新型コロナウイルス感染拡大下の中、不安を抱えながら東京五輪は17日間の折り返しを過ぎた。
昨日も、柔道女子78キロ超級で素根輝、フェンシング男子エペ団体で金メダルを獲得した。
また、今大会不振のバトミントン混合ダブルスで渡辺勇太・東野有紗組が接戦をものにして待望の銅メダルを獲得した。
この日まで、日本の取った金メダルは17個とまだ競技期間半分を残して、過去、最多となった。
そんな五輪の祝賀ムードが、あるいは影響しているかも知れないと言われている新型コロナウイルス感染の急拡大は、専門家の中で恐ろしい状態だとも言われるように、確かに凄まじい勢いで増殖している。
ピークは全国で7万人になるとも推測され、かつての欧米並みの感染者の多さだ。
菅義偉首相や、小池百合子知事は「ワクチン接種が高齢者で進んでいるので重症化は抑えられている」「人流は、減少している」「五輪はテレビ観戦している人が多い」など、異口同音に緩い論調で発信に説得力が無い。
菅首相の頭の中は、危険水域まできている支持率の低下、五輪の無事開催、小池知事も、都議選が終わった後の議会運営、五輪の無事終了だけで一杯になっているのだろう。
しかし、五輪中は何とか新型ウイルス拡大を抑えたいとしていた思惑は大きく外れ、政府は、昨晩、東京都、沖縄県に加え首都圏3県と大阪府にまた緊急事態宣言を発令、北海道など5道府県にまん延防止等重点措置を発した。
しかし、4度目の緊急事態宣言といっても特に目新しい方策を打ち出した分けではない。ワクチン接種、人流の減少、飲食店などへの協力金支給など従来と変わらない方策だ。
しかし、ワクチンは量が不足している。人流は減少率が低い、協力金には工夫が無いなど問題が多いが、目立つのは、政府、東京都の危機感の希薄さだ。
政府の専門家分科会の尾身茂会長は、政府の楽観的な姿勢に対し、菅首相に直談判し、状況の深刻さを訴えた。
ワクチン接種が頼りの菅首相は、8月中に全国民の40%が2度目の接種を終えるようにしたいと、またワクチン接種の楽観論を示した。
菅氏は、以前も65歳以上の高齢者全員に、7月末まで2度の接種を終わらせたいと述べたが、未だ、70%程度に止まっている。
記者が、「対策が失敗した場合は辞任しますか」と質問しても、「感染を抑えるのが首相の責任だ」と煙に巻いている。
覚悟の無い首相が何度訴えても、国民には緊迫感は届かない。
もしも、感染拡大によって、多くの犠牲者が出るようなことにでもなったら、菅首相、小池知事は責任を取って辞任すると断言すれば、国民は真に危機感を共有するかも知れない。「関連:7月30日」