長い６カ国協議再開への道のり

　６カ国協議の前哨戦ともいえる米朝中会議は、実質的に北朝鮮がかねてから求めていたとおり、米朝２国間で込み入った話ができたようである。アメリカは、北朝鮮が核やミサイルを放棄すれば、朝鮮戦争で休戦状態になっている現状から、終戦協定締結を示唆するという画期的な提案までしたと伝えられている。ブッシュ政権がイラクの処理で汲々としている中で、やっかいな北朝鮮問題を早く終わらせたいという苦悩が伝わってくる。これに対して北朝鮮側は本国に持ち帰って、金正日総書記の支持を仰ぐことになったようだが、果たして金総書記がアメリカの意向を承諾し、６カ国協議実施に向けてゴーサインを出すことになるのか、にわかに信じがたい。北朝鮮側が早急に求めたいのは、アメリカによる金融制裁の解除だろうが、これに対してアメリカは、当然、偽札や、偽タバコ問題など、国家による不正行為の取り止めを条件にしたはずだが、国家の関与を否定するであろう北朝鮮が、おいそれとこれを飲むはずがなく、そうなると６カ国協議復帰への道のりは意外に遠い感じがする。米朝会議の中でアメリカが日本人の拉致問題を取り上げた形跡はないようで、例え６カ国協議が再開されても、全体会議で拉致問題を俎上に上げるのはかなり難しいのではなかろうか。拉致問題については、安倍内閣の公約同然の課題であり、長引けば長引くほど安倍内閣の首を締め付けてくる可能性がある。

怖い、新型インフルエンザの流行

　今年も新インフルエンザの流行が危惧されている。インドネシアで鳥インフルエンザによる多数の死者が出て、鳥から人へ、さらに人から人へ感染して発生する新型インフルエンザに警戒の目が注がれている。もし、新型が発生し流行することになると我が国でも何十万人の死者が出るとの恐るべき観測を伝えている。過去にも、１９１８年から翌１９年にかけて全世界的に猛威を振るったインフルエンザの一種「スペインかぜ」では、感染者６億人、死者４，０００万～５，０００万人が出た。現在は、遥か遠い外国で発生しても飛行機で人が菌を運びこみ、瞬く間に流行する恐れが出ている。従って、各国は先ずは鳥インフルエンザの予防を怠りなくするとともに、万が一新型インフルエンザが発生した場合、いち早く情報の収集を図り、ＷＨＯ（世界保健機関）などを通じて即座に世界に危険情報を発信することが必要である。それを受けて水際で感染をくいとめるための空港や船舶等のチェックが適切に行われなければならない。大切なのは感染者を特定し、速やかに隔離することである。アメリカは、もし新型インフルエンザが発生した場合、企業、学校などの人が集まる所では、閉鎖か、自宅待機など事前の対策が決められているようだが、我が国では、まだそこまでの防御策は取られていない。新型インフルエンザに備え、予防薬タミフルの備蓄も今のところ万全ではないようだ。政府、行政はできるだけ早く、新型インフルエンザ発生に備えて適切な準備をしなければならない。国民も最低の自衛策として、どの病気でも同じだが、とくに体力の弱い子供、高齢者が一番発病しやすいので、先ずは日頃の手洗い、うがいなどの最低の予防行動を怠りなくしておくことが大切である。

削減される世界のマグロ漁

　マグロ類の最高級魚クロマグロ（本マグロ）の地中海を含む東大西洋での総漁獲枠が現在の年３万２千トンから、２００７年には２万９，５００トンに減らされることが決まった。また、今後４年で２割削減することが合意された。日本人の食べるクロマグロの６割は地中海産であり、０７年からは供給量が減って一層の値上がりが見込まれる。しかし、クロマグロやミナミマグロのような高級マグロは、主に高級料亭や寿司や等で使用されるもので、一般への影響は当面免れるようだ。普段庶民が口にしているのが、スーパーなどで売っているメバチマグロやキハダマグロで、輸入量としては、この２種類が圧倒的に多い。しかし、これらクロマグロ以外のマグロ類も、特に我が国が大量消費することで減少しており、牛海綿脳症（ＢＳＥ）や鳥インフルエンザの発生をきっかけに、欧州やアジアでマグロ消費が伸びていることも資源減少に拍車をかけている。その点マグロ全体の四分の一を消費している我が国は、マグロの資源保護に大きな責任を帯びている。今後、どのような形でスーパーや魚屋のマグロの値段が上がってくるのか分からないが、消費者もこのような世界のマグロ事情を念頭におき、感謝の気持ちを持ってマグロの刺身を食したいものだ。

井川（阪神）はヤンキースへ、楽しみな松坂との対戦

　ポスティングシステムにかけられていた井川慶（阪神タイガース）投手について、ニューヨーク・ヤンキースが2600万ドル（約30億円）で独占交渉権を獲得した。ニューヨーク・タイムズ紙（電子版）によると井川の年俸は、400～450万ドル（約4億6300万～5億2000万円）の4年契約を手にするだろうと予想した。ヤンキースは松坂獲得に用意していた資金を、そのまま井川に振り向けたようだ。また、起用法については、台湾人右腕の王建民、マイク・ムシーナに次ぐ先発投手として、先発3、4番手に起用するだろうと独自の見解を示した。２年越しに大リーグ移籍の希望が適った井川にとって、日本屈指の人気球団阪神から、大リーグきっての人気球団ヤンキースに入団できれば最高だろう。また、待遇も悪くはないのではないか。阪神球団も予想外の売りものになったと思う。井川も阪神も、海を挟んで松坂効果にあずかった感じだ。来季は、打の松井秀喜と投の井川で、宿敵レッドソックス松坂との対戦が楽しみになる。しかし、ちょっと悪いとブーイングがうるさいニューヨークである。井川もコントロールを身につけるなど、そうとう練習を積まないと期待どおりの活躍ができない恐れがある。右腕松坂、左腕井川とも是非頑張って欲しい。

中東全体で、平和の機会を生かせ

　イラクでは、宗派の激突により、連日多数の民間人犠牲者が続出、真に内戦状態の感がある。この状況について、アメリカもイラクのマリキ政権も手をこまねくだけのようだ。このような中で、イラクのタラバニ大統領がシーハ派に影響力を持つイランのアフマディネジャド大統領と会談した。一方、スンニ派のシリアもレバノンとの軋轢がある中で、仲介をとろうとする姿勢を見せている。アメリカもブッシュ大統領が中間選挙で破れ、影響力を失いつつある中で、イラク情勢の沈静化を図り、米軍撤退の目途をつけるためには、敵対国イラン、シリアの手を借りる必要性を否定できず、現在、そのための模索をしているようだ。しかし、イランは核設備の容認、シリアはゴラン高原からのイスラエル軍撤退等、アメリカにとっては、かなりハードルの高い要求をつきつけてくる可能性があり、そう簡単にことが運びそうもない。
　しかし、レバノンでは、親、反シリア派の対立は続いているが、パレスティナでは停戦協定が成立し、ガザ地区からイスラエル兵の撤退が行われ、ヨルダン川西岸でイスラエル軍の駐留は残っているものの、パレスティナの強行派ハマスとの対立緩和の機運も生まれつつあり、和平の望みが持てる方向に進んでいるようだ。
　アメリカが、中東における一国主義の影響力を失いつつある中で、イラク、イラン、パレスティナ等がこの機会を生かして、中東全体が和平の方向に進めば、この地域で失われた多くの犠牲者も慰められる。

先を見て、信念貫いた平沼赳夫氏

　郵政民営化に反対して自民党を追われた議員１２名が、復党を申し入れたことについて、自民党中川秀直幹事長が「郵政民営化を含む政権公約の実現にまい進する」ことや「反党行為への遺憾の意」及び違反した場合には「自らを処す」などを明記した誓約書の提出を条件に復党を認めることとする、いわゆる踏み絵の要求に対し、平沼赳夫氏以外の１１名はこれを承服して、どうやら復党が認められそうだ。しかし、平沼氏のみこれを拒否、中川幹事長は平沼氏について、「復党条件を満たしていない」として見送る方針を示した。この問題についての世論は復党を認めることに対し、厳しく批判している。復党を認める側の自民党にとっては、政党助成金交付金の期限、来季の参議院戦等で復党を認めたいし、復党したい側は、無所属の孤立感、自民党のバックが欲しいこと、政治資金交付等でどうしても戻りたいのだろう。しかし、復党問題については、余りにも、先の選挙後間がなく、拙速のそしりは免れない。一歩譲って復党の是非を考えた場合、復党を認める側の中川幹事長のいわゆる踏み絵は、自民党側としては絶対不可欠な最低限の条件であり党側の信念といえる。一方、復党をしたい側で、平沼氏の踏み絵は絶対踏めないとする心情は、国会議員としてこれも不可欠な信念である。つまり中川幹事長も、平沼氏もどうしても譲れない信念のぶつかり合いであり、平沼氏の復党見送りは当然である。平沼氏は政治家としての信念を貫くことによって、この先を睨み、自らの影響力を保持することを考えたのだろう。それに比べて、他の１１人の政治家はどんな気持ちなのだろうか。自民党へ帰れてほっとしているのだろうか。しかし、自らの信念を曲げ、多くの選挙民を裏切り、党内外でも侮蔑の目で見られて、これからの政治活動が胸を張ってできるのだろうか。少なくても、今後、党内外で影響力が薄れることは間違いない。とは言っても社会常識の通らない永田町のことだから、こんな書生じみたことは意味がないか。しかし、曲がりなりにも、今回の問題で平沼氏が政治家として、人間として信用力を高めたことは間違いないと思う。

朝青龍が５回目の全勝優勝

　大相撲九州場所（福岡国際センター）千秋楽は、昨日１４日目に３場所連続、１９回目の優勝を決めている横綱朝青龍が、大関千代大海を寄り切り、通算５回目となる全勝優勝で締めくくった。 三賞は、平幕で終盤まで優勝争いを演じた前頭豊真将が敢闘賞と技能賞を、前頭琴奨菊が技能賞を手にした。殊勲賞は該当者がなかった。また、関脇雅山は大関魁皇を、小結稀勢の里は前頭垣添に勝ち、今年６場所すべて勝ちこして、それぞれ関脇と小結の地位を守った。 なお、関脇琴光喜も既に６場所連続で勝ち越しを決めていた。
　今場所も横綱朝青龍の強さだけが目立った場所だった。１９回目の優勝は、優勝回数４位の貴乃花の２２回に迫るもので、来年中には追越すかも知れない。全勝優勝５回は、貴乃花の４回を抜き歴代４位、いよいよ大横綱の名を与えてもよいほどになっている。大関陣は、白鵬が休場して４人だったが、角番の魁皇が福岡フアンの大声援を受けて、早々と角番を脱出したが後半崩れ、他の３力士も朝青龍を脅かすことができなかった。来年も朝青龍時代が続くのか、白鵬、琴欧洲の外国人大関が飛躍するのか、今場所、久しぶりに日本人力士豊真将が活躍したが、大器稀勢の里が大関を狙える位置に進むことができるのか、豊真将が伸びるのか、幕内、十両の新顔からヒーローが現れるのか、また、来場所以降に期待したい。

Ｇ大阪奇跡の勝利、浦和と直接対決へ

　サッカーＪ１３３節が行われ、勝てば優勝が決まる浦和レッズは、味の素スタジアムでＦＣ東京と対戦、結局０－０と引き分け、２位Ｇ大阪が勝ったため、今日の優勝は持ち越しとなった。一方この試合、勝つしか望みがつながらないガンバ大阪は、万博記念競技場で、これも負ければＪ２降格が決まってしまう京都パープルサンガと対戦、２－２と引き分け寸前まで試合が運んだがロスタイム残り１分、マグノ　アウベスが今日ハットトリックになるゴールを決め３－２で勝ち、１２月２日に埼玉スタジアム２００２で行われる浦和との直接対決に最後の望みをつないだ。しかし、直接対決でＧ大阪が勝つ場合でも、両チームの得失点の差が５点もあるので浦和レッズの優位は動きそうもない。負けた京都パープルサンガはＪ２降格が決まった。静岡スタジアム・エコバで行われた静岡ダービーのジュビロ磐田ＶＳ清水エスパレスは１－０で磐田が勝ち、磐田４位、清水５位と順位が逆転した。

ロシア・スパイ暗殺の疑惑

　ロシア連邦保安局（ＦＳＢ）の元幹部が、亡命先のロンドンで死亡した事件が世界を震撼とさせている。元幹部、アレクサンドル・リトビネンコ氏（４３歳）の尿から毒性の高い放射性物質ポロニウム２１０が検出され、英政府高官の一人が「外国人の工作員による暗殺とみられる」と語ったと伝えられた。これ以前、チェチェンの警察部隊による人権侵害を厳しく追及していたロシア紙評論員の女性記者アンナ・ポリトフスカヤさん（４８歳）が、先月７日、モスクワの自宅アパートのエレベーター内で射殺された。この事件について、ロンドン亡命中のリトビネンコ氏が、チェチェンの現職首相カドイロフ氏の関与を疑い情報入手を図っていたと見られている。カドイロフ首相の背景には、ロシア・プーチン大統領がいるという見方があり、一連の殺害事件の背景にロシアの関与があったとすると、民主国家になったはずのロシアに依然として、過去の暗い影が残っていると思われても仕方がない。
　事件の現場になった英国では、政府が２４日、緊急治安会議を開き、国民への影響やロシアとの外交関係を中心に協議。また、駐英ロシア大使に対し、捜査に必要な情報を提供するようロシア政府の協力を要請した。死亡したリトビネンコ氏から、死ぬ間際に口述で非難されたプーチン大統領は、事件への関与を否定しながら捜査には協力する用意があるとしている。しかし、今後の対応次第では深刻な外交問題に発展する可能性もある。

Ｊ１、浦和の優勝濃厚、厳しい入れ替え戦

　サッカーＪ１も大詰めに近づき、どうやら浦和レッズの１シーズン初制覇が見えてきた。明日２６日の３３節に、勝ち点６８の浦和が勝つか、勝ち点６３のガンバ大阪が引き分けか、負けると、その時点で浦和レッズの優勝が決まる。もし、浦和がＦＣ東京に負けて、Ｇ大阪が京都サンガに勝つと、１２月２日、埼玉スタジアム２００２で行われる最終戦の直接対決で、Ｇ大阪が勝った場合のみ逆転優勝になるがその確立は低い感じだ。当日の埼玉スタジアム２００２は赤一色の大フィーバーが予想される。
　もう１つの注目は１部、２部の入れ替えだが、１部最下位の京都パープルサンガは降格が決定的だが、セレッソ大阪とアビスパ福岡は入れ替え戦へ向けた争いが厳しい。２部は横浜ＦＣが勝ち点８７、ヴィッセル神戸が８５点、柏レイソルが８５点と、どこが１部昇格し、或いは入れ替え戦に回るのか、こちらも接戦である。