天然居士のとっておきの話

実生活には役に立たないけど、知っていると人生が豊かになるような話を綴りたいと思います。

チャップリンとヒトラー

2016-06-10 | Weblog
 チャップリンの数多くの映画の中でも「独裁者」は傑作だと思います。
 彼が監督・製作・脚本・主演を務め、1940年10月15日に公開されました。
 1939年9月1日、ドイツのポーランド侵攻で第二次世界大戦が勃発しましたが、
 チャップリンが「独裁者」の脚本を書き始めたのはその前年ですし、
 撮影が始まったのは、開戦2週間後でした。
 彼がヒトラーとナチスドイツに対して
 重大な危機感を抱いていた事は間違いありません。

 チャップリンとヒトラーは年齢が同じです。
 チャップリンは1889年4月16日、
 イギリス・ロンドンのケニントン地区、ランベスのイースト・レーンで生まれました。
 ヒトラーは1889年4月20日、
 オーストリア=ハンガリー帝国オーバーエスターライヒ州の、
 ドイツ国境に近いブラウナウ・アム・インで生まれました。
 場所は違いますが、僅か4日の違いだった訳です。

 2人とも黒髪で小柄であり、トレードマークがチョビ髭という共通点がありました。
 このチョビ髭については、ヒトラーの政治キャリアの初期の頃、
 映画界のチャップリンの人気に目をつけていたとする意見もあり、
 ヒトラーが真似をしたのかも知れません。
 チャップリンはこの作品を最後にチョビ髭はやめています。

 「独裁者」の撮影当時、多くのアメリカ人はヨーロッパの戦争を
 遠くの出来事として大きな関心を持たず、
 ナチスが反共・白人優位主義であったことから
 アメリカ国内にはKKKやドイツ系移民を中心に
 ヒトラーを支持する者も少なくありませんでした。
 このため、撮影中は製作中止を求める様々な妨害が
 チャップリンに加えられたとの事です。

 ヒトラーがこの「独裁者」を見たかどうかはハッキリしません。
 チャップリン研究者の大野裕之さんは2015年の著書で、
 ドイツ政府が収集した映画作品のリストに含まれているが、
 ヒトラーの鑑賞については不確かな証言が複数あるものの
 明確に裏付けられる資料はないと書いているそうです。

コメント (4)
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