<曽根・飛鳥神社 そねあすかじんじゃ>
今回、押し気味の予定をやりくりしてまで
曽根・飛鳥神社を訪れたかった理由は、
神社の裏手の樹齢1000年はあろうかという
クスノキの巨木を写真に撮ることでした。
前回は知らずに通り過ぎてしまい、
後で資料を調べている最中に気づいて、
少々残念に思った経緯があったからです。
目指すクスノキの巨木は、
左手にあるホテルに向かって続く小道の途中、
境内をぐるっと取り巻く石垣の不自然な隙間に、
かなり窮屈そうな趣で収まっていました。
「境内」という狭い枠を飛び出すほど、
生命力に満ちたその姿を目の前にすると、
現代人が決めた「神域」の概念が、
神の意志とは少々異なることを感じます。
きっと古代は、この神社周辺の一帯に、
亜熱帯の森が広がっていたのでしょう。
上へ上へとどこまでも伸びる太い幹と、
空を埋め尽くすように広がる枝葉は、
かろうじて残された神域を、
その身を持って守るかのごとく、
千年以上もの長い間、
この場で静かに耐えていたのかもしれません。