天然居士のとっておきの話

実生活には役に立たないけど、知っていると人生が豊かになるような話を綴りたいと思います。

スペイン風邪

2012-05-21 | Weblog
 1918年から翌19年にかけ、全世界的にインフルエンザが猛威を振るいました。
 いわゆるスペイン風邪です。
 スペイン風邪は人類が遭遇した
 最初のインフルエンザの大流行(パンデミック)と言われています。
 スペイン風邪の感染者は6億人、死者4000~5000万人と言われています。
 当時の世界人口は、明確には分かりませんが8~12億人とされていて、
 これからすると、全人類の実に50%以上がスペインかぜに感染したことになります。
 第二次世界大戦の戦死者が1500万人、
 一般市民の死者数3800万と推定されている事を考えると、
 ほぼ第二次世界大戦と同じ位の死者数に達した訳です。

 日本では当時の人口5500万人に対し39万人が死亡したと言われています。
 流行の発生源は1918年3月米国シカゴ付近であるとされています。
 当時は第一次世界大戦の最中で、
 米軍のヨーロッパ進軍とともに大西洋を渡り、
 5月~6月にヨーロッパで流行しました。
 第2波は1918年秋にほぼ世界中で同時に起こり、
 病原性が更に強まり死者が急増しました。

 第3波は1919年春から秋にかけて第2波と同じく世界的に流行しました。
 日本ではこの第3波の被害が一番大きかったようです。
 アメリカが発生源であるにも関わらず、スペインかぜと呼ぶのは、
 第一次世界大戦中で世界中で情報の検閲が行われたのに対し、
 スペインは大戦とは無関係であったため、
 スペインから情報が発信されたためです。

 どうしてこのような大流行になったかと言うと、
 それまでヒトに感染しなかったインフルエンザウイルスが突然変異し、
 当時の人々がこれに対する免疫を持っていなかった事が、
 この大流行の原因だと考えられています。
 しばらく前から、高病原性鳥インフルエンザが変異して、
 パンデミックを起こす事が心配されています。
 そのような事が起きなければ良いのですが・・・。
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カエサル

2012-05-11 | Weblog
 カエサルは、古代ローマのパトリキ系の氏族であるユリウス氏族に属する家族名でした。
 一般的に、古代ローマ人の男性の名は、3つの部分から成り立っていました。
 個人名、氏族名、家族名です。
 この家族名であるカエサルが有名になるのは、
 ローマの共和政末期に活躍した独裁官、ガイウス・ユリウス・カエサルによるもので、
 単純にカエサルと言う場合、彼を指すことが多いのはご承知の通りです。
 ちなみに、ガイウスが個人名、ユリウスが氏族名、カエサルが家族名です。

 ガイウス・ユリウス・カエサルはローマ帝政の基礎を作りますが、
 これを継承し実際に帝政を開始したオクタウィアヌス(アウグストゥス)は、
 カエサル家の養子となりその一員となっています。
 更にアウグストゥスも、自分の後継者を養子としてカエサルの名を継がせていて、
 ユリウス・クラウディウス朝の皇帝たちはすべて、カエサルの家族名を持っていました。

 このため「カエサル」は皇帝の家族名であると同時に、
 徐々に皇帝そのものを指す一般名詞としても機能するようになっていきます。
 イエス・キリストは「カエサルのものはカエサルに」と言いましたが、
 当時のティベリウス帝を指すよりは、
 もっと広い意味でローマ皇帝を指していると考えられます。

 こうした皇帝を指す一般名詞としてのカエサルの用法は、
 ユリウス・クラウディウス朝が断絶したあとの皇帝たちも
 カエサルを名乗ったことから確立されていきます。
 また皇帝たちは自らの後継者にカエサルの名を与えたため、
 「カエサル」は次期元首を意味するようにもなります。
 こうした次期元首としてのカエサルの用法は、
 ローマ帝国後期には副帝をあらわす称号として使われるようになり、
 正帝(アウグストゥス)を補佐する者として使われるようになります。

 このようにカエサルの名はローマ皇帝を指す語として使われてきたため、
 ヨーロッパ各国では皇帝を意味する語としてカエサルに由来する語が使用されていきます。
 代表的なものとして、ドイツ語のカイザーやロシア語のツァーリがあります。
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