天然居士のとっておきの話

実生活には役に立たないけど、知っていると人生が豊かになるような話を綴りたいと思います。

三段跳び

2010-04-30 | Weblog
 陸上競技の中で、かつて日本人が得意としていた種目があります。
 それが、三段跳びです。
 オリンピックの3大会連続して日本人が金メダルを取っています。
 1928年の第9回のアムステルダムオリンピックで、
 日本人最初の金メダルを獲得したのが織田幹雄さんでした。
 織田さんは、広島県出身ですが、
 広島一中時代に1924年のパリオリンピックに出場し、
 三段跳びで6位入賞を果たします。
 早稲田大学に進んだ後、
 アムステルダムオリンピックの選手団の主将を務め、
 金メダルを獲得しました。
 その時の記録が15m21cmでした。
 その後、1931年に三段跳びの世界記録15m58cmを樹立します。
 この記録を記念して、
 東京オリンピックのメイン会場となった国立競技場には、
 15m58cmの高さのポールが立っています。
 織田さんは、その後早稲田大学の教授などを勤め、
 1988年に文化功労者となり、1998年亡くなります。
 享年93歳でした。

 1932年の第10回のロサンゼルスオリンピックでは、
 南部忠平さんが金メダルを獲得します。
 南部さんは、織田さんの1歳年上で、
 早稲田大学の学生の時に
 アムステルダムオリンピックの三段跳びに参加しますが、
 4位でした。
 1929年走り幅跳びで、7.98mの世界記録を樹立し、
 ロサンゼルスオリンピックでは、15m72cmの世界新記録で、
 三段跳びの金メダルを獲得します。
 この大会では、走り幅跳びでも銅メダルを獲得しました。
 1997年に亡くなりますが、享年は織田さんと同じく93歳でした。

 1936年の第11回のベルリンオリンピックでは、
 田島直人さんが金メダルを獲得しました。
 田島さんは、ロサンゼルスオリンピックで走り幅跳び6位に入賞します。
 京都大学卒業後、ベルリンオリンピックに出場し、
 三段跳びで、16m00cmの世界新記録で金メダルを獲得しました。
 また、走り幅跳びでは、銅メダルを獲得します。
 ベルリンオリンピックの記録映画を撮ったレニ・リーフェンシュタールは
 「あなたの三段跳は跳躍ではなく飛躍」と絶賛しました。
 田島さんが金メダルの副賞としてもらったオークの苗は、
 京都大学の構内に植えられ、現在では20mを超える樹となって、
 「オリンピックオーク」と呼ばれているそうです。
 1990年、73歳で亡くなります。

 現在の三跳びの世界記録は、
 ジョナサン・エドワードが1995年に出した、18m29cmです。
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神前結婚式

2010-04-19 | Weblog
 結婚式と言うと、
 最近は教会でのキリスト教による結婚式に人気があるようですが、
 少し前までは、神前結婚式が主流でした。
 しかしながら、この神前結婚式と言う儀式は、
 僅か100年位前に始まったものです。

 最初の神前結婚式は、1990年(明治33年)に、
 当時の皇太子(後の大正天皇)と九条節子姫の御成婚が、
 皇族でも初めて宮中賢所(神前)で行われたことにヒントを得て、
 当時の日比谷大神宮(現在の東京大神宮)が神前結婚式を創始し、
 以後その普及に力を注いだ結果、
 昭和30年代になってから、全国的に普及したものです。
 八百万の神と言うように、多神教である我が国の宗教的な環境の中では、
 神様の前で結婚を誓うと言う意味での結婚式は存在しませんでした。

 婚礼の形態は、その社会の構造によりますが、
 元々母系社会であった日本においては、
 婿入り婚が多かったのだと思います。
 平安時代の貴族の生活などは、源氏物語などで知られていますが、
 好きな女性の家に、男が通うのが普通でした。

 その後、武士階級の出現により、
 父系社会が出現し、嫁取り婚が発生します。
 しかしながら、こうした嫁取り婚は、武士階級に限られ、
 江戸時代までは、武士と庶民と違う婚姻の形態が普通だったようです。
 武家社会の結婚式は、政略結婚も多く、
 結納を取り交わすなど、
 室町時代に始まった小笠原流による儀式としての体裁が
 整えられていたのだと思いますが、
 それでも、神前結婚式と言うスタイルではなかったようです。

 これに対して、庶民の世界では、戦前までは婿入り婚が多く、
 婿の母親が一家の主婦の座を降りてから、
 嫁が婿の家に入るような形式が普通だったようです。
 従って、結婚式も、現在の披露宴に近く、親族が婿の家に集まり、
 三三九度の盃を交わすと言う簡単な方式で行われていたようです。

 何故、神前結婚式が盛んになったのかは、面白いテーマだと思います。
 明治時代に始まった、神前結婚式は、
 富国強兵策を押し進める明治政府にとって、
 諸外国と肩を並べるためには、必要な事だったような気がします。
 当初は一部の特権階級のものだった神前結婚式が普及するのは、
 戦後の経済の復興、一億総中流意識の浸透、
 そして、ブライダル産業の成長があるように思います。

 何となく、神前結婚式と言うと古来からの日本の伝統と言う感じがしますが、
 意外と新しいものです。
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