031) 農村は遠~い?

私は大同で12年も活動しているのに、中国語をまったく話せません。私の口と耳になってくれるのが王萍(ワンピン)です。
 いまから9年前、私といっしょにいったのが、彼女の農村初体験です。こどもたちと話していたと思うと、私のところにやってきます。「高見さん、どうしてですか?この子たちは都市の子にくらべ2~3歳は小さいんです」。浸食谷の底にある井戸の水をみては私にききます。「こんな水を飲んでもだいじょうぶですか?」。
 そのたびに私はいいます。「そんなことを私にきくな!あなたのしごとはなんなんだ!」。彼女の本職は看護婦で、いまでは150人の部下をもつ婦長さんです。
 事後談があります。彼女はとても驚いて、自分の見聞を同僚の医者や看護婦に話したんですね。でも、信じてもらえなかった。
 王萍の生まれは東北のハルビンですけど、育ちは大同です。彼女がびっくりしたような農村は、大同の市街地から10キロも離れたら、広がっているんですね。病院の同僚が彼女の話を信じなかったということは、そのころ農民は、街の病院にはこなかったということでしょうか?
 首都北京と地方都市大同は、高速道路では3時間ほどですけど、人の観念の上での距離はずっと遠いのです。大同の市街地と農村の県城とはそれより遠く、県城と郷政府所在地のあいだはさらに遠く、郷政府所在地と村とのあいだは、もっともっと遠いんです。
 【写真】左端が今回の主役の王萍。その右が武春珍大同事務所長。右は立花吉茂代表。
 (2003年12月15日号)
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