共同通信社の世論調査によると安倍晋三内閣の支持率が上がって55%を越している。また、安部首相が目論んでいる来年4月に消費税を2%上げて10%にする法律の実施を再度2年半先の平成31年10月に延期することについては70%が賛成している。
この分でいくと、安部首相が2度も増税延期をするという異例の政策変更について、その政治姿勢を批判するよりも、現実的に増税しなければしない方が助かるという国民の気持ちが表れている感じだ。
従って、むしろこの際増税を延期する安倍首相の方策を支持し、参議院選挙に有利に働くかもしれないという妙な形になっている。
増税延期については、先の党首討論で民進党の岡田克也代表が先んじて安倍首相に提案しているが、その岡田代表は、サミットを利用して増税延期を打ち出している安倍首相に対し、アベノミクスが失敗したために増税ができなくなったとして、サミットを利用したことと併せて批判、安倍内閣不信任案を提出する方針を示している。
ただ、これが上手くやらないと安倍首相の増税延期に反対するように捉えられ、むしろ民進党など野党に国民の反発が出兼ねない。
つまり安倍内閣不信任案は、国民が望む安倍首相の増税再延期について、野党が反対しているという構図になり兼ねず、安倍首相はその辺を頭にいれて巧妙な策を講じたのかもしれない。
岡田代表は、増税先送りをすること自体アベノミクスの失敗を認めたことになると策を弄したが、安倍首相はこれを、サミットを使って世界経済のせいにして、自身の経済運営の失敗批判を交わし、国民の嫌がる増税の延期をして参議院選挙を有利に戦う態勢作りをした感じだ。
このことから感じることは、安部首相も70%の国民も公約などはどうでもよく、自身の利害だけを求めるという日本の政治の脆弱性が露呈したことだ。「関連:5月29日」