アメリカの中間選挙でオバマ大統領を擁する民主党が敗北、アメリカは上下両院とも共和党が多数を占めた。オバマ氏の任期はあと2年、既にレームダックに陥ったと言う話もあるが、どうしてどうしてオバマ大統領はここへきて旧敵キューバとの和解に歩を進め、曲がりなりにも1年前に融和の方向へ進んだイランと合わせ、外交的に懸案問題の解決に向かった大統領として歴史に残る仕事をした。
また、内政においてもアメリカの景気は好転し、失業率も低下、連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が何時、金融緩和の出口を見出すか、来年早々の課題になりそうだ。
そのオバマ大統領が手こずっているシリア情勢は依然として混沌としている。そこから生まれたと見る過激派組織イスラム国は、アメリカを中心にした有志連合の空爆などでやや勢力が衰えているとは言え、まだまだ侮れない存在になっている。
ウクライナ情勢もロシアによるクリミア半島編入後、東部のドネツクやルガンスクなどで一発触発状態があったが、最近は沈静化しているようだ。ここへきてロシアが、逆オイルショック問題などがあって通貨ルーブルが大幅に下落、プーチン大統領もその修復に大わらわで、ウクライナどころではなくなっている。
中国は習近平国家主席が国家にはびこる汚職追及にかこつけ周永康前政治局常務委員(71)が事情聴取を受けるなど反習グループを摘発、汚職撲滅と合わせ権力闘争の様相も見せている。経済も来年はGDPが7%前後に落ちるとの予測もあり、3年目を迎える習近平氏に試練が待ち受けている。
欧州経済は、ギリシャがまた怪しくなってくるなど、圏内全体が依然として低迷を脱し切れない。欧州や中国経済の停滞を受けて世界の原油価格が大幅に低下している。
日本は、師走の衆議院議員選挙で自民党が大勝、自公で解散前と同様の三分の二を占めた。選挙の争点としたアベノミクスは金融緩和政策だけが突出しているが、その結果は円安、株高に現れ特に大企業、輸出産業に大幅な利益をもたらし、個人も大株主などが儲けを手中にしている。その結果は、以前にも増して大企業、中小企業などの起業間、株所有者、正社員、非正社員間など個人間の格差が広がっている。
今年は4月に消費税が8%に増税、その影響で予想以上に景気が低迷状態に入っている。GDPも伸び悩み、この分でいくと今年度も前年比が16年連続マイナスになりそうだ。
安倍晋三首相は、今回の選挙はアベノミクスの評価を受ける選挙だと言ったが、国民はむしろ自民党よりましな政党が無いといった観点から自民党を勝たせた感じで、アベノミクスの評価以前の問題になっている。
そりよりも、安倍首相は選挙で大勝したことで、集団的自衛権行使など安全保障政策をさらに前のめりに進めていくことになりそうだ。また、憲法第9条改正など彼が夢見る戦後レジュームからの脱却が正夢になりそうな状態になってきた。
一方、安倍首相は、地球を俯瞰する外交だと言って、APEC首脳会議が行われた中国を最後に、50か国を歴訪した。しかし、外交の特徴もあってその成果は明確ではない。中国では、習近平国家主席と30分ほど会談をしたが、まだ本格的とは言えず、韓国と合わせ日中韓の協調関係が修復するまでの道は開けていない。
また、北朝鮮は、拉致被害者の捜索について、両国の実務者協議で今年中に報告すると約束したが、その約束は果たされないまま年を越す。
今回の選挙はまたも1党他弱の結果に終わったが、他弱の中で筆頭の民主党が、海江田万里代表の選挙落選に伴う辞任で、1月半ばに代表選挙が行われる。細野豪志元幹事長、岡田克也元代表、長妻昭元厚労相が立候補した。民主党の再浮上は可能か、この代表選挙できっかけがつかめるか興味を持とう。「関連:2013年12月31日」