AKB48 チームBのファンより

鈴木紫帆里さんを中心にAKB48 チームB について語るサイトです。

SKE48『前のめり』とカップリング曲を聴く。(ときめき研究家)

2015-08-30 09:11:46 | ときめき研究家
『前のめり』。
タイトルからは、NMB48の『高嶺の林檎』『Don't look back』のような暑苦しい啓発ソングを予想していた。
初めて聴いたら、意外に爽やかで涼しげな曲調だった。

「ひまわり」が揺れる中、「全力で走る」君。「夏の制服」を着て、「汗」をぬぐう。冒頭からAKBグループの楽曲に何度も登場したキーアイテム(季語?)を使い、前のめりに走る生き方を推奨している歌だ。AKBグループの世界観のど真ん中を、改めて提示したような歌になっている。
2番の出だしにも「蝉」、「木漏れ日」といったキーワードを使用。「蝉しぐれの主たち」というのは洒落たフレーズだ。
極め付きは、大サビの「弾む息も 落ちる汗も」という歌詞だ。これは間違いなく『スカートひらり』の前田敦子ソロパート「弾む息 落ちる汗 全力で」からの引用だ。正にAKBグループの原点だろう。

ところで、一所懸命に走っている少女の姿を見て、自分も若い頃を思い出して走ろうと決意する男は一体誰なのだろう。
「いつの間にか走ることをやめ、歩いていた」「大人になる度、急ぐ理由を忘れてしまった」などと言っているくらいだから、少女よりかなり年上のようだ。
幼なじみの先輩、学校の教師、父親などが考えられる。先輩だとしたら、『鈴懸なんちゃら』の先輩かもしれない。教師だとすれば、『夕立の前』の音楽教師『恋を語る詩人になれなくて』の国語教師かもしれない。父親という説も有力だと思う。娘の躍動する姿を見て奮起できるというのは、父親の幸福の1つだ。
一方で、SKE48メンバーを見ている中高年ファン(私を含む)の視点とも取れる。作詞家秋元康自身の視点とも取れる。あるいは、最近加入した若いメンバーを見て、初心を思い出したベテランメンバー(宮澤やW松井など)の視点とも解釈できる。
いろいろな聴き方ができる余地があるのは、いい歌詞なのだと思う。

『素敵な罪悪感』。(チームS)
父親視点で聴くと、非常に苦々しい歌だ。
親には嘘をついて、彼氏とリゾートに旅行する歌だ。HKT48『ハワイに行こう』も同じ状況を歌った曲だったが、そちらは何か微笑ましいような雰囲気があった。『素敵な罪悪感』はただ苦々しいだけだ。
曲調も、ちょっと浮かれつつ、欲望が渦巻いている様子がありありと浮かぶギラギラしたサウンドで、苦さに輪をかけている。若い二人の視点で聴けば、ワクワクする楽しい曲だろう。
宮古島という固有名詞がリアルだ。森高千里が「沖縄」とか「サイパン」とか歌っていたのを思い出す。

「こんなにセクシーなビキニ 純情よサヨナラ」とは、どんなセクシーな水着なのだろう。言葉だけで想像させるいい歌詞だ。
過去作品にも類似例はある。「大胆すぎるビキニを選んだわけ判るかしら」(河合奈保子『エスカレーション』)。「もう少しおとなしいビキニにすればよかった 過激なポーズしてあげる」(中山美穂『クローズアップ』)。「すんげぇすんげぇすんげぇすんげぇ水着」(松浦亜弥『Yeah!めっちゃホリディ』)。「水着買ったけどこれをマジで着るのね」(松浦亜弥『トロピカール恋してーる』)。「花柄の水着だけが目立ちすぎて悲しくなるの」(Wink『淋しい熱帯魚』)。どれも想像力を喚起するセクシーな歌詞だ。

『制服を着た名探偵』。(ドリーミングガール)
楽しい曲だ。
1曲が1つの短編ミステリーになっている。アニメかゲームソフトのテーマソングなのだろうか。ポニーテールの女子高生探偵が活躍するフィクションの世界が想像できるような曲だ。同じようにストーリーのある楽曲『履物と傘の物語』と比べて、何倍もワクワクする曲だ。
歌っているメンバーも若手選抜のようで、フレッシュで元気な歌声が好ましい。
SKE48で探偵物と言うと、『この日のチャイムを忘れない』のミュージックビデオ集で探偵役を演じていた古畑奈和を思い出すが、もちろんベテランである彼女は参加していない。

『2588日』。(松井玲奈)
松井玲奈の卒業ソング。卒業ソングは、卒業するメンバーが気持ちよく歌え、そのファンがしみじみとした思いになれればそれでいいのだと思う。
松井玲奈の声は、ルックスとは少しギャップがある。整った美声を想像するが、意外にキンキンした印象的な声だ。その声をたっぷり堪能できる。
「花が枯れるのは悲しいことじゃない」「やがて僕の花びらが散る」と卒業のことを暗示していて、それは再生のステップだとポジテイブな評価をしているが、やはり「枯れる」「散る」にはちょっと違和感がある。本人とファンが気にならないのならそれでいいのだが。

『長い夢のラビリンス』(チームE)。
歌い出しが松井玲奈のソロで、『2588日』の続きのように錯覚する。
サウンドが格好良く、聴いていて高揚するような曲だ。一方で歌詞は、恋をすると迷い込む迷宮のことを歌っていて、うじうじした内容だ。「告白しなければまっすぐ家に帰れた」という部分が面白い。恋愛が他の何よりも優先される訳ではないのだ。
サビの「途方に暮れていた」「心のコンパス」という部分のメロディラインが、通常は高いラインなのだが、ラストのサビ2回繰り返しの1回目「途方に暮れていた」だけが、低いメロディラインに変えていて、お洒落な感じがする。

『焦燥がこの僕をだめにする』。(チームKⅡ)
この曲だけは、どうも掴みどころがなかった。
「気の抜けた炭酸水」は『ラムネの飲み方』の初演からも随分時間が経ってしまって、その後新公演がSKE48には与えられていないことを暗示した自虐ネタだろうか。
コメント
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