アジア太平洋経済協力会議(APEC)において安部晋三首相と中国習近平国家主席によるほぼ2年半ぶりの日中首脳会談が行われることになったようだ。
日中両政府は、会談の前提になる「日中関係の改善に向けた話し合いについて」と題し、歴史認識問題で「双方は歴史を直視」することや、尖閣諸島など南シナ海の「緊張状態」について、「双方は異なる見解を有していると認識」などとする4項目の合意文書を発表した。会談する前に、このような文書が発表されるのは極めて稀とのことだ。
安倍首相は、50カ国を超す国を訪問したが、肝心要の中国、韓国への訪問はできず、今回のAPECでは何としても中国首脳との接触を図りたかったようだ。
一方、中国側もホスト国なのに、日本との接触を避ける分けにもいかず、今回の文書によって国内の批判をかわすために、事前に最大公約数的な合意文書を取り交わしたのだろう。
日本側は、この文書の中に靖国神社参拝については一言も触れていないと強調しているが、中国側は、「歴史を直視」の中に靖国問題も包括していること、尖閣諸島問題では、従来、日本側は尖閣問題の存在そのものを否定していたが、尖閣諸島について「双方は異なる見解を有していると認識」しているとしたことによって、日本側から存在しているという言質を得たと捉えている。
まあ、双方が国内に批判勢力を抱えている中で、会談を実現するために形式を整えた感じだ。ただ、肝心の日中首脳会談がどの程度の規模で行われるのか、会談の中で両国間の懸案事項がどの程度示され、突っ込んだ話し合いになるのかは予測できない。
若し、この会談が今後の日中関係の融和に繋がるものになるとしたなら、それは歴史的な出来事になる。「関連:11月7日」