新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

危うい大統領レーガン

2021年05月31日 | 日記

 いま読んでいるキティー・ケリー著「ナンシー・レーガン」が終わりに近づいた。
 嘘いつわりだらけの履歴書に始まり、夫が米国大統領を務め終える1989年1月までのナンシーの姿を克明に追った伝記だ。自己中心的で権力を笠に着た言動、公費を私物化する行為、ホワイトハウス内の人事から夫である大統領が打ち出す政策にまで首を突っ込むようすを細かく具体的に描いている。
 70歳で大統領に就任したレーガンは、耳が遠くなり前立腺癌を患い、2期目の選挙戦のさなかに大腸癌を宣告される。非公表で手術を受けたロナルド・レーガンは、さらに軽い認知症の徴候も見られた。もちろんそれらの弱点は公にはひた隠しにされ、その分、側近とファーストレディーへの負担が増していく。
 2期目が後半に入った1987年10月、こんどはナンシーの左胸に乳がんが見つかる。医師団は腫瘍部を摘出し、その後、週2回の放射線治療を繰り返す案を提示したが、ナンシーは全摘出を選んだ。それには夫が大統領として、その職務を最後までぶじに遂行させるためにはたえず自分がそばについてアドバイス、フォローをしていく必要があるとの強い理由があった。もはやレーガンは夫人の支えなしでは大統領職を全うできないほど精神的に衰弱していた。数週間後にはソ連のゴルバチェフと中距離核協定を結ばなければならないレーガンにとって、支えである夫人が週に2回も放射線治療を受けていては仕事が進まなくなる。ナンシーはそれを考えて、医師団が薦める治療案をかたくなに拒否し、乳房全摘を選んだのだった。ナンシーの悪口ばかりを書き並べた伝記のなかでは異色の章といえる。ただ大統領夫妻は何度か顔の整形手術を受けており、外科手術には慣れていたが放射線治療については恐怖心を抱いていた、ともつけ加えてある。
 さて手術を受けたあとのナンシーは、ソ連との交渉、条約締結の日程を、お抱えの占星術師の助言を受けながら決めていく。もちろん占星術師に頼っていることなどメディアにはいっさい内緒にしていたのだが・・。



英検受験者が増えている

2021年05月30日 | 日記

 きょうは英検の一次試験の日。筆記試験とリスニング試験がおこなわれる。
 具体的な数字は分からないが、受験者数が最近、飛躍的に増えているようだ。異変を感じ始めたのは一昨年の冬だった。文科省の音頭のもと、大学入試改革で英語に民間試験が利用されることが取りざたされ、すったもんだのあげく、しばらく見送られることになった時期だった。4技能(聞く、話す、読む、書く)がまんべんなく測れる試験を大学入試センターが用意できないことから、民間試験活用が提案されていた。
 いったんは見送られたものの、英語検定試験の結果(成績)がいずれは採用される、あるいは個別に採用する大学が増えることが予想され、高校生の英検受験熱はよりいっそう高まった。
 英検以外にも英語民間試験がいくつかあるが、英検がもっとも学校に浸透している。英検のひとりがちになることは十分予測していた。予測どおりに進んでいるようだ。
 主催する英検協会は商売繁盛でほくほく顔だろうが、大学入試に利用しようという入試センターのもくろみは高校生、中学生たちの英検受験熱をさらにいっそう高めた。
 さて、この2、3週間、私は赤ペン先生になった。一次試験のなかで高校生が自分で勉強できないのはライティングの問題だ。自分の考えを英語で記述する問題で、こればかりは生徒が自分で答え合わせをすることができない。英語で書いてきた生徒の英語の文章をていねいに添削していく。望ましい別の英文を提示する。赤ペン先生大忙し。さらにこれからの1か月近く、こんどは二次試験である面接、スピーキングの練習相手になる。2級、準2級が多いが、ときに3級受験者もいる。

庭木を切った

2021年05月25日 | 日記

 午前中、庭木を切った。疲れた。1時間あまりの作業だった。これぐらいで疲れるとはもう齢だな。剪定ではない。高く伸びた枝を払う。3メートルも4メートも高く伸びると、いずれ手に負えなくなる。そうならないうちに、伸びた枝を払う。払い落とした枝を、ゴミ収集日に出せるように、細かく玉ぎる。
 炭を焼いていたころ、このような作業を毎週末にしていた。一連の炭焼き作業のなかでもっとも疲れるのが炭材を調える作業だった。伐倒された木の枝を払い、幹を玉切り、炭焼き場へ運搬する。これだけでも大変な重労働だったが、さらにそれを適当な太さに割っていく。いわゆる薪割りだ。薪割り機がなかったので斧を使って割る。薪を垂直に立てておいて、うえから斧を振り下ろす人がいたが、私は薪を寝かせたまま割ることを好んだ。薪を乾燥させると、自然にひびが入る。そのひびを狙って斧を振り下ろす。クヌギ、コナラなどの堅い薪は気持ちよく割れた。週末をこの作業に費やすと、月曜、火曜には適度の筋肉疲労を感じる。それが心地よかった。
 薪炭クラブで炭を焼いたときには、薪割り機があったおかげで、このたいへんな薪割り作業をしなくてすんだ。伐倒班、薪割り班、炭焼き班という分業が功を奏し、じつに効率よく仕事が進んでいた。だが一連の作業を一人で全部する、という経験は案外、貴重な経験だった。
 余談になる。戦時中のイギリス、ロールズロイス社に勤める人に「あなたはどの工程を担当していますか」と尋ねると、一瞬きょとんとし、それから「エンジン部門を担当しています」と応えた、という話を読んだことがあった。つまり車のエンジンを始めから終わりまで一人でつくっていた。だからこそ性能のよいエンジン車が生産できていたのだった。
 だからといって、当時りっぱな炭が焼けていたというわけではないのだが・・。



近ごろの雑感

2021年05月24日 | 日記

 相模原市緑区 5月24日までの1週間の感染者数 12(先週は21だった)
 上野原市   5月20日までの1週間の感染者数 0(前週は10だった)
 八王子市   5月23日の感染者数 17(5月17日は19だった)

 緑区も上野原も大幅に減っている。八王子市は微減。好ましい徴候ではある。
 オリンピックはほんとうに実施するのか。メディアはこぞって中止の方向へ世論を誘導している気配がある。これは政府の意向を汲んでのことではないか、とみているが、開会式まで2か月になったいま、まだ中止を宣言する気配はどこからも匂ってこない。組織委員会の森前会長がいなくなった以上、中止を宣言できる人は総理か都知事か。
 外国から入国する大会関係者にバブルのなかでのみ移動してもらえば、つまり動線をしっかりと決め、その範囲内で動いてもらえば、安心安全な大会の開催は可能だという人がいる。はたしてそうだろうか。アスリートたちは自分の出番までは行動を自粛するだろう。だが自分の出番が終わってしまえば、どんちゃん騒ぎに街へ繰り出すのではないか。
 ワクチン接種が進めば云々という人がいる。だが相模原市の前期高齢者にはまだ接種券さえ届いていない。こんなスローペースで進めていては、2か月などあっという間にすぎていく。
 これまで開発され、使用された例がないメッセンジャーRNAワクチンを全国民に、全世界の人に接種しようと躍起になっていることにも問題がある。テレビのコメンテーターがワクチン接種を「大きなプロジェクト」と表現していたが、ほんとうは「壮大な規模の人体実験」といいたかったのではないか。
 


渋沢栄一のこと

2021年05月23日 | 日記

 渋沢栄一「現代語訳・論語と算盤」を買って読み始めたが、教訓ばかり垂れているのがいやで途中で投げ出してしまった。それでも巻末につけられた「渋沢栄一小伝」だけは読んでみた。
 NHK大河ドラマ「青天を衝け」を1月からずっと観ている。政治家、武将でなく財界人に焦点があてられているところが新鮮だ。「小伝」を読むと、このドラマが史実にかなり忠実に描かれていることがうかがえる。
 エピソード1。幼いころから勉強熱心だった栄一は、数え年12歳の年始回りのとき、本を読みながら歩いていて溝に落ちてしまい、晴れ着をドロドロにして帰宅した。もちろん母に怒られた。ドラマのなかにもあったこのシーンがうっすらと印象に残っている。
 エピソード2。これは鮮明な印象を残した。17歳のとき、血洗島領主が栄一の家やその周辺の農家に御用金を申しつけた。父の代理として領主のもとに赴いた栄一は、「父のお許しがなければ御用金の旨を承れません」と言い張った。結局、父の判断で御用金を承けることになったが、「ほんとうに横っつらをハリたおしてやりたいほど腹が立った」といっている。
 エピソード3。5月16日の回で描かれていた。京都で一橋家の用心、平岡円四郎に仕官を誘われた栄一は、仕官に際しては一橋慶喜に直接、拝謁して時勢に対する意見を申し述べたいと主張する。それが実現する。
 ここから先は、今後の放送分にあたるので、簡単に書いておく。1867年フランス、パリ万国博覧会に合わせて渡欧する。そこで資本主義をもとにした経済力の強さを目の当たりにする。パリにいる間に慶喜が大政奉還してしまい、帰国を余儀なくされる。大蔵省に出仕する。能力を発揮して数々の施策を試みるが、ことあるごとに大久保利通と対立する。大蔵省出仕を辞め、国立第一銀行を起こす。さらにはのちの王子製紙、東京海上、日本郵船、東京電力などの元になる会社を次々に創立する。岩崎弥太郎が栄一に、二人で手を組んで日本経済を思いどおりに動かそうと持ちかけるも、栄一は国民全体のためにしている事業だといって、けんか別れする。大河ドラマがこの場面をどう描くか、ぜひていねいに観てみたい。