広霊県苑西庄村の小学校に先生は1人。1年生から3年生までを1つの教室で教えます。児童数は10人前後。4年から上は1・5キロ離れた隣りの苑庄村の小学校に通います。
先生の名は楊維花、41歳の女性です。高校を卒業してすぐ、飲み水にすら困るこの村にやってきました。
「学生のころ上山下郷運動が盛んでした。貧しい山村にいって、そこの農民に学び、村の発展につくす、ということです。模範になった女性たちへの . . . 本文を読む
協力プロジェクトを成功させるためには、できるだけ深く現地の状況を理解する必要があります。そう考えて、たくさんの村を回ってきました。でも、これがけっこうたいへんな作業です。
村で生まれ育った人がその村のことを一番よく理解しているかというと、そうでもありません。私は、出稼ぎでもなんでもいいから少なくとも一度は村をでた経験をもつ人を探しました。よそでの経験を持つことで、自分の村を客観的にみることがで . . . 本文を読む
03年冬のことです。私たちの実験林場「カササギの森」でオオカミの子がみつかりました。「子がいるからには親もいる。だいじょうぶか?」「いや、以前は人がオオカミを恐れたけど、いまはオオカミが人を恐れる」……にぎやかな議論になりました。
その話を私が耳にしたときは、残念なことにオオカミはすでに死んでいました。それでもすぐに鷹嘴敦村の現場に駆けつけました。ジャガイモなどを貯蔵するための穴が農家の庭先に . . . 本文を読む
大同の私たちの協力プロジェクトを訪れた人たちが感心してくれます。とくに「こういう関係がどうしてできたんですか?」といって。私の答えはいつもいっしょで「相手に恵まれたんですよ」。中国でも評判になり、以前のカウンターパートの責任者、祁学峰はあちこちで講演を求められました。つぎの4項目を彼は強調したそうです。
1)誠実(真誠)につきあう。双方の関係は平等であり、自分の本当の気持ちでつき合わないといけ . . . 本文を読む
「高見おじちゃんの娘になるんだよ」と大同事務所の武春珍所長が告げると意味はすぐわかったようです。でも感情がついていかなかった。表情が消え、デスマスクのように凍ってしまいました。
その子の家にいきました。小さなあばら家で、屋根が波うっています。カマドの横の壁の一部を黒く塗って黒板がわりにし、英単語をチョークで書いては消し、書いては消し。裏紙を針と糸で綴じてノート替わりにし、几帳面な小さな字でビッ . . . 本文を読む
昨年3月末、広霊県苑西庄村の農家でツアーが一泊したときのことです。村の小学校の先生が女の子の頭をなでながら話しました。
「この子は勉強がすきで、よくできます。この学校で学ぶのは低学年だけで、4年生以上は隣り村の学校に通いますが、そこでもずっと1番。まもなく卒業ですが、家庭が貧しいうえに弟が2人いるので中学校にはいけません」その子は両手で顔をおおって泣きだしました。日本からきた人たちもみな泣いた . . . 本文を読む
私たちのカウンターパート・緑色地球網絡大同事務所の技術顧問に侯喜さんがいます。大同市林業局で40年以上働いたベテラン技術者で、定年退職後に協力プロジェクトに加わりました。
現場に精通していて、まさに生き字引。あるとき調査のために木を伐っていて村の人に見咎められました。彼が前にでて「あんたはなんて名前だ? じゃあオヤジは○○で、オッカアは△△村から嫁にきただろ」。相手はそれで引き下がります。そ . . . 本文を読む
とくに南方の、都会の人が農村にくると、よけいなことを口にするんですよ。「ここの人が貧乏なのは、働かないからですよ」。カッとなって、手がでそうになるのを、私は懸命にこらえます。生まれたところがちがうだけなのに、なんてことを言うんですか!
老人たちの手をみてください。これが働かない怠けものの手ですか。働きに働き、土がしみ込んでまっ黒になった、グローブのように大きな手です。
1人の老人が私に話しまし . . . 本文を読む
私たちのワーキングツアーといっしょに3月25日、5年前に井戸を掘った霊丘県石瓮村を訪ねました。途中の峠道が危険なため、小さな車に乗り換えて。
途中の北水泉村の湧き水が完全に涸れていました。3年前のことだそう。5年前まで石瓮村の人たちはここまで貰い水に通っていたのです。
そこから4キロ余り走って石瓮村に着きました。井戸の水はちゃんと出ており、ホッとしました。さらに上の高庄村からロバで水汲みにきて . . . 本文を読む
私は大同で12年も活動しているのに、中国語をまったく話せません。私の口と耳になってくれるのが王萍(ワンピン)です。
いまから9年前、私といっしょにいったのが、彼女の農村初体験です。こどもたちと話していたと思うと、私のところにやってきます。「高見さん、どうしてですか?この子たちは都市の子にくらべ2~3歳は小さいんです」。浸食谷の底にある井戸の水をみては私にききます。「こんな水を飲んでもだいじょうぶ . . . 本文を読む
中国の主だった新聞・テレビの記者たちが,私たちの協力プロジェクトの取材にやってきた。大部分が都市育ちで,農村のことを知らない。でも、この分野にも市場経済が定着しつつあるようだ。 . . . 本文を読む
貧しい農村。みんな、うつむいて、肩をしぼめて生きているかと思えば、そうじゃない。特級の笑顔がここにはあるんですね。それをみたくて、リピーターになる日本人もいるくらいです。 . . . 本文を読む
生活用水にも困るようなところですから、農村の生活はたいへんです。しかも貧乏な農村ほど子だくさんで、こどもを小学校にやるのもたいへんだったのです。 . . . 本文を読む
欧米や日本が数世代かけてすすめた工業化・現代化を、中国は一世代足らずのうちに凝縮して実現しつつあります。そのカゲですすむ深刻な環境破壊。今後どうなるでしょうか? . . . 本文を読む
都市と農村とではこどもの生育スピードがまったくちがいます。農村のほうがずっと遅い。最初は私も、相手の年齢を誤解しつづけていました。 . . . 本文を読む