梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

花咲月稽古場便り・下

2008年02月29日 | 芝居
『春の寿』、『廓文章』の<初日通り舞台稽古>でした。
『春の寿』の「萬歳」の後見。仕事がごくわずかな分何事もなく相済みましたが、幕間なしの三段返しということで、大道具さんは装置の転換が大変そうでした。今日はじめて通すわけですからそれも当然なのでしょうけれど、それにしましても、狂言作者さんの柝やランプの合図だけで、上手下手がばらけることなく転換されてゆくのですから本当にすごいことです。<歌舞伎座大道具>チームの皆様の素晴らしさですね。

私の後見は、上手から出ることにいたしておりまして、今日もその通り出ては見たのですが、竹本の山台の位置との兼ね合いで、控えていてどうもしっくりこず、(こりゃァ下手からのほうがよいな)と思いつつもとりあえずそのままで終えました。そのあと振付の藤間勘祖師からも、やはり下手から出たほうが良いだろうと仰せがございましたので、初日からはそのようにいたします。

たびたびかかる演目ではない上に、前回(平成18年1月)は後見なしでの上演。<前の通り>が通用しないわけで、まして舞台装置も変わったこの度、竹本御連中が舞台のどこに居並ぶのかは、今日の稽古までわかりませんでしたから、こういうことが起こりましても、さほど慌てることもございません。

さて『廓文章』。こちらは大緊張でむかえましたが、先輩が事細かに、そして実践的にご指導くださいましたおかげで、まずは大過なく仕事をこなすことができました。客席からも見てくださり、「今日の感じで大丈夫」とのお言葉を頂きホッといたしはしましたが、仕事は無事でも、それが仲居のしぐさ、振る舞いとして見えなくてはなりません。そういうことを気をつけながら、初日からの舞台を<落ち着いて>勤めたいと思います。