新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

瀬谷ルミ子さん

2015年05月06日 | 日記

 「職業は武装解除」が文庫本になった。1977年群馬県生まれ、イギリスの大学院で紛争解決学を学び、23歳でNGO職員としてルワンダ、24歳で国連ボランティアとしてシエラレオネ、26歳で日本大使館員としてアフガニスタン、29歳で国連PKO職員としてコートジボワール、その後、NPO日本紛争予防センターの職員、理事長としてケニア、バルカン、ソマリア、南スーダンで活動している。
 部族紛争が収まった地域に入って武器を捨てさせ、元兵士たちに職業訓練をし、就職させる。並大抵の苦労ではない。兵士たちにとって武器は食い扶持を稼ぐ手段だ。それを捨てさせるには将来像を描いて見せなければならない。軍のなかでも上官クラスは甘い汁をいっぱい吸っている。それをあきらめさせるにはどうすればよいか。紛争が収まって平和になってしまうと紛争中の加害者に刑罰が加えられる恐れがある。現状維持をのぞむ人たちをどう説得するか。紛争が日常化してしまうと、紛争という現状を維持しなければ困る人たちが多くなる。
 2003年アフガニスタンで元兵士たちに武器を捨てさせることに成功したとき、瀬谷さんは兵士たちのことばとして書いている。「日本がいうから信頼して武器を差し出すんだ。アフガニスタンの民を無差別に空爆しているアメリカやイギリスにいわれたら、撃ち殺してやる」と。日本が今もっている「けっして戦争をしない国」というイメージがいかに大切かを示している。
 ソマリアでは「アフリカで植民地支配をしたことがなく、支援を行う際にも政治的な思惑をつきつけない日本は中立的な印象を持たれている」。だから日本人である自分が入っていって武装解除の仕事をしやすいのだという。
 瀬谷さんは最近では戦後70周年を記念して出す安倍談話の中身を検討する懇談会の最年少会員として名前を連ねている。影響力を発揮してくれることを期待したい。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿