスは倍増します。したがって逆に落ちた時には、半減しました。物販・アフィリエイトなどを中心にしているサイトでは死活問題なんでしょうか?素人ながら、多くのサイトがクリックをうながすのは“はげみ”であり、“客”の数が違うということだと理解しました)

私も、これまでのように、偉そうに、バナーを貼って、置いておくだけでなく、ランキングで応援して欲しいなら、きちんとお願いをしなければならないということも分かりました。今後は目障りにならない程度に、コメントさせていただきます。

たとえ一瞬に終わるにせよ、再び、1位に押し上げていただいたのですから、これでまた、すぐに落ちますと、見ている生徒から “カッコわり~” となりそうです(確実になります) ので、1位に恥じない記事がアップできるように努力いたします。

そして、1位キープだけではつらいので、次の目標は、最大のサイトらしい  で、10位以内。そして、 で、遊馬道さんとのカップル制覇です。(アベックというのは死語に近い、歳がバレバレだと、教えていただきました(笑))。


(ここ数日ランキングの話ばかりで、不愉快に思われる方もおられるかもしれません。ご容赦下さい)