東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

まだ夏のまま

2018年10月13日 00時14分15秒 | レース反省


3年470スキッパー小野です。


ブログを書こうと思うまで5日かかりました。レース直後に書いていたら読むに耐えない陰鬱なものになっていたかもしれないですが、六大学戦のレセプションで一発芸を見て笑った今なら少し落ち着いて書けそうです。


秋イン決勝後、LB1年の中田さんが「腐ってもいいけど、また元気に活動してくれれば」と言葉をくれました。
その言葉の通り、今は絶賛腐り中です。

基本的にずっと寝ていたいし、這いつくばって学校に行っても、異常に焼けた肌と髪が浮き、季節を忘れた私だけまだ夏の装いで、日常から切り離された感覚を覚えます。
予想していた未来を歩めない現実に、心が置き去りにされています。


私がふて寝し続けている1番の理由は、4年生から次の舞台を奪ってしまったこと。
決勝が終わった次の日の朝、何度も何度も頭をよぎったのは、全日本で走る2人の姿でした。
絶対に全日本に行って輝くはずだった西坂さんとさおりさんから、私自らがチャンスを奪ったことが許せなかった。


決勝が終わって2人に出会った頃を思い出しました。
西坂さんと葉山で初めて会った時、高校でヨットをやっていた私に西坂さんはもじもじしながら「僕のレギュラーも奪われちゃうのかな?笑」って話しかけてくれました。その時は歴史を作るようなエースになるなんて正直思っていませんでした。ごめんなさい。
さおりさんの初対面の印象は「海で生きるために生まれて来たような人」でしたが、今もそれは変わっていません。さおりさんとは1番たくさんレースにでました。1年生の頃から女子レースに出続けて、最初はダメダメペアだったと思いますが、本当に私たちは成長しました。今年の女子イン、全日本470、全女は強風だらけでしたが、さおりさんとなら絶対に沈しない自信があったし、関東470のベストクルー賞と女子インでもらえた賞状はこれからも心を救ってくれる気がします。


この夏私が「他力本願」であったことは否定できません。
今年西坂さんは圧倒的エースとして育っていたし、ペアのさおりさんも本当に上手で、その2人がいる限り全日本には行けるものだと思ってしまっていた。
決勝だって自分の役目は叩かず無難な順位で帰ってくることだという自覚を持っていました。
自分も死ぬ気で前を走らないとチームとして勝てないというのに気づいたのが遅すぎたのかもしれません。

とはいえひとつだけ言えるのは、この夏練習量には一切妥協しなかったということ。さおりさんとでた全日本470のレース後も、 レース委員長に許可を得て一艇だけ再出艇したし、台風オフ以外にはほとんどオフがなかったんじゃないかというくらい自主練をしました。それが辛かったことはないし、ただ時間を使っているだけにならないよう、内容にも気をつけたつもりでした。
強風クルーの2年大橋と軽風クルーのさおりさんと3人で組んでいた私は、自分がクルーを使い分ける器用さがないと自覚していて、その分2倍練習しなきゃと思っていました。
どんだけ練習しても人の2倍は不可能で、不安なまま秋イン本番を迎えてしまったことは事実です。他の2艇に前を走ってもらって自分は耐え忍ぶレースをしようと思ってしまった。

決勝最終日、信じられないほど後ろを走っていた私に西坂さんは「俺らが走るから大丈夫!自分の走りをして!」と言ってくれました。その言葉は心の底から信じられたし、涙が出そうなほどありがたかった。それでも走れなかった。西坂さんのことは信じられたのに、自分たちのことは信じられなかった。その弱さを、この夏克服したかった。いっそのこと不安を晒してしまえば改善できたのかもしれない。



決勝が終わって、本当に2人の4年生と離れなければならない事実が受け入れられませんでした。自分はこんなに2人のことが大好きだったのかと思い知らされました。2人はいつもあまりに真っ直ぐな目をしていて、その目が見ていたはずの全日本という未来をかき消してしまったことがあまりに辛く、レース後は2人の目を見ることができませんでした。



スナイプの全日本が終わるまでは私は腐ったり復活したりを繰り返すかもしれません。許してください。でも絶対復活します。ヨット部はせわしない部活で、いつまでも腐っている暇はないので。笑

このレースで心はズタズタになった一方で、私は東大ヨット部に入って本当によかったと思いました。
こんな私でも来年に期待してくれる先輩がいて、私を無理に奮い立たせることなく心を休ませてくれる先輩もいて、これほどありがたいことはないです。
LBの皆様も、こんなに情けない結果しか出せなかった私にも温かい言葉をくださり、私が前を向けるようにしてくださいました。本当にありがとうございます。

そして信じられないくらいありがたいことに、私にはあと1年残されています。


これまでずっーと妹分だった私ですが、来年はちゃんと主役になります。
みんなを主役にできるような4年生を目指しながら、自分も主役になります。




西坂さんを超えるスキッパーになりたい。さおりさんを超えるクルーを育てたい。


私の最後の一年、あと少しだけお付き合いください。


3年470スキッパー
小野万優子




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