<寺谷・飛鳥神社 てらだにあすかじんじゃ>
寺谷・飛鳥神社という場所は、
「川を渡って神域に入る」という、
古来さながらのしきたりを残す場所です。
川に面して建てられた石の鳥居をくぐり、
10段ほどの石段を降りると、
大又川の川べりを埋め尽くすように、
白くきめの細かい大小様々な岩々が、
あたり一帯にまき散らされていました。
闇の中でも怪しく光り出しそうな
そのつやつやとした石の表面は、
長い時間をかけてゆっくりと
研磨されたものなのでしょう。
夜空の星雲にも匹敵するほどの岩の大群が、
大又川という「地の川」を象っています。
強烈な西日を手のひらで遮りながら、
水際に佇んでいたほんのひととき、
ここがどこかということすら忘れ、
川から吹き上がる祓いの風を
身体全体で受け止めていました。
わずか数分ほどの短い禊でしたが、
そこには確かに悠久のときが流れていたのです。