2024.02.03
寡婦控除とひとり親控除の違いをよく質問されますので、今回は寡婦控除とひとり親控除の違いについて解説します。
寡婦とは、原則としてその年の12月31日の現況で、ひとり親に該当せず、次の①②のいずれかに当てはまる人です。納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は対象となりません。
①夫と離婚後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、本人の合計所得金額が500万円以下の人。
②夫と死別後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、本人の合計所得金額が500万円以下の人。②の場合は、扶養親族の要件はありません。
扶養親族とは、その年の12月31日の現況で次の①②③④の要件のすべてに当てはまる人です。
①配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
②納税者と生計を一にしていること。
③年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。
④青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
ひとり親とは、原則としてその年の12月31日の現況で、婚姻をしていないことまたは配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次の①②③の要件のすべてに当てはまる人です。
①その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。
②生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)がいること。
③本人の合計所得金額が500万円以下であること。
「寡婦控除」と「ひとり親控除」は、本人の合計所得金額が500万円以下という要件は同じですが、次の1から5の違いで区分されます。
1.令和1年分までと令和2年分以後で控除額が違う
令和1年分(2019年)までは寡婦控除・寡夫控除があり控除額はそれぞれ27万円でした。さらに特別の寡婦の場合、控除額は35万円でした。
令和2年分(2020年)以後は、特別の寡婦控除と寡夫控除が廃止となり、ひとり親控除が創設されました。寡婦控除は27万円、ひとり親控除は35万円となりました。
2.女性と男性で違う
女性の場合は寡婦控除またはひとり親控除いずれか一方の対象になり得ます。
男性の場合は寡婦控除の対象にならず、ひとり親控除のみ対象となり得ます。
3.婚姻歴の有無で違う
寡婦控除は婚姻歴があることが必要です。
ひとり親控除は婚姻歴がない場合でも対象となり得ます。
4.生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)の有無で違う
寡婦控除は扶養親族がいることが要件です(離婚の場合)。
ひとり親控除は生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)がいることが要件です。
ひとり親は、男女を問わずひとり親控除の対象になります。
5.優先順位が違う
寡婦控除を受けるには、ひとり親控除に該当しないことが前提となります。
そして、寡婦の対象者がひとり親に当てはまる場合は、ひとり親控除が優先され、寡婦控除とひとり親控除の同時適用はできません。
寡婦控除が27万円、ひとり親控除が35万円であることを考慮すると、「扶養親族」が生計を一にする子の場合は「ひとり親控除」、それ以外は「寡婦控除」の選択が有利となります。
(完)
寡婦控除とひとり親控除の違いをよく質問されますので、今回は寡婦控除とひとり親控除の違いについて解説します。
寡婦とは、原則としてその年の12月31日の現況で、ひとり親に該当せず、次の①②のいずれかに当てはまる人です。納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は対象となりません。
①夫と離婚後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、本人の合計所得金額が500万円以下の人。
②夫と死別後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、本人の合計所得金額が500万円以下の人。②の場合は、扶養親族の要件はありません。
扶養親族とは、その年の12月31日の現況で次の①②③④の要件のすべてに当てはまる人です。
①配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
②納税者と生計を一にしていること。
③年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。
④青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
ひとり親とは、原則としてその年の12月31日の現況で、婚姻をしていないことまたは配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次の①②③の要件のすべてに当てはまる人です。
①その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。
②生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)がいること。
③本人の合計所得金額が500万円以下であること。
「寡婦控除」と「ひとり親控除」は、本人の合計所得金額が500万円以下という要件は同じですが、次の1から5の違いで区分されます。
1.令和1年分までと令和2年分以後で控除額が違う
令和1年分(2019年)までは寡婦控除・寡夫控除があり控除額はそれぞれ27万円でした。さらに特別の寡婦の場合、控除額は35万円でした。
令和2年分(2020年)以後は、特別の寡婦控除と寡夫控除が廃止となり、ひとり親控除が創設されました。寡婦控除は27万円、ひとり親控除は35万円となりました。
2.女性と男性で違う
女性の場合は寡婦控除またはひとり親控除いずれか一方の対象になり得ます。
男性の場合は寡婦控除の対象にならず、ひとり親控除のみ対象となり得ます。
3.婚姻歴の有無で違う
寡婦控除は婚姻歴があることが必要です。
ひとり親控除は婚姻歴がない場合でも対象となり得ます。
4.生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)の有無で違う
寡婦控除は扶養親族がいることが要件です(離婚の場合)。
ひとり親控除は生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)がいることが要件です。
ひとり親は、男女を問わずひとり親控除の対象になります。
5.優先順位が違う
寡婦控除を受けるには、ひとり親控除に該当しないことが前提となります。
そして、寡婦の対象者がひとり親に当てはまる場合は、ひとり親控除が優先され、寡婦控除とひとり親控除の同時適用はできません。
寡婦控除が27万円、ひとり親控除が35万円であることを考慮すると、「扶養親族」が生計を一にする子の場合は「ひとり親控除」、それ以外は「寡婦控除」の選択が有利となります。
(完)