005)環境意識の変化

 この10年ほどで、中国人の環境にたいする意識はものすごく変わりました。
 私たちの協力事業がスタートしたのは92年。そのころ私が「中国はもっと環境問題を重視すべきだ」というと、返ってくるのは反発でした。「先に豊かになった日本人の勝手な議論だ。中国は12億人が食べていかないといけない。経済発展がなにより優先するし、環境破壊が付随するとしても、甘んじて受け止める。自分たちは汚染すらほしいのだ」というのです。
 最大の転機は、98年の長江、松花江などの大水害だったと思います。堤防を守るために奮闘する人民解放軍や激励に訪れる中央指導者の姿が連日、報道されました。あれほどの大災害を食い止めたのはすごいことです。
 そのあと、ジワジワと反省が広がりました。「あれは人災だったんじゃないか」というわけです。長江の上流には森林が残っていたのに、みんな伐ってしまった。土壌浸食がひどくなり、「第2の黄河」になった。流れてきた土で湖や池が埋まると、それをいいことに干拓し、畑や工場用地にしたので、遊水池がなくなった。上中流域で雨が降ると、すぐ洪水になる。
 「環境破壊がこれ以上すすむなら、経済発展の成果も台無しになる。それ以上の自然の報復を受ける」といった声がそこからでてきました。うれしいことです。でもそれは環境破壊の現実があまりにもすすんだからのことで、喜んでばかりはおれません。
 (2003年3月5日号)
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