このドラマ、評価が二分しているようだ。私もそれほど高評価している訳ではないが、なぜか興味を引かれるので、最後まで観るつもりでいる。
40年くらい前に放映されていたアニメの実写化。その設定は、アニメの16年後の世界というタイムラグに少し戸惑う。16年前のことなのに、あまりアニメの内容を憶えていない、時の進み方がドラマの内と外で違うという違和感だ。
アニメの主要キャラは、当時のビジュアルや性格を基にして16年後の姿を設定してあり、比較的原作に忠実だと思う。むしろ、アニメに忠実過ぎて、芝居がかった台詞回しが多いので、現実感が乏しい気がする。
そんな中、非常に現実的なキャラクターで、ドラマから浮いているのが、京子役の前田敦子と、ゴリライモ役の新井浩文だ。この2人は、このドラマを現実に繋ぎ止める役割を果たしている。
ガキ大将だったゴリライモは、今や製パン会社の社長で、従業員を多数使って業績も上げている。
マドンナ役の京子は、離婚して実家に帰って来たという設定で、最初は少しやさぐれていたが、今ではそういう翳りを感じさせず、相変わらず子どもっぽいヒロシに呆れながら、憎からず思っている。京子にはゴリライモも好意を抱いていて、普通に考えれば、大人で常識も経済力もあるゴリライモの方に魅力を感じるはずだが、さて今後どうなることか。
前田敦子にはこの役は合っている。作為的な演技力はあまり必要とせず、自然な感覚のまま演じている。こういう役の時はハマリ役だ。そう言えば、トヨタのCMでは『ドラえもん』のジャイ子を演じていて、これもまたハマり役だ。
松山ケンイチ演じる主人公のヒロシは、どうしようもない男だ。勤労意欲がなく、たまにちょっとヤル気になれば調子に乗って失敗をやらかす。思慮が浅く、気分屋で、厚かましい。そして反省がない。言わば図々しいのび太だ。現実にこういう男がいたら、とても付き合いきれない。しかしドラマでは、周囲の温かい目や、ピョン吉の「根性」という叱咤激励を受けながら、何とか暮らして行けているのだから、幸せな人間だ。
ゴリライモの会社で働き始めて、少しずつ成長の気配も見られるから、最終回に向けては、ヒロシの成長譚と、既に暗示されているピョン吉との別れを軸に話が進んでいくのだろう。
「ヒロシ」という名前は、そういうキャラクターにぴったりだ。「トオル」「ハジメ」「マナブ」「タダシ」「ススム」などという、当時メジャーだった他の名前と比べても、どこか軽くて遊び好きな洒落男というイメージがある。
『そんなヒロシに騙されて』(高田みずえ)は、まさにそんなイメージ。この歌には個人的にも思い出があるが、長くなるのでここでは割愛する。
あと『H・i・r・o・s・h・i』(渡部佳子)もそんな曲。分厚い唇が魅力的だった84年デビュー組。
有名人では黒鉄ヒロシ、生島ヒロシ、ヒロシ&キーボー、玉置宏もそんなイメージだったか。野原ひろし(クレヨンしんちゃんの父)も根は真面目だが、日頃は軽薄だ。
それから、ピョン吉のCGの動きや、満島ひかりの声は上手過ぎるくらいで、全く違和感がない。
できれば、予定調和でない、あっと驚く結末、できればハッピーエンドを期待したい。
<これまでの前田敦子出演映画の鑑賞記>
『もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』
『苦役列車』
『クロユリ団地』
『もらとりあむタマ子』
『さよなら歌舞伎町』
40年くらい前に放映されていたアニメの実写化。その設定は、アニメの16年後の世界というタイムラグに少し戸惑う。16年前のことなのに、あまりアニメの内容を憶えていない、時の進み方がドラマの内と外で違うという違和感だ。
アニメの主要キャラは、当時のビジュアルや性格を基にして16年後の姿を設定してあり、比較的原作に忠実だと思う。むしろ、アニメに忠実過ぎて、芝居がかった台詞回しが多いので、現実感が乏しい気がする。
そんな中、非常に現実的なキャラクターで、ドラマから浮いているのが、京子役の前田敦子と、ゴリライモ役の新井浩文だ。この2人は、このドラマを現実に繋ぎ止める役割を果たしている。
ガキ大将だったゴリライモは、今や製パン会社の社長で、従業員を多数使って業績も上げている。
マドンナ役の京子は、離婚して実家に帰って来たという設定で、最初は少しやさぐれていたが、今ではそういう翳りを感じさせず、相変わらず子どもっぽいヒロシに呆れながら、憎からず思っている。京子にはゴリライモも好意を抱いていて、普通に考えれば、大人で常識も経済力もあるゴリライモの方に魅力を感じるはずだが、さて今後どうなることか。
前田敦子にはこの役は合っている。作為的な演技力はあまり必要とせず、自然な感覚のまま演じている。こういう役の時はハマリ役だ。そう言えば、トヨタのCMでは『ドラえもん』のジャイ子を演じていて、これもまたハマり役だ。
松山ケンイチ演じる主人公のヒロシは、どうしようもない男だ。勤労意欲がなく、たまにちょっとヤル気になれば調子に乗って失敗をやらかす。思慮が浅く、気分屋で、厚かましい。そして反省がない。言わば図々しいのび太だ。現実にこういう男がいたら、とても付き合いきれない。しかしドラマでは、周囲の温かい目や、ピョン吉の「根性」という叱咤激励を受けながら、何とか暮らして行けているのだから、幸せな人間だ。
ゴリライモの会社で働き始めて、少しずつ成長の気配も見られるから、最終回に向けては、ヒロシの成長譚と、既に暗示されているピョン吉との別れを軸に話が進んでいくのだろう。
「ヒロシ」という名前は、そういうキャラクターにぴったりだ。「トオル」「ハジメ」「マナブ」「タダシ」「ススム」などという、当時メジャーだった他の名前と比べても、どこか軽くて遊び好きな洒落男というイメージがある。
『そんなヒロシに騙されて』(高田みずえ)は、まさにそんなイメージ。この歌には個人的にも思い出があるが、長くなるのでここでは割愛する。
あと『H・i・r・o・s・h・i』(渡部佳子)もそんな曲。分厚い唇が魅力的だった84年デビュー組。
有名人では黒鉄ヒロシ、生島ヒロシ、ヒロシ&キーボー、玉置宏もそんなイメージだったか。野原ひろし(クレヨンしんちゃんの父)も根は真面目だが、日頃は軽薄だ。
それから、ピョン吉のCGの動きや、満島ひかりの声は上手過ぎるくらいで、全く違和感がない。
できれば、予定調和でない、あっと驚く結末、できればハッピーエンドを期待したい。
<これまでの前田敦子出演映画の鑑賞記>
『もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』
『苦役列車』
『クロユリ団地』
『もらとりあむタマ子』
『さよなら歌舞伎町』