14日、イタリア南部のプーリア州で開かれたG7サミットの首脳宣言を採択され、制裁で凍結したロシアの国有資産から得られる収益を活用し、およそ500億ドル(7兆8000億円)を新たなウクライナ支援にあてると明記した。
その上で「ウクライナへの揺るぎのない支援は必要とされるかぎり続く」と強調した。
一方、中国について、「ロシアへの支援に深い懸念を表明する」とし、ロシアの軍需産業を支援する中国を含めた第三国の団体に対策を講じるとともに、いわゆるロシアの「制裁逃れ」に関与する者に対して「深刻な代償を支払わせる」ことを合意した。
さらに、中国のEV(電気自動車)などの過剰生産に懸念を示しG’として連携して対処するとした。
また、インド太平洋地域の情勢をめぐり、中国による南シナ海や東シナ海での海洋進出に対する「深刻な懸念」を示し、武力や威圧による一方的な現状変更の試みへの強い反対を示した。
このように、今回のG’サミットはロシアの軍事侵攻が長期化して支援疲れが指摘される中でも、ウクライナ支援の継続で結束を確認するとともに、ロシアを支援しないよう、中国をけん制する形となった。
中東情勢をめぐっては、アメリカのバイデン大統領が公表した、ガザ地区での6週間の停戦と人質解放を含む3段階からなる提案に対して、全面的に支持すると表明した。
一方、南部ラファでの地上作戦に深い懸念を示し、イスラエルに対して市民に深刻な結果をもたらすような攻撃を控えるよう求めている。
北朝鮮については、ICBM=大陸間弾道ミサイルや弾道ミサイル技術を利用した衛星打ち上げ用ロケットの発射など、複数の国連安保理決議を無視した弾道ミサイル開発を続けていることを強く非難し、拉致問題の速やかな解決も求めている。
そして、北朝鮮とロシアが軍事的な協力を進めていることを最も強い言葉で非難するとしている。
このほか、焦点の1つだった生成AIをめぐっては、共通のルール作りを目指す枠組みとなる「広島AIプロセス」をさらに進め、安全性に配慮したAI開発を認定する仕組みの創設に取り組むことも盛り込まれた
G7におけるウクライナ全面支援の再確認をよそにロシアは初めて休戦提案を打ち出した。
その内容は、ウクライナがロシアとの攻防を続けている東部4州を明け渡すことが前提になっている。
この提案は、ウクライナとは真逆のもので、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの休戦はロシア軍が侵攻している自国の東部4州から撤退することが前提になっている。
今回のG7で、ロシアに軍事支援をしていそうな中国、北朝鮮に対し追加制裁をする動きに対し、プーチン大統領は焦りの色を見せている感じだ。「関連:2023年5月21日」