本を読もう!!VIVA読書!

【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

【大晦日】 さらば2006年! みなさん今年一年、お世話になりました

2006年12月31日 | Weblog

 

         おはようございます


 
今日一日で、いよいよ今年も終わり

私は、今日の授業が終わったら、教室と自宅の片付けです。

もう自宅の机周りはこんな状態

    

書斎1ue.jpg  書斎 desk2.jpg 

書斎 下.jpg  書斎 左.jpg  

 

塾の机も本棚も、もう一杯!

適塾 デスク2.jpg  図書(クリスマス) 025 小.JPG  中川 棚.jpg


ふ~、お正月中に、ゆっくり片付けます

 


今年はブログのおかげで充実した時間を過ごすことができました。

多くのブログにおじゃまをし、また多くの方が訪れて下さいました。

一つでもお眼にかなう書評があれば良いのですが…


また、ランキングにたくさんの応援クリックもいただき 

 

本当にありがとうございました!


 

今のところ、どちらも

 

 1位 のまま、今年を終えることができそうです。


もし今日中に抜かれたとしても、も~う悔いはありません(笑)


やれるだけやりましたから…



投票になってしまいますが、よろしければご覧下さい。 

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ランキングに関係なく

実に有意義な一年でした

年末は忙しく、みなさんのブログにおじゃまして

お礼のコメントできなかったのが心残りではありますが…


拙ブログでは、なんと…

 


私の親より年上の、192◎年生まれの大先輩、tani さんから

私の子供より年下の、小学校1年生 haruちゃんまで!!!

 

ネットならではの幅広いコミュニケーションができたこと、

本当にありがたいことで、楽しい時間を持たせていただきました。


そうしたこのブログにお越しいただいたみなさまに

来年、たくさんの幸運が訪れますよう祈念いたします。


 

どうか良いお年をお迎え下さい

 

そして


来年もよろしくお願い申し上げます

 


     VIVA  

 
       
http://tokkun.net/jump.htm 【当教室HP】

 

 



『灘高キムタツの東大英語 ライティング&グラマー』木村達哉

2006年12月30日 | 大学受験【英語】参考書など

 

灘高キムタツの東大英語ライティング&グラマー.jpg


今年の“締め”をしようかなという、ちょうど良いタイミングで、灘高キムタツ こと、木村達哉先生の東大英語シリーズの最終版、ライティング&グラマー編が発売されました。何かの縁でしょう、せっかくですので、今年の本紹介のトリをかざっていただきます。(明日はごあいさつと写真でもUPします)


これまで 東大リスニング東大リーディング ともじっくり見てきましたが、本書がもっとも広い範囲の生徒に薦められるものに仕上がっています。(前の二冊は、東大合格専用テキストのおもむきです)

もちろん本書もターゲットは東大合格ですが、英作文のある中堅大学以上の受験生が使うのであれば充分役立ちます。 “役立つ” どころか、とても完成度の高い参考書に仕上がっていますので、ぜひ薦めたいテキストと言っても良いでしょう。


東大の英語、特に作文と文法問題は、難問奇問の類ではなく、正確な基礎力とそれに基づいた英語運用能力があるかどうかを測ることを目的に作られています。そこを徹底的に鍛えるわけですから、どの大学の受験生にとっても有用です。


また、同じ偏差値レベルの受験生の間で、英語力の差がもっとも如実に出るのは、読解ではなく、英作文です。また、英作文指導は、教える方のレベル、英語に対する考え方の差も出るだろうと思っています。

(そういえば先月の代ゼミの早稲田模試の講評にも、読解に比べ、全体的に英作文能力が極めて低いと指摘していました)


まず本書では、どの問題にも、解答例として、誤文が2例ずつあるのですが、その生徒の間違え方が抜群に良いのです(笑)。

どういうことかと申しますと、日本の高校生は、帰国子女でもない限り、全国どこの進学高に通っていたとしても、みな日本語を使って、同じようなカリキュラムや教科書、似た参考書で英語を学習しているために、間違え方もみな似ているんです。

アメリカの移民が Mother を Maza と書いてしまうような、アメリカ版スットコ的間違えは、日本の大学受験生には絶対にありません。同じところが苦手で、同じところしかミスしませんから。


採点する側からすれば、毎年、“ほ~ら、またやってる”、“これみんなできないなぁ~”という感じです。本書は解説の中でも繰り返し基本の徹底を言っていますが、3単現の S だとか、主語と動詞の不一致や時制の間違えなど、読んでいて微笑みたくなるほど、「そうそう、あるあるこういう間違い」そういう風に間違えてくれています。

他の大学受験の対策にも使えるという、もう一つの要因です。


こうした “模範的誤答” とそれに対するキムタツ先生の的を射た解説も出色ですが、何よりも本書の特徴、利点は、それを語り口調で、非常にわかりやすく、手間を惜しまずに説明していることです。いわゆる “実況中継” を聞く感覚で勉強が進められるはずです。繰り返し読めば、大きな学習効果が期待できます。

合格への具体的戦略やネイティブとの模範解答の比較は、我々英語教師にも勉強になりますし、巻末の文法のまとめも受験生にはぜひやってもらいたいものです。


今年のトリを務めるのに実にふさわしい一冊でした。見事です。




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『灘高キムタツの東大英語 ライティング&グラマー』木村達哉
アルク:240P:1890円



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以下は、書かなくても良い、従ってもちろん読まなくても良い“つけたし”みたいなものです。ここで記事を終えても良いのですが…、このブログを定期的に見ていただいている方は、私が時おり木村先生とお付き合いさせていただいていることをご存知だと思いますので、あまりにも他人行儀だなぁ~(笑) …


もう年末だし、いいや!今年を振り返る意味でも、今日はぶっちゃけたお話を書いちゃいましょう。


 【ぶっちゃけ書評】

今回、ありがたくも、キムタツ先生からご献本いただきましたが、見る前は正直、“あんまりできが良くなかったらなんて書こう”、な~んて考えておりました(あ~ごめんなさい)。

いやいやいや、まさか英語力を疑うんじゃないんですよ、もちろん。

心配するには理由があるんです。英作文のテキストは読解やリスニングとはわけが違います。書き方、要するに説明のしかたが難しく、実際に市場に出まわっている参考書も、本当に “玉石混交” なんです。


そうですねぇ~、リスニングのテキスト作りが富士山登山なら、リーディングはマッキンリー登山に挑戦するようなもの、さらに英作文のテキスト作成はK2やエベレストに挑むほどチャレンジングな仕事だと私は考えているんですね。

だからいくら灘高キムタツと言えども、今年の受験生向けに完璧に仕上げるのは、時間的に厳しいんじゃないかと。 たいがい、ちょっと売れた参考書の著者が、今だ!というので、その後に続けて出す本は、センセーショナルなタイトルとは裏腹に、手抜きが目立ちます、誰とは申しませんが…。


その上、灘高は今秋に、履修もれが指摘され、きっと英語とは無縁の雑務に追われるという環境下にもあったはずですし…。



実は、本書の執筆を始められた頃、キムタツ先生からお電話で、“~~こういう形にしたいと思うけれど、どうだろう” と意見を求められたのは今年の夏休み後半です。

その時期から生徒に実際に英作文をしてもらい、それを2例選んで、添削する形で進めたいということでした。あとは模範解答をキムタツ先生が書かれ、さらにネイティブにもう一例書かせるというのです。それを秋に出すと。率直な意見は、 今年の受験生に “間に合うのか” ということです。

アイデア自体に異論をはさむ余地はまったくありません。それだけのことがうまくできれば本当にすごい、理想的なテキストです。


が、しかし大学受験の英語教師ならお分かりだと思いますが、そもそも英作文の添削というのは非常にやっかい。文法の間違いを指摘するだけならどうってことないのですが、英作文の添削となると、正解は無数にあります。

その中で、生徒にその英文がなぜダメなのか、どうして別の表現が好ましいのかを説明するのはいっそう骨が折れる。教室ならまだしも、それを文にして、読者である受験生に納得のいく解説を施すというのは気が遠くなるほどの作業ですし、書けば書いたでどこからでもこっちの方が良い、などとケチをつけることも可能なんです。


だからこそ、竹岡先生の『ドラゴンイングリッシュ 基本英文100』のように、同じ英作文対策と、銘打っていても、暗記例文集という形にする方が、手間もリスクも圧倒的に少ないし、実際人気もあります。

英作文のコツは、例文暗記 “英作文は英借(しゃく)” と信じ込んでいる先生もたくさんおられますが、それは勉強の一過程に過ぎません。

例文暗記自体は大いに結構で、私も生徒にさせますが、100文暗記したら合格できるとすれば、東大レベルの受験生なら楽勝です。そうではないプラスアルファーの得点力が東大受験生は欲しいわけでしょう。

 

さて、そんなことを考えながら、本書を読んでみると、キムタツ先生はその困難な仕事を見事にやり遂げています。実際に読んでいたときは、“いや~よくできている、”と何度口にしたことでしょう。うちの教室には私より優れた英語教師が何人もいますが、彼らも異口同音にそう言いました。

ですから、英作文のある生徒は本書をどんどん使って下さい。


本心を言えば、最初に書いた、私の浅はかな考えはまったくの杞憂だったとホッとしているんです(ホント失礼)。


キムタツ先生は、「VIVAちゃん、本送っといた。うまく書いて、頼むで~」 な~んていう姿勢でご著書を寄こしたのではまったくなく(超大失礼)、「自信作だ、VIVA見てくれ!」 ってな感じだったんだと痛感したわけでございます。ハイ。

とにかくすばらしいできばえであることは間違いありません。さすが日本有数の進学校、灘の英語教師の力を見せつけられました。

灘高キムタツの実力と熱意にあらためて敬服し、勉強させてもらいました。売れりゃあ、何でもいいという風潮の出版業界の中で、夢を追う生徒たちのために、ますますの活躍が期待されます。

 




■■ 良い参考書、良い先生と知り合えた2006年に乾杯!■■

そんな気分です。ダブルタイトルとはできすぎの2006年。日々応援してくださる方々が、ランキング上位にしていただいたおかげで、それを見て訪問してくださった方も多いようです。本当にありがたいことです。

このブログが少しでも、そうした生徒やご父母のお役に立てれば本当にうれしいのですが…。


 さぁ、受験もブログランキングもラストスパート! 

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P.S. おもしろくなってきたんでどんどん書いちゃいましょう。年忘れ、言いたい放題(笑)。

実はキムタツ先生のテキストにも、手抜きはあるんです。ボクは見逃しません!

先生の生年月日、1964生まれのはずが、61年になっている。(ブログにあるように64年生まれならボクより年下、61年なら年上ですから気になったんです(笑)。)

実は、以前、東大リスニングのテキストでそれを発見し、61年になってますよと連絡したら、最初の反応は “まじっすか?” でした(笑)。 今回もまさかと思いましたが、何気なく見るとまた“61年生まれ”。連絡しますと、“まじっすか?ほんまに?”でした。これは明らかな手抜きです(爆)。アルク~、ファイト!
 

灘高キムタツの東大英語ライティング&グラマー

アルク

詳細


 

P.S. これはやや高度になりますが、キムタツ先生と見解の異なる部分を列記しておきましょう。私の勉強のために。
P76  合格答案の文で最後の一文 someone より anyone 
P104 very various は多少くどいが可能。
P134 合格答案最後の文で will より should または原形。
P191 leave a large amount of garbage behind  も可能。
このあたりまで考えられる生徒は、近くの先生に聞いてみたらよいと思います。
わからない人は、私VIVAが教えますので、来年の入塾をお待ち申し上げております(笑) 

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『自壊する帝国』佐藤優

2006年12月29日 | ノンフィクション

 

 ゥ壊する帝国 佐藤優.jpg


今年もブログを振り返れば、いろんな本を読んだなぁ~という気がします。本当は、2006年、心に残ったこの1冊などと選んでみたいところですが、じっくり考える時間がありませんし、あれも良い、これも捨てがたいなんて、結局、決められそうにありませんね。


そうはいっても印象深い本がありまして、本書は今年読んだ中でもっとも印象に残った本の中の一冊であることには間違いありません。ノンフィクションの中なら確実に今年の3冊に入れることができそうです。


佐藤優氏の著作は、 国策捜査を告発し、その評価をめぐり藤原正彦氏と櫻井よし子氏の論争にまで発展した『国家の罠』、 その続編で、逮捕当時、鈴木宗男、佐藤批判一色の中、堂々と佐藤擁護の論陣を張った産経新聞の斎藤勉記者が佐藤氏にインタビューした『国家の自縛』を取り上げました。


いずれもショッキングな内容で、印象深い本ですが、本書はその要素にプラス、スパイ小説なみの劇的展開や緊張感が加わって、前二作以上に高い評価を与えても良いのではないかと考えています。


一人の日本人外交官が、ありとあらゆる知恵と行動力を駆使して、ソビエト社会の指導者層の間を綱渡りで情報収集に当たる様は圧巻ですし、大物とのコミュニケーションを可能にする、その桁違いの知性にも驚嘆させられます。


ロシア人相手にウオトカ(ウオッカ)を浴びるほど飲み、駆け引きはしてもだますことはせず、むしろ立場を超えて共感を惜しまず、万全の準備や根回しをしたあとは、常に緊迫感あふれるソビエト幹部や他の実力者たちとの真剣勝負で情報を引き出します。

ソ連解体に際して繰り広げられる権力闘争やさまざまなグループの凄まじい利権確保の争いの間を、見事な読みと、そこまで築き上げた人脈を駆使して日本の役に立てようと行動している訳です。接触する相手は、学生から大統領側近まで、実に幅広く、レストランから本屋さんまで将来役立ちそうなところには、前もっていろんな種がまいてあるのです。本当かと思うほど、気配りは行き届いています。


ロシアおよびその周辺諸国社会の激しさは、歴史を見ても、最近の動きを見てもわかりますし、KGBなど諜報機関の冷酷さは、『プーチニズム』を読んでも、その著者アンナ・ポリトコフスカヤ氏が殺されてしまった事実からも痛感させられます。


その『プーチニズム』 の中で、中心的に取り上げられている、チェチェンで起きた、ロシア軍幹部による少女暴行殺人事件。プーチン政権に致命的打撃になりかねなかった問題でしたが、佐藤氏はプーチン政権とつながる、裁判官や政治家の人脈や人柄までも解説してみせます。

 

本書を読む限り、佐藤氏はソビエト社会に完全に溶け込んでいますし、情報が混乱していた当時、最後はソビエト社会の指導層たちから、逆に頼りにされるほどの情報網と人間的な信頼を勝ち得ているように思えるのです。

つまり、日本外交にとって余人をもって代え難い人材に育っていたのに、それを国策捜査によって、逮捕にまで追い込んでしまった、日本外務省の官僚体質、あるいは政府の不明が悔やまれます。


彼が鈴木宗男氏と同時期に逮捕されたおり、我々日本人が、やっと悪い奴が排除された などと思わされていた一方で、佐藤氏のロシアなどの友人たちが支援をしたいと申し出たというのは、何とも皮肉で、象徴的な現象です。


最近は、こうした意欲的な本の執筆活動だけでなく、ラジオや雑誌などでも、佐藤優という名前を、頻繁に目にしたり、耳にするようになりました。やはり世間が放っておかない洞察力と経験や情報を持っているのでしょう。

今後、大きな成果をあげてきたロシア外交の前線に、佐藤氏が戻ることはないのでしょうが、そこで築いた内外の信頼が、今こうして別の形で活躍の場を与えているのだなと思った次第です。


 

P.S.そういえば佐藤氏がラジオで、森政権末期、加藤の乱の加藤紘一氏は何と外務省を通じて、ロシアに “森はもうダメだ” というメッセージを送らせたという信じがたいエピソードを暴露していました。 

さすがに黙っていられなくなった佐藤氏は、そんな外交は許されないと思い、森首相に伝えに行くと、佐藤氏の手を握って、“僕のことより日本の外交のことを考えてくれ” と、カッコいいことを言ったそうです。

自民党内部の権力争いが外交にとんでもない影響を与えているんだと思った記憶があります。何となく佐藤氏をおとしいれたい勢力の存在もぼんやり感じることができました。

自壊する帝国

新潮社

詳 細



■■ ランキング、何とか1位で締めくくりたい! ■■

さぁ、今年もあと三日ですね。今日からうちの塾では年末特訓です。『ほら、先生だってトップだぞ!』って生徒に発破がかけられるよう、どうか応援よろしくお願いします。

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『自壊する帝国』佐藤優
新潮社:414P:1680円


『グーグル・アマゾン化する社会』 森健

2006年12月28日 | ビジネス書・マスコミ関連

 

グーグル・アマゾン化するミ会.jpg


2007年まであと少し。2006年の世相を表す漢字が 『命』 だというのはまったく異存がありませんが、私にとっては、この一年を象徴する言葉は、まさに、この “ブログ” です。

去年までは、当教室 のHPの読書掲示板を担当していましたが、毎日更新なんてとてもとても…。週に1・2回本の紹介をしていただけだったのが、今年はブログにいったい何時間費やしたのでしょう(笑)。


それにしてもホームページを作るのに比べて、ブログとは何とも簡単で、ほとんど無料で、ネット業界のビジネスモデルは完全に新しい形になり、まだまだ進化していきそうな勢いですね。

そんな企業の先頭に立っているのが、グーグルとアマゾンですね。


これまでも、『ウェブ進化論(梅田望夫)』 と 『グーグル-Google(佐々木俊尚)』や『ブログの正体(伊藤譲一)』 など、ネット社会に関する興味深い書籍を紹介しました。

本書も、それらと重なる部分は有るものの、参考になる視点がいくつもありました。まず世界中の検索エンジンで、グーグルがシェア第1位ではないのは日本くらいで、まだグーグルの独走態勢に日本人は気付いていない。アマゾンもアメリカでは、日本とかなり様子が違います。やがて日本に訪れるであろう、グーグルやアマゾンがアメリカなどで実施しているサービスとその意図を解説します。


さらに、世界のネット界の現実を見ると、誰でも情報を発信する、情報の民主化というか多元化が進んでいる一方で、それとは逆の情報の一元化が進んでいることを検証してします。実際、グーグルの検索エンジンに認識されなければ、その情報はネット上に存在しないも同然だというわけです。

実は、私が大変感銘を受けた一冊で、だいぶ前にブログでご紹介した、『新ネットワーク思考 (アルバート=ラズロ・バラバシ)』 の考え方で、物理学の 『つながりの科学(小田垣孝)』 で紹介されている研究にも通じます。

ネットワークを構築する際には、大きなハブが必要で、多極化のはずが、ある面ではそれが一極に集中するという現象を説明、危惧を表明します。


つまり、世界がフラット化しつつあるのは確かでも、そこではネット上の情報が、ネットの世界に限らず、文化や政治にまで波及し、さまざまな一元化を招きかねないということです。

実態経済のグローバル化が拍車をかけますので、世界中がみな豊かになって車を買えるようになって、ふと気付いてみると、どこへ行ってもトヨタ、ホンダ車だらけということもあるでしょう。

実際、日本のどんな新幹線の駅へ行っても、駅前はマクドナルドやスターバックスにドコモ、似たようなビルに同じようなコンビニ、ホテルや銀行ばかり、風景が似ていてつまらないと感じます。(そういえば、マックは北京やモスクワにまであるとか。すし屋もそのうち世界中にできそう)


また、前回の総選挙の時、『靖国神社』 と検索するとどうなったか、『売国新聞』 と検索するとどうなったか。つまりSEOと呼ばれる検索エンジン対策にたけた人が常にさまざまな場面で勝利する可能性があるとも示唆します。

ある言葉を検索し、その結果を3ページ分見る人の割合はほんの数パーセントしかないようで、検索エンジンの前の方にヒットしなければ見てもらえないということですね。

つまり 多くの声がネット上に確かに存在していても、結局、影響力を持つのは発言機会が多く、声の大きいサイトになるということが起きているということです。


ネット社会の進化はまだまだ未知の世界ですから、一概に良い悪いとはいえないところです。何事にも正と負の部分があり、特に黎明期に適切に予想をすることは難しいものです。

かつての日本、現在の中国のように、工業発展の段階で公害問題が出てくるというようなものであれば、経験もありますし、何とか対処の仕方もあるでしょうが、それが、ネットが進化する段階で貧富の差が拡大したり、情報の一元化、独占化が進んだりすれば、かなり皮肉な結果だといわねばならないでしょうね。


さて、来年はどのようにネットと関わるでしょうか?私はほとんど予測不能です(笑)。少なくなることはないかな~と思いますので、来年もよろしくお願い申し上げます。




■■ ランキング、できれば1位で締めくくりたい! ■■

ブログランキングも今年のキーワードのひとつですかね。こいつが無ければきっとここまで毎日は更新しなかったような気がします。でも、その結果、一冊でも良書が生徒やご父母が手にしているとすれば、こんなうれしいことはありません。

グーグル・アマゾン化する社会

光文社

詳     細





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『グーグル・アマゾン化する社会』森健
光文社:253P:735円

 


記事一覧・アップデート

2006年12月28日 | 一覧 【LIST】

  

おはようございます。


うちの塾 の冬期講習前半は今日で終了し、明日29日から大晦日までは “年末特訓” という特別なカリキュラムに変わります。本当に今年も大詰めですね。


さて、一週間前ほどまでのリストを仲間がUPしてくれました。記事の数が468だそうです。よろしければご利用下さい。


以前も申しましたが、WEB上のエクセルですので、普通のものと機能がやや異なるそうです。コピーアンドペーストで、自分のエクセルに落とせば良いのだそうです。



■■■  本を読もう!!VIVA読書!LIST 【記事一覧  ■■■

 



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本当に申し訳ございません。

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ずっと1位を取らせていただいております。

【人気ブログランキング】   でも、
現在は1位ですが、1位になったとたん得点が激減。

ご協力いただけるとありがたいです。


ダブル 1 位で年越しできたらなぁ~

とひそかに妄想しております(笑)。

 

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これからもよろしくお願い申し上げます。

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『奇跡の音 英語聴覚セラピー 2週間で英語が耳に飛び込んでくる!』 篠原佳年

2006年12月27日 | 英語リスニング

 

奇跡の音.jpg



本書は入試用のリスニングテキストではなく、英語リスニングに耳を慣らすために、高周波刺激を与えようとするものです。

だいたいこういう書名、“奇跡” だとか、たった“2週間” という宣伝文句は嫌いですし、あやしい(笑)。まぁでもこうすると売れるんでしょうね。


昔、マジックリスニング という5~6万円もする同種のリスニング教材を買ったことがありまして(話題になりました。ご存知でしょうか)、それと同じ効果をねらったものが、千円ちょっとで手に入るというのが、魅力的で、あやしいけど購入してみました。


ただし、筆者の篠原さんという方は、あやしいどころか、高名な医学博士で、主にアトピーリウマチ膠原病などを研究しているらしいのですが、“聴覚セラピー”といって、耳のリハビリを通して、それらの病気に対して治療効果をあげているということで、その分野の第一人者です。つまり確かに “耳” のエキスパート、権威ですらあります。


聴覚は視覚や嗅覚などと違って、リハビリ(やり直し)ができる唯一の感覚器官です。ストレスなどで、耳鳴りがしたり、特定の周波数を耳が自然にブロックしてしまったりして、耳が聞こえなくなることに注目し、モーツァルトなどの音楽で、それを治療をしているのです。 その治療に使われるものと同様の効果を狙って英語のリスニングに応用したわけです。


英語の話される 周波数帯 と日本語のそれが大きく離れているというのは、ご存知でしょうか。

日本人が英語の聞き取りが苦手なのは、英語の音には日本語にない高い周波数帯の音(主に子音)が多く、日頃日本人が使わず、耳が慣れていないからだという指摘です。マジックリスニングと同じ理屈ですね。その高い周波数帯に日本人の耳をならすCDなのです。


ノーマルな英文→ 2000~4000Hzを強調した英文 → 4000~8000Hzを強調した英文と、同じ英文が3回読まれますが、実際に聞いてみますと、リラックスできるというより、やはり聞き取りにくい印象を持ってしまいます。クラシックがBGMで流れているのですが、音が小さい感じがします。意図的でしょうか?

マジックリスニングは聴いていて何も苦にならない音楽が含まれていたのですが、こちらは悪く言えば、“キーキー”している感じがしました。これをできれば1日2回、2週間できれば、1ヶ月聴いて欲しいそうです(ほら、すぐ長くなる!)。


ただ、私は個人的には、この訓練は効果があると思っています。しかし、それを学習者本人が実感できるかどうかが難しい問題ですし、集中の度合いによって、あるいは現在のレベルによって個人差がかなり大きいはずなのです。


かなり集中的にやる覚悟と、使用前後で適正な実験が必要だと思います。効果に自信があるのなら、それを自覚できるようなチェックテスト用のCDを付けてくれれば良いのに…。


受験用のテキストではありませんので、英文が、典型的な旅行用の英会話文になっています(音に対する訓練なので内容は二の次)。ですから、この時期の受験生にはとても薦められません。 あくまで日本語の周波数帯から英語のそれへの対応を可能にするためのCDです。


もう少し、工夫された英文と構成、リラックスできるような音楽がふんだんに使われていれば、お薦めできるのですが、上記のような理由で、お薦めというよりも、興味のある方にご紹介ということで取り上げさせていただきました。





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2週間で英語が耳に飛び込んでくる!奇跡の音、英語聴覚セラピー

きこ書房

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『アジアはどう報道されてきたか』 永井浩

2006年12月26日 | ビジネス書・マスコミ関連


アジアはどう報道されてきたか.jpg

 

少し前の本ですが、東南アジアの国々の現状を、読みやすい文で書いてあります。

中高生向けの「ちくまプリマーブックス」シリーズですが、大人にも東南アジア入門として良い本だと思います。

アジア・アフリカへの中学、高校生の関心は、韓国、北朝鮮、中国を除きますと、非常に小さいと、授業をしていてそう感じます。ワールドカップ参加国でも場所がわかる生徒はごく少数です。

私も、別の仕事をしていたら、知らないかもしれません。その原因の一つに、これら第三世界=発展途上国の扱いが、報道・出版で小さいことでしょう。 そこで、立場を入れ替えて、例えば一般的なアメリカ人が日本のことを知っているかと言えば、ほとんど知りません。恐ろしく無知だと日本人が思うでしょう。


少し前のアンケート調査で、当教室のメルマガで取り上げたものを紹介しましょう。

びっくりしますよ。




■■■ アメリカ人の知っている日本人 ■■■


アメリカで実施され、東京電機大学が公表したアンケート結果です。アンケートに答えたのは中堅レベルと思われる公立高校2校と公立大学1校の生徒418名。平成10年の調査で古いのですが、それにしても…

日米同盟とさかんに言っていますがホントに大丈夫でしょうか?


 <アンケート>

 【 あなたの知っている日本人をあげてください 】  


 ★★ 結果 ★★  

第1位 【 Emperor Hirohito 】:18人 (昭和天皇です。やはり偉大でした)  

第2位 【 Yoko Ono 】:17人 (うっ、オノヨーコ。まぁジョンレノンも有名ですし)  

第3位 【 Jackie Chan 】:14人 (ジャッキーチェン!?えっ日本人じゃないし)  

第4位 【Emperor Meiji】:11人 (明治天皇、ホ・ホントに知ってんのかな~)  

第5位 【Miyagi】:10人 (たぶんベストキッドに出演の老人でしょう。外国人だよ)

第6位 【Tokugawa Ieyasu】:9人 (家康登場!?やけくそか!)  

第6位 【General Togo】:9人 (連合艦隊の東郷平八郎、確かに海外で有名です)

第8位 【Hideo Nomo】:8人 (やっと出た現代人、ほっとしました、野茂英雄)  

第8位 【Kristy Yamaguchi】:8人 (スケート選手?これアメリカ人だぞ、こら!)  

第10位 【Meiji】:7人 (こんな人知らない、誰だよ~これ)   

第10位 【Bruce Lee】:7人 (ブルースリー!だからさぁ、違う!ってば)

 

◎今なら断然イチローでしょうか? それにしても…いやはや。しかも今調査ではアメリカ人学生418人のうち280人(67%)は無記入、つまり一人の日本人も知らなかったそうです!

アメリカ人学生よ勉強せい!は言い過ぎでしょうか?


■■■

いかがです。むちゃくちゃでしょ(笑)。


しかし、アメリカ人が日本を知らないように、我々日本人もアジアのことを知らないのではないでしょうか。

同じようなアンケートを日本の高校生がアジア諸国に関してやったとして、中国、韓国を除くと、ひとつの国で10人も出てくるでしょうか。

日本の学生が無知だというより、報道そのものがなく、従って関心がわきません。バラエティー番組やエスニック料理など、興味本位の報道はあっても、その社会や歴史を深く掘り下げたものはあまりにも少ないですし、選挙などの結果もよほどのことがない限り大きく報じられません。

ミャンマー(ビルマ)のアウンサンスーチーさんが、軍政の監視下にありながらなぜあれほどの人気を持ち続けられるのか。 マレーシア首相が「戦時被害の謝罪はもういい。今後の話をしよう」と言った背景には何があるのか。そう言われた村上首相(当時)は、どう対応したのか。

タイ=世界1の米輸出国。インドネシア=原油の多くを日本に輸出。フィリピン=バナナとキリスト教。など、東南アジアに関する表層の知識やステレオタイプな見方が、少し軌道修正されました。


クリスマスも終わったことですし、少し別の方向へ眼を向けて見るのもおもしろいと思います。

アジアはどう報道されてきたか

筑摩書房

詳  細

 

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『アジアはどう報道されてきたか』永井浩
筑摩書房:206P:1155円


『いつでも夢を TOKYOオトギバナシ』辻内智貴

2006年12月25日 | 小説

 

辻内智貴 いつでも夢を.jpg

 

やっとクリスマス本番ですね。当教室では23日から大晦日までずっと授業が続きますが、街全体がずいぶん前からクリスマス気分ですから、今日あたりは月曜日ということもあって、もう疲れているのではと心配してしまいます(笑)。


さて、クリスマスに楽しく温かい気持ちにさせてくれる一冊をご紹介しましょう。大変すばらしい、お気に入りの小説ですが、大人の男女関係が中心ですので成人向け。高校生以下は読んではいけませんよ(笑)。


辻内氏の作品は、『信さん』をかつて取り上げました。それもすばらしい本だと思いますが、本書は『信さん』 とはかなり雰囲気の異なる作品で、別の種類の感動を味わうことができました。

格調高い文学作品というのではありませんが、私には忘れられない一冊で、感動的なお話なのですが、同時に声を出して笑ってしまうような場面がいくつかあり、辻内氏はこんな作品を書くんだと、読後も興奮して眠れませんでした(笑)。

“純愛小説の傑作!”と本の裏にはありますが、私にとっては、ちょっと分類不可能な不思議な魅力を持った本です。

 

■■■ ストーリー ■■■

あるどしゃ降りの日、雨の中、白いワンピースを着た若い女性が手にカッターを持ったまま、傘もささずにずぶぬれで立っていました。それを見かねて、40歳の売れない小説家のジローとヤクザの幹部である龍司がそれぞれ声をかけます。

その日、仕方なくジローのぼろアパートへ連れて帰りますが、名を洋子というその女の子には、暗い過去を持ち、リストカットなどを繰り返し、現在も精神科に通っているという事実があることがわかってきます。

そこから妙な同居生活が始まります。

長年同じアパートに住む、元警官のおやじと、その妻で気のいい世話好きの玉代の二人もジローと一緒に洋子の世話を見ます。

最初、雨の日に出会った、龍司は、幼くして亡くした妹と洋子がダブり、心配になってちょっとのぞきにきたところ、おやじさんがかつて自分が世話になった警官だと気付きます。そんな不思議な縁で洋子を見守るようになります。

そこから徐々に明らかになる、彼らの過去、それにより人に優しくなってきた人々が、洋子を応援し、彼女の心の再生を果たします。やがてジローと洋子が結ばれるという感動的、私にとっては爆笑のエンディングが待っています。

■■■

 

とにかく登場人物の設定や描写が巧みなのでしょう。ジローのとぼけ方、純粋さが良いし、龍司の男らしさが魅力的で、おやじさん夫婦の落ち着きやおせっかいぶりに懐かしさ、頼もしさを感じます。

そして時おり彼らに語らせる人生観が、物語をぐっと引き締めます。 テンポよく話が展開し、途中でやめられませんでした。

自殺や暴行事件、虐待といったことも出てくるのですが、それらすべてが、奇抜なアイデアのすばらしいエンディングで吹き飛ぶようなしかけです。氏のユーモアのセンスが私にはピッタリです。

 

いつでも夢を TOKYOオトギバナシ

光文社

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『約束』 村山由佳 画・はまのゆか

2006年12月24日 | 児童文学・ライトノベル・子供向け

 

約束 村山由佳2.jpg


みんなが楽しく過ごすクリスマス。テレビにはにぎやかな番組がたっぷりあるし、お正月もすぐそこ。冬休みは楽しいことがいっぱいあるけれど、子どもたちにその休みの間に読んで欲しい一冊を取り上げます。


小説すばる新人賞直木賞など数々の賞をとっている村山由佳さん。筆者はじめての短編で、一日で読めますし、中学入試にも出される感動の一冊で、挿入される絵もすばらしい。


■■■ ストーリー ■■■


場面は昭和61年(1986年)、小学校4年生の主人公のワタル、その仲間ハム太、ノリオ、ヤンチャ4人の物語です。いつも一緒に遊び、出かけるのも、いたずらをして叱られるのも一緒。

ところがある日突然、ヤンチャが原因不明の病気にかかって入院してしまいます。 見舞いに行くと、元気の固まりのようだったヤンチャの、やせ細り、体中に発疹のある変わり果てた姿に3人はたじろぎます。そんなヤンチャを喜ばせたい一心で、彼らはタイムマシーンを作りはじめます。

もちろん遊びで作ったおもちゃのようなものですが、それでもいいからヤンチャは乗ってみたいというのです。

クリスマス直前、やっと完成したタイムマシーンの写真を持って、ヤンチャのいる病室に駆け込むのですが、彼はそこにはおらず、ヤンチャのベッドがきれいにされています。ヤンチャはその日の朝、突然、発作を起こし亡くなっていたのでした。

そして、ヤンチャのお葬式の日、残された3人は、ヤンチャを助けるのには間に合わなかったけれど、将来、大人になったら絶対にタイムマシーンを作ろうと固い約束をします。

やがて、月日が流れ、世紀が変わる2001年、当時10歳だった彼らも25歳になりますが、あの約束はもちろん果たせないまま。約束には決着が付かないまま、3人がおのおのの人生を歩み始めていますが…。現実にタイムマシーンが作れなくとも、果たせなかった過去の約束を忘れない。

 

■■■

 

友情の物語とも、大人への成長の物語とも言えます。最後はやや哲学的な独白で終わっていますが、それが、すっと頭に入るかどうかは個人差がありそうです。まぁ入試で狙われるのもこのあたりでしょう。


クリスマス直前に友達が死んでしまうという展開ですから、明るい話ではありませんが、筆者のすぐれたユーモアのセンスと、印象的なエピソードで読み手を離しません。短時間で読めて、しかも深い、子どもに何かを考えさせるには絶好の一冊だという気がします。

 

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約束

集英社

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『約束』村山由佳 画・はまのゆか
集英社:96P:1680円

 

 


『ぐりとぐら の おきゃくさま』中川李枝子(作) ・ 山脇百合子(絵)

2006年12月23日 | 絵本

 

ぐりとぐらのおきゃくさま.jpg

 

天皇誕生日ですね、そして翌日がクリスマスイブ。天皇陛下とサンタクロースが隣あわせですが、もう子どもたちは、サンタさんに夢中でしょう。

goo のブログ検索で見てみると…


 【天皇誕生日】・・・    2,188 

 【クリスマス】・・・   859,696 


400倍ですか、すごいですね、サンタクロースのパワーは。


学校によってはすでに冬休みで、今日から連休のせいか、塾に来る道は渋滞、ブログのアクセスは激減、もちろん我々はお仕事(笑)。 そういうわけで(どういうわけ?)今日は思い切って“ぐりとぐら”を取り上げてみました。

人気シリーズというより、定番とか、名作と呼ばれる絵本ですね。今さら説明の必要などないほどですが…。 本書はサンタさんのお話で、この時期にぴったりです。


■■■ ストーリー ■■■

のねずみのぐりとぐらが、森の中で雪合戦をしていると、そこに大きな足あとを見つけます。 なんだろう、興味津々でその足あとを追っていくと、見たことのあるおうち。何と自分の家でした。

そっと中へ入ってみると、お客さまのものらしき、大きな長靴や真っ赤なコートが…。 お客さまはいったいどこにいるんだろう、家の中をさがしていると、“あ~いいにおい”…。

■■■


作者の中川さんは保母さんの時に絵本を書きはじめたそうですね。少し前、ラジオでインタビューを聞きました。実に穏やかな話し振りでありながら、自分の意見をはっきりおっしゃる方だなという印象です。

その時か、何かの記事を読んだ時ですが、確か、テレビは想像力を奪うから嫌いだとか、今の学校は子どもを満足させる環境にないと指摘されていました。正確な内容は覚えておりませんが、その時、“あっ、大村はま先生の思想に似ているな”と思った記憶があります。

大人はもっとユーモアや余裕や知性を持って、子どもに接していくべきというような…。良い本をいっぱい読んだから、私は幸せものだともおっしゃっていました。 なるほど、ぐりとぐらにあるユーモアや余裕が、人気の理由かもしれませんね。


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『ぐりとぐら の おきゃくさま』中川李枝子(作)・山脇百合子(絵)
福音館書店:28P:780円

 

 

ぐりとぐらのおきゃくさま

福音館書店

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『沈船検死』 曽野綾子

2006年12月22日 | エッセイ

 

沈船検死 曽野綾子.jpg


作家、三浦朱門氏の妻であり、自身も旺盛に活動されている曽野綾子氏の著作です。

新聞などに載る氏の発言を “元気のいい人だな” という程度の気持ちで読んでいたのですが、どういうわけか著作を読む機会を持っていませんでした。かつては自民党大会にゲストとして呼ばれ、大勢の議員に向かって、


政治家になられる、ということは、自己の利益や権勢のために働くことではなく、人々のために自ら選んで死ぬ準備があると言えることでありましょう。それができないようなら、すぐにも私のように、卑怯者でも嘘つきでもどうにか勤まる職業に転職されることをお勧めいたします


とやりました。テレビのニュースでそれを見た時の驚きは今でも思い出せます。 また小泉内閣が誕生してしばらくした時、話題になった首相のメールマガジン、(らいおんはーと)では、小泉首相に対し

 
いまだに小泉総理の演説にも国民の心に深く残ったものがない」 と直言しました。



さらに、「ボランティアの強制」 などを主張したり、ペルー元大統領フジモリ氏を自宅にかくまったりして話題になり、そういう断片的な知識しか持たずに本書を読んだのですが、さまざまな発言や行動の真意が分かりました。すべてがキリスト教に基づく信念で活動をしているのですね。


困っている人がいれば、南アフリカであろうが、インドであろうが、パレスチナであろうが、砂漠、僻地、難民収容所にどんどんわけいって、自身で危険を冒して活動をする。とても優しく、同時に厳しい人でした。


自分だけの平和主義、言葉だけの民主主義、偽善的なマスコミを徹底して嫌悪します。非常に強烈なインパクトがあり、さまざまな事がらについて独自の観点が示されます。

ノーベル賞作家の大江健三郎氏が、“沖縄ノート”の中で書いた、沖縄戦における集団自決の話し。戦争の悲惨さを表わす代表的な事件として歴史教科書にまで載ってしまいましたが、曽野氏は自分で何度も沖縄へ足を運び、徹底的に調査をします。


その中で、集団自決に関わる証言が次々否定され、当の大江氏はまったく現地取材を行っていないことを知り愕然とし、告発します。現在は裁判にもなっているそうです。

もし曽野氏が正しいのであれば、私にとって “平和と知性のシンボル” “日本文学の誇り” であった大江氏でしたが、彼がペンという暴力で罪のない人々のリンチをしているということになってしまうわけです。


そういえば、曽野氏はアメリカのイラク統治に関しても早くから “失敗”を予言していました。理由は 『アメリカ政府はアラブのことを知らないから』。ご自分で行動してきた人ならではの判断でしょう。


とにかくどんな権力に対しても、媚びることをしない、命を危険にさらしてまで行動をする。単なる作家やジャーナリストの範疇を越えて、 “サムライ” とでも呼びたくなるような女性だと知りました。


沈船検死

新潮社

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沖縄ノート

岩波書店

詳  細


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沈船検死―夜明けの新聞の匂い

新潮社

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 (↑文庫 459円)

 


『心の潜在力 プラシーボ効果 - 偽薬(プラセボ)は効くのか』 広瀬弘忠

2006年12月21日 | 科学


心の潜在力 プラシーボ効果ー.jpg



プラシーボとか、プラセボとも呼ばれる “ニセの薬=偽薬” があります。薬とは言っても、プラシーボの実際の成分は、単なる砂糖水だったり、食塩水だったりします。


“病は気から” とは、よく言われますが、現実に、病状に影響を与えることのない単なる食塩水や砂糖水などを “よく効く薬” だと言って患者に投与していると、本物の薬と同等に、場合によっては本物以上に“プラシーボ”の治療効果が出てしまうことさえあります。


つまり、プラシーボの効果は、さまざまなデータを見ますと、即座に否定できないところまできているのです。ただ、砂糖水や塩水で病気が治るんなら、医者はともかく、製薬会社はいらないことになりますが…。


プラシーボ効果について医学界では、まるで、“この世に神様は本当にいるのか、いないのか” 果てしなくそんな論争をしているかのように見えます。本書では実例を数多く挙げてはいますが、筆者自身は具体的な論争には加担しません。


プラシーボを中心におき、ガンやうつ病などの実際の病気との関係だけでなく、ストレスや宗教、神秘体験、学習などの関係に話しが及びます。何かを信ずることによって生じる心の安定と、それに続く体自体の変化など、それらに対し“心と脳”という観点から考察を加えています。 


明らかに人間にはプラシーボによって引き出される未知の治癒力がある。それ以外にもプラシーボによって学習効果が上がる、記憶力も上がる。そういう実例、報告をたくさん紹介し、科学では説明できないとしても、そういうことを知っておいて日常生活に応用しようというのが筆者の立場です。


これまでにも、

海馬(糸井重里・池谷裕二)』 

男の子の脳・女の子の脳(レナードサックス)』 

脳の中の人生(茂木健一郎)』 

バカな大人にならない脳(養老孟司)』 

など、脳に関わる本を何冊か紹介させていただきましたが、やはり人間の脳の複雑さ、奥深さゆえ、現代科学では解明できていない部分がかなりありそうです。


きっと、力のある宗教家や政治家は昔からそのことを知り尽くしているのだと思います。人の心の弱さにつけこむ、という言い方もできますが、信じることによって生ずる理解しがたい人間のパワーを熟知しているのでしょう。

さめた眼で見ていれば、ニセ宗教なのに、それが、それこそ“信じられない”ほど流行ったりするのは、なにも理由のないことではないのだと。


せめて心や脳の傾向を知り、自分の健康や人生に生かしていくという筆者のスタンスは非常に好感が持てます。 





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P.S. 勉強に関しても、実際に生徒を見ていますと、確かにこちらのことを信じきっている生徒の成績が、こちらの想定以上というか、私の実力以上に伸びることがよくあります。おそらくベテラン先生であれば、みな経験されているでしょう。“オレを信じろ!” 式の指導方法は、相手によっては効果抜群なのです。ね、キムタツ先生。

VIVAも信じてみて下さい。ただし、“な~んだ、ただの砂糖水だ” と呼ばれないようがんばらないと(笑)…。

 

心の潜在力 プラシーボ効果

朝日新聞社

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【人気ブログランキング】 および 【にほんブログ村】 読書・本ブログカテゴリー 1位 お礼

2006年12月20日 | Weblog


 

おかげさまで、人気blogランキングへ  (  ← これです) で、はじめて、念願の1位になることができました。できればご確認下さい(投票になります)。

そうなんです。これまで応援していただいた方がご覧になれば、おわかりでしょうが、実は今まで1位だった方がいなくなってしまっただけなのです。


つまり 私の文章力が上がったわけでも、VIVA読書の人気が出たわけでもまったくない、要するにたなぼた 1位なのですが、ランキングで応援していただいた方々にご報告とお礼を申し上げたくて、こうして記事にしてしまいました。



そういう訳で、あまりカッコのいい1位奪取ではありませんでしたが、思いがけず、ちょっと早めのクリスマスプレゼントをもらったようなもので、一時的であったとしても大変うれしく思っております。

 “おっ!弱い1位が出てきたぞ、やっつけろ!” というので、他の方々も今後張り切るでしょうから(笑)、1位を維持するのは、そう簡単ではないでしょう。明日になったら、戻ってきた!とか、別の強力ブログの参戦もあるでしょうが、これを励みにして、できるところまでやってみます。
 

また、にほんブログ村 本ブログ  にほんブログ村 本ブログへ ←これです) の方も、ずっと長い間、1位を取らせていただいており、本当にお礼の言葉もないほど感謝しております。


今回のラッキー1位に慢心することなく、地道に努力していくつもりですので、できましたら、これからもお付き合いいただけるよう、よろしくお願いいたします。

 

本当にありがとうございました。 



   VIVA 

 

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先生の読書3(田辺聖子 サリンジャー 一志治夫 速水敏彦 坂本多加雄 秦郁彦 チャルディーニ

2006年12月20日 | メルマガ関連記事

 

“心に残る、忘れられない一冊” のシリーズも今回で最後です。今日の本も、本当なら一冊ずつ読んで、取り上げたいものばかり。気に入っていただけると良いのですが…。どうぞ。



【舞え舞え蝸牛】 田辺聖子 著 (文藝春秋 935円)

舞え舞c纓牛.jpg  詳細を見る


思い出に残ると言うよりも、私の人生を変えた一冊とも言える本です。この本と出会わなければ、今、古文を教えてはいないでしょう。中学生の時、図書室で読み、古典の面白さを知りました。

内容はシンデレラと似ています。皆から落窪と馬鹿にされている美しい姫が、少将に見初められ、侍女の阿漕らの働きにより、幸せになる話です。残念ながら廃盤ですが、この小説の原作である「落窪物語」を新たに翻案したものに「おちくぼ姫」があります。多少内容は違いますが、この本も面白いので是非お読み下さい。


 

 

『影響力の武器』 ロバート・チャルディーニ 著 (誠信書房 3465円)

 

 

 

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“人は何によって動かされるのか” を徹底的に解き明かします。かなり昔に読みましたが、最近になって売れ始めたようで、じわじわと良さが広まっているのでしょう。高が知れた私の読書の中ですが、本書は同種の本の中で比較を絶してすばらしいと感じた一冊でした。

心理学者ですから、学問的な考察がなされているのですが、例証や実験が豊富で具体的。その上それを見事に体系立った形でわかりやすくまとめ上げています。こじつけの論理は一切見られず、その文章力によるものか、読めば必ず心理学(人間行動学)の基本が身に付くように書かれており、しかも実社会で活かせるような工夫が一杯です。

各章の終わりにまとめがほどこしてあるのも大助かりです。 高級品がはやったり、ラーメン屋さんに行列ができたり、川に飛び込む阪神ファンの心理までもよくわかります。

 



【兎の眼】 灰谷健次郎 著 (角川文庫 599円)

 

 

 

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海の物語』を読んだ後、灰谷健次郎の他の作品を無性に読みたくなり、代表作と言う触れ込みからこの本を手に取りました。非常に個性的な子供たちの中でともに成長していく教師の姿、子どもと大人が常に対等に書かれているなど、共通している部分が多く、一気に読みきってしまいました。

学校や生徒達の生活環境の設定や、生徒と教師の言動などは少々現実離れしているものの、良い邦画を観たあとのような澄んだ気持ちになれる作品です。(1979年に映画化もされました。)
 

 


【ライ麦畑でつかまえて】 J.D.サリンジャー 著 (白水社 550円)






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学生時代に読んだこともありますが、最近になり読み直しました。青春時代に誰もが味合う孤独感がユーモアたっぷりに描かれています。落ち込んだり進路に迷った時、読んでほしい作品です。

  

 

【他人を見下す若者たち】 速水敏彦 著 (講談社現代新書 720円)
 

 

 

 

 

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タイトルとこの本の帯に書いてあった「自分以外はバカの時代!」という強烈なキャッチコピーに惹かれ購入しました。今、いじめや自殺が社会問題となっていますが、そういったことが起きやすくなっている社会背景が描かれています。

「自分に甘く、他人に厳しい」「すぐにいらつき、キレる」「悪いと思っても謝らない」と本の帯に書かれていますが、この本の中には、かなり具体的に若者がこのようになった理由が書かれているので、今の時代が便利になっていても、決してよい方向には向かっていないような印象をもちました。

個人的には「嫌なことは吐き出す」という感情の方が最近は増えているように思えます。この本から、現在の日本人が失った何かを発見できると思います。

 

 

【昭和史の論点】 坂本多加雄秦郁彦半藤一利保坂正康 著 (文春新書725円)

 

 

 

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満州事変2・26事件、太平洋戦争などを中心に昭和時代を討論・検証する一冊です。国際社会で暴走し、翻弄され、打ちのめされた日本。今からほんの半世紀ほど前のお話です。

 

 


【魂の森を行け】
 一志治夫 著 (新潮文庫 460円)

 

 

 

 

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副題に3000万本の木を植えた男とあり、植物生態学者であるその人、宮脇昭氏の人生を綴ったものです。環境保護を早くから唱え、本物の自然とは鎮守の森であると現在も自然の再生に尽力し活躍されています。氏の生き様や信念、情熱には圧倒されます。



 

以上です。


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先生の読書2 (飯田泰之 荒俣弘 ラ・ロシュフコー 芳沢光雄 阿部夏丸 山田詠美 シャンサ)

2006年12月19日 | メルマガ関連記事




(手前みそのようで、恐縮ですが…、) 本当に力のある塾講師のみなさんはいろいろと良い本を知っているもんなんですね。だから会話も深くておもしろいし、たとえもユニークで、生徒に人気があるんでしょうね。今回もいろいろな先生から紹介してもらいました!

いや~、毎月この特集になれば良いのになどと考えております。こうしてまとめて並べるのも壮観で良いのですが、実際に自分で一冊ずつ読んで紹介したいところですね。年末年始、読む本がいくつか見つかりました。


気になる本が並んでいると思います。では、どうぞ!


 

【ダメな議論】 飯田泰之 著 (ちくま新書 714円)

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最近で一番心に残った、というか脳を揺さぶられた感じの1冊です。本書は分析的思考の重要性を説くものですが、「ダメな議論をあぶり出す手法を提示していること」と、「具体例として時事問題におけるありがちな議論を取り上げていること」が特徴です。

例えば、「近年、少年による凶悪犯罪は増加しており、道徳教育の見直しが必要とされる」という主旨の文を読んだときに違和感があるでしょうか。ないようであれば、きっと本書に揺さぶられます。

他にも「ダメな若者論」「食料安保論」 「バブル悪玉論」 「良いデフレ論」等々、まだまだたくさんの「何となく常識になっている論説」の何がダメかを論証しています。自分だけの秘密にしておきたいくらいの1冊と言ったら褒め過ぎでしょうか。

 

 

  【ラ・ロシュフコー箴言集】 ラ・ロシュフコー 著(岩波書店 789円)

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フランス・モラリスト文学の最高傑作・・・というと、やたら堅苦しい感じがするけれど、実は単なる「名(迷?)言集」。ほんの1,2行の言葉ばかりが集められた、誰でも読める本です。ただ、そこに集められた言葉は、よく言えば素晴らしい人生の警句、悪く言えば単なるひねくれ者の戯れ言です。

「人が他人を褒めるのは、そのことで自分が得をしようとしているときである」「切れ者らしく見せようという色気が邪魔をして、切れ者になれないことがよくある。」・・・うーん、耳が痛い。真面目な本もよいですが、たまにはこういうちょっと意地悪な言葉に浸ってみるのもいかがでしょうか?

 



【帝都物語】 荒俣弘 著 (角川文庫 735円) 

帝都物語 荒俣宏.jpg 詳細を見る

今でもファンの多い伝奇小説です。学生時代、新刊が出るたびに徹夜でむさぼり読みました。内容を一言で言うと、帝都(東京のことです)を破壊しようとする魔神、加藤保憲とそれを阻止しようとする人々との闘いを描いた話です。

長編のため話題は様々な方面に及んでいます。この本にはまると、歴史と荒俣が作り出した架空の世界が混同してきます。読み終わると次の巻が読みたくなる麻薬のような本です。時間がある時には荒俣ワールドにどっぷり浸かってください。


 

 
【ぼくは勉強ができない】 山田詠美 著 (新潮社 420円) 

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私の思い出の一冊と言えば断然これです。高校2年生のころ初めて読んで衝撃を受けた覚えがあります。「常識」に従わず、他人の敷いたレールを歩かない・・・そういうカッコイイ生き方よりも、むしろそうしたことと引き換えに背負う孤独の方が印象的でした。

もちろん主人公時田秀美には、強い母、包容力のある祖父、そして大人の彼女がいましたが、本当のところでは一人で戦っている姿があって惹かれた覚えがあります。思春期に出会えてよかった一冊です。 

 

 

『算数・数学が得意になる本』 芳沢光雄 著 (講談社現代新書 720円) 

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本のタイトルを見て「そんなことはあり得ない!」という人も多いと思います。算数、数学が苦手という人は多いと思います。そういった人は必ずどこかでわからなくなったという経験があるはずです。例えば「分数の計算」 「証明問題」 「確率」で先生が何を言っているかわからなくなった経験はありませんか。講師としても 「どうやって理解させるか」という事が難しい単元というものがあります。

この本にはそういった算数・数学でつまずきやすい所の解説が書かれています。ただの解説ではなく教科書やゆとり教育の功罪にまでつっこんで書かれているので、つまずきの原因が的確にわかると思います。この本は、子育て中の保護者や教員、中学生以上の学生が読者の対象となっています。

「角錐の体積はなぜ角柱に1/3をかければよいのか」という質問は答えるのに窮してしまったことはありませんか?この本には微積分を使わずに視覚で理解出来る方法が書かれています。それは「大根とナイフを使って・・・」、その先はこの本の中に書かれています。


 


『峰雲へ』 阿部夏丸 著 (小学館 1785円)

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今はもう都会では味わうことが出来ない遊びがあります。本書は川を舞台に少年たちのみずみずしい感性や行動力が思い切り描かれています。入試にもよく出題される本ですが、大人が読んでも心に響く内容です。読後は満足感でいっぱいになりました。





【碁を打つ女】 シャン・サ 著 (早川書房 1995円)

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舞台は昭和初期の満州国、日本人将校と中国人少女の物語。二人が数ページずつ、交互に自分の人生を語る形で、二つの物語が展開します。どちらも、引き込まれるストーリーですが、やっと二人が出会うのは物語後半の碁会所。

過酷な現実、激しい動乱、微妙な心理を、抑揚を押えた文体で描きます。ほとんど無言で対局を繰り返していただけの二人が、満州の状況が風雲急を告げる中で互いを頼らざるを得なくなり、衝撃的なエンディングへとつながります。ため息が出るようなすばらしい小説でした。

筆者はフランス在住の中国人ですが、まるで日本人の筆によるかのような天皇の描き方、そして、兵士のはかなさは万国共通でしょう。『上海ベイビー』が話題になる時代はすでに終わり、頑迷な中国にも新しい世代が出てきていると感じました。



 

以上です。




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