「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

『近代消防』誌上での連載、1ヶ月先送りとなってしまいました。

2015-07-25 11:46:33 | 駿河トラフ・南海トラフ巨大地震津波対策
毎月20日から25日辺りが、連載している『近代消防』の原稿の山場。
(編集者Eさんに言わせるならば「15日から20日です!」となるのだろう、とは思うが……。)

木曜日午前中に脱稿できず、金曜日の学外研修日にも脱稿出来ず、とはいえ、
親戚一同との夏の旅行の前には何とかしたい、というので金曜夜から土曜日朝型までがんばって、
で、最終的には東京に向かう新幹線の中で、4000字余を何とか書き上げ、Eさんに送った訳ですが……。

その後Eさんから電話があり、「DIGセミナーについての話も前後2回で終わったところですし、
これから台割を組み替えるのも厳しいので、来月号は休載として下さい」とのお達し。
ということであれば……。

今朝方書き上げた原稿をしばらく寝かし、多少の加筆修正を行った後に入稿することになるのか、
それともゼロから書き始めることになるのか、そこはまだわからない。
ただまぁ、最近の活動報告でもあるので、掟破りかもしれませんが、
『近代消防』9月号に掲載されたかもしれない拙稿を、3回に分けてお伝えすることにします。

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災害図上訓練DIGを用いた災害対策あれこれ(第??回)
四国の大学生を相手に南海トラフ地震に向けたDIGセミナーを仕掛けたい!

ここ10年近く、国土交通省の四国地方整備局からお仕事をいただき、
徳島県南部か高知県、愛媛県南部のどこかの町で、DIGのセミナーを開催しています。
古い言い方であれば南海地震の連動発生対策、最近の言い方であれば南海トラフ巨大地震対策、
いずれであれ、巨大災害を織り込んだまちづくり・社会資本整備のあり方はいかにあるべきか。
それを共に語れる方々を育成すべく、DIGのファシリテーター養成講座を開催しています。
有り難いことに、大手建設コンサルタント会社の優秀なスタッフが、このプロジェクトをお手伝い下さっています。
毎年寒くなってから行われるファシリテーター養成講座ですが、7月上旬のある日、
ランチ含みで最初の仕込みを行いました。というので、今月号は、
「こんなことが出来たらいいなぁ」という、DIGを介した防災まちづくりへの思いを語らせて下さい。

南海トラフ地震対策の根本は何か

2012年度のこのプロジェクトで訪問したのは高知県黒潮町でした。
南海トラフ巨大地震が発生した時、全国ワーストとなる30m超の津波が押し寄せるということで一躍話題となった、
高知県西部に位置する人口12000人余の町です。

この黒潮町では、家族単位での避難カルテづくりが進められたと聞きます。
自宅周辺なり職場周辺なりの安全な高台まで、どの道を通って誰と避難するのか等々をまとめた、とのこと。
また、この避難カルテを作るべく、町役場の担当者の地域訪問が数百回も続けられたというのですから、
頭の下がる話です。頭の下がる思いではありますが……。

この話を最初に聞いた時から、「避難カルテづくりに南海地震対策の根本はない!」ということを、
ずっと思い続けてきました。
そのことを理解した上での避難論議であればよいのだが、とも思ってきました。

避難対策は小手先のものです。
「避難成功。しかし、故郷消滅&人生崩壊。」これでは災害対策とは言えないでしょう。
自宅が流され、職場も流され、人生最大の買い物と安定した生活の基盤&社会との関わりの基本を失ったとすれば、
そこから立ち直ることは至難の業です。そこに目をつぶった上での災害対策が本質的だとは、
私にはまったく思えなかった訳なのです。

黒潮町の沿岸部に私がいたとして、その場で強く長い揺れを感じたならば、もちろん私だって避難します。
しかし、その可能性は実質ゼロです。

読者の皆さんにはもう「耳たこ」の話でしょうが、
駿河トラフ&南海トラフ地震で起こる地震に限らず、プレート境界型地震にはある程度の周期性が期待出来ます。
南海トラフ地震(注:駿河トラフ地震を含む)の場合は90年から150年、
ないし100年から150年と言われています。
一つ前の発生は、1944年12月の昭和東南海地震と1946年12月の昭和南海地震。
間をとって1945年から数えて今年で70年目。
安全係数として5年を見ても15年の準備期間は合理的に期待できる訳です。

四国地整局からいただいたお仕事の中心課題は、
この短くても15年程度は期待してよい時間を活かした
社会資本(道路、港、海岸・堤防等々、ありていに言えばまちそのもの)の整備はどうあるべきかを一緒に考える、
センスある人を育ててもらえないか、だと思っています。

そのために、年1回1自治体とはいえ、四国の南部の市町を行脚して、
このようなメッセージを伝えてきました。
で、今年も、それに向けた仕込みを始めた訳なのですが、議論していくうちに、
こんなことも出来ないだろうか、と思うようになった、それが、サブタイトルに掲げた、
「四国の大学生を相手に南海トラフ地震に向けたDIGセミナーを出来ないだろうか」
というアイディアだったのです。

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