3月28日、安全保障法制が施行された。多くの憲法学者は安保法の基本になる集団的自衛権の容認は憲法第9条を逸脱したしているとし、違憲との見方だ。
今までも自衛隊の存在は憲法第9条を逸脱しているという見方があるが、専守防衛のための個別的自衛権は認められるという観点から、ぎりぎり容認されてきた。
従って、国際的に見ると日本は専守防衛に徹し、海外で戦争をやらない平和国家としての顔を持っていたが、今回の集団的自衛権を軸にした安保法制の成立によって、日本は海外でも武器を使い戦う国家としての顔に変貌してしまった。
そうなると、特に中東やアフリカなど戦争やテロが続く国では、今までは平和国家の顔で危害が加わらなかったが、今後は戦争を厭わない顔を持った国として、場合によっては攻撃を加えられることになり兼ねない。
それを誰よりも承知の安倍晋三首相は、安保法制が施行されても、万が一自衛隊員に犠牲が生じる恐れのある「駆け付け警護」や、この夏 にハワイで予定されているアメリカ軍などとの軍事演習でも「米艦防護」を演習内容には 盛り込まない意向だ。
若し、7月の参議院選挙の前に自衛隊に死傷のでるような事態が生じれば、選挙の結果に影響することを恐れてのためだ。このこと自体が安保法制の危険性を表しており、安倍首相がこの法律の安全性に自信のないことを示している。
安倍首相は、アメリカ議会演説で約束した安保法制の実現を図ったが、日本国民の過半数以上はこれを認めていない。また、今年の防衛大学の卒業生の約2割が卒業後の任官を拒否しているが、この事実が安保法制成立にまったく関係なしと言えない。
選挙前に国民受けしない政策を隠ぺいすることは安倍政権の常套手段であり、その意味で、参議院選挙で安保法制を争点にして、反対の意思を明確に示しこの法律の改正を求めていくことが必要だ。「関連:2015年9月21日」