新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

語学力の乏しさを痛感した

2016年06月23日 | 日記


 マドリッドのアト-チャ駅からコルドバ行きの高速列車に乗り込んだ。座席は直前に自動券売機を操作して買った指定席で、1号車だった。妻と私のほか数人が乗ってきて発車した。よく空いている。座席もゆったりしていて気持ちよい。コルドバまで2時間近くかかる。車掌が検札に来たあと軽食をもって歩いていた。そこまで時間が経過してふと気づいた。ここは日本でいうグリーン車だったのだ、と。高速列車は全車指定席で、券売機では多くの場合TuristaとPreferenteに分かれている。そして私が操作していたタッチパネル式の液晶画面ではたまたまTuristaの文字が消えていたので私はその意味が分からないままにPreferenteを押したのだった。後でよくよく考えてみるとTuristaの席が満席でPreferenteだけが売れ残っていたということになる。むかしは1等車、2等車のように数字で示していて、1等車の客と2等車の客は待合室も別になっていた。日本でも1等車、2等車と呼んでいた。それが普通車、グリーン車に置き換えられ、スペインではTuristaとPreferenteに置き換えられたわけだ。Turistaは英語のTouristにあたるのだろう。Preferenteは英語のpreferenceなどと関連させて意味を連想するしかないようだ。あえて邦訳すれば「一般旅行者」と「優先旅行者」ということになる。コルドバまでは列車の本数が多いのだから券売機を操作する時点でここまで考えが及んでいれば、時間を遅らせて他の空いている列車に乗ることができた。このむだ遣いは語学力のなさを露呈するものだった。
 私のスペイン語力はひじょうにあいまいだ。ポルトガル語なら書いてあるものはほぼ理解できるのだが、スペイン語になるとときどき分からない単語にぶつかる。スペイン語とポルトガル語はもともとは俗ラテン語から派生した兄弟のような関係にある。しかしそう単純ではない。スペインへ旅立つまえに図書館で「やさしいスペイン会話」を借りてきて、練習問題を解きながら通読しようとした。ポルトガル語との違いを押さえておけばよいと思ったのだが、半分読んで時間切れになった。使用する単語が異なるのがいちばんの問題だ。ホテルの部屋をポルトガル語でクアルトというが、スペイン語ではアビタシオンを使うという具合だ。
 空港からホテルまで深夜にタクシーに乗った。運転手との会話で「私はポルトガル語ができるけどスペイン語とはすこしディフェレンテですね」といったら、運転手が「セパラード」といいかえていた。私がいったディフェレンテは英語のdifferentからの類推にすぎない。ポルトガル語、英語混じりのなんとも珍妙なことばに話を合わせてくれた運転手さんにはチップをはずんでおいた。
 帰国の日は早朝5時にホテルからタクシーに乗った。そのときのタクシーがトヨタのプリウスで、私たちがハポンへ帰るというと、ハポンではプリウスはいくらするのか、と訊いてきた。300万円をユーロに直そうとしたが頭が回転せず、3万ユーロといったつもりだが通じたかどうか。この運転手も気のいい人だった。私はタクシーに乗るとボラれないためにいつも運転手になにやかやと話しかける。しかしこのようにいいかげんなスペイン語では逆効果になるかもしれないな。