AKB48 チームBのファンより

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『姉妹どんぶり』を生で聴くことができる日は来るか?(ときめき研究家)

2014-05-18 07:40:00 | ときめき研究家
渡り廊下走り隊7『少年よ 嘘をつけ!』のカップリング曲(タイプA収録)の『姉妹どんぶり』。
タイトルこそ下品でいただけないが、内容は姉妹の心情の機微を描いた佳曲で、浦野一美、渡辺麻友の二人が丁々発止の掛け合いを展開する、聴き応え充分のパフォーマンスだと思う。以前にも絶賛する記事を書いたが、改めて論じたい。やや長文になるがご容赦を。

(イントロ)

最初は華やかで楽しげな演奏だが、やがて何か不吉な出来事を予感させるような和音が続き、歌唱が始まる。

(妹)<歌詞引用を削除>

簡潔な状況説明になっている。ここで妹が「お姉ちゃんの彼」と言っているが、後にこの彼は妹自身と「ラブラブ中」であることが明かされる。推理小説だとしたらアンフェアな表現だ。それを避けるためには、この部分を「○○さん」と固有名詞にすればいいが、この歌は姉妹が主役なので「彼」はできる限り抽象化しておきたい。姉の歌詞に盛り込み「(私の)彼が迎えに来た」と歌わせてもいいが、歌唱パートの割り振り上、妹の歌詞になったのだろう。この部分が、状況説明ではなく、姉に対して「迎えに来たよ」と知らせているとすると、この時点では「お姉ちゃんの彼」と言わざるを得ないのはギリギリ納得できる。
曲の冒頭から、渡辺の耳慣れたあの声で、曲の世界に引き込まれる。

(姉)<歌詞引用を削除>

姉の浮かれた様子が的確に表現されている。いきなり浦野がいい仕事だ。純粋で、ちょっとお調子者の、可愛げのある姉が活き活きと描かれている。妹には「彼ができたら紹介しなさい」と上から目線だが、全く嫌味はない。今は自分だけに彼がいて申し訳ないが、その時は純粋に祝福しようと思っているのだ。その優しさが、直後に裏切られる皮肉なことになる。

(妹)<歌詞引用を削除>

これも状況説明だ。妹が歌う必然性はないが、パート割りの都合で渡辺が歌う。ここまで渡辺は淡々とした歌唱で、状況説明に徹している。

(姉)<歌詞引用を削除>

ここで事件発生。コントによくある場面だ。しかし日常生活でも、挨拶されたと思ったら後ろの人にだったというようなことは時々あって、気まずい。コミカルではあるが、普遍性はあると言える。

(妹)<歌詞引用を削除>

ついに渡辺の本領発揮。姉の恋人といい仲になっていたというのに、大して悪びれもせず「ごめん 言ってなかったね」と告白する。ひとつ間違えば、わがままなだけの性格の悪い妹になるが、そうではなく自分の気持ちに正直で純粋な妹なのだと思わせる。誰が悪いのではなく、全ては「運命のいたずら」と結論づけ、「ラブラブ中」とわざと軽薄な言い方をするのは、内心の後ろめたさの表れ。殊更に深刻になるのは、かえって姉を傷つけることを知っているのだ。

(姉)<歌詞引用を削除>

ショックを受けても、驚き方はコントのよう。妹を傷つけないように、ショックをなるべく見せないように努めているのがいじらしい。そして何より、2人を見送ること、つまり彼を妹に譲ることを、当たり前のように既に決意しているのが潔い。姉の方も、自分の気持ちに正直にあることを是としていて、妹の方に向いた彼の気持ちを取り戻すことはできないと瞬時に悟ったのだろう。驚きと切なさと妹への思いやりとが複雑に入り混じった気持ちを、浦野が巧みに歌っている。

(間奏)
(姉妹)<歌詞引用を削除>

ここではじめて二人で一緒に歌う。同じドラマを見ているが、各々が自分を投影している役者は異なっている。

(姉)<歌詞引用を削除>

立場が逆なら、妹は怒るだろう。怒れないのは長女気質とも言えるが、自分自身をドラマに例えて客観視し、怒っても何も変わらないと理解している、冷静な理性が感じられる。

(妹)<歌詞引用を削除>

短い言葉で、的確な弁明。事の経緯がすんなり理解できる。的確すぎて、妹があまり動揺していないことがうかがえる。姉をみじめな気持ちにさせないよう、敢えて堂々としているようにも思える。
「キスをするまで」が巧妙な表現で、キスの後、どこまで進んでいるのかは聴き手の想像に任されている。姉とどこまで進んでいたかも。私は、2人ともキス止まりだと思う。

(姉)<歌詞引用を削除>

このフレーズこそ、この姉妹の根底にある価値観なのだろう。人の心は変わるし、縛ることはできない。その時々の気持ちに忠実に、自由に振舞うことが人生を豊かにする。誰かのことを慮って遠慮したり我慢したりすることは、かえってその誰かの尊厳を傷つけることになる。私もこの価値観には共感する。 

(妹)<歌詞引用を削除> 「たしきどきど からかだとこいなけい」

いけないことだからやめとこうとは思わない。むしろ罪悪感の裏返しでドキドキしたと正直に言ってしまうこの妹も、「恋愛自由」主義者である。

(姉)<歌詞引用を削除>

ここまで来ると、まさに達観。微笑んではいないかもしれないが、充分理解ある対応だ。「彼とあなたが似合い過ぎ」と、何と客観的に見ていることか。

(妹)<歌詞引用を削除>

そしてついに妹から衝撃の提案。妹は冗談でも何でもなく大真面目なのだ。純真、天然、KY。どれもちょっと違う。姉のことも、彼のことも、同じくらい大好きで、大切に思っているのだ。さすがに、姉と彼は、この提案には乗れないと思う。月日が経っていればともかく、今日いきなり3人ドライブは気まずくて仕方ないだろう。
ただ、この部分の歌詞はまどろっこしい。ドラマだと「じゃあ3人でドライブしよう」の一言で終わる。誰と誰と誰と、みんな仲良く、という長い歌詞は、尺に合わせていると同時に、「3人ドライブしよう」というオチを際立たせるために、わざと引っ張っているのだ。

(間奏)

讃美歌『グローリア』のメロディー。
この間奏が絶妙。姉妹それぞれの、あまりに気高い精神を讃えるような清らかなメロディーだ。

(姉妹)<歌詞引用を削除>

「まるで姉妹どんぶりね」と2人で声を合わせて歌っているのは、ちょっと下品で自虐的だ。聞きかじって覚えた下品な言葉で、「私たちって馬鹿よね」と泣き笑いしているのだろう。
しかし、このエンディングの歌詞は、蛇足とも言える。2番までの歌詞で、この姉妹の仲の良さ、考え方の類似点、お互いのことを知り尽くして、大切に思っているということは、充分表現されている。きっと似たようなことは、姉が残しておいたお菓子を妹が食べたとか、幼い頃から何回もあったのだろう。その都度、姉は許して来て、妹はその好意に甘えて大らかに育ってきたのだ。どっちが得したとか損したとかではない。それが二人の関係であり、絆なのだ。
歌詞は蛇足ではあるが、エンディングのこの部分では、声質の異なる二人の声が融合して、心地よい後味を生みだしている。楽曲の締めとしては、やはり必要な部分なのだろう。

(後奏)

前奏にもあった不吉な和音が出て来るが、すぐに華やかな演奏でかき消され、最後は木魚のような打楽器連打で、コミカルに終わる

描かれているのは、どちらかと言えば喜劇と言えるドラマだ。一見コミカルな楽曲と言える。しかし、その中でも姉妹の心情の機微が丁寧に描かれていて、思わずホロリとする。
そういう悲喜こもごもが入り混じった難しい楽曲に、浦野、渡辺の表現力が活かされていて、本当に奇跡的なパフォーマンスに成り得ていると思う。

最後に、よくわからないのが「彼」の心理だ。
恋人の妹を好きになってしまったのは、自分の気持ちに正直な結果で、仕方がないこととしよう。そしてこの日、姉に正直に告白するつもりで来たのは理解できる。それなのになぜ紛らわしい花束など持って来るのか。姉にどう切り出して納得させ、妹だけをどう連れ出すか、全くプランを立ててなさそうだ。成り行きまかせのようで、その結果姉妹に翻弄され、姉妹の絆を深める狂言回し役に成り下がり、挙句に気まずい「3人ドライブ」を提案される始末だ。
率直に言って、この姉妹、君には手に負えないよと言いたい。


ところで、この曲を、浦野、渡辺の二人が生で歌ったことはあるのだろうか。
テレビではもちろん歌っていないだろうし、イベント等ではどうだろう。浦野の暫定加入という偶然の巡り合わせの中で奇跡的に生まれた曲であって、CDで聴けるだけでも充分幸福だと思うが、欲深いことを願うなら、二人がどんな表情や仕草でこの曲を歌うのか見てみたい。
今後、それが実現するとしたら、渡り廊下走り隊7の単独コンサートが実現した時か。しかし、仲川がJKT、多田がHKTに移籍、渡辺、岩佐のソロ活動も活性化している現状で、単独コンサートどころか渡り廊下走り隊7が活動継続できるのかも定かではない。「尾木祭り」のようなイベントへの出演はあるだろうが、シングル曲2、3曲を歌うのが関の山で『姉妹どんぶり』の出番はないだろう。
可能性として一番高いのは、渡辺麻友の単独コンサートだろう。ゲストとして浦野が登場し、二人で『姉妹どんぶり』を歌う。指原が登場し、二人で『アボガドじゃね~し』を歌う。
その日を心待ちにしている。


2014年4月追記
『姉妹どんぶり』は、2014年2月の渡り廊下走り隊の解散コンサートにて晴れて披露された。
ブログ運営者より歌詞の引用が著作権侵害に当たるとされたため<歌詞引用を削除>表記に置き換えた。(正当な評論行為に伴う引用で合法と考えるが、止むを得ないと判断)
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