フェリーで下北半島の大間へ来たのは仏ケ浦へ行くためだ。
彼女はツアーで下北半島へは来たことがあるとのことだが、仏ケ浦へは行かず、嫌な空気の漂う恐山へ行ったとのこと。
だから仏ケ浦と云う名称にも二の足を踏んでいるようで私の誘いに仕方なく付いてきた感じだ。
仏ケ浦は斧の形をした下北半島の刃の中央部分にある。佐井村から観光船が出ているのだが便数が少なく以前2時間待たされたことがあるので、今回は崖道を下りることにした。
もちろん、下りたからには帰りは上がらなければならないので、そのために毎日ジョギングで「脚」を、そして「その時」にも頑張れるようにと「腰」を鍛えていたのだ。
「願掛け岩」と云う奇岩を眺め次に仏ケ浦を見下ろす展望台へ到着。
本当にこの高さを下りて上がれるのだろうかと思うのだが、彼女の方がもっと不安なようで「上がる時に手を引いてね」と云うのだが私はキッパリ断り「お尻を押す」方を志願した。
これはお尻が好きとかいう不純な気持ちはではなくて、お尻を押された方が上がりやすいだろうと思ったからだ。ホントだよ。
さてP横にある「熊が出る」との表示に脅かされ崖道を下り始めた。
最初は緩い下り坂だが、それが階段へと変化する。
途中、苦しそうに上がってくる男性に訊くと「かなりキツイです」と云うのだが「そうでもないと言ってよぉ」と命じるT代さんに「そ・・・そうでも無いです」と慌てる男性(笑)。
下りながら上がる時のことを考えると自信は薄らぐのだが、20分程で到着した仏ケ浦には船で来た団体さんが大勢。
やっと下りて来たのに、それが邪魔で有名なロケ地である奇岩が写せない。
水溜まりを除け岩場を上下していてモヨオシテしまった私。
岩と岩の奥にあるトイレへ入って遺跡を残し、これで余計な心配をせずに崖を上がれると思ったところで声を掛けてきたのは・・・・大間で隣のテーブルに座りマグロ丼を食べていた御夫婦。
私達が崖道を下りて来たと知って驚いていた。
何と佐井村で丁度良い観光船の便があったのでそれに乗ったとか。
少し悔しいけれど私にはこの先「お尻を押す」と云う楽しみ・・・いや大切なオシゴトがある。
そのオシゴトを全うするために彼女を先に行かせたのだが、丁度目の高さで揺れるお尻様を見て、(仏ケ浦は絶対に崖道の方がお勧め) と思った。