2010.03.16 注意すべき法律用語その(1)
今回は条文に出てくる「又は」と「若しくは」の違いを解説します。
①「又は」は、2個またはそれ以上のうちいずれかを表す場合に用います。接続する語句が3個以上でも同じ段階の場合は、初めの語句を読点で、最後の語句を「又は」で結びます。
例えば、「果物のリンゴ又はミカン」という表現や、「果物のリンゴ、ミカン又はブドウ」といった表現。
②「又は」が複数出てくる表現もあります。
例えば、「日本又はアメリカの首相又は大統領である」という場合には、どう読むのでしょうか?
A.「日本の首相」又は「アメリカの大統領」というように2通りに読む。
B.「日本の首相」、「日本の大統領」、「アメリカの首相」又は「アメリカの大統領」というように4通り(たすきがけ)に読む。
この例では、「日本の大統領」と「アメリカの首相」は存在しないので、Aように2通りに読みます。
ところが、「日本人又はアメリカ人の父親又は母親である」という場合には、
A.「日本人の父親」又は「アメリカ人の母親」というように2通りに読む。
B.「日本人の父親」、「日本人の母親」、「アメリカ人の父親」又は「アメリカ人の母親」というように4通り(たすきがけ)に読む。
このケースでは、4通りとも存在するので、Bのようにたすきがけに読むのが正解です。
③「若しくは」は、複雑な並列構造を表す場合に、より小さな並列構造を表すときに用います。
例えば、「果物のリンゴ又は野菜のキャベツ若しくはレタス」というように表現します。
では、「果物のリンゴ又は野菜のキャベツ若しくはレタス」と「魚のフグ又はマグロ」を並列させる場合には、どのように表現するのでしょうか?
この場合は、「果物のリンゴ若しくは野菜のキャベツ若しくはレタス又は魚のフグ若しくはマグロ」というふうに、一番大きな並列構造にだけ「又は」を用い、他は全て「若しくは」で表現します。
(完)