スペインではトランプを買いたいとずっと思っていました。なかなか見つからずに苦労し、マドリッド滞在の最終日になってやっと見つかりました。デパートの文具売り場に並んでいるトランプはたいていイギリス、日本式の紋様のもので私が探していた古い紋様のものは1種類だけでした。
4つの紋様は4つの社会階級を表します。
スペード・・剣です。これは貴族、軍人を表します。剣はスペイン語でespadaといいます。英語のspadeと語源的につながることは明らかです。スペードのマークをよく見ると剣に見えてきます。
クラブ・・・棍棒です。これは農民または労働者階級を表します。英和辞典でclubを引くと「棍棒」と「トランプのクラブつまり三つ葉」の意味が別項目で書いてありますが、これら二つの語釈はおなじところから派生したものです。棍棒のぶつぶつが三つ葉に変化したのかもしれません。
ハート・・・聖盃です。聖職者、僧侶を表します。これがフランスで心臓のマークに簡略化され、イギリスに入ったようです。簡略化の理由は経済的なものでした。煩雑なマークを印刷するにはコストがかかります。
ダイヤ・・・貨幣です。商人を表します。
なお、このトランプはそれぞれ12までしかありません。絵柄は10から12までです。12がキングでクイーンはありません。なぜでしょうか。
松田道弘「トランプものがたり」(岩波新書)にくわしく出ています。ドイツ、スイスのトランプ紋様もなかなか魅力的です。一読をおすすめします。