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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

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『地下経済-この国を動かしている本当のカネの流れ』 宮崎学

2006年11月30日 | エッセイ


地下経済 宮崎学.jpg


さまざまな談合や不動産に関わる問題、また薬物や不正入国、密輸出入の事件、いわゆる、裏社会と呼ばれる世界が関わっているだろうということは間違いないと思うのですが、それがどの程度、表の社会に食い込んでいるのか、あるいは、それによってどれほど、現実の経済や政治に影響を与えているのでしょう。

少なくとも、私のような塾講師という仕事には、表面上、まったくその影響はありませんが、『東京アンダーワールド(ロバートホワイティング)』、などを読みますと、例えば、不動産などでつながっていても不思議ではないという気がします。


著者は、グリコ森永事件で キツネ目の男ではないかと疑われた宮崎学氏です。あの時は話題になりましたが、それ以降、時おり、マスコミに登場する程度でしたね。ところが、最近になって、ラスプーチン、『国家の罠』 などを書いた、あの佐藤優氏との関係で著作まで出しており(近々、UPします)、興味を持って本書を読みました。

佐藤氏は、日本の政界、官界の権力構造などを知っているだけでなく、ロシアの裏の裏まで知り尽くしている印象です。


読んでみますと、本書は、高校生にも充分読めるわかりやすい内容です。ただし、地下経済を高校生に教えるというのも変な話しですし、夢を抱く若者には、積極的に薦められる本だとは思いませんが…。

おもしろくて、どんどん読めるのですが、論理的に説明しているのではなく、やや乱暴で、断定調で書かれていますので、全部を真に受けてもらっては困るかなと…(大人の世の中、すべてが腐敗していると思ってしまう)。

まったく知らなかったのですが、宮崎氏はヤクザの組長の息子として生まれ、裏の世界にも詳しく、自分自身がわいろを渡した政治家や、起こした事件などについても、警察や検察の動きを紹介しています。鈴木宗男氏や自身の逮捕を、国策捜査だと指摘した佐藤氏とこのあたりは共通した認識があるのでしょう。


学生運動や裏の活動で警察ににらまれたりした経験から、この日本の置かれた、地下経済が支配するという状況を憂い、読者にも被害者シンドロームに陥ることなく、なんだったら加害者になるくらいの意気込みで生きて抜いて欲しいそうです(笑)。

そんなぁ~。これでは身も蓋もありません。 


おや?と思ったのは、中坊公平氏に対する指摘です。

中坊氏は住専回収機構の社長に就任した瞬間、それまでの「国民の側」から「国家の側」に寝返ったというわけです。その理屈がいまだにわかりません。国民の税金を取り返そうとしている、正義感に燃えるヒーローだと思っておりましたから。


本書を書いた時点では、あの中坊氏を批判するのは、タブーといっても良いくらい、中坊氏は(神格化といえば大げさですが) 庶民、または正義の味方だと思われていたはずです。NHKでも特番が組まれたり、民主党の党首候補にしようという動きまであったと記憶しています。

ところが宮崎氏は 「わたしに中坊批判をやめさせるのは、フセインに写経をさせるより難しいのだ」 とまで、憎悪むき出しで書いています。本書を読んでも詳しい事情はわかりませんでしたが、中坊氏は、しばらく前、検察の取調べを受けて弁護士を辞めましたよね。いつか真相は明らかになるのでしょうか。


こんな調子で歯切れがよく読みやすくておもしろいのですが、ではどういう社会が良いのか、そこが描かれていないのが悔やまれます。




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地下経済―この国を動かしている本当のカネの流れ

青春出版社

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『地下経済-この国を動かしている本当のカネの流れ』 宮崎学
青春出版社:199P:700円



P.S. 当教室(中川校) の生徒諸君、ご父母のみなさま、また、ご心配頂いた方々へ。

昨日、
伊藤先生と一緒に、Pochi 先生の見舞いに行ってまいりました。数年前に私が入院したのと同じ、かつての国立病院でした。(私も、Pochi先生も世田谷区在住です) みなさまにご迷惑、ご心配をおかけしたことを心から悔やみ、大変恐縮しておりました。現在は、大変元気で、早く復帰したいという様子でした。容態に心配がなくなったので、看護師さんや、先生のお子さんもあまり相手にしてくれないそうです(笑)。ただし、検査に時間がかかるとのことで、復帰の時期はまだ決まっておりません。その間、またご迷惑をおかけすることになるかと思いますが、最善を尽くしますので、なにとぞ、ご理解を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。

また、本来ならば、コメントなどを入れていただいたブロガーのみなさんの方へ出向いてお礼を申し上げたいのですが、なかなかそれができずにおります。これまであまり親しくやり取りをしていないような方からも、VIVA、Pochi ガンバレと励ましのメールまで頂戴しておりますのに、本当に申し訳ございません。お許し下さい。

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『夢は大衆にあり』 青山淳平

2006年11月29日 | ビジネス書・マスコミ関連


【夢は大衆にあり】 青山淳平.jpg


違法でなければ、何でもやってよいと考える経営者が目に付きますね。


坪内寿夫という人物の生涯を描いた一冊ですが、坪内氏をご存知でしょうか。かつては、倒産しそうな企業を次々と建て直し、再建王と呼ばれ、松下幸之助本田宗一郎中内功などと並び称されたほどのカリスマ経営者です。


もともとは映画館など、娯楽施設などの事業で得た金を、人から頼まれ、地元の倒産寸前の造船会社に注ぎ込み、大発展させます。とても会社とは呼べないような企業でしたが、 “人を助ける” という信念で、猛烈に働き、動き回ります。

みなの反対を押し切って、犯罪者の更生施設までその近くに、自分の金で建ててしまうほどですから、その人格がわかろうというものです。仕事の尊さを知って欲しい、雇用を提供したいということですね。


そうした再建の手腕で、実績を上げ有名になり、扱う企業も地元の小規模業者から、どんどん大きな会社へと移っていきます。すると、マスコミや政治家などを使った卑劣な妨害や、労働組合との激しい戦いも出てきます。そのあたりの攻防も読み応えがありました。あらん限りの知恵を出し、それでも敵をうらまず、すべてを成し遂げるのです。


やがて、晩年をむかえ、自分の再建した企業が造船不況のあおりで、苦境に追い込まれた時も、責任をすべて自分ひとりで引き受け、個人資産一切を会社の負債の肩代わりに当て、裸同然で表舞台から身を引いてしまうのです。

ダイエーの中内氏のような経営者とは、対極にある生き方だと感じます。


造船不況の深刻さは、河本敏夫 氏を覚えている方はご存知だと思います。かつては、自民党三木派をついで、総理候補にもなった超大物政治家でしたが、三光汽船という、自分が実質的オーナーであった会社が倒産に追い込まれたことで、事実上失脚、夢を絶たれました。

戦後最大の倒産と騒がれ、当時の業界を象徴するような出来事でした。田中角栄には、“自分の会社をつぶすような人間に国政をゆだねられるか”と、強烈に皮肉られたものでした。


業界全体が、塗炭の苦しみにあえいでいる、こういう厳しい時代、やがて政府までも、坪内氏の経営手腕に期待し、氏を担ぎ出そうとする案件が出てきます。


そして、そこに登場するのが、あの白洲次郎です。以前、『英語達人列伝』では、すごいエピソードをご紹介しました。まさに国士とも呼べる人物です。場面はわずかですが、坪内、白洲の両氏の、思いもしなかったつながりに驚きました。マッカーサーと互角に渡り合った、あの白洲氏までも動いたのかと…。


このように、その人格に多くの人々がひかれて、数々の協力を得るのですが、やはり企業がらみ、政治がらみですから、嫉妬や利害関係の不一致は常にあります。時代の流れと、高齢には逆らえず、ついには上記のような結末にいたるのですが、もっとも深く関わった会社、来島ドックは生まれ変わって今もあります。


実に読み応えのある一冊で、深く感動しました。また、日本の造船業界は今やものすごい勢いで復活を遂げました。その影にこうした先人の努力があったことに、歴史の重みや、経営の大切さを学びました。ビジネス書としても、骨太の人物伝としても読めると思います。



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夢は大衆にあり―小説・坪内寿夫

中央公論新社

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P.S. 今日、本書を紹介しましたのは、相互リンクの yumamiti さん が白洲を取り上げておられたからです。“ブスかわいい” って知ってます???

ねえさん、Thank you!




『夢は大衆にあり』 青山淳平
中央公論新社:298P:1890円

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『禅的生活』玄侑宗久

2006年11月28日 | 新書教養


『禅的生活』玄侑宗久.jpg


玄侑 (げんゆう・そうきゅう)氏は、芥川賞作家であると同時に、臨済宗のお寺の副住職でもあります。ご自分のサイトもお持ちです。


あるラジオ番組に出演され、禅についてお話しされているのを聞き、おもしろそうだと思い、本書を購入しました。私自身は、“座禅” とか “無” と言われると、興味を覚えますが、“禅” に関して何らかの知識があるわけではありません。


本書は、座禅なしで、禅の考え方を身に付けようという主旨です。忙しく、住みにくい現代を少しでもリラックスし、楽に生きられるように、というわけです。

忙しいとか、住みにくい、ということは、常に相対的な概念ですから、いつも何を基準にそう判断すればよいのだろうと思っておりました。ただ、日本に確かに自殺が多いとか、私自身もストレス性潰瘍を患ったことがあるので、そう言われると、すぐに、やってみようと思ってしまうんですね。


私が、その手術で入院していたおり、ストレスに関する本を何冊も読みました。その時に、わかったことは、自分ではそう思っていなくとも、つまり無意識であっても、日々の絶え間のない緊張(ストレス)は、人の健康に影響を与えているのだということです。


そうか、たまにはカラオケやゴルフでもして、ストレス発散しなきゃダメだぞ、などと人に言っても、人前に立つのが嫌いな人にとっては、それが大変なストレスになりますから、逆効果なわけです。

そこに難しさがあって、要するにストレス要因も人それぞれですから、解消方法は自分で見つけるしかない。人にアドバイスするとすれば、のんびりお風呂につかるとか、好きな音楽を聴く、というぐらいしか、最大公約数的な具体策はないんですね。


ところが、禅のテクニックを利用すると、悲しみや怒りなどの“感情”や、“無意識”と思われているものでも、それによってはコントロールできるというのです。

もちろん、本来、禅は大変、奥深いもので、勉強も修行も必要でしょうから、感情のコントロールが完全にできてしまうのは、いわゆる “悟り” を開くということです。そこまで行かずとも、禅の考えを知ることによって世界観を広げることを手助けします。 


手始めに、最初の章で、無意識に出てくる “あくび” だって意識的にできますと、以下のようなテクニックが紹介されています。 

 

まず直前に軽く一息吐いてから、口を開き、意識をのどの奥、というより両耳を結んだ中心点あたりに置く。

それだけでしばらくすると後頭部が締まりだし、口が更に開いて見事なあくびが出る。 

意識の置きどころさえ間違わなければ、必ず出るはずで、何度やっても出る。



私もやってみました。最初はできませんでしたが、何度も、“こんな感じかな?おっ、出そう、いや違う” なんて感じで、しばらく練習すると、確かにあくびが出るんです。興味があれば、お試し下さい。


ただし、こうした簡単な健康法の紹介ではなく、思想的、宗教的な話ですから、読み応えのある一冊です。 ここで言いたいことは、あくびの仕方にとどまらず、眠たいと思う『心』も、眠ろうとする『体』も実は、意識的にけっこう誘導できるということです。


“無可無不可” “一切唯心造” “六不収” “廊然無聖” “応無所住而生其心” “柳緑花紅真面目” “一物不将来” “日日是好日” “随所作主立処皆真” “平常心是道” “知足” “安心立命” “不風流処也風流”


こういった概念の説明ですから、筆者の、”一人でも多くの人に楽で元気になってほしい”という願いで書かれた一冊ですが、気楽に読めるわけではありません。健康法というより、思想に興味のある方にお薦めです。



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P.S. Pochi先生のことに関しまして、暖かいお言葉をいただき、本当にうれしかったです。本人にも伝えます。さいわい心配したより軽い症状のようで、確定はしておりませんが、早期復帰が可能との印象を受けました。心よりお礼申し上げます。

禅的生活

筑摩書房

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『ブンナよ、木からおりてこい』水上勉

2006年11月27日 | 児童文学・ライトノベル・子供向け


ブンナよ、木からおりてこい.jpg


水上勉氏の児童文学です。


本書は舞台でも上演され、数々の賞を受賞している名作です。舞台になる作品というのはほぼ間違いなく、メッセージ性のある、おもしろいものが多いと思います。映画だと、ストーリーが単純でも、映像テクニックで見せる場面がありますが、舞台は装置プラス “感動”がないと、ロングランはできませんよね。


主人公はトノサマガエルです。そのトノサマガエルが椎の木のてっぺんまで登り、得意になっていました。

その木の頂上は広場になっていて、土もあり、まるで天国のようでした。そこで一晩過ごそうとしたのですが、実はそこは鳶(トビ) がエサを運ぶ中継所だったのです。


スズメ、百舌(モズ)、ヘビ、ネズミ、牛がえるつぐみなどといった鳶に捕らえられた瀕死の状態の小動物が次々に運び込まれ、そして、鳶のえさとなるべく連れ去られていきます。

これら捕らえられている動物たちは、逆に、すべてトノサマガエルを食べてしまう小動物たちです。恐ろしくてじっと土の中に隠れ、小動物たちの会話を聞くことになります。

その会話こそが、いろいろ示唆に富んだ内容であり、著者の思いが込められているメッセージです。単純に食物連鎖の勉強にもなるでしょうし、今、いじめの問題、食育にも関わってくるように思います。、


最後に著者が、“母たちへの一文”  ーあとがきにかえてー で、どういう思いを持って本書を書いたのか説明しています。


子どもたちはもちろん、小さいお子さんを持つお母さん、お父さん、幅広い世代に読んでもらいたい一冊です。



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気が付いたら、ランキングがぐっと低下。当然とはいえ厳しい~。最後までお読みいただきありがとうございました。いくらかでも参考になりましたら、クリックしていただけるとありがたいです。                     
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ブンナよ、木からおりてこい

新潮社

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お知らせ 【主に・中川教室】(授業変更など)

2006年11月26日 | Weblog


 当教室の中心講師の一人、このブログでも物理の参考書を紹介してくれた Pochi 先生が、軽い心筋梗塞で倒れ、手術、2週間ほど入院ということになってしまいました。

小規模な塾ですので、すぐに代わりが立てられる状況ではなく、今、みなで対応策を練っておりまして、こちらにいただいたコメントへのご返事や、記事のUPがやや遅れます。ご了承下さい。おそらく、明日以降はできると思います。


中川教室の生徒諸君、ご父母の皆さまへ

授業変更などをお願いしたり、ご迷惑をおかけすることになると思いますが、影響を最小限にとどめるべく、善後策を講じておりますので、ご理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。

Pochi 先生ご本人は、授業で迷惑をかけてしまうことを心配しております。いつも明るいPochi先生ですので、心配でしょうが、大丈夫です。生徒たちはしっかり勉強して下さい。代々木教室から、伊藤先生はじめ、助っ人の先生が来てくれることになっています。また、(うれしくないだろうけど)、私の英語に切り替えるかもしれません。がまんしてね。

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『私の「戦争論」』吉本隆明・田近伸和

2006年11月25日 | 教養
 

私の戦争論 吉本隆明.jpg

今、日本全体が右傾化していると危惧する声が聞こえます。確かにその通り、小泉首相の訪朝以来、テポドン、ノドンなどのミサイル発射を受け、国防意識は急速に高まり、憲法改正を堂々と掲げる安倍総理大臣がついに登場、麻生外務大臣や中川昭一政調会長は核武装まで議論しようとしています。


“何とかして この動きを止めたい”、というのも、もっともな感情で、少し考えれば、現在が “異常事態” だと感じるはずです。戦後の政治史において、こんな急激な変化はあったでしょうか。川の水が一気に逆流しているようなもので、のんびりしていると呑み込まれてしまう危険を感じます。


実際、よく見るとすでに、自民党だけなく、二大政党のもう一方、民主党の小沢党首も憲法改正論者ですし、首都東京の知事は石原慎太郎氏。護憲、平和で完全理論武装していたはずの公明党も改憲を否定しませんし、社民党、共産党は見るも無残な凋落振り。どうすれば良いのか、拠るすべがありません。

 
一方で、そもそも今までがあまりにも自虐的、土下座外交ばかりで、お金だけは貯めたけれど、日本人の誇りも何もあったもんじゃない。矜持を失った民族の末路は歴史が証明している。ここに来て、やっといくつかのタブーがはずれ、ついに日本人が生き返ったのだという高揚感があります。


まるで60年ずっと耐えてきた魂に、やっと灯がともったかのようです。


また、高校生以上の生徒にも、変化を感じます。彼らと話していますと、拉致事件もそうですが、むしろそれ以上に、中国人による反日デモ。生卵を投げたり、大使館を襲ったり、さらにサッカーアジアカップ時の暴動が、あまりにも衝撃的だったようです。

なぜ自分たち日本人はこんなに嫌われているのか。過去の戦争で日本がどれほど悪いことをしたとしても、少なくとも、サッカー選手は関係ないだろうという感じでしょうか。どこかおかしいという戸惑い、素朴な疑念をいだいたと思います。本能的な、逆の危機感とでもいうようなものです。


いくらこちらが、東アジアの人たちに、“仲良くしましょう” と言っても、相手にされないし、政治的、軍事的な仲間であるはずのアメリカ、ブッシュ政権は、そうすることがまるで当然のようにイラク戦争をはじめてしまい、日本の自衛隊は法律まで変えてでも、それを助けざるを得ない。


ハンチントンは大著、『文明の衝突』 の中で、日本は将来、アメリカにつくか、中国と手を組むか、迷ったあげく、中国側につくと予言しました。歴史的に見れば、放っておけば、日本はそうなってしまうので、アメリカはそれを必死にくいとめろと主張しているわけです。

今の日本は、アメリカにせよ、中国にせよ、どちらかについていけば、本当に平和があるのか、という悩みを抱えているようにも見えます。


いずれにしろ、小泉、安倍政権と続いたことによって、今までの大きな流れが変わったという認識では一致しているように思います。米中、どちらも信頼できない以上、他の国がどうであれ、自律神経を使って、自国のことを考えなければならない段階に意識が高まってきたと思います。


もう、かなり前から、右と左、あるいは、保守VS革新や進歩主義で語る時代ではなくなったと感じられますが、本書の著者、吉本隆明氏 (吉本ばなな氏の父上です) の生き方自体が、それを象徴しているのではないかと感じます。


『言論統制列島 (鈴木邦雄森達也斎藤貴男)』 という本の中で、どなたかが

“昔は、天皇万歳と言っていれば、誰でも右翼になれた。左翼になるには、プロレタリア革命などの勉強が必要で、インテリの多くは、それに惹かれ学生運動をした。今は逆で、権力批判をしていれば、進歩的であるという時代が終わり、国の歴史や文化を語ることのできるものが右翼になれる”、というような趣旨のことを言っていました。


確かに、慰安婦問題南京事件など、教科書の記述だけを鵜呑みにしていて、反対意見を勉強していなければ、今、日本で起きていることが、理解できません。


吉本氏はマルクスを信奉し、かつては新左翼の教組と呼ばれていたかと思うと、あとになっては小沢一郎氏を絶賛。氏の全集でも購入し、部屋にこもって勉強しなければ、正直、本書を読んだだけの、私のような凡人にはとうてい理解を超えています。


本書で、氏はあざやかに、右も左もバッサバサ斬ってしまいます(わかりやすいので、右・左と使いますが…)。「右」は、小林よしのり西部邁・石原慎太郎・西尾幹二新しい歴史教科書をつくる会江藤淳司馬遼太郎 など。「左」=「進歩的民主主義」者は、久米宏・筑紫哲也・岩波書店・朝日新聞 などなど。


編集者の田近氏を、かなり挑発的な聞き手として、戦中、軍国少年だった吉本氏が、どう考えてきたかをべらんめえ調で語ります。どこにもおもねることなく、ご自分で考える姿勢には感心しますが、どうしても未来像が共感を持って響いてきません。 


内田樹氏も、私は非常に好きですが、やがて国家という枠組みはゆるやかに弱まるとどこかに書いていたような気がします(不正確です)。吉本氏も先進国が、工業化から第3次産業に移ることで、国家の解体というものを論じます。


確かに、今、日本と中国が一時的にでも仲直りせざるを得なかったのは、経済的側面、つまりグローバリズムの影響を抜きには考えられません。

国際競争が、これだけ激しくなってくると、利害の一致するものに関しては、時にこうして、靖国問題など、政治を脇においてでも、協力するでしょうが、やがて資源などで、利害が背反する問題が起こった時 (すぐにそうなりそうですが)、競争が激しい分だけよけいに結束しようという動きにならないでしょうか。 


“思想界の巨人” と帯にあります。影響力が強い言論人、世論をリードする知識人と呼ばれる人々が、国境の弱体化を予言しますが、今のところ、韓国も中国も、ロシアも、こと領土問題に関しては、極めて強行です。


国家が解体されるのは日本だけかもしれない、そんな印象をもたざるを得ない一冊でした。


私の「戦争論」

筑摩書房

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『私の「戦争論」』吉本隆明・田近伸和 
筑摩書房:249P:735円 

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『兎の眼』 灰谷健次郎

2006年11月24日 | 児童文学・ライトノベル・子供向け


兎の眼 灰谷健次郎.jpg


小説家の灰谷健次郎氏が、お亡くなりになりました。大変残念です。灰谷氏の作品は 入試にもよく出題される ことで、このブログでもご紹介したことがあります。今日は、氏の代表作、“兎の眼” を取り上げます。


“真の教育とは何なのか” と帯に書かれたこの一冊。涙なくして読めない、多くの感動を与えてくれる名著だと思いますが、灰谷氏自身が “欠点の多い作品” とも述べています。書き足りないところがあったのでしょう。


灰谷氏を語る上で、象徴的なできごとは、神戸連続児童殺傷事件で、「フォーカス」が、当時中学3年生であった少年Aの写真を公開したことに対し、出版社に抗議の執筆拒否を宣言したことです。同時に、ご自分の代表作を含む全ての著作権を引き揚げてしまいました。非常に過激な行動ですね。


世間は、あまりに続いた少年事件の残忍さに対し、少年法 を改正し、厳罰化を求めていく流れでしたが、この行動に灰谷氏の思想を見て取れますね。“子どもに甘い” ということで、激しい批判が時として、灰谷氏に浴びせられる要因です。


陳腐な表現ですが、氏にとって、子どもは神聖なもの、あるいは天使と言ったら良いのでしょうか。そして教師はどこまでも、生徒を理解しようと努め、ともに生きていく使命を帯びているというお考えのような感じがします。


本書では、問題児、鉄三のいるクラスの担任となり、孤軍奮闘の新任教師、小谷先生を描きます。結婚したばかりの小谷先生が、戸惑いながら、時に失神するようなできごとに悩みながらも、苦心に苦心を重ね、鉄三の心を開こうとします。

次第に、人生を深く考えはじめ、まるで成長しない夫とどことなくすれ違いも生じてきてしまいますが、一教師として成長していく中で、クラスは一歩一歩確実に成長していきます。


言葉の一つ一つに子どもたちへの温かい眼差しを感じる作品で、単に美化された子どもたちの純粋さを楽観的に描くのではなく、葛藤の中から弱い立場におかれた者への愛情があふれ出てくるところに灰谷氏の豊富な経験を感じます。

表現方法は小学校の中学年程度から読めるように工夫されており、内容的には大人の心も強く突き動かすものがあります。ぜひお読みください。



灰谷氏のご冥福をお祈りいたします。



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 子どもは社会の宝です。健やかに育って欲しい。
灰谷さんの作品に救われた先生や生徒も多いはず。
どうか安らかに…。                     
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兎の眼

角川書店

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『兎の眼』灰谷健次郎 
角川書店:339P:600円


P.S.  私の思い違いかもしれませんが、灰谷さんのお子さんに関する新聞記事などをご記憶の方がいらっしゃっいましたら、教えていただけるとありがたいです。お願いします。

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『癒しの楽器パイプオルガンと政治 -クラシック音楽もあぶない』 草野厚

2006年11月23日 | 政治・経済・外交
 

『癒しの楽器パイプオルガンと政。』草野厚.jpg


税金の使われ方が本当におかしい。ずっと昔から指摘されていることですが、安倍政権になってからも、また次々と出てきますね。郵政造反組の復党も、政党交付金目当てだともささやかれています。


それに何ですか、あのタウンミーティングの“やらせ問題”。それに関連して、民主党の蓮舫さんが、政府が代理店と結んだ契約の単価内訳表に 「エレベーター手動 単価1万5000円」 と記載されていると指摘した問題。


エレベーターを操作するだけで、15000円の手当てが出ていた!?やりたい人一杯いますね。


また、5年9カ月間に、わずか8日の出勤で、2500万円近くの給与などを得ていた奈良の県職員の問題。同和問題部落解放運動とからんでいたそうですが、誰はばかることなく、高級外車を乗り回していて、どうして今まで発覚しなかったのでしょうか。知っていて何も言わなかった人はどれくらいいるのでしょう。


日本の行政システム、公務員の異常なモラル欠如は、一つの事件など、通り過ぎたら、何もなかったかのように、またすぐに増殖をはじめて、権限拡大に向かう。そのための無駄遣いの事件が、まるで本能のように繰り返されます。先日ご紹介した、『官僚病の起源(岸田秀)』 の説、またかつて読んだ会田雄次氏の主張(書名は失念) もそれを指摘していたように感じます。


さて、本書も税金の話です。テレビでおなじみの政治学者、草野氏の著書です。氏の著作は、以前に、『テレビ報道の正しい見方』 を取り上げました。


「なぜパイプオルガン?」 と思いますよね。草野氏の両親は音楽の教師で、草野氏自身も東京芸大の指揮科を受験し、2回目では最後の二人まで選考に残ったそうです。そこから政治学者とは不思議な経歴ですね。

オルガン愛好家でもある草野氏が日本にある一定規模以上のパイプオルガンについて、日本中を歩き回り調べ上げたものです。外国の大学では一般的らしいのですが、慶応大学でもある程度の期間、大学に勤務していると、長期の自由な時間が与えられ、好きなことを研究してよいのだそうです。


パイプオルガンというのは大きなものになると、2~4億円、重さはなんと70トンを超えるものまであるそうです。しかも製造には年単位の時間がかかり、木工からの手作業で作りはじめるのだそうです。

バブル期を中心に地方自治体が音楽専用ホールを建設し、そこにパイプオルガンを設置したのですが、その購入動機、ビルダー(オルガンメーカー)、商社の選定、入札経緯と結果、利用状況などを丹念に調査したわけです。


オルガン購入も当然税金でまかなわれる公共事業ですが、案の定次々と問題点や疑惑が出て来ます。つまり、政治とは対極にありそうな芸術という分野でさえ、公共事業の構図がすっかり定着している、そのことに驚かされます。 


小泉内閣当時、道路特定財源に手を付けようとして、「熊しか通らないような道路」 とか、「身内企業が独占する道路管理業務」 など、道路公団がらみの税金の無駄遣いが話題になりましたが、それと似たようなしくみが働いてしまいます。


登場するのが、政治家ではなく、東京芸大の教授などということの違いしかありません。ホント、いやになっちゃいます。誰も満足に使えないような高級パイプオルガン、買ったあとのメンテナンスだけでも途方もない額の税金が使われていて、これまた、誰も責任を取らない。


こうなると、当然パイプオルガンだけでなく、ありとあらゆる物に、この構図があると容易に想像できますね。自分の金でなく、他人のお金、税金だからこそ、鉛筆一本に至るまで無駄にしない。基本的にはそう考えてほしいんですが…。


先日取り上げた『UFJ三菱東京統合』 で見ましたように、銀行はバブル期の不良債権処理をしたと言いますが、地方にはこうしてまだまだその頃のつけが、処理されないまま重くのしかかっているだろうと思わざるを得ません。


こんな状態で、消費税を上げられたら、暴動が起こっても不思議じゃないと思うのですが、 世論調査でも消費税UPは仕方ないと思っている、話のわかる人がかなりいます。確かに、金利が上がる前に、たくさん借金を返しておかないと大変でしょうが、“それにしても…、ひどすぎる”、そう感じる一冊でした。




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 P.S. 税金とはあまり関係のない、未履修問題にしても、役所仕事というのは、本当にいつも権限が曖昧で、チェックが甘い。結局、明確な責任を取らないまま、あるいは大きな騒ぎになった時だけ、人身御供が差し出され、しばらくたつと同じような事件が繰り返される。そして組織や仕組みが温存される。何とかしたい!

癒しの楽器 パイプオルガンと政治

文藝春秋

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『癒しの楽器パイプオルガンと政治』 草野厚
文藝春秋:190P:714円

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『子どもはぜんぜん、悪くない。』佐藤弘道 (NHK おかあさんといっしょ)

2006年11月23日 | エッセイ
 

子どもはぜんぜん、悪くない。.jpg


NHKの『おかあさんといっしょ』に出演されていた、体操の“ひろみちお兄さん”をご存知でしょうか?

けんたろうにいさんや、あゆみおねえさんの方の印象が強く(何といってもダンゴ3兄弟!)、私にとっては、影が薄かったのですが、お母さんたちのアイドルだったそうです。 我が家には、ちびっ子が一人、10年前のちびっ子もおりますので、かなり長い間、見ていることになります。


本書はそのひろみちおにいさんのエッセーです。番組を引退し、実に失礼ながら、まるで、歳をとったアイドルの写真集のようで、タイトルもちょっと~、とかなり買うのをためらったのですが、何といっても10年以上のお付き合い(笑)。ですから記念に読んでみました。


当然ですが、大学を出て10年以上たてば、お兄さんも、おじさんの域に入ってきます。佐藤氏も現在は、38歳。番組に出続けている間に、結婚をし、子どもを持ちます。自分も変わりましたが、やはり子どもが変わってきたことに気が付きます。

ただし、タイトルからも想像できるように、彼の目には今も昔も子どもは楽しいこと、歌や体操が大好き。12年間の番組での定点観測から、やはりお母さんが変わってきたのだと確信しているようです。

もちろんお母さんたちを変えてしまう世間の情勢があります。 佐藤氏は新宿の焼き鳥屋さんの息子だそうですから、大都会の変化の激しさを目の当たりにしているのでしょう。学校の先生について、子育て環境の変化についても語り、やっぱり大人がもっとがんばらないと!と主張します。


バクテンをして、大きなジェスチャーで、笑顔をふりまいている姿からはちょっと想像できない、熱いハートを持っている方でした。一つの仕事を10年以上しっかりとやり抜く、やはりそういう方には、何か勉強になるものがありますね。


買って良かった、当たりの一冊! 小さいお子さんをお持ちの方、あるいは先生方にも、ぜひお薦めします。



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子どもはぜんぜん、悪くない。

講談社

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『子どもはぜんぜん、悪くない。』佐藤弘道 (NHK おかあさんといっしょ)
講談社:125P:1000円

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★『試験に出る、時事ニュース』 テスト対策・時事問題(時事ネタ日記をチャック!)

2006年11月22日 | Weblog

 ★★★★★★★★★★★★★(おもに内部生へ)

 とっても重要なことを忘れていました。

受験生諸君、特に中学3年生、時事問題を genio先生がUPしてくれています。明日だよな!今度のテストで、内申点が決まる。つまり入試の持ち点。


ということは…、


   明日の定期テストは本番の入試と一緒!



必ず、必ず、絶対確認しておくこと!!!! すぐにね。今回は結構たくさんあるぞ!


アメリカ中間選挙や、六カ国協議APEC

ボジョレーに、松坂投手、さらにさらに教育基本法やいじめ。

まだまだ、
悠仁さまに、オウムや臓器移植まで。

何をきかれても大丈夫なように、しっかり確認しておくこと!


 

       genio先生のブログ

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   試験に出る!時事ネタ日記!】 

 

すいません。業務連絡のようなものです。大人の方の挑戦してみては?
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『UFJ三菱東京統合ースーパーメガバンク誕生の舞台裏 』日本経済新聞社編

2006年11月21日 | ビジネス書・マスコミ関連


 UFJ三菱東京統合.jpg

銀行の中間決算発表は好調で、ものすごい利益をあげているようですね。また、三菱UFJが住友信託に25億円の支払いで、買収騒動の決着が図られると、報道がありました。


今、振り返りますと、現在のりそな銀行に公的資金注入が決定されて、日本の株式市場は正常化し、ジャパンプレミアムなどといわれた状況が少しずつ改善されたようですね。

小泉・竹中コンビの成果といえるでしょうか。預金の金利はゼロ、国民のお金で不良債権を処理し、空前の利益を上げているのですから、その儲けを、株主だけでなく、一般の国民に対しても目に見える形で、サービスの改善なり、利益還元されることを願うばかりです。当塾のある代々木からは、人のいる銀行がぜ~んぶなくなって、実に不便です。



少し前に取り上げました、衝撃的な一冊 『日経新聞の黒い霧』 の著者、大塚将司氏は、三菱銀行と東京銀行の合併をスクープしました。メガバンクの登場と騒がれましたが、その後も金融界の再編は進みましたね。証券会社、保険会社、信託銀行などなど、はげたかファンドなどと呼ばれる外国資本も参加、さまざまなグループ化がなされました。


ついでに、とうとう郵便貯金までが民営化されるという、10年程前にはとても実現しそうになかったことが現実になったわけです。私はいまだに、ついつい〝さくら"とか、“勧銀” などとやってしまいますし、“東京三菱” か “三菱東京” いつも考えないとわからず、やっと覚えたらまた変わる。ものすごいスピードでしたね。


そして、そのクライマックスは、先日の “スットコ大賞” にも登場した、UFJ銀行の奪い合いですね。(これもスットコのコメントにあったように USJ と時期が重なり、よくわからない銀行名で、ちょっと待ってといいたかった) 


直接的には金融庁とUFJの決算処理をめぐる対決に、UFJが負け、結局、生き残りのために、合併せざるを得なくなったのですが、そこにいたる舞台裏を取材したものです。

とうとう三菱東京とUFJが統合され、預かり資産が世界最大のスーパーメガバンクが登場したわけです。いろいろありましたね。裁判沙汰になったり、逮捕者を出したりと。

住友信託銀行との合併協議打ち切りや、三井住友銀行がUFJを横取りしようとした一件などが、生々しく描かれており、金融機関が不良債権を処理した後も、戦国時代が続いているという印象を受けます。


個人的にも銀行に勤める知り合いが何人かおりますが、話を聞きますと、本当に、体をこわすんじゃないかと心配になるくらいよく働きます。ビジネスエリートとしての強い誇りがなければもたないだろうと感じます。


これからも、外資を含め合従連衡が続くのでしょうか。金融界の覇権をめぐる暗闘のすざましさが良くわかる一冊です。金融機関へ就職を希望する諸君には、ぜひ読んでもらいたいと思います。



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UFJ三菱東京統合

日本経済新聞社

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『UFJ三菱東京統合ースーパーメガバンク誕生の舞台裏』 日本経済新聞社編
日本経済新聞社:315P:1575円

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『若きサムライのために』 三島由紀夫

2006年11月21日 | エッセイ
 

若きサムライのために.jpg


192◎年生まれの若輩 ”とおっしゃる tani先輩は 『三島由紀夫全集、全35巻』を、保証人を付けてまでして購入されたそうです。好きなんですねとコメントしたら、違うそうです(笑)。

ご覧下さい。→  tani先輩のブログ 『狸便乱亭ノート


本書の解説で、福田和也氏は、『 石原慎太郎氏とか、江藤淳氏といった自分よりかなり年上の文学者の方たちと、三島由紀夫の話をするたびに、いつも違和感を覚える。違和感という表現は不正確かもしれない。むしろ、陳腐な云い方かもしれないが、「断絶」と云った方がいいだろう。』 と述べています。


“今の我々にとって、三島は「切腹した作家」であり、世代によってこれほど一人の人間に対して感じ方の異なる作家はいない” という内容です。福田氏は昭和35年(1960年)生まれです。わたしはその更にその数年下。そして三島は1925年生まれで、今なら80歳くらいですね。


私も恥ずかしながら、大学生くらいまで、三島由紀夫といえば、自衛隊に殴りこんで割腹自殺をした変わり者くらいにしか思っていなかったので、あまり小説を読む気にならなかったのですが、本書はエッセー集で、表紙にもひかれて読んでみました。


“紹介文の一節です”

平和ボケと現状肯定に寝そべる世相を軽蔑し、ニセ文化人の「お茶漬けナショナリズム」を罵り、死を賭す覚悟なき学生運動にゆれる学園を「動物園」と皮肉る、挑発と警世の書。

ただし、全編がこのような激しい内容ではありません。非常に知的に哲学的に「人間性」というものに迫ります。その上で、若い読者を想定しているためか、あえて分かりやすい例をあげたり、げきを飛ばそうと、過激な言葉を用いたりしている印象を受けました。

また、猪木正道氏、後の総理大臣となる、福田赳夫氏(大蔵省で一緒にいたそうです!)、さらに、福田忸存氏との対話もあり、読みやすい一冊です。


もう一ヶ所引用しましょう。

(自民党政治を批判して)日本という国は、そうした青年の死の衝動を充足させるものを、全く与えていないんだ。青年にだけじゃない。市民にも与えていない。緑の芝生に赤いお屋根、マイホームのために人間は死なんよ。人間は目に見えるもののためには死なない。人間ってもっとスピリチュアル(精神的)なものだ。


先日、取り上げた、『美と共同体と東大闘争(三島由紀夫VS東大全共闘)』 は、観念的、抽象的すぎる異様な討論で、全共闘の学生は天皇陛下に対し、“醜いじじい” などと語っていたりして、衝撃的であるのと同時に、理解不能だと感じました。


その時の映像 (YouTube) をぜひご覧になっていただきたいのですが、同じ年に出されたこの本で、三島は東大を、“動物園” だと感じていたことを知りました。



とにもかくにも、三島由紀夫は20年以上にわたって、マスコミの寵児であったそうです。私はそれを知らぬ世代ですが、時間さえあれば、(保証人さえいれば) 全集を購入してでも研究してみたい人物の一人です。




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若きサムライのために

文藝春秋

詳細

美と共同体と東大闘争

角川書店

詳細



P.S. 
さて、それをするには、どうしてもその時代背景を知りたいし、時代を知っている方のお話をうかがいたいのですが、私の父でも、まだ若い(1936年生)。実は、これまた、tani先輩の別宅で、名文 『心に残る思い出や本について』  を見つけてしまいました。

ぜひぜひ、その時代をお読み下さい。感動しました。

  tani先輩の別宅 → 『 PETITES NOUVELLES 』。





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 『若きサムライのために』 三島由紀夫
文藝春秋:276P:500円

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『音読英単語Stage2』岡田賢三、温井史朗 【英語、単語帳・覚え方】

2006年11月21日 | 大学受験【英語】参考書など
 

音読英単語2.jpg   音読英単語1.jpg   音読英単語 基礎1200.jpg

今日は、音読英単語シリーズを取り上げます。本書は、私立、公立問わず、かなりの数の高校で使われていますね。学校で渡された人も多いはず。

今回の書評は、 Stage2 大学受験用に関してのものです。


紹介してくれるのは、初登場、アメリカの大学を出て、お父さまも現役の塾講師という、筋金入り、英語講師のサラブレッド!代々木の Jonny 先生です。


以下が、Jonny 先生の書評、解説です。



■■■


単語は繰り返し何度も接すれば覚えられる、ということを強調したいろいろと工夫のされた一冊です。

CDも付いており、例文もテーマごとに分かれていて、その中で同じ単語や類語が何度もくどいくらいに繰り返し出てくるので、覚えるということにおいては連想もしやすく、派生語も含めて思い出しやすいようにできているのではないかと思います。

各テーマは一応のストーリーとして前後の文がつながっているので、文を読んで解釈しながら単語を覚えていくとよりいいでしょう。

ただ不安に感じるのが、例文は繰り返し同じような意味を含むことに重視しすぎたのか、実用的にはやや強引というか、語法としては実践的な文が含まれていることが一つ。

他に、一つのテーマの下にグルーピングすることにこだわりすぎた反面、そのテーマのイメージが強く残り、いざその単語をランダムに個々で問われた時、また違うテーマの下に出題された時にどこまでその意味を思い出すことができるかという点です。

特にテーマの異なる長文で、その単語をきちんと文脈に即した判断ができ、正しい意味が言えるかといえば、それは別問題になるでしょう。


CD、反復練習を通して機械的に覚えさせようとする単語帳は最初の段階としてはいいのですが、いざ実践となるとそこからは単語帳としての役割は100%とはいえないのが現実です。

どの単語帳にもいえることですが、単語帳を勉強する時は、単語もやりつつ、長文も同時に進めてその単語が実際の文でどのように使われているかを考えながら学習していくことが必要です。



■■■



私、VIVAの感想としましては、CD自体はなかなかリズムがあって良いのですが、ひとつひとつ番号を読むのが、個人的には耳障りですね。あと、私の授業では、単語とフレーズのディクテーションテストに、文を読んでくれる“間” がちょうど良いので、使ったりします。


Jonny先生の感覚は、ネイティブレベルですから、不自然な文が気になるのですね。なるほど、私も参考になりました。


もう一点、単語のレベルが、センター試験の域は出ないかなという気がしますので、トップレベルを狙う生徒が使うにはちょっと物足りないですね。 例えば 『ターゲット』などと比べると、かなり易しい印象です。


音読英単語 基礎1200

ビーエスエス

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夢の第一志望へ……

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『音読英単語 Stage2』 岡田賢三、温井史朗 著 Z-kai
増進会出版:1260円
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『大学の話をしましょうか-最高学府のデバイスとポテンシャル』 森博嗣 

2006年11月19日 | 教育関連書籍


大学の話をしましょうか.jpg

大阪大学が、世界史の履修漏れの高校生たちの補習を行うと発表しました。大学が高校生の教科書を使って、単位を認めるそうで、文部科学省も、聞いたことがない そうです。 そりゃそうでしょう。

いろんな指摘が可能ですが、未履修問題が、何も片付いていない段階で、大阪大学は、“必修世界史が未履修でも入学を認める”と宣言したことになりかねません。

もうむちゃくちゃですが、それは別の機会にゆずり、今日はもう一つ別の観点から本書を紹介します。


大阪大学がそれを決定した時、竹中亨教授(西洋史)のコメントは


国際化の時代なのに、学生が第二次世界大戦などを知らず社会に出て行くことに歯止めをかけたい


どうです。


“歯止めをかけたい” つまり、阪大という名門校の大学生が、すでに戦争に対する知識がないというのです。

学力低下の論争の火付け役になった、『分数ができない大学生』(岡部 恒治 , 西村 和雄 , 戸瀬 信之 )という調査報告の本をご存知でしょうか。京都大学、慶応大学という偏差値の高い大学でも、小学生の分数さえできない者が相当数いるという告発です。


これに反論し、ペーパーテストの結果だけじゃなく、“意欲も学力だ”などと、言っておりましたが、現状、そのやる気も学習時間の平均も、国際比較では日本はほとんど世界最低レベル


家庭学習をする子とまったくしない子の二極化はかなり前から進行しています。10年くらいやっている先生は絶対、知っている、肌で感じていると思います。


履修漏れ事件の原因が、受験ばかりを意識した高校教育のせいだ、という主張が新聞などにものります。しかし、これ以上、高校生が勉強しなくなってしまった日本の将来はとても明るいとは思えません。


今の受験制度のままで、学力低下の問題をいっぺんに片付ける方法は、実は簡単で、大学の入学定員を大幅に減らして、受験科目数を増やすことです。実施するのが難しいだけです。

実際、少子化をむかえて、大学は個性を出そうと、定員を減らすどころか、逆に次々と新しい学部を作りますし、中国人留学生まで入れてまでも、一定人数を確保しようと懸命に競う大学までありましたね。 入学試験の科目を減らしたり、AO入試や○○推薦などと、実質は生徒の青田買いをしなければ、質を確保できない、定員に届かないところも出てきました。“歯止めをかける” どころではありません。


本書が、何かの売上ランキングに出ていたので、何も知らずに読みましたが、著者の森博嗣氏は人気作家でありながら、名古屋大学工学部建築学科の助教授なんですね。 上記の点に関して、氏は


昔、必要だから大学がたくさんできた。今は少子化なのだからどんどんつぶせば良い と言い切ります。その通りで、そうすれば、学力低下問題だけは一気に解決しますし、税金の節約になります。大賛成です。


本書では森氏がインタビューに答えるという形式で、教育、特に大学の組織などについてご自分の意見を述べています。大学に籍を置く人間としては、非常にラジカルというか、個性的な意見でしょう。

大学の組織がいかに非効率かということを批判する人は、かなり激しい口調になるのが常だと思いますが、森氏のたんたんとした語り方が印象的です。


作家の中には、教育に関して的確な発言する方が多いような印象を持ちます。このブログでも、これまで、重松清氏の『みんなのなやみ』や 村上龍氏の『希望の国のエクソダス』 などをご紹介しました。


非常に読みやすく、アカデミズムの実態を解説してくれている一冊です。残念なのは、インタビュアーの突っ込みというか、踏み込んだ質問が少ないので、なんとなく、表面的な印象を持ってしまいます。聞きたいことはまだまだあるのに~、という感じでしょうか。インタビューでなく、自分で書かれたものであったらと悔やまれます。 

大学の話をしましょうか―最高学府のデバイスとポテンシャル

中央公論新社

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P.S. ここ二日間、はでに遊ばせていただきましたので、かなりじみな印象ですね、今日の記事は(笑)。実は昨日の川柳も、ランキングでは大変な、高評価をいただきました。ありがとうございます。学問に王道なし【 There is no royal road to learning. 】 と生徒に言っておりますので、あまりの高評価に、“年内はずっとスッコトでいくか” などと誘惑にかられましたが(笑)、私も生徒同様、地道にまいります。

直球あっての変化球だと指摘をいただき、私も変化球投手に代わるのは、もう少し経験をつんだあと。アドバイスを頂いたみなさん、感謝しております。時々は、スットコや川柳なども出しますので、そのときは一緒にはしゃぎましょう(笑)。今後ともよろしくお願いします。昨日までの落差が大きくなりますと決心がゆらぎますので(笑)、できましたら、応援のクリックを… m(__)m (さっ、本よも)
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『大学の話をしましょうか-最高学府のデバイスとポテンシャル』森博嗣中央公論新社:187P:756円

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『〈教育力〉をみがく』家本芳郎

2006年11月19日 | 教育関連書籍
  

指導力不足の教員が問題化しています。

本書は改めて「教育力」とは何か考えます。
議論の前提となる議論という感じです。
それによれば、「教育力」とは
「指導の力」
「人格の力」
「管理の力」
がその柱です。

読んでいて、教育内容によって
指導方法が具体的に議論されていて
とても参考になりました。

また、同じ教育目標でも、
教師の個性によって指導方法も
異なっていてもいいんだということを知り、
ちょっとだけ安心しました。

ただ自分がどんな個性をもった講師なのかは
生徒に聞いてみないと分かりませんが。

“教育力”をみがく

子どもの未来社

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