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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

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『叱らない教師、逃げる生徒』 喜入克

2010年03月20日 | 教育関連書籍

 

愛子さまの登校拒否の報道には驚きました。

公立の小中学校であれば、学級崩壊やいじめなどはどこの学校でもあり得ると思っておりましたが、まさか私立の名門校、しかも皇族がいらっしゃる学習院で起こるとは。

皇太子ご夫妻が、「国民のみなさまにご心配をおかけしており、私たちも心を痛めております。」 とおっしゃり、天皇皇后両陛下は、「いずれかが犠牲になる形で解決がはかられることのないよう、十分に配慮を払うことが必要ではないかと思う」 とまで。


普通、学校関係者はそういう問題は内部で解決するというか、隠したがるものですが、それが公表されたことも意外な気がします。もはや手に負えないほどひどいということなのでしょうか。今後どういう経緯をたどるのか気になります。

現場の先生方は大変でしょうね。学習院には抗議の電話やファックスも多数送られているそうですから。


さて、本書は学校現場の教員達の抱えている問題が非常にわかりやすく、実例を挙げて説明されています。学習院の教育方針はよくわかりませんが、一般的に 『自分らしさ・個性』 を尊重するということが、『今の自分のままでよい』 ということになってしまいました。結果として、社会に出る前に身につけておくべき、大人としての振る舞いは身に付かず、未熟で幼稚なままで成人してしまうということです。

学校へ行きたくなければ、行きたくなるまで待つということになるし、修学旅行も自由参加。むしろ行きたくないような学校が悪いことになってくるというわけです。

様々な実例を挙げて、現場の教師ではどうしても手に負えない事態を紹介します。なるほど我々が学校の実態を正確に把握する難しさも痛感します。教師にはさまざまな“縛り”があるのだと分かります。とても自分には務まりそうもない、やる気のある学校の先生ほど厳しい状況に悩まされそうです。

そして、こういう本をご紹介するたびに思うのですが、学校はすぐ身近にあるにもかかわらず、また子供の担任の先生とは気軽に話せるにしても、こと学校という組織やしくみ全体となると、得体の知れない部分があるなぁと。


今年に入っては、北教組の違法献金の問題もありました。まじめにやっている先生方にとって、あるいは教師を信頼したい親にとっても許しがたい犯罪です。何よりもそんな環境で学ばなければならない子供たちは…。


相変わらず、いじめによる自殺事件も後を絶ちませんし、ついにというか天皇陛下までコメントを出しておられるわけですから、学校というものが依然として期待に十分応える教育を実践できているとは、残念ながら考えられません。



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叱らない教師、逃げる生徒―この先にニートが待っている
喜入 克
扶桑社

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『昔話が育てる子どもの心』 軽澤照文

2008年07月15日 | 教育関連書籍


昔話が育てる子どもの心.jpg


夏休みといえば読書感想文が宿題の定番ですが、読書習慣の付いていない生徒には大変な苦痛のようですね。確かに学校などが指定する課題図書が 「おもしろくない」 と感じてしまうと最悪。気持ちはわかります。

だからといって何の本でも良いよというわけにはいかないのでしょうかね。映画やビデオなどだけを見て書こうとする輩がいます(笑)。三国志を漫画で読んで、吉川英治にしているのも…。あの手この手ですね。

「去年と同じでいいや」 と言っているのまでいました!


子供に読書の楽しさを教えるにはどうしたらいいか。これは難しい問題で、私もご父母との面談で相談を受けることが多いのです。やはり自分が “ハマる” ような一冊に出会うことが何よりですが、生徒が積極的にそれを探すわけではないのでチャンスがなかなか訪れません。

一方で、幼い頃から本が大好きという生徒も少なくはありません。感想文にすることが苦手でも読むのが好きという生徒もいますね。

そういう本好きの生徒に聞いてみますと、やはり自然とそうなったのではなく、子供の頃に親や先生から本を読んでもらう、もしくは話をしてもらったことがきっかけだったと感じているようです。


この本の中では、様々な教訓、智恵を含んだ世界中の神話や昔話、そして学校の怪談も載せています。それらの話を紹介しながら、小学校教諭である著者自身の体験、考えを交えながら、優しく語りかけています。

大人が読んでも十分楽しめますが、なかなか本を読まない子供にも、この本の中で紹介されている話を読み聞かせてあげ、読書の面白さを知るきっかけになってほしいと思い、取り上げてみました。


目次です。

第1章 昔話と人生―運命・勇気と行動力・偶然・無用の用・なぞなぞ
第2章 人生を支えるもの―自然と人間
第3章 人生に必要な想像力
第4章 人間にとって幸福とは何か
第5章 こわい話、悲しい話が育てるもの
終章 昔話―過去と未来をつなぐもの


当教室でも、各講師がことあるごとに生徒たちに本を読むように勧めますが、すると、すかさず 「じゃあ宿題減らして!」 と…。


目次を見ると固い印象ですが、漠然と 「本を読みなさい!読書だ、読書!」 というよりもまず、こういう考え方を参考にしたらどうでしょう。




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昔話が育てる子どもの心
軽沢 照文
文芸社

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『学校が自由になる日』  宮台真司、藤井誠二、内藤朝雄

2008年07月14日 | 教育関連書籍


学校がゥ由になる日.jpg


大分県の教員採用や昇進などに関する、校長や教頭と教育委員会などのからんだ汚職事件は底なしの様相です。

個々の教員の不祥事が報じられるだけで、ただでさえゆらいでいる学校の信頼が危うくなる気がするものですが、今回の事件は教育界に絶望を抱かせるほどの衝撃でした。大分県の生徒、ご父母の動揺はいかばかりでしょう。この混乱が収まったとしてもぬぐいがたい不信感が残ってしまうような気がしてなりません。


教育委員会と教員組合が結託しており、試験の答案は即座に処分され、また議員の口利きまでも…、というのですから、そうなると外部からはまったく見えない採用の過程だったのだとわかります。

どの新聞も当然、社説でこの教員採用汚職の問題を取り上げていますが、すべて共通して、“大分以外にも~” と言及しています。


本書は以前ご紹介しましたが (以前の記事 ⇒ 『学校が自由になる日』) 今回の大分の事件を受けて、もう一度取り上げたいと思います。学校や教育委員会などの何が問題なのかを、三名が独自に分析し、その対策などを提言します。


目次は以下のようなものです。

学校の何が問題なのか(二つの尊厳観;日本的メンタリティの構造 ほか)
少年犯罪と新少年法(「コンクリート詰め殺人事件」の取材から;「犯罪の底」が抜けた ほか)
学校の閉鎖性―なぜ学校は閉じるのか(事件の経過;口を閉ざす二つの理由 ほか)
学校リベラリスト宣言(中間集団全体主義;いじめ問題 ほか)
自由な学校、自由な社会の設計(リベラリズムの射程―「学校リベラリスト宣言」を読んで;共生の・B>エ理を探る ほか)

宮台氏は、特に激しい言葉で日本の教育界を批判します。そして教育界の内向きの体質を批判する材料として、千葉県の例を出します。

何と、千葉県の教員の6割くらいが、世襲のような二世教員ばかりだというではありませんか。教師という職業が既得権益化しているという指摘です。


これを最初に読んだ時は、本当なんだろうかと目を疑いましたが、今回の大分の事件を聞いて、すぐに本書の指摘を思い出した次第です。もちろん公平に採用されていれば、大分とはまったく無縁の現象ですが、あまりにも先生という職業が特別視され、グループ化するのは良いとは思えません。

実際に、これまでも他府県で教員採用などの不正が摘発された事件もありますし、いまだに教員採用の基準が曖昧なままになっているところも多いようです。


一昨年に大きな問題となった、生徒の相次ぐ自殺と教育関係者たちのその対応。さらに全国に広がっていた、高校の未履修の問題。

いずれも根が深い問題だと感じましたが、そもそも採用の段階から組織ぐるみで不正があったという、今回の大分の事件は、日本の公教育の信頼を根底から揺さぶっていると感じます。



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学校が自由になる日

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『声に出して読みたい日本語』 齋藤孝

2008年02月05日 | 教育関連書籍


声に出して読みたい日本語.jpg


草思社の本で何か紹介していない本を探したら、本書がありました。ご存知ですよね。確か爆発的に売れたイメージがあるのですが…。

日本の伝統的な音読、暗誦文化の衰退を嘆く著者が、その復興を狙って、専用のテキストとして本書を上梓しました。英語を教えていましても、最近暗誦や音読をしないと感じますが、確かに子供たちは日本語の暗誦もしていないように思われます。


発売当時はこれほど広く支持を受けるとはとても考えられなかったそうです。というのも本書は一応、子供から老人までを対象にしていますが、取り上げられている題材は、古典中心で古事記般若心経平家物語土佐日記徒然草、さらに古典落語、国定忠治、いろはかるた、百人一首などなど。

「赤木の山も今夜を限り~」や「国破れて山河あり~」、「少年老い易く~」などが載っているのですが、それにしても般若心経までとは…。

我々大人でも解説なしでは意味のわからないものが多く含まれています。著者もあえて若者に迎合することなくレベルを維持したと述べています。


実際いくつかやってみますと、リズム感が心地よく実に楽しいもので、それを他人に聞いてもらいたくなってしまうから不思議なものです(笑)。


確かにこれなら子供でも意味はわからずとも「春はあけぼの。やうやうしろく…」などと楽しく日本の伝統文化に触れられ、知らず知らずのうちに言葉の宝石を身に付けさせてくれそうです。

英語であれ国語であれ音読、暗誦というのは説明しがたい言葉の力を体に吹き込んでくれるものです。そして、それが語学学習の礎になるのです。


さらに本書で特筆すべきは、各題材に付された訳出、解説がおもしろく読みやすいということです。暗誦を後回しにして、それだけでもすべて読みたいと思われることでしょう。

これだけ反響があったということは、多くの人が日本語の美しさに関心があることの証左でしょうし、そういう気持ちに学校や塾は応えきれていないのかも知れません。

歴史的名文の中から暗誦に適したものが選び抜かれており、その上実用的。妙な言い方ですが、今すぐ暗誦せずとも一家に一冊置いておきたくなるような本ではないでしょうか。お薦めの一冊です。


目次は以下の通りです。

1 腹から声を出す
2 あこがれに浮き立つ
3 リズム・テンポに乗る
4 しみじみ味わう
5 季節・情景を肌で感じる
6 芯が通る・腰肚を据える
7 身体に覚え込ませる・座右の銘
8 物語の世界に浸る



P.S. 今、アマゾンで確認したら、ものすごい数のシリーズが出ていたんですね。売れていないとは思えないんですが…。



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声に出して読みたい日本語
斎藤 孝
草思社

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『ゆとり教育から個性浪費社会へ』 岩木秀夫

2007年10月01日 | 教育関連書籍


ゆとり教育から個性消費ミ会へ.jpg


文部科学大臣をころころ代えてしまった小泉元首相から、教育問題にやたら熱心な安倍前首相、そして、現在、福田首相の誕生となりましたね。いったいどういう教育観をお持ちなのでしょうか。

昨日、所信表明演説をしたそうですが…、今日にでも原稿をチェックしてみましょう。


いずれにしろ、新聞報道などを追っていますと、ここのところずっと 「ゆとり教育」 と決別する方向性は確かですね。ただし教育予算が増えるのは不明ですね。

さて、本書は、易しい内容とは申し上げられませんが、教育問題に関心のある方には、大変示唆に富む一冊だと思います。

文部科学省が打ち出す指導要領をはじめとするさまざまな施策、それらが現実の社会の流れの中でどう生まれてきたか、本当にこれからの社会は今の教育政策でよいのかなどを検討しています。

正直、“個性浪費” という抽象的な言葉に魅力を感じ、気軽に手にとってみたものの、ポストモダンなどの現代思想というか、社会学とのかかわりで教育や世間が論じられており、意表をつかれました。ところどころ整理するために読み返さなければなりませんでしたが、こういう論点は私には非常に新鮮に感じられ、おもしろかったです。


個性浪費社会という言葉を説明するのはとても難しいのですが、社会のマクドナルド化(アメリカの社会学者の造語)が進み、皆が感情を抑えて、マニュアル通りの対応をするようになり、顧客の側の対応までも計算され尽くしています。


そういう社会では、人をかつてのように地位や所得で判断するのではなく、表層的な個性に囚われて判断するようになるわけです。つまり、本来豊かな人間性を表すはずだった 『個性』 が今や、競争に残るための道具と化し、アイドルの低年齢化などはその顕著な例である。 そんな感じでしょうか。

そういう次々と新しい個性を生み出しては、消えていく社会のことを個性浪費社会といっているのだと思います。その変貌し続ける社会と教育行政を論じています。

目次を紹介しておきます。


第1章 世紀末学力論争の構図(日本教育史の流れからみた「ゆとり改革」;これまでの能力主義を回復すべきなのか―近代能力主義派の議論 ほか)

第2章
 近代能力主義(モダン・メリットクラシー)の歴史としくみ(学校と社会の接続のしかた;初めから全国標準化された日本の学校系統 ほか)

第3章
 バブルと「新たなこころの発見」―ゆとり(脱近代カリキュラム)改革の経過(臨教審(一九八四~八七年)の逆ベクトル改革
教育的価値のコペルニクス的転換 ほか)

第4章
 文部行政の宮廷革命―ゆとり改革と脱近代能力主義の政治力学(すべてのはじまりの臨教審(一九八四~八七年)
バブル教育政策を支えたポストモダニズム官僚・学者たち ほか)

第5章
 脱近代能力主義(ポストモダン・メリットクラシー)の近未来(資本主義のフロンティア―地理的外延から「こころ」へ;国際能力主義(グローバル・メリットクラシー)の成長 ほか)


 “ゆとり教育” なるものに私も反対ですし、多くの論者がさまざまな観点から分析を加えて、教育行政の転換を求めてきました。拙ブログでもいくつもそういう書籍を取り上げました。

本書の筆者は、さらにもう一歩引いた視点から、なぜみなが反対するような文部行政がまかり通ってしまうのかというところまで掘り下げています。

私は教育学部の出身ではありませんから、教育史的な流れ、社会学的分析がよけいに新鮮で、何回か読み返しました。読みやすい本ではないので、生徒などに薦めるかどうかはさておき、個人としてはさらに岩木氏の著作を読んでみたいと思いました。



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ゆとり教育から個性浪費社会へ
岩木 秀夫
筑摩書房

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『オール1の落ちこぼれ、教師になる』 宮本延春

2007年07月11日 | 教育関連書籍


オール1の落ちこぼれ教師になる.jpg

 

ヤンキー先生” こと義家弘介氏が、自民党から参院選比例区に立候補するそうです。驚きましたね。義家氏には教育再生会議での活躍を期待していただけに、残念です。伊吹文部科学大臣がちょっとしたいやみを言ったそうですが、正直、私も釈然としません。

そのために、“教育再生会議” の委員を辞任したわけですが、その後任が “オール1先生” と呼ばれる本書の著者、宮本延春氏です。

“ヤンキー” のあとがまが “オール1”!? まるでドラマのシリーズものの続きでも見ているようで、話題つくりが先行してしまっている印象です。少し心配なのですが、有名人を揃えることで教育に対する世論の関心を高める効果があるのでしょうか。


それはともかく…、

本書は良いです。宮本氏が政府の機関に属してどこまで活躍できるかは知る由もないのですが、宮本氏のような考え方がひとつでも多くの教育現場で実践されることを願います。

書名からわかるように、宮本氏はオール1の通知表をもらうくらい小学校・中学校の勉強がわかりませんでした。ひどいいじめなどによって、不登校になり、家庭内暴力や貧困にあえぎながらの生活だったようです。

高校進学など夢のまた夢、中学卒業後は大工の見習いになりますが、さらにひどい職場のいじめにあいます。16歳の時に母が亡くなり、職を転々としている時期にラーメン屋だった父も病死。兄弟もいないため18歳で天涯孤独の身になります。


その少し前、部屋にこもり、自分の人生の目標を考えに考えて出した結論が音楽活動で食っていくこと。フリーターをしながらバンド活動に没頭するもやはり現実は厳しい。やがてその仲間の紹介してくれた建設会社のアルバイトで働くうちに、これまでとは違う心優しい人々に出会い、仕事の楽しさをはじめて経験し、転機を迎えます。

そこの社員となり、仕事に必要な資格を取るために九九を覚えなおし、勉強が始まります。人生の目標が変わります。仕事と勉強に熱中し、バンドは楽しみながら。昔からやっていた少林寺拳法に励む。そんな充実した生活を送れるようになったころ、さらに目標を劇的に代えてしまったのがアインシュタインを扱ったテレビ番組。

彼女(今の妻)が貸してくれたそのビデオを見て、科学や自然の不思議さに打たれ、23歳で小学校3年生の算数ドリルから勉強を始め、仕事を続けながら定時制高校に入学します。

そこでも、ちょっと信じられないくらいの暖かい先生たちの励ましや、楽しい仲間に出会い、人生ではじめて、楽しい学校生活を送ります。どんどん学問にひかれていき大学受験を決意。

寸暇を惜しむ不断の努力と、周囲の暖かい協力を得て、見事、難関の名古屋大学に合格します。9年間研究に没頭し、大学院卒業後、36歳で母校の教師なるというストーリーなのです。


目次です。

第1章 オール1の落ちこぼれ先生―オール1先生の授業

第2章
 どん底の十代で考えたこと―“いじめ”と“学校嫌い”

第3章
 アインシュタインとの出会い―アインシュタインと彼女

第4章
 定時制高校での猛勉強―目標は超難関大学

第5章
 オール1から大学受験へ―大学受験

第6章
 なぜ勉強するのか―大学生活

第7章
 オール1教師の学習法―落ちこぼれの勉強法


大変読みやすく感動的な一冊で、小学生から大人まで手に取ることのできる内容だと思います。九九さえ覚えていない、中学を出た時に知っていた英単語は、本屋の看板で覚えた book のみというのです。

ここから、塗炭の苦しみを味わいながら、猛勉強で自分の道を切り開いたわけです。もちろん人並み以上の頭脳と努力をいとわないまじめな性格があればこそなんでしょう。

本書を読んだだけでは、どうして多感な若者がこんな苦しみにぐれることなく耐えられたのか、素直な気持ちを失わずにいられたのかわかりませんが、やはりキーワードは 『夢』 や 『目標』 ということのような気がします。

最後に紹介されている勉強方法にしても、いわゆる“王道”です。周囲のアドバイスもたくさんあったのでしょう。さまざまな工夫がされ参考になりますが、特別なテクニックがあるわけではありません。

全編を通じて、『目標』 を持つことの大切さ、それに向けて 『学ぶ』 ことの意義を生徒たちに伝えたい気持ちがあふれています。

現在は先生ですから、通知表を付ける側ですが、やってもできない子には徹底的に付き合うが、やらない生徒には1を厳しくつけるそうです。

いじめなどによって、夢や希望を失ったまま生きている生徒の力になりたい、そして本書を読んだ人の人生に少しでもヒントを与えたい、そんな気持ちを感じる一冊でした。
 


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オール1の落ちこぼれ、教師になる

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『子どもを育てる絶対勉強力』 外山滋比古

2007年05月17日 | 教育関連書籍


外山滋比古(子どもを育てる絶対勉強力).jpg


外山滋比古氏の著作は、私が受験生だった頃、また英語を教えるようになってから読んだものの中にも、いろいろご紹介したいものがあるのですが、最近本書を見つけてしまい、おもしろかったので取り上げます。

いつも “ことば” にこだわった教育論とか、言語論を展開しているイメージでしたが、本書では、教育を正面から論ずるというよりは、どちらかというとエッセー風に書かれており、読みやすい上に参考になります。

外山氏の著作は去年の入試でも、桐蔭学園中学で出題されましたし、やはり公立高校の入試出典、作者別ランキングでも、当教室で調べた限りでは、第5位と相変わらず入試との相性の良さを発揮しています。その意味でも読んでおいて損はないと思いますよ(笑)。

 
 ⇒ 公立高校入試に出題される本・作家ランキング 



お茶の水女子大の教授時代に、同時に附属幼稚園の園長をかねておられたそうですが、大学生に教育論を語るというより、まるで幼稚園のお母さんたちにこうしたら良いですよと語りかける感じがします。そんな一冊です。


例えば、ことばというものを3つに分類します。アルファ :ベータ :ガンマとして…

アルファ: 最も基礎になる名詞など、目の前のものを表すための直接的なことばで、自然に身に付ける。

ベータ: 虚構、フィクション、創作などをするために想像力を働かせるためのことばで、子どもにこれを身に付けさせるには、物語、おとぎばなしをたくさん聞かせる、読ませる。そこから現実的ではないストーリーを読み取る。学習とは非現実の認識の作業なので、ベータのことばと学習の関係は深い。

ガンマ: ベータのことばから、ストーリーを取り去ったことば。理論と呼ばれるもので、日本人がもっとも苦手なことば。物語ではガンマのことばの力は育たないので、論理的な文章を読んで身に付けるしかない。その昔、幼い子に漢文を読ませたのは効果的だった。

こういうことをきちんと知って、国語教育に当たるのが良いというようなことが書いてあります。


目次は以下のようなものです。


第1章 勉強がはかどる絶対条件(朝飯前;集中 ほか)

第2章
 子どもの語感を育てる(三つのことば;エピソード的・意味的 ほか)

第3章
 子どものやる気をおこすコツ(雑念を払う;ブタモキニノボル ほか)

第4章
 効率がよくなるちょっとした習慣(聞きわけ;居ハ気ヲ移ス ほか)


外山氏らしく、とにかく “はじめにことばありき”、なのですが、ではその語感を磨くために知っておくべき考え方、それを身につけるための習慣や考え方はどういうものかについて興味深い指摘がなされます。


『頭の良い子に育てる37のコツ』 と書いてありますが、上で申し上げたように体系だったものではありません。『合格レーダー』 という受験雑誌で連載していたものをまとめたものです。

お読みになって、取り入れたらおもしろそうだというものをメモでもして、実践されたらいかがでしょうか。


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子どもを育てる絶対勉強力

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今日からアマゾンでは、クリアランスセールを行っているそうです。アマゾンにもバーゲンがあったんですね(笑)。知りませんでした。普通の本はほとんどないのが残念ですが、洋書などは大幅に安くなっていました。

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『なぜ教育論争は不毛なのかー学力論争を超えて』 苅谷剛彦

2007年04月25日 | 教育関連書籍


なぜ教育論争は不毛なのか.jpg


全国230万人以上の小6・中3の生徒たちが参加した、昨日の全国一斉学力テスト、数で言えばセンター試験の4倍近くですね。このテストに関しては、以前のコラム 『学力テストに関して:新しい教科書問題』 で書きました。


端的に言えば、生徒の基礎学力を上げてやりたい、進路指導をしたいと思う先生方と、まじめに勉強していても、塾に通っていない生徒たちに正確な情報を与えるためには、(問題も見ておりませんので)今回のやり方がベストかどうかはともかく、テストは絶対に必要だということです。

そもそも実態がわからないままでは、議論すらかみあいません。

ついこの前発表された、国立教育政策研究所の実施した学力テストの結果では、危惧したとおり、英語・数学などの科目ではっきりと二極化している様子がわかります。点数分布で山が二つできてしまいました。

  ⇒ 調査集計結果 (国立教育政策研究所)



そしてこの学力格差の広がりを、ゆとり教育の論争以前からいち早く指摘していたのが本書の著者、苅谷剛彦氏です。これまで、氏の著作や共著のもので、『教育改革の幻想』、大村はま先生との 『教えることの復権』、橘木俊詔斉藤貴男氏らとの 『封印される不平等』 を取り上げました。


今回のテスト、やはりあいかわらず、新聞、特に地方紙には “ランク付け” だの “序列化” “過当競争” といった否定的意見が載っていました。確かにテスト結果の使い方には慎重を要すると思いますが、テストをしなければますます格差は見えにくくなってしまいますし、社会の階層化にすらつながりかねないと思うのです。

NEWS23の報道では、広島県の学力向上を公約にした街と、唯一今回のテストに参加しなかった愛知県犬山市の、ある勉強が苦手な一人の生徒だけを取り上げて、全国テストを論じていました。とにかく基礎学力を測るのに、“印象論”や政治を持ち込んで欲しくないなぁというのが本音です。


日本を滅ぼす教育論議』で岡本薫氏がいうように、また『授業の復権』で森口朗氏が指摘するように、学校の役割を整理して議論して欲しいと思っています。

義務教育というかたちで、学習の“機会の平等”を与えれば、“結果の不平等”は当然出てきます。序列化とはまったく別の問題です。スポーツでも音楽でもあるでしょう。


それを検証もしないまま、ゆとり教育だの、総合的学習だのと次々と現場を混乱させ、結局格差は開く一方で、気が付いてみると、苅谷氏が指摘するように、東大に入る生徒は所得の高い家庭ばかりという状況になっています。すでに機会の平等すらあやしくなっているというように認識しています。


以前、苅谷氏がNHKの教育テレビで、ゆとり問題を論じているのを見ていたのですが、単に客観的な数字や状況を紹介しているだけのような冷たい印象(笑)を持っていましたが、本書を読んでその意図が分かりました。

不毛な論争に巻き込まれたくなかったのですね。本書ではご自分の言葉で、明確な主張をしています。学力論争は決着済みであるから、きちんと政策評価や資産の再分配ができるしくみにしようということです。


以下が目次です。


序 教育の論じ方を変える

第1部 学力低下論争の次に来るもの(もう、学力論争は終わった;一九九九年風は「ゆとり教育」のほうに吹いていた ほか)

第2部 なぜ教育論争は不毛なのか―メディア篇(独立行政法人化報道に欠ける「そもそも論」;消費される「動機理解」の事件報道 ほか)

第3部 なぜ教育論争は不毛なのか―行政・政治篇(「学習指導要領」の方針大転換;教育改革国民会議を読み解く ほか)

終章 隠された「新しい対立軸」をあぶり出す(なぜ「階層化」が問題だったのか;なぜ「子ども中心主義」教育が問題なのか ほか)


「ゆとり」か「詰め込み」かなど、左右対立の図式の観念論をやめて、正確なデータに基づく教育政策をぜひ実行して欲しいと願います。 “熱い教育論” を闘わせるよりも、まずは、さまざまな資料を分析し、現状の共通認識を作り上げるのに、今回のテストが大いに役立つと良いのですが。


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なぜ教育論争は不毛なのか―学力論争を超えて

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『家族力―「いい親」が子どもをダメにする』 ジョン・ロズモンド 大沢章子・訳

2007年04月21日 | 教育関連書籍


家族力.jpg


ブログでも子育てを話題にしているものは多いですね。本当に子育ての悩みは尽きません。私も何冊か取り上げました。実際に自分の子どもを持ってみてはじめて、子育ての難しさを痛感しました。いや大変です(笑)。


それで、自分の子どもが生まれてから、本当にずっと不思議に思っていたのですが、こんなに大変なのに、今より貧しい時代、今よりずっと余暇も少なくて、家庭電化製品がなくて、さらに手間がかかったはずの昔の人は、どうしてたくさんの子どもを育てることができたのでしょう。だって昔は5人6人の兄弟、姉妹は珍しくなかったですよね。

本書では、いきなりそのことを、あるエピソードを紹介して、取り上げており、“そうそうこれこれ”、という思いで夢中で読みました。


偶然、飛行機の中で筆者の隣に座った老婦人は7人の子どもを生み、みな普通に育った、離婚した子もアル中もいないと。夫を戦争で取られている間は働くシングルマザーで苦労したと話したそうです。

筆者が、「その当時、子育てを大変だと思ったことはありますか。まわりの人たちはどうでしたか」と尋ねると、どうしてそんなことを聞くのか分からないという表情で、「いいえ、普通にやっただけです」 という答えでした。


筆者が言いたいのは、子育ては難しいものではなく、“普通”にやれば、苦労することはないし、失敗することも少ないはずだということ。問題はその“普通”を現代の親たちの多くがわかっていないか、誤解しているということです。

その証拠に、子育てについて、例えば、近所にいる“普通の”年配の人や自分の親などに相談するのではなく、本屋へ行って、本書のような、“専門家” の書いたものをさがし、それに頼っているではないかと(笑)。何か特殊なことだと勘違いしているというわけです。なるほど…。


子育てのおおまかな原則を以下のようにしています。目次を紹介しましょう。


序章 バック・トゥ・ザ・フューチャー

第1章
 子育ての基本原則その一―子ども第一ではなく家族第一(何が一番かをはっきりさせる)

第2章
 子育ての基本原則その二―しつけに必要なのは、罰ではなくコミュニケーション。信頼関係を結ぶことではなくリーダーシップ

第3章
 子育ての基本原則その三―子育てとは人を大切にする心を育てること。自尊心を育てることではない

第4章
 子育ての基本原則その四―大切なのは礼儀を教えること。技術を習得させることではない

第5章
 子育ての基本原則その五―大切なのは責任感を育てること。よい成績をとらせることではない


子育ての目標は、子どもを幸福にすることではない、と念を押します。なぜなら、幸福というのは、立派に生きているときに結果として感ずるものであって、目的にはなりえないからだというのです。

幸福を目指した典型がヒッピーであり、なんと、筆者夫妻もかつてはヒッピーだったそうですが、彼らには何の目標も無く、何も成し遂げられず、悪い夢を見ただけだと振り返ります。

幸福とはなすべきことをし、品行方正に生き、よき隣人となることによって、得られるもの。多くの専門家が完全に間違って、子育てを複雑にしてしまった。故障していないものを修理が必要だと騒ぎ立てた結果だというわけです。


アメリカで流行っている、褒めることで成績が上がるなどという考えは、心理学的な神話だとも言い切っています。自尊心というのは非常に大切だけれども、実績のともなっていない賞賛をもらいながら育つと、自分で何かを達成することではなく、社会や法律や会社から、常に何かを与えられるこを期待した大人になると警告しています。本人はいいが、まわりはたまったものではないと。


他にもいろいろ示唆に富む指摘があるのですが、特に親の言葉遣いや振る舞いに関するところはおもしろかったです。全体的には、子育ての原則が書かれていて、細かい内容はあまりないのですが、言葉遣いはいくつかの具体例が出ています。

例えば、次の二つの言い方、どちらが好ましいでしょうか。


 「もうブランコは終わりよ。家に帰る時間だからね」

 「もう家に帰る時間よ。ブランコを降りて、行きましょう」


どちらでもいいですよね、素人から見ると(笑)。良いのは下だそうです。指示のあとに理由を付けると子どもの関心は理由の方へ向かい、口ごたえしやすくなると。他にもいくつかの例があるのですが、私にはこれが一番難しかったです。


筆者は、“家族心理学者” というそうで、子育てに関する本をたくさん出し、そのいずれもがベストセラーになっているそうです。毎週200誌以上の新聞にコラムが同時掲載される人気コラムニスト。


確かに分かりやすいし、多くの点で共感できます。以前、ご紹介した 急がされる子どもたち(ディヴィッドエルカインド)にも通じる主張ではないでしょうか。筆者が専門家に頼るなと言うのですから、おすすめしにくいのですが(笑)、一読の価値ありだと思います。気が楽になったように感じます。





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家族力―「いい親」が子どもをダメにする

主婦の友社

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『家族力「いい親」が子どもをダメにする』ジョン・ロズモンド 大沢章子・訳
主婦の友社:189P:1365円


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『全「歴史教科書』」徹底検証する』 三浦朱門

2007年04月13日 | 教育関連書籍


全歴史教科書.jpg



・・・1945年8月6日には広島、9日には長崎にアメリカ軍は、原子ばくだんを落としました。1発のばくだんでいっしゅんにして数万人もの人々がなくなりました。ソビエト連邦軍も満州にせめこんできました。日本は8月15日、ついに降伏しました。こうして、アジア、太平洋を戦場とした15年にもわたる戦争が、ようやく終わりました。・・・


これは東京書籍の小6社会の教科書の記述だそうです。自分で確認したわけではないのですが、ポツダム宣言という言葉がありません。また小6にしては、やたらとひらがなが目に付いて、かえって読みにくいと思うのですが、どうでしょうか。


別の教科書を見てみました。教育出版の小学社会6上です。


アメリカ軍は、8月6日に広島、9日には長崎に原子爆弾(げんしばくだん)を投下しました。地上1万mまできのこ雲が立ち、熱線と爆風で、建物はくずれ、人々は体を焼かれて、まるで地獄(じごく)のようなありさまでした。原子爆弾によって、広島・長崎の両市では30万以上の尊(とうと)い命がうばわれました。現在でも、その後遺症(こういしょう)に苦しむ人々がたくさんいます。
満州(まんしゅう)や樺太(からふと)(サハリン)南部にはソ連軍がせめこみ、多くの日本人がぎせいになりました。こうした中で、8月15日、昭和天皇(てんのう)がラジオで日本のこうふくを伝え、15年にわたる戦争はようやく終わりました。同時に、、朝鮮(ちょうせん)や台湾(たいわん)は日本の支配から解放されました。




こちらもありませんね、ポツダム宣言。原爆の死者に関して、前者が数万で、後者は30万以上となっています。また漢字の使いかたも違います。片方では、“ばくだん”で、もう一方では“爆弾”。逆に片方が“降伏” と漢字なのに一方で “こうふく” となっていますね。細かいことはともかく、ある程度統一しておく必要はないのでしょうかね。


私は高校英語の講師ですので、小学校社会の細かな規定やこれが“ゆとり教育”以降のことなのかは知りませんが、さすがに歴史を教える教科書からポツダム宣言を省くのはまずいし、死者の数も違いすぎると思います。


ちょうどタイミングよく genio先生が、第二次戦争に関して、小泉首相の談話から出された開成中学の過去問を紹介しています。それと教科書を比べるのはどうかと思いますが、みなさんぜひチャレンジしてみてください。
  
    genio
先生のブログ ⇒ 試験に出る!時事ネタ日記!』 


 



習った漢字:ゆとり教育の成果は』で指摘したように、分かり易くしようとして、長い説明を省いたり、漢字をさけたりすると逆に頭に残りにくいと思うのですが…。“日本のこうふくを”⇒ 幸福 と思わないかな~とちょっと心配。


本書は、中学生が使う歴史教科書を比較したものですが、その前に、もうひとつ…。

テレビのニュースで、中国の温家宝首相が代々木公園で一般の人に混じってジョギングをして、言葉を交わすシーンが流れましたが、その時のあいさつで、温家宝首相が 『○○○』 と中国語で名乗りました。すかさず通訳の女性(おそらく中国人)が 『オ・ン・カ・ホ・ウです』 と言いました。あっ、日本語読みで良いんだと思ったわけです。

朝日新聞のサイトでは “温家宝” 首相の読み方は、オンカホウではなく “ウェン・チアパオ”首相と書いてあって、混乱しますが、実は東京書籍の中学の歴史教科書では、本書によると、“蒋介石” は人名索引で引いても「ショウカイセキ」のところに出ておらず、中国読みの「チャンチェシー」のところで引かなければならないそうです。


歴史教科書の検定のおり、扶桑社の教科書があれだけ批判されたために、どんなすごい本なんだろうかと思って自分で読んでみました。拍子抜けするくらい、普通の本でしたね。

手元にあった他の教科書一冊と比べても、扶桑社の方が読みやすい教科書だと思いましたので、いったいどうしてこんなに批判されるのか、批判されない教科書と何が違うのでしょう。全部で八種類あるそうですが、私が読んでいない他の教科書はどうなっているのかを知りたくて本書を読んだわけです。


非常におもしろい一冊で、“徹底検証する” の名に恥じないと思います。さまざまな観点から比較検討されています。まず、教科書がどんな人物に光を当ててコラムなどで大きく取り上げているか、それに偏りがないかを見てゆきます。そこからは時代順に検討を加えます。

目次です。

総論―人物・文化
古代(古代史と大和朝廷;中華秩序と聖徳太子;神話と伝承)
中世(鎌倉幕府の成立(武家政治の特色);元寇と倭寇;農村と一揆)
近世(朝鮮出兵;百姓一揆;琉球とアイヌ;江戸時代像の再評価)
近代(明治維新と近代国家の建設;大日本帝国憲法の制定;日清・日露戦争;条約改正;アジア諸国との関係、及び昭和期の政治・外交;満州事変・日中戦争と大東亜戦争(太平洋戦争))
現代(戦後日本の評価;共産主義の総括)
まとめ「まえがき」「あとがき」を比較・検証する 


三浦朱門氏自身は、曽野綾子氏の夫で、文化庁長官などをされていましたのでご存知でしょう。キリスト教徒であっても、靖国神社には参拝するというお考えのようですからよくわかりません(笑)。扶桑社の教科書を推しているのだろうと感じました。


それはともかく、他にも興味深い違いが次々に出てきます。社会の先生に限らず、ぜひお読みいただきたい一冊です。

全「歴史教科書」を徹底検証する―教科書改善白書〈2006年版〉

小学館

詳  細





P.S. 他に教科書に関する書籍をこれまでもいくつか取り上げました。よろしければご覧下さい。二つ目はかなり激しいことばで相手を罵倒し、感情的な印象ですが、他は興味深い内容でした。


●扶桑社の『新しい歴史教科書』 の採択がほぼゼロに決まったあと、どういうことがあったかを取り上げたもの:『教科書採択の真相』(藤岡信勝

教科書採択の真相 かくして歴史は歪められる

PHP研究所

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●同じ保守系の論客と思われた谷沢永一氏が、↑の本の著者藤岡氏ら、またその教科書を激しく批判したもの: 「新しい歴史教科書」の絶版を勧告する

「新しい歴史教科書」の絶版を勧告する

ビジネス社

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●アメリカを中心に、歴史教科書がどう扱われているかを紹介したもの: 『アメリカの歴史教科書が教える日本の戦争』 (高濱賛

アメリカの歴史教科書が教える日本の戦争

アスコム

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●韓国政府が日本政府に対し教科書の修正を要求した時のやりとり、具体的な指摘箇所や、事実関係を考察したもの :『親日派のための弁明2』 金完燮(キムワンソプ)
親日派のための弁明2

扶桑社

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『全「歴史教科書』」徹底検証する』三浦朱門
小学館:239P:1260円






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『予備校が教育を救う』丹羽健夫

2007年04月05日 | 教育関連書籍


備校が教育を救う.jpg


この数日は街のあちらこちらで、新品のカバンやぴかぴかのランドセルを持って、明らかに着慣れていない新しい制服姿の少年・少女を目にしますね。公立の学校では今日が入学式というところが多いのでしょうか。 がんばれ!フレッシュマン。


学力の低下が言われるようになって久しいのですが、単に計算能力が下がったとか、単語力がないといった、ペーパーテストでわかるものだけでなく、第二の学力と言われるような、好奇心や知的探究心、または継続力の低下こそが問題なのだと指摘します。


筆者の丹羽氏は河合塾の理事や、進学教育本部長などを歴任したあと、現在は立命館大学の客員教授という立場です。


目次をご紹介しておきます。


第1部
 予備校のお話(逃げた生徒を追いかけろ;原始予備校から近代予備校へ;予備校の商品;講師がつくる「教育ワンダーランド」;予備校の全国展開)

第2部
 学校のお話(本質を考える授業を取り戻せ;納得型の沈澱;老若先生のほどよいバランスを;学校文化と社会性;正しい中高一貫校を目指そうよ;勢いのある学年とそうでない学年;なぜ七五パーセントの中学生が塾に通うのか)

第3部
 大学のお話(いままでのやり方では難関大学に入れない!?;少子化で「よき社会人養成大学」はどうなる;教育学部の行方;郷愁の旧制高校;全共闘運動とその後の不思議)


という構成になっています。30年間以上、河合塾を引っ張ってきた著者の教育論、というよりエッセイですね。学校ではなく、予備校の人間らしく、非常に柔軟な考え方、本音のストレートな表現に引きつけられ、一日で読んでしまいました。

体系だったものではありませんが、時にグラフや表を用いて、なぜ日本に予備校が誕生し、隆盛期を向かえたのか、世の中はどのように変化したのかを効率よく教えてくれます。


長年の経験の中で、印象深い教師やエピソードが紹介されるなど、読んでいて飽きません。 私も塾講師として、もっともっと高い目標と、教育信念を繰り返し自分に言い聞かせねばという気にもさせてもらいました。気軽に読むこともできます。おもしろかったです。

予備校が教育を救う

文藝春秋

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『予備校が教育を救う』丹羽健夫
文芸春秋:210P:724円

 

 

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『人をつくる教育 国をつくる教育 -いまこそ、吉田松陰に学べ!』小室直樹、大越俊夫

2007年04月04日 | 教育関連書籍


人をつくる教育 国をつくる教育.jpg


安倍政権が発足してほぼ半年、支持率も低下してしまい、どことなく表情も暗い気がします。まだ大きな失政はないと思うのですが、さすがに “ナントカ還元水” の松岡農相はまずい。それこそ “なんとか”してもらいたいです。


他にもイラク戦争を批判した久間防衛庁長官との連携問題や、柳澤さんの失言だのなんだのと閣僚の問題が次々と報じられて、再浮上のきっかけをつかむのが難しいようです。

ただ、今月は都知事選をはじめとした統一地方選挙がありますし、中国温家宝首相が来日しますからそれも大注目だし、自身の訪米、ブッシュ大統領と初の日米首脳会談もあります。そして何といっても、教育改革!しっかりやっていただきたい。


その安倍氏が小泉政権で自民党幹事長に大抜擢された時、初の衆議院の代表質問で緊張しつつ述べたものの中に、明治維新の志士、そして故郷長州の先輩である、吉田松陰の言葉、「天下の大患はその大患たるゆえんを知らざるにあり」がありました。

“世の中の一番大きな問題は、その大きな問題があることを知らないことにある” というような意味ですが、覚えておられますか。その後もいろいろなところで引用しているようです。


吉田松陰、どんな印象をお持ちでしょう。本書の副題も「いまこそ、吉田松陰に学べ!」です。


著者の小室直樹氏はいわずと知れた大学者で、あの宮台真司氏が尊敬する師であり、確か竹村健一氏は小室氏を 「日本で一番頭が良い」 と評していたと思います。実際に本書でも、他の著作を読んでみても、底なしの知識を持っているなぁと感じます。

大越俊夫氏は不登校や中退生を相手にした塾を運営しています。本書は大越氏が運営している塾の生徒やその父母たちを前に、小室氏や、大越氏が語った教育論が紹介されています。


さて、松蔭のどこを学ぶのでしょう。松蔭自身は尊皇攘夷思想の持ち主で、安政の大獄で、29歳で処刑されたという事実関係だけだと、塾の生徒たちに何を強調するのだろうと思って本書を読みました。

吉田松陰.jpg


松蔭自身はいわゆる天才肌の少年だそうですが、典型的な貧しい下級武士の出で、普通、国家のことなどを考えるような立場ではなかったようです。

ですが、ご存知のように、松下村塾を作って木戸孝允高杉晋作久坂玄瑞伊藤博文山県有朋など、維新の中心人物を多数排出しています。しかも彼らはもともとエリートとして集められたわけではないということですが、それが松蔭の教育によって明治の日本を導くような傑出した人物に成長しました。


どうしてこんなことができたのか。著者によれば、松蔭の教育の姿勢は、相手がたとえ、10歳の子どもであれ、病人であれ、貧しい人であっても、命がけで教育をするというものだったそうです。宗教では常に奇跡が語られるように、教育というのも奇跡を起こさせるのが目的であると。その人物を変えるという奇跡です。


ペリーの黒船に手こぎボートで乗り込み、渡米を懇願するも失敗、結果獄中につながれてしまうのですが、そこでも囚人相手にまた看守にまで講義をします。逆に相手の得意なものを見つけると、今度は自ら生徒になって学んだそうです。


本書での、黒船に乗り込んだ事件に対する説明は「日本のために命をかけた」。無断で国外に出ることは死罪に相当することを知っていながら、自分が犠牲になってでも、その文明を吸収しなければ、アヘン戦争で清がそうなってしまったように、日本も欧米にずたずたにされてしまうと恐れたわけですね。


当時が日本にとっての危機であることを明確に意識した行動だと指摘します。そして現在の日本(2002年の出版)も危機。にもかかわらず、教育界だけでなく官僚、そして政治家にも、松蔭のように命がけで日本を守ろうとする人物が少ないという苛立ちのようなものを感じます。


経済が不振で、たとえ銀行がつぶれようが、大企業が倒産しようが、教育さえしっかりしていれば、日本は大丈夫だが、肝心の教育が危機に瀕しているという認識です。戦後の日本の問題を典型的に表わすのは、アノミー(無秩序、無連帯、無規範)だと。


アメリカは日本に戦争で勝ったが、日本人を皆殺しにしたり、奴隷にしなかったどころか天皇すら残した。そのかわり二度と戦争させないように、徹底して連帯を壊した。戦前に迫害されていたマルクス主義者たちを利用したら、日教組やマスコミが予想以上に頑張って、驚くほどうまく行ったという分析です。


戦前の教育を受けた人々の数が減って、いよいよ日本に連帯がなくなってしまった。誰も命がけで、他人のために、国のために何かをしなくなる。そういう国は滅びるのであるという歴史観です。現在のチベットを救える人がいないように、日本に何かあっても、国連か何かが助けてくれるというのは幻想だと言います。


大越氏は “不登校になったら赤飯を炊きなさい” とまで言い切ります。子どもに学校のいかがわしさを感知できるだけの能力があることの証明だというわけです。学校なんか行かなくても良い。やりたいことを見つけたら、その歴史を学び、自分の存在理由を確認し、とことんやって下さいと、親と本人に伝えます。


命がけで、教育をし、命がけで学ぼうという姿勢こそ、今の日本に必要だということです。厳しい意見ですね。私も、塾で働いておりますので、本当に “命がけかどうか” 大いに考えさせられ、参考になりました。

人をつくる教育 国をつくる教育

日新報道

詳  細



P.S. 松陰先生が弟子たちによく言ったのは、『 暇があったら本を読め!』 だそうです。

         ここでは、ちょっと軽いけど(笑)、『 本を読もう!VIVA読書!』 なんです。



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日新報道:319P:1680円

 

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『なぜ勉強するのか』 鈴木光司

2007年03月13日 | 教育関連書籍


なぜ勉強するのか.jpg


本を読んでいてうれしくなるというのは、そんなにありませんが、本書はそういう一冊でした。きっと、今の仕事をしている限り、これからも読むだろうなぁと思います。

何がうれしいのかというと…、著名な筆者に対し、まことにまことに僭越ではありますが、“常々自分が言いたいと感じていたことを論理的に説明してくれた” という感覚です。


なぜ勉強するのか、どこまで勉強するのか、どうして本を読まなければならないのかというのはいつの時代も多くの子供がいだく疑問でしょうが、基本的な読み書きや計算ならともかく、どう見ても将来使いそうもない微分や積分、難解な英文法、歴史の年号や哲学をどうして学ぶのかと聞かれたら、何と答えるでしょうか。


筆者のまとめ的な答えはこうです。“知識を取り入れながら、理解力、想像力、表現力を高める” ため。

これだけでは抽象的過ぎて 「はぁ、それで…」 となるのですが、それは人間のあらゆる活動の基礎というよりすべてかもしれませんね。そのあたりを分かりやすい例をあげながら、説明します。現在の教育の問題が社会に及ぼす影響を実感できました。

一見役に立たないように見える教養のようなものが、どれほど自分や社会、あるいは国家や世界にとって重要かをわかりやすく説明してくれます。氏は氷山のたとえを使っていますが、表に出ているものだけを見て感情で判断しては誤る。戦争さえ引き起こしかねないと主張します。


“UFOはいるのか”という論争なら、科学的に現在の物理や化学を駆使すれば、確率から言っても “いない”となります。日本軍の特攻隊という戦法は、効果を論理的に考えると、作戦としては非効率であったと結論付けざるを得ないという調子です。


ベストセラー『国家の品格』を書いた、藤原正彦氏は、エリートは学問だけでなく、絵画や音楽などの芸術も含め、役に立ちそうにないことをたくさんして欲しいという意見でした。

鈴木氏は、ライブドアの堀江氏やニセメールを取り上げ、大混乱を招いた民主党の永田元議員は東大卒であっても、教養のなさ、科学的態度の欠如で失敗を招いたと指摘し、なるべく多くの人たちが幅広い教養を身に付けることによって、社会が感情だけに流されて誤った判断をすることを防いでくれるという考えです。


狩猟民族に比べて、農耕民族の子孫である我々日本人は欧米に比べて残念ながらこの点が弱い。カミュの『異邦人』の例を挙げ、太陽のせいで殺人をおかしてしまうことだってあり得る。不条理だと片付けるのではなく、子供が親や育つ環境を選べない、思考や行動がかなり環境によって制限を受けることの自覚を促します。


特に哲学のような学問は、日本では思想とか宗教っぽくとらえられてしまいますが、以前、『はじめて考えるときのように(野矢茂樹)』 や 『幸福論(バートランド・ラッセル)』を取り上げた時にも指摘しましたが、西洋では哲学は世の中を知るための科学的なものですね。


何でも理詰めで考えていく姿勢で、考えるためには高い知識や教養と呼ばれるものがどうしても必要になってくるということです。いかにゆとり教育が的外れか再認識しました。

そして、子供にはどう説明するかもう一つの問題として出てきますが、教師の役割は非常に大きいわけです。共同体のために、教師の給料を増やせという主張は、残念ながら…(笑)。すでに充分でしょう、別の方法を考えましょうというのが私の意見ですが。

また、競争に勝つ、負けるからというのではなく、社会を良くするために勉強するのだと教えようという意見です。競争よりも協力するために学問や表現力を鍛えるという感じでしょうか。

筆者が“主夫” であり、日本社会における父性の否定、男女の役割分担など、社会が進歩し続けるという点は、左翼的思想に聞こえます。


私は、“リング” も “らせん” など他の著作は読んでおりませんし、映画も見ておりませんので、政治的な立場はわかりません。薄い一冊ですから、まだまだ聞きたいところもあるのですが、勉強をなぜするのか、あるいはさせるのかという点、日本において論理が決定的に欠落しているという点において大賛成です。


非常に興味深い、読み直したいと感じる一冊でした。



なぜ勉強するのか?

ソフトバンククリエイティブ

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『なぜ勉強するのか』鈴木光司
ソフトバンク新書:170P:735円

 

 

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教育関連 【先生のお薦め本3】 佐藤学 齋藤孝 野村進

2007年02月15日 | 教育関連書籍

 

今月の、“先生のお薦め本”、教育関連書籍編は今日で最後です。いかがでしょうか、手にとってみたい本が一冊でもあったらうれしいのですが…。残りの三冊です。どうぞ。

『学力を問い直す』 

佐藤学著 岩波書店 504円


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【VIVA】

佐藤氏はこれまでも学級崩壊などについて、綿密な調査をし、学校の建て直しのためにさまざまな事例などを書籍などで紹介してきました。学校のお医者さんとか、先生たちの先生ともいうべき存在です。

本書は岩波ブックレットシリーズでわずか60ページほどしかないのですが、学力問題を分かりやすくまとめてあります。

ほかの著作と重なる記述も多く含まれていましたが、よくまとまっていて、特に本書では、学力問題というのは単に子供の現象ではなく、大人が生み出した社会現象だという点に力点が置かれています。

そこで、非常におもしろいのですが…、 『学力』は一種の『貨幣』としての機能を持ち、現在の学力低下は『通貨の暴落』として説明しています。

貨幣って、流通します、交換できます…、相続する場合もありますね。賛成するかどうかは別にして、新鮮な指摘です。

 

 

『教育力』 

齋藤 孝著 岩波新書 735円

詳細を見る

 

【村井先生】

教育学者であり、教育方法の研究を専門としている著者が考える「良い教師」とは・・・。その条件の一つ目に、「教師自らが学ぶことの魅力を忘れずに、学ぶことへの向上心を常に持っていること」があった。

なぜなら、そのエネルギーは生徒たちに伝染し、彼らの学ぶ意欲に火をつけることができるから。

「この科目は勉強する意味がない」なんて早い時期に自分の世界を狭めるのはもったいない。

先人たちの知恵を継承することがどれほど素晴らしいことか…までは実感させられなくても、せめて学ぶことの魅力を伝えられる力は教える側に必要なことだ。

その他いくつも著者の教育に対する考えが書かれているが、これらは学校だけに限らず、広い範囲で「教える」立場にあるすべての人に有益だと思う。

 

 

『脳を知りたい!』

 野村進著 講談社 820円


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【genio先生】

 「脳」の仕組み、というと、普通は専門家でなければ無理!と思いますよね。しかも私は「文系」です。この手の理系本は苦手です。

でも、著者のプロフィールを見たら、上智大学外国語学部出身とあるわけです。所謂「ド文系」です。医者でもなければ理系でもありません。だから全然専門的でなくて、しかもとても分かりやすい。

個人的には第1章の早期教育がとても考えさせられましたね。能力を伸ばすのは確かに教育の目的ではあるけれども、最終的にその人が何のためにその能力を活かすのかということは、結局のところ詰め込み式の習い事ではなくて、周囲から愛されているという安心感だとか、周囲のものに対する好奇心だったりするわけで、そういう意味での環境整備の重要性を訴えています。

他にも本書では環境ホルモンやアルツハイマー病など興味深いテーマが多く取り上げられています。


学力を問い直す―学びのカリキュラムへ

岩波書店

詳  細
教育力

岩波書店

詳  細

脳を知りたい!

講談社

詳  細


◎ 春一番が吹き荒れて、昨日、今日と東京地方はものすごい風です。春がすぐそこまで来ているんですね。 受験生諸君にも暖かい春が訪れますように!


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受験生と彼らを支える優しき塾講師にも…

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教育関連 【先生のお薦め本2】 片田珠美 竹内薫 飲茶

2007年02月14日 | 教育関連書籍

 

バレンタインデーですね。今年も生徒たちからたくさん(うそ、ミエが入りました)、一個、手作りチョコレートをもらいました! ィェイ! 

キリスト教の本場の国では全く違うということですが、いつから日本では女性から男性にチョコレートという習慣になったんでしょうね?私は小学校4年生くらいの時、はじめてカバンにチョコレートを入れてもらっていた記憶がありますが…。

知らない間に、ホワイトデーなんてのも定着しちゃいましたね。お菓子業者のしわざだな(笑)。



さて、今日も大変おもしろそうな本が揃いましたよ。どうぞ!



『こんな子どもが親を殺す』 

片田 珠美著 文春新書 746円


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【伊藤先生】

物騒で大げさな書名ではありますが、ここ最近で起きた子どもによる親殺しについてその原因や自分の親を殺すまでに至った少年等の心情を分析したものです。

著者は精神分析を専門にしており、所々に自らの経験も交え、分かりやすく書かれています。

はたして本書の内容が全て、子どもたちが殺人にまで至らしめた原因となっているかどうかは疑問が残るものの、家族環境、父親、母親の役割などについて、少年等にある種共通の要素があるように書かれており、子ども達が発するシグナルや前兆行動を見抜く上でも、少なからず参考になります。

子どもを持つ身、子どもを預かる立場であれば、一読しても損はないと思います。 

 

 

『99.9%は仮説~思い込みで判断しないための考え方』 

竹内薫著 光文社新書 735円



詳細を見る

【Pochi先生】

ぱらぱらと表紙をめくった時に、はじめに見えた“飛行機はなぜ飛ぶのか?実はよくわかっていない”というプロローグが気になり読んで見ました。

飛行機が飛ぶしくみにはじまり、プトレマイオスからコペルニクス、ケプラー、ニュートン、アインシュタインという天体物理学の流れや、超ひも理論など数多くの実例を挙げながら、科学は完全に証明されておらず経験に依存していて、現時点では反証されていない“仮説”に過ぎないことを示しています。

そして科学的態度というのは、「権威」を鵜呑みにすることではなく、さまざまな意見を相対的に比べて判断する”頭の柔らかさ”のことであり、さまざまな意見を相対的に比べて判断する柔軟性を身につけるべきであると示しています。

ブルーバックス大好きな科学おたくには少々物足りなく感じるかも知れませんが、理系でなくてもとても読みやすい本です。

 

 

『哲学的な何か、あと科学とか』 

飲茶著 二見書房 1575円


詳細を見る

 

【KOU先生】

不完全性定理、相対性理論、エントロピー増大の法則、コペンハーゲン解釈、どこでもドア。

目次の見出しを拾ってくると、いかにも難解そうである。ん、どこでもドア??この明らかに浮いたフレーズが、本書の面白さを象徴しています。

学問を面白いと思わせることが教育の第一歩。ならば、哲学・科学の入門書としてこれは間違いなく良書でしょう。

「前提1 A=Bである 前提2 B=C である→ 結論 A=Cである」正しいと思ったあなたは思い込みが激しい?!のかもしれませんよ(笑)。

 

 


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気を抜いていたら、かなりあぶなくなってしまいました。

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