昨日の参議院本会議で、安倍晋三内閣が遮二無二に進めてきたいわゆる働き方改革法、TPP関連法が可決成立した。
働き方改革法の中味は、同一労働同一賃金、残業時間の制限、高度プロフェッショナル制度になっているが、それぞれに問題点を抱えている。
同一労働同一賃金は、言ってしまえば1つの原則論で、これを1つ1つの業務ごとに、厳密に適用させていくことは至難の業だ。
従って、現在は、正規、非正規で同一業務をやっていても、極端に差別されているものが、同一労働と明確に判断されるものについて、調整される程度になるだけだろう。
正規、非正規を身分的に区別されている実態を変えなければ、根本的な問題解決にはならないだろう。
残業時間の制限については、特別な事情によっては、月100時間、年間720時間の上限が認められ、過労死の労災認定時間に近くなっており、経営者が、これを巧みに適用させる恐れがある。
与野党で最も意見が対立したのが、高度プロフェッショナル制度で、金融ディーラーやコンサルタントなどの専門職に対象を限るが、将来、適用業務が拡大する可能性は充分あ残されている。
この精度は、残業代は支給せず、成果で賃金を決める。年間収入1075万円以上に適用されるが、これを選ぶのは個人の自由で、途中解約もできる。とは言え、これも、経営者との力関係により、強要される可能性は否定できない。
健康確保措置として「4週間で4日以上、年104日以上」の休日確保を義務付けるが、本人、企業ともこれを守るのは大変だろう。
確かに、今回の労働法制改変は、これまで培ってきた伝統的な制度がかなり変更されることになる。これに対して、野党の中で、国民民主党が、国会終盤で抵抗の手を緩めたが、まさか、連合の中の経営者寄りの組織の圧力が掛かったのではなかろうか。