鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

PRISM

2016-11-28 00:12:18 | フリーゲーム(ホラー)
PRISM」 ADV・生死のはざま
制作者:PS8様(Twitter

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ええー?制作者さん「Acid Eyeballs」の人なんだ?
これはまた…ずいぶんと作風の違う…

とはいえ、今回も面白いゲームでした。
ホラーADVっぽい設定とともに、独特の雰囲気が実に美味な一品です。
今作は、全ての背景が木炭による手描きだそうで…
とても味がある、というか、芸術的な仕上がり。
音楽も昔の洋画でかかるようなピアノやバイオリンで、グラフィックにぴったりでした。

NHKとかでやる海外のクレイアニメや、手描きアニメを見てるみたい。
こういうのも面白いね~

シナリオは、低体温で生死の間際にいる少女が見る、
はざまの世界の冒険譚、です。
再び生きて現世に帰るために「聖女」を追い、
少女…ミチルは、深い深い地の底…アンダーグラウンドへ…

印象的だったのは、終盤の、
エレベーターに息を吹きかけると扉が開く、と言われたミチルが
それだけでいいの?と問うときの会話。
交わされるのは、ごくごく短い言葉なのですが、
心臓の動くリズミカルな音楽とともに、希望を感じる、
とても素敵なシーンでした。

若干の避け要素はありますが、
マップが親切なつくりになっているので、難易度は低め。
DLサイトのレビューでは、敵が蜘蛛型っていうの、注意してましたね。
木炭で粗く描かれた感じは、確かにちょっとリアルに見えるかな?

とはいえ、サックリ終われて後味のいい短編ですので、
蜘蛛がそれほど苦手じゃない人は、ぜひプレイしてみてくださいね~




それにしても、初作でなんとなく目を引いた制作者さんが、
良い感じに進化してくれると、何かうれしくなっちゃいますね~
いや、べつになんの関係もないんだけども。

暗闇の中でリンクする

2016-11-27 11:00:30 | フリーゲーム(ホラー)
「暗闇の中でリンクする」  ホラーアニメーションノベル・「届け!信じる心!」
制作者:キサラ様(すたじおくるせいる

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3人の男女が、夏の夜に肝試しに行って体験する、恐怖の一夜の物語です。

いやー、やっと終わった!
真エンド自体は翌日には見られたんですが、
いくつか取りこぼしたエンドがあって…
その後、暇を見て、ちまちまと選択肢を総当たりしていましたが、
リアルの仕事や用事で中断しながらだと、どっか見落としちゃうんですよね。
今回、ルート図をメモして確認しながら進んでいって、
やっとフルコンプリートできました。

ちなみに、最後まで見つけられなかったのは「ジョンソン?」エンド。
そこらへんは何を選んでも同じエンドになる選択肢が多いので、
全選択肢試したつもりで、実は漏れがあったんだな…

主人公の3人は、制作者さんの過去作「爆裂ぱぁふぇくと」の登場人物です。
今作と違って、こちらはコメディタッチの乙女ゲーム。
おそらく「暗闇の中で~」だけをプレイすると、
一部のルートで「!???」って気分になると思うので、
もし抵抗が無ければ「ぱぁふぇくと」とセットでプレイすることをお勧めしますよー

それにしても、グラフィックが凄くきれいになりました…
天美ちゃん表情可愛くなったなぁ。私服もイイ。
アンリはもともと整った顔だったけど…要の顔が、すごくカッコよくなってる。
ところどころ入るスチルもいいし(エクストラで見返したい!)
コメディ部分のコロコロした絵も可愛いし(エクストラで見返したい!)
バッドのグロ風味な絵もイイ!(ぜひともエクストラで見返したい!)
この作者様の定番である、立ち絵の揺れも自然に見えて良かった。

ただ、システムはかなり重め。
立ち上がるのにも、ロードにも、けっこうな「間」がありますね。
途中で入る「リンク中」の画面でも、一瞬処理落ちしたりするため、
余計に周回作業に時間がかかって難しかった、というのはありました。
ただ、いつも書いてますが、うちのマシンはかなりな低スペック。
それなりの性能のパソコンでプレイすれば、気になるほどではないかもしれない?

個性的な3人の面白い掛け合いと、天美ちゃんのオマジナイの行方。
そして、かつて肝試しの森で起きた、シリアスで陰惨な過去の出来事と、
今現在も進行中の、連続殺人事件。
選ぶルートによって、まったく異なるカラーの物語へと
分岐していくさまを、どうぞご堪能ください^^

この作者さん、ホラーっぽい展開も、すごくうまいと思うんだよね…
過去作の「晴れる前の空の色」は、普通に乙女ゲなんですが、
一部、サイコホラーっぽいエンドもあって、それがいい感じに怖かった覚えが。
今回は、コメディ部分は爆笑ものなのに、バッドエンドはどれも容赦なくバッドで、
この落差?温度差?が、メリハリついてて楽しかった~

面白かったです。おすすめですよ~^^





往復ビンタしながら力技でお祓いする図。
このフレーズ、すごい頭に残るんですけど…


シキヨク-夢魅テルは夢見てる-(第2話)

2016-11-25 17:34:45 | フリーゲーム(ゲームマガジン)
シキヨク-夢魅テルは夢見てる-(第2話「女子高生失踪事件」) ホラーADV
制作者:シアン様(ImCyan

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前回より、キャラの解像度?上がってるように思うのは気のせいですかね…
テルくんはよりカッコよく、ルナちゃんはより可愛く!なった気が?

いつもホラーらしい、救いの無いシナリオの多いつぐのひシリーズですが、
今回はちょっと趣向が違います。
ホラーのシリーズもの漫画やドラマなどで、残酷な話の合間にたま~に、
ちょっとハートフルなエピソード回が挟まったりするでしょ?
シキヨク「女子高生失踪事件」は、そんな感じのお話でした。

いや…怖いことは怖いんですけど、怖さの方向がちょっと…
悪霊よりもルナちゃんがコワイ。そしてオモシロイ。
この笑いと恐怖のベストなさじ加減は、さすがの一言。
しかも最後には、純愛・一途・せつない系で〆て、泣かせてくれるし。

ただまぁ…この物語…ただ「ちょっと良い話」というには、
悩んじゃう部分もあるんですよね。
見ようによっては、ある意味「思い込みの強い女ほど恐ろしいものはない」
って話のような気も…しないでもなくて。

…恋愛のために死ねる、命かけられるって、
本人にとっては美化されて綺麗に感じても、
周囲から見ると、すごく極端で怖い思考じゃないかなぁ。
しかも、このシリーズの名前は「シキヨク」。
恋や愛…色欲に狂った人間の異常さも、テーマの一つでございましょ?

いつもの「連打逃げ」は使っていないにもかかわらず…
いや、使っていないからこそ?実に内容の濃い、
やりごたえのあるゲームでした~
面白かったです。

ホラーのシリーズものってワンパターンになりがちな案件だけに、
シキヨクで、作者様が毎回、新しいことに挑戦していく姿勢は、
ホントすごいなと思いますね~

さて、今回のゲストキャラ?は「鈴木礼美」ちゃん。

最初は、不躾に「…何か(幽霊)見えるの?」なんて聞いてくるし、
一緒に帰ったはずなのに、なぜか制服のまま、
学校に閉じ込められていたりするのでアヤしさMAX。
しかし、一緒に行動しているうちに、何か一途で可愛く見えてきます。

一部、恋する乙女特有の思い込み暴走もありますが、
眉をハの字に下げて、ちょっと困った笑顔浮かべられると、
何かいろいろどうでもよくなってくるというか…
うん、可愛いは正義!!

しかし、そんな浮かれたプレイヤーにヒヤっと水を差してくるのが、
随所で差しはさまれてくるセーブ画面。
そこでの彼女の姿は、本筋と対照的に、
どんどんヤバイことになっていくので、ぜひともお見逃しなく!

これは本当にレミちゃん本人なのか?
キヤ子は善霊なのか悪霊なのか?
その目論見はどこにあるのか?

話が進んでも、全貌がなかなか見えてこないため、
終盤まで緊張感を失わずプレイできました。

ちなみに、レミちゃんを同行せずに断固として帰すと、バッドエンド。
キヤ子さんは最初から、選択肢なんか与えるつもりはなく、
何をどうしようとも、物語は、彼女が望む結果しかないのでした。



…テルくんが、あんなにストイックなタイプじゃなかったら…
レミちゃんがタゲられることもなかったんだろうにな~
正直、あそこまで想われてるんなら、
テルくん、振らないで付き合っちゃえよ!ッて… 




…イエ…なんでもないです。



PAREIDOLIA(パレイドリア)

2016-11-25 17:14:27 | フリーゲーム(ホラー)
「PAREIDOLIA(パレイドリア)」 ダークホラーADV・鏡はただ己を映す
制作者:えにらえむ様(ウンダウナバラ

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記憶喪失の主人公が、鏡の中の世界でなぜか殺されそうになりながら、
自分が何者か、何をしたのかを知ろうとするADVです。
バラバラになった、虐待された少女の日記。
その子と主人公のかかわりは何なのか。

ファンタジーっぽいゲームではありますが、シナリオは重いっす。
一応、むかしばなしの形式にしたり、
言葉もはっきりさせずに、ちょいとボカしてはいるんですが、
それでも日記の「少女」に何が起きたかは、
作中の文書で大体わかると思うので…

ゲーム内にもきちんと注意書きされてます。
地雷がありそうな人は、しっかり読んでおくことをおすすめ。

パレイドリア、とか、アパシーとか…心理系用語?入ってる?
ジョリーとかメランコリーは感情を表してるっぽいですかねぇ。
タァチーだけわかんないな。怒り…?
っていうより、もっと陰にこもってモゴモゴした不平不満みたいなの。
もしかしたらキャラ名も、何か由来があるのかも…って、
サラっと検索してみたけれど、特にひっかからなかった。残念。

いやぁ、何があっても迷わない、不動のロチカがかっこよかったっす~
こういう、ブレないキャラが一人いると、実に心強いわ。
ピトロヴェルも憎めない性格で好きではありますが、
正直、彼はなんのためにいるのかよくわかんないキャラなのね。
(つまりは、それ自体が彼のその後の行動理由に繋がるのだろうけど)
そして、消えたクインシー…何気に重要人物でした。

エンドは3つ。きちんと探索してさえいれば、
トゥルーに行きつくのは、そう難しくはない…はず。
もし行けない場合は、作者さんのサイトにヒントがありますよん。



進行不能バグには当たらなかったけど、
一部のイベントで、ロチカと別行動中にオブジェクトを調べると、
いないはずのロチカが喋る時があるかなぁ。
あと、一部のキャラの顔グラのアス比がちょいと気になる?

君の名は。

2016-11-23 00:05:12 | 映画(アニメ)
「君の名は。」
遅ればせながら見てきましたー。

時間ができたので映画でも…と思ったら、まだ放映してて。
や、ずいぶん前に話題になってたから、もう終わってるのかと思ったよ…
それだけ人気があるってことなんだね…

実は、深海さんの作品って…一つも見ていな…かったり。
なにしろ、この方の作るものは「ほしのこえ」からこっち、
基本テーマが「恋愛」だったでしょ。
ブログを見てくれてる方はおわかりのとおり、
私は恋愛よりも恐怖や殺戮が好みでありますので…
進んで見よう、とは思わなかったのですよね。

だから、氏が数々の作品で打ち出している
「少年と少女が、離れたところから想いをつなげあう」っぽいテーマも、
この作品で初めて触れた形になります。
ちなみに、あらすじとか感想も一切見ないで行ったので、ぶっつけ本番事前知識ゼロ。
…かえってそれが良かったかもしれない。

結論から言えば、面白かったです。
背景も映像も、カメラ回しもキレイで魅せてくれる。
話も、冒頭のコミカル&ありがちな設定から入ったと思うと、
中盤でいきなり意外性のある方向に話が展開し、
そこからさらに、なんとももどかしいすれ違い。

…まさか、あんな壮大なSFロマンスだとは思わなかった…
ああ、でも、確かほしのこえも、基本設定が壮大なSFだったんでしたっけ。
過去作からずっと追ってきた人なら、意外でもなかったのかなぁ。

なんにしろ、思ったのは…深海さんすごいロマンチストだな、と。

ここまで壮大な設定と道具立てで、ひたすら追い求めるのは、
少年と少女が、必死に手を伸ばし合って互いを求める物語。
宇宙も神も天体運行も、彼らを寿ぎ、その想いに彩りを添えるために存在し。
時を超えることも、運命をねじまげることも、悲劇を防ぐことも、
正義感や使命感からのことではなくて…
全ては、ただ一つの出会いのために。

男の人が作ったにしては、珍しいような…
いや、ここまでの純愛は、男の人だからこそ作れるのかな?

とても壮大なラブストーリーでした。
こう言うと忌避しちゃう方もいるかもしれませんが
まあ、ものは試しで、見てみて?


Psychological Diving

2016-11-21 16:39:24 | フリーゲーム(SF)
Psychological Diving」 
制作者:村人A様(RPG作る人のブログ

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自分の体を小さくして、病気の人の体の中に入り込み、
物理的に病気と戦って治す…なんて設定は昔よく見かけましたが、
こちらはそれのココロ版。
精神を病んでしまった人の心に侵入し、
本人も気づいていない過去や手がかりを見つけ出して、
希望と、勇気とを取り戻してもらうお話です。

一応、ファンタジーの体裁で進む話ではあるんですが…
投薬治療とカウンセリング治療の間の壁であるとか、
鬱状態に陥る過程であるとか、
内容は私たちの「今」に通じる部分も多く、
半ばリアルな印象も受けました。

…ついこの間も、いきすぎた労働時間と、上司の叱責で
自殺しちゃった女の子がいたことですし…
いろんな意味で考えさせられるシナリオですね~


主人公は「心癒師」のルクス先生。投薬もするけれど、
主にカウンセリングを用いた治療を行う、心のお医者様です。
ルクス先生は、日々、力を尽くして治療にあたっていましたが、
病も傷も、すべては見えぬ心の中のこと。
患者さんの中には、救えないまま、命を絶ってしまうケースもあり、
心を痛めておりました。
そして、今もまた、その危機にある患者がひとり…

自分の無力に悩むルクス先生の前に、突然現れた深緋色の瞳の女性。
彼女…ユエルは、自分が人の心の中に侵入できる力を持つことを明かし、
この能力を、ルクス先生の治療に役立ててほしいと願います。

追い詰められ、一刻も猶予もない患者…
セリオの心の中に降り立った、ルクス先生とユエル。
果たして、闇に囚われた彼女の心を救うことはできるのでしょうか…



なんとなく、全体に解像度がボケて感じるのは…わざとなのかな?
「心の中」の世界では、それがいい感じの効果になってます。
壁面を覆う本棚と、ばらばらに散らばり乱れる本は、
脳や思考や記憶のイメージとぴったり。
そこにぼんやり灯る光や、隅にわだかまる闇、
一つ謎解きしたあと、部屋が整頓されたり、窓から光がさしたり、
映像や演出面もとてもキレイで、見ていて楽しかった~

そしてシナリオ…
セリオちゃんに起こる物事は、そのまま、現実でもよくある?感じで、
それでどんどん、気持ちが追い込まれていく様子が見ていてつらい…

いやー…こういう上司、実際いるよね! 
表面淡々と聞きながら、心の中で、この糞死ねや!って思うよね!

陰で「死ね!」って言えるタイプなら、
セリオちゃんも心を壊すまではいかなかったのかもしれませんが…
マジメな人と優しい人ほど、自分を責めてしまうお約束です。
でもまあ、セリオちゃんは最終的にはいい感じで報われますので、
安心してプレイしてくださいね!

それにしても…勇者が魔王を倒した、とか、
魔王は倒されたのに、魔物はいなくならない、とか。
何かこう…意味ありげ~に語られる、世界情勢はなんなんですかね。
ユエルも何か、秘密のありそうなニオイのするキャラですし。
心の中に巣食う「絶望」という名の魔物についても、まだ解き明かされません。

…続編来るのかな? いやどうだろう?
いずれにしても、次も楽しみな作者様です~





命より大事なものはない、なんて言いますが…
こういうのって、逃げるタイミングがすごく難しい、と思う。

というか、きっと、頑張ってるうちに、
本人には引き際が見えなくなっちゃうんじゃないかなぁ。

若い人の自殺は衝撃的だから、クローズアップされやすいけど。
妻子のいるお父さんとかが鬱になった場合、
収入がなくなったら、子供の進路将来、全てが不利になるから…
家族のために、限界まで頑張って、
ブツッと切れて自殺する中年男性も、多いっていうよ~


authoring mare

2016-11-18 10:46:26 | フリーゲーム(ファンタジー)
「authoring mare」 謎解き探索ADV
制作者:mkbt様(公式サイト

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その遺跡に行けば、願いをかなえてくれる、という噂につられ、
「ビヨンの教会」に足を踏み入れた少女「ハンス」
けれど、そこには同時に「入ったものは誰も戻ってこない」という噂もあって…?

「人間」と「ガイスト」という二つの種族の、悲劇の歴史を追いながら、
不思議なネコ型?のガイスト、ヘリオとともに、ハンスは奥に進んでいきます。


…と、いうわけで、主人公はハンスとヘリオ。

ハンスが画面に登場したとき「へー…主人公はハンス……えっハンス??」
と思わずグラフィックの胸のあたりをマジマジ見つめてしまいました。
こんな名前で一人称は「僕」ですが女の子です。
最初から、思いつめた感じで、ちょっとメンヘラ感のあるキャラでしたんで、
ヘリオと出会ってからのコミカルなやりとりにはホっとしました。

ハンスを助けに行くもう一つの操作キャラである
アーデルベルトとガーベラのコンビも魅力的。
彼らが主人公の話も見てみたい気がする~
ガーベラ可愛いよガーベラ。
血塗れの部屋の謎解きで、半端なことするとバッドエンドなんですが、
その時のガーベラがとっても切なかったです。

アイリスも、立ち絵のポーズが象徴的でいいですね~
彼女の想う「皇帝」は、彼女の中だけの思い込みで、
実際はどこにも存在しなかったんだろうけど…
彼女の部屋を探索すると、そう信じなければどうにもならなかったのだろう、
っていうのもわかるし、哀しいキャラでした…


謎解きは、易しめ。
もともとそんな難しくないんですが、さらに難易度を変えられたリ、
クリア方法が何パターンかあったりするので、
詰まりづらい雰囲気はありますね。
アーデルベルトの「3つの道具」は、基本どれでも大丈夫ですが、
できるだけ穏便なものをチョイスすると良いかもしれない…

…私、これをハンスと合流してから使うのかと思って、
彼女にかかわりそうなものを色々持っていったんですが…
結局ハンス自身には使えなかったよ!!
可愛くお着換えさせて、その時のヘリオの顔を見たかった~

で、私が唯一詰まったのは、最後のパス扉。

いや「不退転」には気づいてたんだけど…
『戻れなくするってだけなら、横一列歩くだけで十分じゃん!』
…などとという手抜き思考が全ての原因でした。
いいかみんな、脆い床は三列三段全部歩いて壊すんだ。




最後はちょっとネタバレな感想になるので隠しで…


ヘリオとハンスは、ともに「自分以外の誰かが求める自分」に囚われていて、
だからこそ、惹かれ合う部分があったのでしょうかね~。

けれど、ハンスが物語の途中で、
「ヘリオ自身のことが知りたい」と問いかけたとき、
ヘリオは鏡ではなくなったのかもしれません。

最後まで「理想の皇帝」を求め続けたアイリスとは、
対照的だったと思います。

重力ルーペ

2016-11-17 20:24:15 | フリーゲーム(SF)
重力ルーペ」 現代SFRPG・正統派冒険もの・さわやかジュブナイル
制作者:kuro様(RPGツクールMVでアプリリリースを目指す開発室)

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隠しきれない今更感はありますが、重力ルーペです。

多分、MVのプロモーションとして作られた…のかな?
シナリオもシステムも、完成度高くてプロっぽい。

このテの、綺麗なジュブナイルだと、主人公は小学生とか中学生くらいが多いんですが、
あえて高校生を持ってきたのは良いですね~
小学生や中学生を、子供だけで夜の天体観測(お泊り&男女混合)に出す親はいないわな。
ゲームの内容も…なんていうの? 
いきなり普通の高校生が死闘に巻き込まれるとかいう陰惨さはなくて、
日常からちょっと踏み込んだ冒険っぽい…無理がない範囲に仕上がってます。
敵もみなどこかコミカルで、子供たちが何をしても、本気で殺したりはしない感じ。

こういう目に見えない常識感が、プレイしていて非常に心温まる…
作り手さんは、マトモな現実感覚あるんだなって感じます。
フリーゲームといえば、ホラージャンルが全盛で、
作品数が増えるにつれ、設定も過激なものが増える中、
このゲームや「ラハ」みたいな、明るいところしかない作品が
出てきてくれるの、嬉しいですね。

…まあ…優しさや感動は、どうしても恐怖や哀しさより印象薄い感情なので、
それで心に残るインパクトをつけるのは大変だと思いますけど…
思えばMVの素材って、みんなパキっと明るい、クリアな色調なので、
(というか、私が今までプレイしたMVのゲームがそんな感じだったので)
こういう正統派なゲームに似合うのかもしれないな~

さてさて、重力ルーペ。
MVだとこんなこともできるよ~という説明っぽい作りを踏まえたうえで、
これだけのシナリオ組めるのもすごいですね。

舞台はE島。
400年に一度の「オウル流星群」を観測するため、
多くの観光客が集まったその島で、翌日からはじまった謎の「特殊日食」。
そして同時に多発した、機械の暴走や動物たちの狂暴化現象。
流星群目当ててで、泊りがけでやってきた高校生3人組は、
スマートフォンとアプリを武器に、その謎に迫ります。

私の世代では、まず、宇宙ネタが懐かしいのね~
スケールの大きなSF設定を、E島という小さな舞台にギュっと押し込め、
そこにさらに、宇宙や地下洞窟などまだ知らない場所や世界に向ける冒険心、
黒服の人や、謎に対して抱く好奇心。
新しい機械(スマフォ)を使うときの、こんな機能がある!こんなことできる!探求心。
などなど…
とても身近で…凄く男の子っぽい「わくわく」がテンコ盛りにされた作品だと感じました。

一般に男性向けっていうとさ…本でも漫画でも、
エンドレスで死闘を繰り広げてるか、思春期以降対象品はちょい工口混じり、
それ以前の子供向けはシモネタ入り、あるいはアホギャグって感じが多いじゃない?
だから余計に、大げさ過ぎない話運びが、なんか新鮮だったわ。

ラストダンジョンで、それまで回った全部の場所を回るのがイイ。
音楽も爽やかで、凄く良かった。
ラストバトルと言いながら、戦う相手も周囲の人たちも、
皆、主人公と対立はしていないという…
こんな構図で、物語が閉まるとは思いもよりませんでした。
いいエンディングでしたよ~


昔、少年だったことのある、男の人たちにおすすめです。
女の子も、少年漫画好きな子なら、楽しめるんじゃないでしょか。


名前のない夜

2016-11-14 11:52:06 | フリーゲーム(ホラー)
名前のない夜」 探索ホラーADV・知るほどに惨い
制作者:布目様(布は布屋

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姉から頼まれた本を受け取りに、お使いに出たシャルル。
帰りに雨にあい、本を濡らさないために雨宿りの場所を探していると、
道で出会った女性から、森の奥の館へ行くことを勧められます。
ついでに頼まれたのは、女性が忘れてきた「赤い鍵のかかった本」を探してくること…
館で出会った、記憶喪失の少女とともに、シャルルは謎の館を探索していきます。

届きそうで届かない。間に合いそうで間に合わない。
何回もプレイして真実を知り、どうにかできないかと活路を探し、
もうこれ以上は道はない、とわかった時…

絶望するのはシャルルでも少女でもなく、プレイヤーであるあなたなのです。


…なんてな!
いやー、制作者様が完全攻略出しておいてくれてよかったよ~
そうでなければ、マッチを使わずにすむルートはないか、
インクを零す前に手に入れられるルートはないか、
悪魔と接触できるルートはないか、きっと必死に探したと思う。

絵もキレイだし、ところどころに入るスチルもいい。
「名前のない夜」を絡めた演出もキレイ。

本がいっぱい出てくるので、文章量は多め。
モノによっては、ちょっと内容が飛んでるように感じる部分もあるけれど、
(子供狩りの本は、途中から繋がりなく彼の話になるのが非常に違和感)
しっかり全部読むことで「あれって、もしかしてこのこと?」と
プレイヤーが自分で真実を組み立てていける感じが気持ちいい。
一見関係なさそうに見える物語も、一部のエンドを見たときゾっとしたりする~

エンディングは全部で6つ。
そのすべてを見て、作中にある本を全て読んで、
やっと全貌が明らかになるので、しっかり全エンド見ることをおすすめしますよ。

エンド0を見ると、少女の日記がメニューから読めるようになり、
こんな感じかなーと想像していた全てのエンドの理由が、
はっきりと腑に落ちるようになります。
エンド0のサブタイトルは、諦め…
その諦めは、少女のものか、それともシャルルのものか。
いろんな意味で心に来ます。



以降は、ちょっと考え込みそうな部分のヒント。

ギロチンの謎解きは、処刑にギロチンを使いだした年代と、
どんな罪の時に死刑になるかを考えると、該当者は一人しかいない。
目を覚ました時の部屋をしっかり探索!

「首を切り落として並べて晒せ」は隣の日記のアタマ一文字を…
(私はここにピンとこなくて、なかなかエンド3が見られなかったっす)






プレイしたあと、改めて思うのは、
途中で出てくる悪魔、いまいち謎が多いなって…
最後の日記にチラっと存在だけは匂わせてますが、
あそこで出てきた意味はいったい…
そしてあの姿は、「脚の無い娘」との関係とか、あるんでしょうか?
シャルルがラリってる時に話せる亡霊が、
鍵の魔法は悪魔がかけたって言ってたのも気になりますね…

あと、やけに意味ありげだったピアノの部屋は…
事情を考えれば、音楽好きな悪魔が拾い集めて修理したってことなんだろうけど。
見方を変えれば、名前の無い魔女が、
最終的にやりたかったことへの暗喩のようにも思えます。

悪魔はこの物語の中で、どんな立ち位置&役割だったんでしょう…


後日追記:悪魔についての説明が、制作者サイト様に追加されました!
     なるほど…あの子の味方だから、冷たくすると襲われるのね~
     エンド0と1の後は、遺された短い時間を二人一緒に過ごすのかなぁ…
     シャルルと少女の仄かな出会い、みたいな話だと思っていたけれど、
     悪魔視点だと、また違うせつない物語ができそうな気もするね?


遅刻の黙示録

2016-11-12 14:08:58 | フリーゲーム(その他)
「遅刻の黙示録」 脱出ADV・BL風味
制作者:大佐様(niente)

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時間にルーズで待ち合わせは遅刻ばかりのセリョ。
とうとうある日、友人のハリトンに
「遅刻したら殺す」と言われる事態に。
慌てて準備して玄関に向かうも…鍵が開かない!
なんとか急いで鍵を見つけて、家を出ましょう。

それほど難易度は高くなく、
あっさり楽しめるゲームですー。
最後はちょっぴりBL風味なので、
苦手な方は注意して~

しかし心に残るのは、主人公格二名より、むしろ妹…
写真ではあんなに可愛いんですけどねぇ…
上は色々アレだし、下は趣味がコレだし。
女に夢を見られない環境ですな。
正直セリョが男に走るのも、仕方がないのかもしれない…

ちなみに妹の部屋のパスのヒントは「米の国」

最初、あのヒントは妹のぱんつの柄かなんかかと思って、
「あっ、洗濯物先に片づけたらダメだった?」と、
よくわからない焦り方をしてしまいました。

妹の洗濯物をより分けて柄を数える兄とかありえない…
フフ、私の発想が最低だったわ…


サックリ終われて、後味も悪くないのでオススメです。