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『数学嫌いな人のための数学 - 数学原論』 小室直樹

2007年07月07日 | 科学

 

数学嫌いな人のための数学.jpg


“数学の本質は論理である!” と帯にあります。副題が数学原論。私は “数学嫌いな人” ではなく、むしろ好きな方ですが、小室直樹氏の名前にひかれて読んでみました。

以前、『人を作る教育 国を作る教育』 の記事の中で触れましたように、小室氏のことを日本一頭が良いと、竹村健一氏が評していました。確かに ウィキペディア でその経歴を読むと、なるほど勉強好きなんだなぁと感心します。

 ⇒ 小室直樹(Wikipedia)


本書では “なぜ数学を学ばなければならないのか” ということなどを説明しています。

日本語は曖昧な言語だと言われますし、日本人には数学嫌いが多いとも聞いたことがありますが、数学ができない国民がこれほど科学技術を発展させられるとも思えません。“和算” という伝統もあり、偉大な数学者を輩出していますし、学力低下が言われる現在でも、数学オリンピックで、日本人の生徒たちは活躍していますよね。


小室氏は、数学のパワーがどれほどすごいものなのかを理解していないために日本人は中国人や韓国人と論争できないと語っています。日本人が理論を使うのがヘタだということです。

私は日本人が理論を理解していても、それを説得に使うとか、直接ぶつけるというディベートのような習慣が欠如しているのではないかと思っていますが、どうでしょう。氏は、ゆとり教育の名のもとにさらに数学的論理を学ぶ機会が減少することを嘆いてもいますが、その通りですね。  


そもそも数学は神との対話、論争のために生まれた学問であり、ユダヤ教を持つイスラエルの頑民が生んだのだそうです。ご存知でしたか、こんな数学史。

 “神は存在するのか” その一点から論争は始まったというのです。その時、“もし神が存在しないのなら” という仮定を用いて現実の矛盾などを指摘。結局、神が存在することを民衆に納得させた。つまり背理法です。こんなことから本書は始まります。


以下が目次です


 数学の論理の源泉―古代宗教から生まれた数学の論理

 数学は何のために学ぶのか―論理とは神への論争の技術なり

 数学と近代資本主義―数学の論理から資本主義は育った

 証明の技術―背理法・帰納法・必要十分条件・対偶の徹底解明

 数学と経済学―経済理論を貫く数学の論理



このあとはアリストテレスの論理学から日韓関係のとらえ方、ケインズの経済学に至るまで、数学の応用範囲を広げて語っています。数式はほとんど出てきませんので、数学の専門知識は必要ありませんが、易しいというわけではありません。

世の中のしくみやできごとを数学的(論理的)にとらえるという習慣の有用性を語っているのですが、本書の作り方自体、論理的というより、エッセイ風でもあり、会話が突然入ったりしています。繰り返しもあったり、別に読みにくくはないのですが、体系的ではなく、非論理的だなぁ~と思った次第です(笑)。


本書とはおもむきは異なるのですが、以前ご紹介した 『数学ができる人はこう考える(シャーマンスタイン)』 も数学の有用性や不思議さを魅力的に取り上げていました。また、野矢茂樹氏の 『論理トレーニング101題』 も論理学をわかりやすく教えてくれる大変貴重な一冊です。

フェルマーの最終定理(サイモンシン)』 や 『博士の愛した数式(小川洋子)』も数学に対するロマンにあふれた名作でしょうね。
 
逆にいくら論理的に考えても、株は儲からないよ、理不尽だよということを 『天才数学者、株にハマる(ジョン・アレン・パウロス)』 は示してくれました(笑)。


また直接、数学云々ということではなくても、日本人全体に “論理的思考” が欠けていると指摘する本として、『なぜ勉強するのか(鈴木光司)』 プロ弁護士の思考術(矢部正秋)』 『人生と投資のパズル(角田康夫)』 などを取り上げましたが、いずれも私には忘れられない一冊です。


本書は、これらの本のどれとも異なり、世の中は数学が支配しているとでも語っている印象です。我々が日々直面する問題は、数学のようにはすっきり答えの出ないものがほとんどですが、見方を広げるとそこには数学的論理が存在しているというような感想を持ちます。

本書は今上に挙げたいくつかの本同様、数学嫌いな人どころか、算数・数学の先生などにもぜひお読みいただき、授業の中でネタに使っていただければ、生徒をぐっとひきつけられると思わせる一冊でした。


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数学嫌いな人のための数学―数学原論

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『日本の死体 韓国の屍体』 上野 正彦、 文 国鎮

2007年05月29日 | 科学


日本の死体.jpg



松岡農林水産大臣の自殺という実にショッキングなニュースが流れました。遺書が何通かあったようですが、いったい何があったのでしょう。現・自民党政調会長の中川昭一氏のお父さん、中川一郎氏が自殺された時も私には大変なショックでした。

その折、ろくに死体解剖もされずに荼毘にふされたという指摘がありました。そして、中川氏も松岡氏も鈴木宗男氏とは深いつながりがありますね。昔、中曽根康弘氏は“中川一郎氏の自殺の原因は知っているが、今は言えない” と親しい人に告白したそうです。


また、ZARDのボーカルの板井泉水さんが、転落死という痛ましいニュースまで…。まだ40歳という若さでガンと闘っていたのですね。 『負けないで』 の曲に励まされた人も多いはず。私も大好きな曲でした。残念でなりません。

自然死ではなかったということに心が痛みます。お二人のご冥福をお祈りいたします。


それで思い出したのが本書です。妙な題名ですが、日本と韓国それぞれを代表する法医学者の対談です。以前に 『検死秘録』(支倉 逸人)という、法医学の本をご紹介しましたが、大変興味深い一冊でした。それで、本書を手にとってみました。

期待通り、日本・韓国、両国の文化の違いが浮き彫りにされており、なるほど近くの国でも考え方の隔たりは大きいとわかります。上野正彦氏は日本の法医学の権威と言える人物で、関連する書籍も多く出されています。

韓国の文国鎮氏も、その道の第一人者。アメリカなどで最新の技術を学び、まさに孤軍奮闘、検死の制度を韓国でも定着させようと努力されています。お二人は犯罪を憎み、物言わぬ死人を哀れむ心で深く理解しあっていると感じます。

目次は以下のようなものです。



 あまりに違う死体解剖

 封印されてきた死体の話

 男女の死体は永遠の謎

 日本の検死、韓国の解剖

 世にも不思議な変死体の数々

 日本と韓国の死生観



北朝鮮による拉致事件で、日本側に渡された遺骨の中には、二度火葬されてDNA鑑定ができないものがあると報道されました。ところが韓国や北朝鮮では現在でも、ソウルなどの大都会以外では、火葬はしないそうです。


それは、「二度殺す」という言葉があるように、遺族にとって火葬というのはむごいと感じられているからです。そんなお国柄ですから、死体を切り刻む解剖などはとんでもないという遺族がとても多いわけです。

解剖によって得られる情報で、死の原因が解明されたり、犯罪の場合は犯人逮捕につながる可能性があるということが、なかなか韓国では理解されないというか、価値観が異なるということですね。時々、韓国で、政治的な抗議手段として、焼身自殺が報道されますが、そこまでしても反対するという意味なのでしょうか。


殺人はもちろんですが、自殺であれ事故死であれ、遺族の動揺はいかばかりでしょう。ご遺族の方々が一日も早く、心の安らぎを得られることを願わずにはおられません。


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『宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった』 佐藤勝彦

2007年03月26日 | 科学
 

宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった.jpg


能登半島沖の地震、死亡者まで出てしまいましたね。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

東京都知事選のある候補は、私なら一週間前に予知できると語ったそうですが…。事実なら、ふざけてます。

大規模な地震が起きるたびに思い出すのが、以前ご紹介した『歴史の方程式』です。副題が“科学は大事件を予知できるか”です。最新の物理学の知見を利用して、地震や戦争なども含めた予知などを扱うのですが、阪神大震災の話から始まっている興味深い一冊ですので、よろしければレビューをご覧下さい。


 ⇒  『歴史の方程式』 マークブキャナン(著) 水谷淳(訳)




さて、同じ物理でも、宇宙に関する本です。

ここのところ、宗教・宇宙・神 などを扱った小説などを取り上げました。小説に出てくる宇宙、神が創造した宇宙はどこまでも文字通り “神秘的” ですが、逆に科学的に宇宙を扱った一冊です。帯にもストレートに “神秘のベールにつつまれた宇宙の謎を解明する!” とあります。大変読みやすい良い本です。


科学の進歩は人々の生活を便利にしただけでなく、その考えにも大きな影響を与えました。以前ご紹介した 『人はなぜ夜空を見上げるのか』 に詳しいのですが、コペルニクスガリレオの例に見られるように、科学は教会(宗教)と対立しましたね。

聖書の教えに反しているということですが、当時、科学は神の存在を否定する方向に働いたのでしょう。その時代からさらに現代の物理学では宇宙や地球をどう捉えているのか、それを解説した一冊です。


著者の佐藤勝彦氏自身が世界的な物理学者ですが、素人にも分かるように、平易な言葉で宇宙について述べています。高校生でも一般社会人でも、勉強として、あるいは教養として楽しく読めると思います。


数式はほとんど出てきません。アインシュタインの何がいったいすごいのか、ホーキングはなぜ注目を集めているのかということを教えてくれます。


以前、別の物理学者が、宇宙の創世についてはほぼ解明しつつあると書いているのを読みました。その時は本当だろうか、と疑っていましたが、本書を読むと、なるほどアインシュタインにも解けなかった、最初の “神の一撃” つまり宇宙誕生問題もいよいよ説明されつつあるのだなという気がしてきました。


ダーウィンが進化論を広めた結果、人間は神様が作ったわけではなくなってしまい、宇宙の誕生も科学的に説明されてしまうと、神様の居場所がますますせまくなっちゃっう気がします(笑)。


これから高校に入る人、中学生にはちょっと難しいかもしれませんが、地球がどうやってできたのかを解明しようという人がいる。そんなことを聞いたら読んでみたくなりませんかね。


目次です。

第1章 宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった

第2章
 アインシュタインは宇宙をいちばん知りたかった

第3章
 マザー・ユニバースからチャイルド・ユニバースへ

第4章
 ホーキングとビレンケン―「無」からの宇宙創生論

第5章
 宇宙論は観測の時代に突入した





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宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった

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『不都合な真実~切迫する地球温暖化、そして私たちにできること~』アル・ゴア(著) 枝廣淳子(訳)

2007年02月05日 | 科学



アルゴア 不都合な真タ.jpg



環境問題に関しては、『リサイクル幻想(武田邦彦 著)』 が衝撃的で、周りの人にも薦めていましたが、本書もそれに劣らぬインパクトのある一冊、大型本です。映画にもなっています。


先日ラジオで偶然、本書の翻訳をされた枝廣氏のお話を聞き、関心があったのですぐに読んでみました。またつい先日は、ゴア氏本人がテレビで本書と同じ内容を解説していてびっくり。来日中だったのですね。


地球温暖化が初めて、公に話題になったのは1988年ですから、そろそろ20年になろうとしています。しかしながら、本書で明示されているように、地球の温暖化は改善されるどころか、どうやら悪化の一途です。


ご存知のように、ブッシュ米大統領との選挙にきわどく敗れたゴア氏ですが、環境問題にこれほど熱心に取り組んでいること、全く知りませんでした。本書には、ゴア氏の活動紹介とエッセーなども含まれていますが、温暖化に関して、ものすごい情報量があります。


世界に温暖化の深刻さを訴えるには、うってつけの一冊で、すばらしい本だと思いますが、ちょっと複雑な気分になるのは、温暖化の最大の原因は何といっても…、アメリカ。

ブッシュ政権になり、アメリカは京都議定書を批准しませんでしたが、その同じアメリカの超大物がこのような本を出すとは…。それがアメリカ的という気もしますが(笑)。


実は当教室でも、以下のような記事を2005年の夏にメルマガに載せていました。ぜひお読み下さい。




■■■

 
    “二酸化炭素”買います!


ロシアが批准したことで、今年から京都議定書が発行し、各国に温室効果ガスの削減が義務付けられました。新聞なんかは、“日本が世界をリードする!”なんて大はしゃぎしていますが、これ大丈夫でしょうか?

まずは、世界の二酸化炭素CO2排出量の割合を見てみましょう。(2000年)


第1位:【アメリカ:23.1%】

第2位:【EU:12.7%】

第3位:【中国:11.5%】

第4位:【ロシア:5.9%】

第5位:【日本:4.9%】

第6位:【インド:4.4%】


【アメリカ】 二酸化炭素排出の超大国アメリカは、京都議定書を批准していません。つまり知らん顔です。(あれ?)

【中国・インド】 先進国ではないということで削減義務はありません。(えっ?)

で、残された国に課せられる、1990年からどれだけCO2を減らすかというノルマですが、  


        EU:8%  日本:6%  ロシア:0%


【EU】 確かにEUのノルマは厳しく、取り組みにも熱心なようですが、EUは旧東ドイツはじめ、古い設備を使っていた東欧諸国を合算できるため、省エネするどころか、新しい設備に建て変えるだけで削減したことにできるのです。

つまり数字のトリックで、実際はこれまで以上に燃料を消費しても、効率が良くなったということで、減ったことにカウントできるようです。(うそ?)


【ロシア】 ノルマが甘いだけでなく、91年のソビエト崩壊によって、一時は90年当時の半分しかエネルギーを使わないほど経済状況は最悪になりました。いまだに余裕しゃくしゃくで、それが批准を決断させた一因だとか。(うっ!)


【日本】 もうこれはいけません。2000年時点で、減るどころか90年より、7.6%も増加してしまっていて、ノルマを合わせると14%近くも減らさなければなりません。(ガーン!)

二度のオイルショックを経て、設備や車、電気製品はすでに世界最高の省エネ規格になっていますし、原子力発電も使っています。車やエアコン、がまんするしかないのか…、このままじゃ“京都”をもつ日本だけが…

で、どうするか?削減枠の余っているロシアなどから買わなければならないルールです。ある計算によると、少なくとも買う量は1.3億トン、1トン当たり1000円としても、1300億円という高額です。増税?(く~っ!)


◎京都議定書に関しては、まだまだ細かいお話がたくさんあるのですが、スペースの都合でかなり簡略化した説明になっています。まだ自由研究のテーマが決まっていない生徒諸君、ぜひぜひ、環境問題を取り上げてみて下さい。


■■■



ゴアさん、ブッシュをまず…、お願いします(笑)。




さて、「ゆでがえる現象」 というのをご存知でしょうか。

カエルを熱いお湯に入れますと、ビックリして飛び出しますが、水の状態からゆっくり、徐々に加熱していくと、カエルはその変化に気付けず、やがてゆで卵のように、ゆであがって死んでしまうという話です。


本当かどうか知りませんが、実にうまく、カエルではなく、人間の行動一般を表わしていると思いませんか。特に地球温暖化に関しては、ぴったりの比喩でしょう。


本書はものすごい量のデータと、また映画化されただけあって、写真なども数多く使われています。美しいと同時にショッキングなものばかりで、温暖化に関する限り、まるで百科事典のようです。


私は専門家ではありませんので、学術的に本書がどの程度の評価に値するかを判断できませんが、我々に何かをしようと決意させるには充分な重みがあるように感じます。特に今年は記録的な暖冬で、人々の関心も高いですし、日本ではタイムリーな時期に出されました。


ほんの少しでも、何かしてみませんか。

リサイクル幻想

文藝春秋

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不都合な真実

ランダムハウス講談社

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ブログにすばらしい特集がありますので、ぜひご覧下さい。
 

  特集「地球温暖化とアル・ゴア」 (英語も勉強できますよ!)




 公式サイトで映画の模様が紹介されています。

不都合な真実




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『不都合な真実~切迫する地球温暖化、そして私たちにできること~』アル・ゴア(著) 枝廣順子(訳)
ランダムハウス講談社:325P:2940円

 


 

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『心の潜在力 プラシーボ効果 - 偽薬(プラセボ)は効くのか』 広瀬弘忠

2006年12月21日 | 科学


心の潜在力 プラシーボ効果ー.jpg



プラシーボとか、プラセボとも呼ばれる “ニセの薬=偽薬” があります。薬とは言っても、プラシーボの実際の成分は、単なる砂糖水だったり、食塩水だったりします。


“病は気から” とは、よく言われますが、現実に、病状に影響を与えることのない単なる食塩水や砂糖水などを “よく効く薬” だと言って患者に投与していると、本物の薬と同等に、場合によっては本物以上に“プラシーボ”の治療効果が出てしまうことさえあります。


つまり、プラシーボの効果は、さまざまなデータを見ますと、即座に否定できないところまできているのです。ただ、砂糖水や塩水で病気が治るんなら、医者はともかく、製薬会社はいらないことになりますが…。


プラシーボ効果について医学界では、まるで、“この世に神様は本当にいるのか、いないのか” 果てしなくそんな論争をしているかのように見えます。本書では実例を数多く挙げてはいますが、筆者自身は具体的な論争には加担しません。


プラシーボを中心におき、ガンやうつ病などの実際の病気との関係だけでなく、ストレスや宗教、神秘体験、学習などの関係に話しが及びます。何かを信ずることによって生じる心の安定と、それに続く体自体の変化など、それらに対し“心と脳”という観点から考察を加えています。 


明らかに人間にはプラシーボによって引き出される未知の治癒力がある。それ以外にもプラシーボによって学習効果が上がる、記憶力も上がる。そういう実例、報告をたくさん紹介し、科学では説明できないとしても、そういうことを知っておいて日常生活に応用しようというのが筆者の立場です。


これまでにも、

海馬(糸井重里・池谷裕二)』 

男の子の脳・女の子の脳(レナードサックス)』 

脳の中の人生(茂木健一郎)』 

バカな大人にならない脳(養老孟司)』 

など、脳に関わる本を何冊か紹介させていただきましたが、やはり人間の脳の複雑さ、奥深さゆえ、現代科学では解明できていない部分がかなりありそうです。


きっと、力のある宗教家や政治家は昔からそのことを知り尽くしているのだと思います。人の心の弱さにつけこむ、という言い方もできますが、信じることによって生ずる理解しがたい人間のパワーを熟知しているのでしょう。

さめた眼で見ていれば、ニセ宗教なのに、それが、それこそ“信じられない”ほど流行ったりするのは、なにも理由のないことではないのだと。


せめて心や脳の傾向を知り、自分の健康や人生に生かしていくという筆者のスタンスは非常に好感が持てます。 





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P.S. 勉強に関しても、実際に生徒を見ていますと、確かにこちらのことを信じきっている生徒の成績が、こちらの想定以上というか、私の実力以上に伸びることがよくあります。おそらくベテラン先生であれば、みな経験されているでしょう。“オレを信じろ!” 式の指導方法は、相手によっては効果抜群なのです。ね、キムタツ先生。

VIVAも信じてみて下さい。ただし、“な~んだ、ただの砂糖水だ” と呼ばれないようがんばらないと(笑)…。

 

心の潜在力 プラシーボ効果

朝日新聞社

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『吸血コウモリは恩を忘れない―動物の協力行動から人が学べること』リー・ドガトキン 春日倫子

2006年12月11日 | 科学
 

吸血コウモリは恩を忘れない 動物の協力行動から人が学べること.jpg


妙な書名ですが、本書は進化生物学や動物行動生態学の本です。専門的な研究書ではなく(著者は高名な専門家ですが)、さまざまな動物の協力行動などから、人間が学べるところはないだろうかという視点で書かれています。  

自分の子を持った時に、“ぞうさん” や “迷子の子猫ちゃん” の童謡の世界、また、“ぐりとぐら” や “バムとケロ” など絵本の世界に引き戻され、これでもかというくらい動物が出てくるのにあらためて驚きました。

また、いろいろなブログを拝見していると、犬や猫の写真がとても多く、ペットの存在感の大きさを感じます。(そういえば、つい最近も当塾で、“飼っている犬が死んでしまったので、今日は塾を休みます” という受験生までいました。)

本書に登場する動物たちの例は、書名にある、吸血コウモリの他に、チームで狩をする雌ライオン、女王ネズミをいただくハダカデバネズミ、集団でカラスに反撃するムクドリ、役割分担して獲物を追い立てるブリ、交互に身づくろいしあうインパラなどなどです。よく知られているアリやミツバチ、チンパンジーの社会も登場します。


筆者は動物の協力のパターンを

1・家族を助ける

2・貸し借りを忘れず清算する

3・ひとりでできないことはみんなで

4・仲間のためには危険をいとわず

の4つに分け、それぞれ豊富な実例で、なぜ協力をするのか説明を加えます。


動物の“環境”、“遺伝子”、“協力”、“裏切り”、“ズル”、“コストと利益” などが常にキーワードになってきます。なるほど人間社会が学べそうな知恵がたくさんあるなと感じました。私は特に動物好きというわけではありませんが、それでも本書は実に面白くよむことができました。 


実は大学入試の英語でも、動物の話題は頻出なんです。よく読解のテキストなどで、テーマを、環境や社会問題、歴史、教育などに分けていますが、なかなか“動物” というカテゴリーを設けているものはありません。 しかし、ニュートラルな話題を好む大学では本当によく出題されます。

環境や遺伝子に関心が高まってきているので、それとの関係で出されることも多いです。これまでも 『カラスはどれほど賢いか(唐沢孝一)』や『そんなバカな-遺伝子と神について(竹内久美子)』 を取り上げましたが、これらは国語の入試でも出されました。


受験生諸君も読んでおいて絶対に損は無いはずです。






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吸血コウモリは恩を忘れない―動物の協力行動から人が学べること

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『吸血コウモリは恩を忘れない―動物の協力行動から人が学べること』リー・ドガトキン(著) 春日倫子(訳) 
草思社:205P:1680円

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『海馬-脳は疲れない』池谷裕二、糸井重里

2006年11月09日 | 科学
 

海馬.jpg


大変、評判になった一冊ですが、いまだに良く売れており、受験生に役立つ情報が入っておりますので、この時期に紹介しようと思っておりました。

本書のおかげで、“海馬” という言葉が、かなり知れ渡ったのではないでしょうか。英語では、【hippocampus】 というのですが、hippo はカバの略称ですが、hippo-は “馬の” という意味の接頭語です。hippocampus は馬のキャンパス。キャンパスは校庭、広場ですから、英語では “馬の校庭” となる海馬は、記憶をつかさどる脳の部位です。


池谷氏は、1970年生まれ、まだ30代の新進気鋭の“脳”学者です。糸井重里氏はコピーライター、ご存知ですよね。ネットでも、 ほぼ日刊イトイ新聞 が有名です。


科学がこれだけ進歩している現代でさえ、人間の脳のしくみに関してはまだまだ解明されていないことばかりですが、今、注目を浴びている研究が 『海馬』 についてのものであり、池谷氏はその第一人者。

今、理系大学の最先端の研究で、科学者が注目しているものの多くが、“脳” と “心” に関するものなんです。心といっても、文系でなく、理系です。 科学の話はたいてい、難しいのですが、本書は対談形式で非常に分かりやすく書かれています。全くのしろうとでも大丈夫でした。

これまで世間一般に言われる、『年をとると記憶力が落ちる』や『長時間使うと脳は疲れる』など脳に関する常識は、まったくの誤解であると述べています。 受験生が読んでも役立つ情報がたくさんあります。

暗記方法や睡眠について教えてくれていますし、やる気を出す方法や、なんと、頭を良くする食べ物もあるそうです。 池谷氏は、小学校2年生でやる、九九を覚えていないそうですが、独自の計算方式を脳に関連して説明したりしてくれます。

以前ご紹介した、『脳の中の人生(茂木健一郎)』 も読みやすいのですが、どちらかといえばエッセー風でした。こちらはより読者が、易しく“勉強できて役立つ” ことに主眼をおいた感じでしょうか。

目次を紹介しておきます。

第1章:脳の導火線
第2章:海馬は増える
第3章:脳に効く薬
第4章:やりすぎが天才をつくる


各章のおわりに、まとめがあるのも大変良いと思います。

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『海馬-脳は疲れない』池谷裕二、糸井重里
新潮社:344P:620円

あれ、今気付いたのですが、私が購入したのは、単行本で、朝日出版社というところからそっくりのデザインで出ていました(1785円)。文庫は新潮社のようです。こんなことあるんですね。

海馬/脳は疲れない ほぼ日ブックス

朝日出版社

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海馬―脳は疲れない

新潮社

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『人はなぜ、夜空を見上げるのか』 桜井邦朋

2006年09月25日 | 科学
 
「宇宙像の変遷を語る-人は宇宙をどのように見てきたか」というテーマの市民講座において、その講義をまとめた一冊です。宇宙に興味があっても、物理がよくわかっていない一般の人々を対象にしたような内容で、これから物理を勉強しようという高校生や、私なんかにはピッタリです。

宇宙物理学の変遷とその天才たちについて分かりやすく解説します。天動説からはじまり、コペルニクスガリレオニュートンアインシュタインハッブルそしてホーキングを少し解説するといった中身です。


哲学にも同じことが言えますが、物理に関する教養書も、いくら「入門、わかりやすい」と書いてあっても、私の場合、最後まで読みきるのは大変です。投げ出したくなることが多いのですが、本書は止まることなく、読了しました。

簡単だというより、「分からなかったからもう一度読もう」という気にさせてくれるのです。ボリュームがそれほど多くなく、書き手の人柄がそうさせてくれたのです。もし目の前に著者がいてくれたら、すんなり質問できそうな雰囲気とでも言いましょうか…。

二度目に読んだときは「あ~なるほど」と思えるところがいくつも出てきて、一度目よりずっと収穫がありました。ただし、それでも全部を理解しているなどとは思えませんが…。

宇宙物理の歴史的な流れが何となく分かったというだけですが、それで充分うれしいのです。ずっと以前から「~光年」と聞くだけで、“ホントかよ?”という気がしてしまって、ダメ。私にとって、物理の“光年” と、 化学の“モル” これらは高校時代からの天敵です。


光ですら何年もかかるのをどうやって計算したのか、あるいは光の速さをどうやったら測れるのか、ビッグバンの前はどうなっていたのか、何でもくぐり抜けるはずのニュートリノをどうやってつかまえるのか、物理に関して不思議に思うことがたくさんありました。

そういうレベルの人には良い本だと思います。以前、ご紹介した、『 和魂和才 (童門冬二) 』で取り上げている、麻田剛立 と一緒にお読みいただけると親近感がわくと思います。


P.S. 今、確認しましたら、残念ながらアマゾンではすでに在庫は無いようです。う~ん、PHPは割と好きな出版社ですが、無くなるのが早いのが許せません。確かに、すごく売れるという類のものではありませんが、充分有益な一冊なんですがね。



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『人はなぜ、夜空を見上げるのか』桜井邦朋
PHP研究所:197P:



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上を見続けられるのは、若者の特権!秋の夜長、夜空を見上げて、いろいろ考える、いいねぇ。大人も下ばかりじゃなく、たまには夜空を見あげて、大きな夢を抱かねば…、というのは自戒の言葉です。応援のクリックよろしくお願いします。

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人はなぜ、夜空を見上げるのか―宇宙物理学の変遷と天才たち

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『そんなバカな-遺伝子と神について』竹内久美子

2006年09月07日 | 科学


そんなバカな!遺伝子と神について.jpg


秋篠宮妃、紀子さまが、男の子を無事出産されましたね。“親王” というのですね。将来の天皇陛下のご誕生ということにもなり得ますから、昨日、9月6日は歴史に残る記念すべき日ですね。

せっかくですから、ブログにも何か、記念に記事を残しておきたいと思って、関連の書籍を探しましたが、皇位などと関係のありそうな本は読んだことがありませんでした。残念!こういう時に、本がないと書けない読書ブログは機動力に欠けます(笑)。

そこで、こじつけですが、皇位継承問題で積極的に発言していた、竹内久美子氏が書いた本書を取り上げてみます。おもしろい一冊ですよ。


竹内氏は“天才”と呼ばれる生物学者で、生物学的な観点から、新聞、雑誌などで、女系天皇反対を精力的に主張していました。単に男女同権とか、女性天皇もいたじゃないかという議論に対し、

 『 男系の男子でつなぐのは、男にしか存在しない性染色体、Yをほとんどそのままの状態で、代々男から男へと受け継がせるという重大な意味がある。Y以外の染色体、つまり性染色体のXと常染色体の場合、ほとんどそのまま世代から世代へと受け継がれていくなどということはあり得ない。日本の皇室は世界一長い歴史をもっている。しかもそれはほとんど同じYでつながっているという奇跡に近いこと。 』



と、私には、ちんぷんかんぷんですが、“お~、皇室は、すごいらしい” と我々をビビらせ、歴史に科学を持ち出して応戦したのは新鮮でした(笑)。


本書はそんな難しいことは何も書かれていません。すべての人間の行動を「 利己的遺伝子selfish gene) 」という発想から解説してしまいます。なかなか意欲的な取り組み、思考方法ですから、生徒諸君はこの言葉をぜひ覚えておいて下さいね。

いまだに学者の中には、動物行動学  (動物社会学) という分野や考えたかを亜流とし、懐疑的にとらえる人も多いそうです。でも本書を読むと竹内氏の説明は筋が通っているように思えてしまいます。

人間を完全に動物の中の一つとしてとらえ、すべての行動を、子孫を残そうとする遺伝子の働きとして説明してしまいます。 婚姻や浮気だけじゃないんですよ。暴走族も、バクチにのめりこむ夫もマイホームパパも、嫁姑の問題も、子供の教育も本当にすべてです。

読んでいるうちに(書名からもわかるように、)「 うそ、そんなバカなぁ、へ~そうなんだ、な~るほどね」 という感想が自然に何度もこぼれます。 チンパンジー、はち、アリ、鳥など実に様々な実例を挙げ、その動物の行動を分析し、そして人間にとらえ直します。

自分のすることはすべて、“ぼくじゃない、ぼくの遺伝子がぼくにやらせているんだからしかたない” なんて考えると気が楽です(笑)。 信じられるかどうかは読者次第です。動物好きの方にも興味深い一冊になるはずです。


http://tokkun.net/jump.htm 

『そんなバカな-遺伝子と神について』竹内久美子
文藝春秋:267P:490円

■■ 祝賀 ■■  紀子さまご出産記念の本にするには、かなりムリがありますね(笑)。記念のつもりが逆に不敬だとお叱りを受けそうですが、ご祝福の気持ちは変わりません。おめでとうございます。慶事です。おすそわけの クリックしていただけると2倍うれしいです。
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そんなバカな!―遺伝子と神について

文藝春秋

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『免疫学問答』 阿保徹、無能唱元

2006年08月28日 | 科学
  
私は、今から8年くらい前、胃潰瘍(正確には十二指腸)で手術、入院の経験 があります。医者から、原因は“ストレス” と言われ、“へぇ~、ストレスってやつは、胃に穴をあけちゃうんだ” と身をもってストレスの恐ろしさを思い知ったわけです。

入院中から、それ以降も、ストレスや免疫というものに関して、非常に興味を持ち、いろいろと本を読みましたが、その中で最も印象深かったものの中の一冊が本書です。


医師である阿保徹氏と、僧侶の無能唱元氏、お二人とも数多くの書籍を出しておられますが、本書では、“免疫” や“ストレス” について、阿保氏が“しろうと”の無能さんに教える、あるいは疑問に応えるという形の対談です。

アトピーや他のアレルギー、胃潰瘍、さらにガンやリュウマチまで、すべてストレスが引き金となっており、阿保氏は、治療に当たっては対症療法をやめて原因療法を推進すべきだという主張をします。基本的には、日本の医療は薬に頼りすぎで、それが治癒を妨げているというような考え方です。

例えば放射線治療をほどこしてガン細胞を攻撃できますが、それは同時に免疫力を著しく弱めてしまうため、阿保氏はそれに関しては西洋医学に反対です。ただ、すぐに効果の現れる対症療法(西洋医学)を望む患者が多いのも事実です。


本書の主張は、かなり大胆です。

「酢は体に悪い」
「たばこは体に良い」
「ガンの転移は直る前兆だ」
「潰瘍はピロリ菌が原因ではない」

など、びっくりするような意見がならびます。これだけ見ますと、怪しげな宗教ではないかと疑うのも無理はないのですが、阿保氏自身は、数多くの新しい発見をして世界を驚かせ、外国の専門誌に英語で論文を発表して注目を集めている先進的な研究者です。

もちろん本書には、なぜそう言えるのかを、専門用語抜きで、分かりやすく説明してくれます。長くなりますので、ご紹介できませんが、“酢”の話しなどは非常に印象深いものでした。

このブログを読んでいただいている人の中には、暑い夏、季節の変わり目に、体調がすぐれなかったり、実際に病気の方もおられるかもしれません。私はもちろん本書を気に入っておりますが、まったくの素人ですし、健康に関わることですから、安易に“お薦め” とは申せません。

ただ、なかなか症状が改善されない方は、一読されてはいかがでしょう。どこか参考になる指摘があるのではないかと思います。


免疫学問答―心とからだをつなぐ「原因療法」のすすめ

河出書房新社

詳細


http://tokkun.net/jump.htm


『免疫学問答』阿保徹、無能唱元
河出書房新社:190P:1365円



■■ お読みいただきありがとうございました。 ■■
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  本当に、2位の“半分”に届きました。ありがとうございます。
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『 暗号解読 』 サイモン・シン

2006年08月27日 | 科学

I love you.” というメッセージを “ a→b b→c c→d” と次のアルファベットにして暗号化し、書き換えますと
  ↓ ↓ ↓
jmpwfzpv”  となります。

この暗号をどう解読すればよいのでしょう。

実はこれが、暗号の初歩の初歩で、アルファベット一つ一つの使用頻度を分析することから、簡単に見破ることができます。本書ではそこから始めて最新の量子力学まで話が及びます。 

ロゼッタストーンに描かれた紀元前の絶滅した絵文字の解読法や、戦争中の無線傍受した内容の暗号分析方法などの丁寧な解説書であり、それを発明した天才たちを描いたドラマでもあります。

これまでの暗号の歴史が国家の盛衰に著しい影響を与え、現在の企業の生命線を握っていることまでも、よくわかります。

“なるほど!” “すごい!”の連続で、確かに暗号は解読できるんだ、と確信させてくれるでしょう。決して、気軽な本ではないのですが、興味のある方には、知的好奇心に充分応えてくれる一冊です。特に数学好きの人なら感心しきりでしょう。


億、兆どころか京、さらにその上の位の数の候補からどのように正しい“かぎ” をつかみ取るか、あるいは隠しとおすのか。 情報戦の凄まじさ、数学の不思議さがよく分かります。『 フェルマーの最終定理 』 も同様ですが、サイモン・シンの著作は、科学の本でありながら、歴史、ミステリーであり、壮大なドラマです。 


ちなみに、本書が書かれた時点では、暗号作成側が解読側よりも勝っており、最新の技術ではたった一つの暗号化されたメッセージを解くのに地球上の全パソコン2億6千万台をいっせいに使っても宇宙の年齢の1200万倍かかるそうです。すごいスケールの話になっていますね。


生徒諸君!数学や物理、さらに歴史を勉強する醍醐味はこんなところにもあるんですよ。


暗号は、ネット社会のキーワードですし、日米開戦時にも決定的な役割を果たしています。一般市民が知らないところで、ものすごいエネルギーが暗号作成、解読に注がれていることに驚きます。★5つレベルのお薦めです。



http://tokkun.net/jump.htm 


暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで

新潮社

詳  細

『暗号解読』サイモン・シン
新潮社:509P:2730円



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  追撃の1冊ですが…。せめて2位の半分へ(トホホ…)

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『木の教え』 塩野米松

2006年08月07日 | 科学

もし京都、奈良ならに出かけるのなら、世界最古の木造建築で、世界遺産にも登録されている法隆寺は、やはり何度でも見てみたいものの一つですね。

子どもが、何の知識もなく、神社仏閣をながめるだけなら、ディズニーランドやUSJの方がはるかに楽しいでしょう。でも、ほんの少しの時間を使って、“予習”をしておけば、法隆寺はレジャーランドとは違ったやり方で、子どもの心を揺さぶるはずです。

本書はそういう場合にうってつけの一冊です。世界最古の木造建築を可能にした、宮大工と呼ばれる人々の、木に対する造詣を紹介したものです。

実は、1000年以上前からあった、法隆寺の宮大工と棟梁の制度、すべてが口伝で引き継いだと言われる、その伝統が、とうとう途切れてしまいました。いったいどんな世界なのか、門外漢には予想すらつきません。

まずは、木にまつわる話からスタートします。どうしたら木が何百年も、時には千年を超えてもつのか、もたせるのかという話しです。

図をふんだんに使っていることと、すべての漢字に読み仮名が付いていて、小・中学生でも読めると思います。日本の伝統という観点からも、歴史学習、環境教育、ものつくり、といったことまで、さまざまなことを教えてくれる一冊です。

日本人と木の関係ほど、文化を映し出すものはあまりないと思いますが、今は、大工さん、落語だと“でーく” 、または林業という言葉自体が、あまり登場しません。花粉症などは、木々や自然に対する、人間の無知が引き起こした人災だという指摘もあります。

どんなものであれ1000年も続いた伝統が、人知れず消えていくのは、寂しいものです。まして、世界に誇る日本の木造建築の話ですから、ぜひ子どもたちに、知っておいて欲しいと思います。

以前ご紹介した『 植物はなぜ5000年も生きるのか 』 もすばらしい一冊です。合わせて読めば、より興味を持たせてくれると思います。


http://tokkun.net/jump.htm


木の教え

草思社

詳  細




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『カラスはどれほど賢いか』 唐沢孝一

2006年08月03日 | 科学
 
都会ではゴミを食い散らかすことで、見るのもいまいましいほど嫌われ者になってしまったカラスですが、これをペットにすると、とてもおもしろいそうです。言葉も覚えるし、酒を飲んでひっくり返ったりするのだそうです。

♪かーらーす~ なぜなくの~♪ と子どものころは歌っていましたが、いつのまにか“カラスの勝手でしょ” ということになってしまって(笑)、どんどん遠い、うとましい存在になってしまいましたね。

カラスは、頭のよさという点では、鳥類の中でズバぬけています。女性、子どもを襲っても大人の男性は襲わないし、かかしや罠はすぐに見破ってしまうし、オウムのように言葉も覚えるし、クルミを割る方法を学習するし、サルのように道具も使え、食料を蓄えることまで知っています。

鋭いくちばしで少々の罠は食いちぎり、獲物を攻撃もする。しかもいざとなれば連係プレイを駆使して、単独で勝ち目のない大きな相手にも立ち向かうほど勇敢で、最後は共食いをしてでも生き延びるという根性。なかなか見上げたものです。

日本を含め、世界中で昔からカラスを守り神として崇めている民族や地方も多いそうです。そういえば日本サッカー協会の旗も三本足のカラスでしたね。いまちょっと弱いですが…。(笑)

トラブルメーカーとしての一面ばかりが取り上げられますが、ある面では、環境破壊の末の都会への大進出でもありますし、単に鳥の一種としてながめると非常に興味深い生態がわかります。

筆者は高校教師を経て、さまざまな自然教育を実践したり、都市鳥の生態調査を行なったりしている大学講師です。専門書ではありませんが、興味のある方にとっては情報たっぷりです。夏休みの自由研究に、世界中の“カラス”の扱われ方を調べたり、ゴミ置き場で観察したりするのはどうでしょう。もちろん攻撃には気をつけてね。


http://tokkun.net/jump.htm

カラスはどれほど賢いか―都市鳥の適応戦略

中央公論新社

詳  細



P.S. 昨日は素敵な方と夜中までデートしていて、じゃっかんハングオーバー(#^.^#) カラスのように、しぶとく(ただし人には迷惑をかけず) 生きていきましょうと…。写真を補正して、2.3日中にUPします。
ところで、すばらしいおみやげをいただきました。コレ です。


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『光と色の100不思議』 桑島幹

2006年07月28日 | 科学

虹や オーロラ という自然現象から、リモコンや液晶というハイテクまで、光や色に関する100の話題、疑問を非常に分かりやすく科学的に説明しています。おもしろいですよ。

難しい公式などは一切出てきません。それでいてアインシュタインの 光量子説 などの現代物理や現代の光工学の技術までも取り上げていますので、とても奥が深い本といえます。中学生以上なら、高校生、大人でも十分楽しめる内容に編集されています。さすが、教科書会社ですね。

また、こんな話題も出てきます。『 医師はなぜ手術室では白衣を着ないのか 』 
ご存知でしたか? 実は、赤色(血)を長時間凝視すると、白を見ても青緑色に見えてしまうからで、もし白衣を着ていると自分の手元が青緑色に見えてしまい、手術に集中できないので、先に青色の手術着を着ているそうです。

このような“なるほど” “へ~” と思うことが100も取り上げられていますから、夏休みの研究課題のヒントになるものが見つかると思います。本書の実験が、テレビで紹介されたこともあるそうです。

興味のある人は、本書のHP がありますので、目次 をご覧下さい。いくつかの実験、解説例も出ています。

夏休みですから、こういった本をなるべく、休み前半に、ご紹介したいと考えております。


http://tokkun.net/jump.htm





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光と色の100不思議

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『新ネットワーク思考』 アルバート=ラズロ・バラバシ

2006年07月19日 | 科学

今や電気、電話はもちろん、道路や地下鉄などの交通機関、すべてはネットワークでつながっています。切れたら大変ですね。生身の人間はどうでしょう。

灘高のキムタツ先生 からのコメントで、私が二日前にご紹介した 『 社会調査のウソ 』 の著者、谷岡先生は、“灘の野球部つながり” でキムタツ先生のお知り合いだとわかりました。 

『 またお逢いしたらVIVAさんが取り上げてくださったことをお伝えしておきますね 』 とコメントいただき、感激するのと同時に、本書を思い出しました。時代の大きなテーマ、“ネットワーク” を扱った、大変おもしろい一冊です。

VIVA ――――【 キムタツ先生 】―――― 谷岡先生 

キムタツ先生一人をはさんで、私と谷岡先生がつながりました。もちろんまったく谷岡先生を私は存じ上げませんが、キムタツ先生がハブ(中心・中核)的な役割を果たしたということになります。

こうして、ネットワークを専門的に研究してみると、世界の見知らぬ誰とでも、あいだに、たった6人の知り合いがいれば到達するということがわかってきました。

普通この種のことを漠然とアンケートで尋ねると100人くらいという答えが多いのだそうです。試しに小泉首相と私の間に何人の人が入るかなと数えてみましたが、すぐに思いついた“つながり” では、二人を介せばつながりました。友人に自民党代議士の秘書をしていた人間がいるので。

VIVA――――【秘書をしていた友人】―【その代議士】――――小泉首相 

というわけです。しかし、自分でも驚いたのですが、さらに、よ~く考えると、別のルートが、いくつもありました。すべて、たった1人または2人を介するだけで。人は自分で思っている以上に、いろんなつながりがあるものなんですね。

そして小泉首相は “ブッシュ大統領” と仲良し、“金正日” とも会っています。さらに天皇陛下はもちろん、芸能人であれ、スポーツ選手であれ、学者、経営者などほとんどの大物ともつながるはずです。小泉首相という特大のハブがあるおかげで、私もあいだに数人はさむだけで、世界中の人々へと、たどりつくことができます。みなさんも、よろしければ試してください。

また、時々コメントくださる、廣淵先生 はカダフィー大佐やポールマッカートニー、故レーガン大統領に単独インタビューされています。つまり超特大のハブへつながっていますから、確かにまだまだ、すごいところへつながりそうです。ビンラディンやビートルズのメンバー、エリザベス女王でも、本当に誰とでも…。

VIVA ―――― 【 廣淵先生 】―――― カダフィー大佐 or ポールマッカートニー

さて、そのことから何ができるのでしょう。筆者は、細胞、病気、電力、道路、そして、何よりも現代のインターネットなど、人以外のつながりに関しても非常に興味深いことを教えてくれます。

エイズやサーズなど、伝染病の感染を食い止めるにはどうするか。“ハブをつぶしてしまえばよい” というようなことが…。電力供給網、道路網整備におけるバランスなどいろいろな分野でこの知識が活かせるのだということがわかります。

以前ご紹介した『 つながりの科学 』 とも関連しています。また、『 グーグル・Google 』 など検索エンジンも、このしくみを駆使しているようです。

素人でも、最先端科学が楽しめる内容で、もう一度最初から読もうという気にさせてくれる、読みやすく、勉強にもなる良書だと思います。


http://tokkun.net/jump.htm

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く

NHK出版

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