通常国会は、先週の代表質問を経て、昨日から衆議院予算委員会で一答一問の質疑が行われている。
今国会の主要議題は、反撃能力保有、防衛費の増額と予算処置、岸田文雄首相が掲げる次元の異なる少子化対策、原子力発電施設の60年への延長と新施設建設の制限撤廃問題だ。
防衛費増額、少子化対策はいずれも多額の予算処置が必要になる問題だが、つき詰めると、余剰経費の援用、経費節減、増税、国債発行の4つの手段を用いることに尽きる。
これらについては、与党内でも考え方に異なった意見があり、取り分け野党ともなると予算処置の前に政策そのものの是非について大きな相違がある。
さて、岸田首相は、少子化対策について、当初「異次元」という冠を被せたが、国会開催前に「次元の異なる」と言い換えた。
「異次元」と「次元の異なる」とはどう違うのかは良く分からないが、岸田氏は「異次元」はやや言い過ぎたので「次元の異なる」と表現を変えた節がある。それだけ少子化対策については確固たる自信が持てなかったのだろう。
その証拠に、岸田首相の国会答弁は、少子化対策として児童手当の増額、保育施設の拡充、女性の働き方改革を上げた。
この程度で「次元の異なる」少子化対策と言えるのかといえばNOというしかない。極当たり前のレベルだ。
しかも児童手当の増額については、民主党政権で全世帯を対象にしたのに、自民・公明政権では所得制限をした。
これに対し、自民党の茂木敏充幹事長が過去の発言を撤回し、全世帯対象にしたいという意見に対し、岸田氏は同意していない。
また、岸田氏は、子育て休業期間に「リスキニング」ができると言ったが、後に「可能性がある」と表現を変えた。
岸田首相がこの程度の少子化対策を「次元の異なる」と大上段に構えたセンスから想定するのは、岸田氏の物事に向かう言葉、態度の軽さだ。
防衛、原発問題等も、その感覚で進めているとしたのなら、日本の先行きに取って大きなリスクを抱えることになる。
岸田内閣に対する支持率の低さは、既に国民はこのような岸田氏の資質を見計らっているのかも知れない。「関連:1月24日」