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メカデザイナー山本薫のBlogです~2006・11・30 お仕事募集中 sp2q6z79@polka.ocn.ne.jp

2007年01月25日 僕の考えた戦車(笑)

2007-11-30 01:42:08 | スケッチ

 第二次大戦中のドイツ対戦車自走砲に魅せられた方々も多いことだろう。
機能と造形の美しさから独特の雰囲気を作り出すAFV群には、誰しもが
惹きつけられるものだ。
 去年、デザインの仕事がなかった間、感性がさび付くのを防ぐために自然
と手を出したのがドイツ駆逐戦車のデザインでした。既に、15年ほど前
にも架空戦車のデザインはしていましたが、今回はより詳細な下調べをして
より説得力のあるものを考えました。Pak43_3

  •  

●Ⅳ号車台Pak43駆逐戦車
 最初はⅣ号戦車の車台を使うことを考えました。Ⅳ号戦車を使った自走砲
は、数多く製作されています。備砲は有名な88mm砲を使い、入手性と威力
の両面で現実味があるものを選択しました。Pak43と呼ばれる長砲身の88mm砲
は、連合軍の大多数の戦車をアウトレンジで撃破できる性能を有していました。
 Ⅳ号車台にPak43を搭載した自走砲は、すでに存在しています。ナースホルン
あるいはホルニッセと呼ばれるもので、早期に登場した対戦車自走砲の中でも
強力な部類で、多くの戦果をあげています。しかし、それは薄い装甲板で戦闘室
を作ったもので、生存性を主砲の長大な射程に依存するものでした。
 この後、対戦車自走砲は厚い装甲板をまとい充分な被弾経始を考慮した設計
となります。
 私は、この点を考えてみました。しかし、単純に考えてもホルニッセに分厚い
装甲板を張るには工夫と妥協が必要です。それを探るために、Ⅳ号戦車について
研究をしました。

Pak43_4

  •  

●側面
 主砲・エンジンルーム・戦闘室のレイアウトはホルニッセを踏襲しました。
ただし、砲架にカルダン枠と呼ばれるものを使用することにより、大幅に戦闘室
の小型化を計っており、同時に前面装甲板の被弾経始も確保しています。
 このカルダン枠というシステムは、大戦後期の対戦車自走砲に見られるもので
砲を支える砲架を小型化できる他、旋回軸が主装甲板の外に位置することから、
その両サイドの無駄なスペースの削減に効力があります。
 カルダン枠を収容するケース部分は半球形で、期せずして有効な被弾経始を
形成しています。

●カルダン枠とは。
 カルダン枠は、左図のように四角いワクに旋回・俯仰の二軸をセットした砲架です。
砲塔のない自走砲は二軸を砲塔に頼らず設定しなくてはならず、カルダン枠は一つ
の回答と言えます。備砲はカルダン枠を経て専用の半球型ケースに固定されており、
砲の取り外しをそれごと行うことで生産と整備の簡易化を図っています。
 ケースは主砲の位置の関係上、主装甲板に固定されています。主砲の重量と
発射の反動は厚く重い主装甲板にかかっているために、強度上の心配もない
わけです。

Photo_31

  • Photo_34

●一般的な砲架
 見過ごされがちな事ですが、多くの自走砲の砲架は車台の床に固定してあります。
有名なフェルディナント駆逐戦車(エレファント)やⅢ号系列の自走砲もそうです。
(A図)
例外的にヤクトパンツァーやホルニッセは、車内にブリッジを作りその上部に
砲架を設置しています。
(B図)
 これらは相当な重量と車内スペースを占領し、カルダン枠を使用する事で省略
できれば、かなりの軽量化になると思われるのです。

Photo_39 Photo_40

●Ⅲ/Ⅳ号駆逐戦車
 Ⅳ号戦車を調べて行くうちに、Ⅲ号戦車の部品とⅣ号戦車の部品を組み合わせた
Ⅲ号Ⅳ号共通車台と言う物があることが判りました。ホルニッセはそれを使って
いるそうで、これを使うことにしました。ただし、三号戦車のギアと起動輪を
Ⅵ号車台に組み込んだだけの物ですので、見かけ上はほとんど変化はなく、名称
の上での変更となります。
 他、軽量化の為に前方機銃手を廃して戦闘室上にリモコン機銃を設置してみました。
しかし、実際には人員を減らしてまで軽量化するメリットがあるのかは資料がなく
未知数な部分です。

Photo_41

 戦闘室の小型化と装甲板を傾斜させる事で、装甲板の面積を減らし、カルダン枠
の使用で砲架の重量を削減。その分の重量を装甲の厚さへ転化するのがこのプラン
の骨子です。余分なパワーアップや荒唐無稽な設定の導入は避けたつもりですが、
詳細な計算をしたわけではないので、装甲の厚さについては可能な数値が不明です。
 おそらくは、前面以外での装甲(特に側面)は妥協を計らなくてはならないでしょう。
走行特性も、かなり悪くなり大戦後期に対戦車自走砲のそれを踏襲すると思います。

 頭の体操としてのこのプランの創作は面白い物でした。現在モデルを製作中です。
架空兵器は実際の兵器研究にも役に立つので、これからも続けて行くと思います。

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