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天然居士のとっておきの話

実生活には役に立たないけど、知っていると人生が豊かになるような話を綴りたいと思います。

陰毛信仰

2022-09-26 | Weblog
 先日、国立歴史民俗博物館のデーターベースを知り、
 栃木県内の俗信を検索したところ、
 「三十三才の婦人の陰毛を襟に縫付け(但し当人が知らぬ様)
  徴兵検査に行けば合格しない」との俗信がある事を知りました。
 僕の若い頃は、処女の陰毛を財布に入れておくと、
 勝負事に勝てるとの話を聞いた事がありました。
 作家の畑正憲さんは麻雀が強かったのですが、
 処女のヒグマの陰毛を持っていると、
 「ムツゴロウの大勝負」だったと思うのですが書いていました。

 上記データーベースで陰毛と検索すると、
 33歳の女の下の毛を持っていると漁がある。静岡県
 女性の陰部のヘアを、財布の中に入れておけば魔除けになる。青森県
 三十三歳の厄年の女の陰毛を三本抜いて財布に入れるとその年は商売繁盛する。
 とくに戦時中軍人が出征するとき持参すると武運がある。三重県
 寅年生れの女の陰毛を三本持って戦地へ行くと敵の弾丸に当たらない。 茨城県
 出血した場合、男は女の陰毛を、女は男の陰毛を傷口につけると、血が止まる。
 宮城県
 馬の咽喉つまりには女の陰部の毛を三本蕗の葉に包んで呑ませるとよくなる。
 長野県
 辰年の女の陰毛を三本懐中していれば思ふことが叶ふ。 長野県
 漁に関する俗信 陰毛の無い女と逢うのを嫌う。 沖縄県
 上記も含めて9件の俗信が出て来ました。
 最近では、女性の陰毛が試験合格のお守りになるという俗説もあるようです。

 こうした陰毛信仰がいつ頃始まったのか、よく分かりません。
 7世紀後半に、九州沿岸を守る防人が、
 恋人や妻の「髪の毛」や「陰毛」を肌身離さずにお守りとして
 持っていたとの話がありますが、
 毛自体の霊力なのか愛する人との一体感からなのか分かりません。
 古い資料を調べていくと、
 女性の陰毛を御神体などとして神社に祀ったケースがいくつも見られるとの事です。
 江戸中期の国学者である天野信景の随筆『塩尻』には、
 弁財天を祀った祠に女性の陰毛が収められていた例を取り上げています。

 こうした陰毛信仰が庶民の間に広まると、
 実利的、現世利益的なものとなっていったらしく、
 肥前平戸藩主の松浦静山が書き残した随筆集『甲子夜話』には、
 海底で毒魚を踏んだ漁師の足を
 油に漬けた女性の陰毛を焼いて治す話が出て来ます。

 こうした、女性の陰毛には神妙なる力あるとの信仰または俗信は、
 明治維新になっても廃れることは無く、上記のような俗信となったようです。


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1 コメント

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Unknown (井頭山人(魯鈍斎))
2025-01-04 23:05:30
 仰るように毛は生命力の象徴なのかもしれませんね。特に陰毛はあそこを守る毛ですので、とりわけ生命力を秘めている。と、古代人は考えたのでしょうし、小生もあそこの毛には本能衝動の力が有ると思います。やはりこれは性欲の物象化でしょう。この世に生れた命は皆な、あそこの穴から出て来たのですから、とうぜん其処にはパラダイス、シャングリラがあると考えて差し支えないと思います。無毛は良くないですね。矢張り熊の様に豊かな陰毛が生えているのが素晴らしいと僕は思います。春画でも陰毛は性愛の象徴ですので、お守りに成るのは当然の事でしょう。それは分ります。僕は、少なくとも人間について言えば、人間の生殖器は人間の詰まらぬ思惑を、遥かに超えた神秘な部分だと思って居ます。
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