鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

イノセンス(攻殻機動隊)

2005-04-30 19:02:01 | 映画(アニメ)

「イノセンス」 2004年
原作:士郎正宗
監督:押井 守
声優:大塚明夫、田中敦子、山寺宏一、大木民夫

***

巷で話題になった「攻殻機動隊」に出てくるバトーを主人公にした物語です。
私はバトーがお気に入りなので素直に嬉しかったのですが、見終わった後の感想は…
「人形の顔が怖すぎ」ということ。
これがセクサロイドだというのは納得いかないぞ(汗)
一体どこの物好きが使うというのですか(汗)

ストーリーそのものは、原作にもあったエピソードを流用しておりましたので、
仕掛けは早くから見えていました。
それにしても、原作ではきゃらきゃらの美少女だった「トムリアンデ」が、
どこであんな怖い顔の「ハダリ」に変わってしまったのかなぁ(←まだ言うか)

しかし、いつも思うのですが、攻殻機動隊を初めとするこのシリーズは、
本当に初心者には優しくない(汗)
原作本を隅々、注釈まで読み込み、しっかり世界観がわかっている人なら、
なんとかついていけるかもしれませんが、テレビで「これは凄いですよ」と聞いて、
どれどれと見に行くひとには、あまり判らなかったんじゃないかな?

セリフが難しい、というのも、理解を阻む要因の一つですね。
普段使わないような難しい単語と理論がセリフの中で出まくるのは、
頭の中で漢字変換が追いつかない…。
万人向けでは決してないです。わかる人にはわかる、って感じかな。

私個人は、OVAでも深夜枠のドラマでもなく、映画として一般に公開するのなら、
それなりに判るものを提供するのがスジかと思います。
どんな映画も、そこから何かを「感じる」人とそうでない人、という区分けはできてしまいますが、
ここまで明瞭に理解できる人とできない人が分かれる物語は…。
わかる人間には優越感を、わからない人間には嫉妬や不満感を呼ぶんじゃないかと。
ある意味、押井さんの作品は、そこがウリでもあるんでしょうがー。


ただ、じゃあ噛み砕いてあればいいのか? と言われると…それも難しいー。

科学をつきつめれば、それは宗教にもつながり、また精神論にもなり、哲学にもなり。
理論の上に理論を重ね、仮定の上に仮定を重ねることで築いた、幻の城。
それはとても美しいけれど、目を凝らせば凝らすほどぼやけ、掴もうとすれば消えてしまう。
数学で定義する真円や正方形が現実には存在せぬように、それは理論の中にしか存在しない。

攻殻機動隊の世界観について思うとき、どうしても私にはそんな風にしかとらえられないのです。
わかりづらいですね。すいません(汗)


さて、話変わって、いつもこのシリーズを見て思うのは、義体、という考え方はスゴイな、と。
完全に人間をサイボーグ化しようと思ったとき、一番扱いに困るのが「魂」「心」「精神」といったものじゃないかと思うのですが、このシリーズでは、それを丸ごと「ゴースト」という名の「部品」の一つとしてすぱっと定義してしまっている。
脳がどうこうって世界じゃないのですよね(汗)

ちなみに、先日見た「アップルシード」のほうが、物語としては数段わかりやすかったです。
それなら、攻殻はよくわからないからダメって人でも、楽しめると思いますよー。

でも、士郎正宗さん…私が学生のころからずっと描いてらした方なのですが、
最近の大フィーバーぶりはどうしたことか…
ネットが広く浸透したことで、やっと彼の作品が、多くのひとに理解される基盤ができた、ということなのでしょうか…

イノセンス オフィシャルサイト
アップルシード オフィシャルサイト
攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG

キル・ビル2をやっと見た…

2005-04-28 17:08:29 | 映画(洋画)

「キル・ビル vol1」
「キル・ビル vol2」
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:1=ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、栗山千明
   2=ユマ・サーマン、デビット・キャラダイン、ダリル・ハンナ

****

ずっと以前の日記に、キルビルを見た!と書いた覚えがありました。以下、そこから抜粋。
以前読んだひとはスルー。

==

…思わず見ながら笑ってしまうところがテンコ盛りなのですが、
その後で…笑っちゃっていいんでしょうか? という気持ちにもさせる不思議な映画でした。
粗筋はね、かなり重くて残酷なテーマなのです。
ただ、全体の印象は「あくまで軽く」「お遊びで」という感じ。

アクションゲームのノリを感じる戦闘シーン、途中でアメリカンコミック系のアニメーションを取り入れた経過説明。血飛沫も殺しのシーンもすごく派手ですが…
なんていうのか…すごくB級(汗)
作り手が故意に、これはあくまでフィクションで、お遊びで、だからここまでできるんだぞ!と主張しているように感じました。

しかし、個人的に、外人の日本語セリフの部分は、字幕が欲しい。
何言ってんの?と考えてる間にシーンが進んでしまう~
中でも特に、ルーシーリューの「やチまいナ!」は絶対モノマネする人続出の面白さで、真面目なシーンなのに、何故か笑いが…。

あと、個人的に気になる栗山千明。
6番目の小夜子を見たときから、ホラー系の顔だなーなどと思っていたのですが。こういう役似合うなー…。
それにしても役名「ゴーゴー夕張」て…一体どういう意図で…。

==

…はい、ここまでがvol1の感想です。
で、今回、2を見たんですが…1のほうが、面白い、ね。
1は、故意にカンチガイしてるとしか思えない日本観が目を引いたというのもあるけれど、
2は後から考えて、あまり心に残るシーンがない。
前回は、アニメチックにキャラクターを記号化したような「黄色いジャージ」も、今回はナリを潜めてしまったし…。あのまま、2もジャージで通してくれたら面白かったのに…。

意味深にBEEP音で伏字にされてた「ブライド」の本名も、フツーの名前だったし。
というか、単純にお遊びだった…のですよねぇ? これ?

1は、見てすぐに「ここがこうだった!これが凄かった!」と語りたくなりましたが、2はそれほど…? 物語を終わらせるためだけの解決編、という感じ。

連休ですね…

2005-04-28 17:02:32 | 雑事

いよいよ連休です。
やっと春休みが終わったというのに、また長期休みで…
再び、退屈がる我が家の子鬼をもてあます日々が始まります!あうー。

どこかに行くといってもね、わざわざ皆が同時に、花見行楽旅行に帰省と動き回って混むこの時期に、わざわざ出かける気にもなれないっす(←出不精)
はい、ワタクシ「旅行は平日に有給休暇で」派です。
GW、盆暮れ正月は、温泉なんかの宿泊料もお高めですが、平日なら少し安いし!
様々なイベントも待ち時間が少なく、イライラすることもないですよ♪
ただし…ちゃんと有給をとらせてくれる会社に勤めていれば…の話ですけど。

さて、連休だというのに、仕事が休めないとか、予定がないといった方のために、
フリーゲームのサイトをご紹介。
とはいえ、こちら、以前雑誌にも紹介された有名サイトさまですので、
「ここ知ってるし」という方も結構いる…んじゃないかとは思うのですが。
もし、知ってたらスイマセン…。

じゅえる★ぼっくす
★ダウンロード方式のフリーゲーム配布サイトです。
★インタラクティブ・ノベル(文章中の選択肢を選ぶタイプ)が多いです
★Macユーザーの方はごめんなさい。未対応の模様です。

可愛らしいサイト名とは裏腹に、「弟切草」ッポイ、
ちゃんとした(?)ホラーゲームがあるのが最初意外でした。
つか、このサイト名で、ホラーゲーム配布サイトとは誰も思うまい。

私がプレイしたのは「首がない子の話」だけですが、
最後に入力する言葉がなかなかわからなくて大変でした。

それから、もうひとつ。
こちらは「夏祭りの夜店で出てるお化け屋敷」な雰囲気のサイトです。
なんというか…ベタベタですが…面白いといえば面白い。

恐怖お化けの館

たとえばこんな死の形。

2005-04-27 09:55:45 | 雑事

ネットを彷徨っていて「月たちのパズル」という特集に行き当たりました。
リンクに制限があるサイトなので、残念ながら直張りできませんが、検索ですぐに出ます。
今年1月から始まった特集で、現在15話まで。

内容はですね、私たちの日常生活の裏側で、いろんな「死」に携わる人々について取材しているのですね。
たとえば葬儀会社、たとえば食肉加工業、たとえば遺体の修復…私たちの暮らしの陰で、どうしたって必要な事柄であるにも関わらず、表立っては語られない仕事。
いや、いろいろ考えさせられました。

日常「死」に出会うことが、今はなかなかありません。
うちの実母は農家の出身なので、たとえばニワトリを絞めるとか、ウサギをどうこうするとか、そういうことが日常の家で育っていますが、今は全部業者がやってくれて、汚いところ辛いところは一切見ないで済む。むしろ、見たらその後肉が食べられないでしょうね(汗)
記事の中でも、鶏の食肉業者のところは、学校や児童の見学が来たことは一度もないと書かれていて、ああー、そうだよねーと思いました。

人間にしても、突発的な事故はまた別として、たいがい遺体は病院で、また葬儀社でとても綺麗にしてくれますし…大体、核家族化が進んでる今では、同居のお年寄りが亡くなること自体、経験の無い人も多いのでは?
かくいう私もそうですね。もう中年と言っていい年齢ですが、いまだに親しい人とは死に別れの経験がありません。だから、遺族の悲しみとかは、想像することはできますが、本当にわかってるわけではないのですよね。ある意味、バーチャルなものしか知らない。

経験的に、ひとは、自分の経験した痛みしかわからないものと思います。
だから私も、本当に大事なひとを失う悲しみは「わかったつもり」でいるだけで、きっと本当にはわからない。で、別にこれは「死」には限りませんが、自分を含めてそういう人…「わかったつもりでわかってない人」って、恐ろしく無神経だったり…しませんか(汗)
(↑今まで色々不謹慎なことをやらかしてきたらしい/汗)

勿論、経験の無いことが悪いことではないですよ。本人の責任でもないことですし。
むしろ、身近にそういった不幸を知らないでいるというのは、とても幸せなことですよね。
ただ思うのは、今の私たちをとりまく環境の中で、たとえば40代とか50代になるまで、近しい存在を失う悲しみを知らずに済むってどうなんだろうなって。
葬式で暴言を吐くのはたいがい、いい年をしたおじさんおばさんだったりするしね。

結局、私がホラーだのミステリーだの、そっち側に興味を持つのは、知りたいからなのかもしれない。抜き型パズルをするように、未知数を求める方程式を解くように、「死」の周囲をとりまく形を見つけ、組み合わせて、まだ知らない「死」のカタチを浮かび上がらせる。
そういったカタチでしか、それを認識できないから。

いや、どっちみち悪趣味には違いないんですけどね(笑)

「月たちのパズル」是非読んでみてください。
大丈夫。グロい画像も、文章も一切ありません。ちゃんと真面目で敬虔な記事ですよ。
そのまんま検索でも出ますが、いちおう親サイトは栃木の下野新聞社のサイト「SOON」。
そこの「暮らしと文化」(わかりづらいと思うけど、画面右側のメニューバー)にあります。

しゃばけ

2005-04-26 22:42:52 | 本(小説)

「しゃばけ」 畠中恵
新潮文庫 2004年

***

第13回 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。
ジャンルは、強いて言えば時代劇風妖怪モノ。

江戸の大店の一人息子「一太郎」は、年に一度は生死の境を彷徨うほど身体が弱く、
そのため両親から甘やかされ放題に溺愛されていた。
しかし、この若旦那、生まれつき「あやかし」を見るちからに恵まれ、しかも何故か
手代(昔の従業員みたいなもの。丁稚→手代→番頭の順に格上げされていくようです)
に化けた犬神、白沢などの強い妖怪たちが、常に身辺を護っているという、不思議な身の上。
そんな自分の過保護な扱いを煩く思う若旦那が、ある日、ある秘密の用事で外出した際に、
偶然人殺しの現場に居合わせたことから、全てが始まった。

とにかく、とっぱじめから妖怪尽くし。
主人公の若旦那がそういう体質(?)であることもあって、ごく普通に妖怪たちが喋り、笑い、拗ねたり怒ったりしています。
読んだ感じ「あ…これは、百鬼夜行抄(漫画)と同じ感じだ」と思ったこともあって、アレが好きな人なら、大概これも好きなんじゃないかな。

読みつつ「…みんな若旦那が大好きなのね」というのがビシビシと伝わってくる作品でありました。一緒にいる妖怪たちも、折に触れ、「うちの若旦那は役者がつとまるくらいいい男なんだ」とかのたまいますし、ちょっと扱いが悪いと、相手を殺しかねないくらいに怒るし、これはなんだか喜んで別方向に深読みするファンがいそうだわ(汗)と思ってしまうくらい…。
そっち方面(?)が好きな方には、非常におすすめですよ~(笑)

不勉強で、私は良く知らなかったのですが、もともと作者さん、漫画家出身の方だそうです。
だから、場面の作り方がうまいのかなー。
ちなみに、シリーズ化していて、続編として「ぬしさまへ」「ねこのばば」(ともに新潮社。残念ながら未文庫化)が出ています。
…早く文庫化してくれないかな…。

消えてしまったー。

2005-04-26 09:06:29 | 雑事

放置しすぎて掲示板が消えてしまいました(汗)あははは(汗)
(に、二度目だわ…全然懲りてない、私!)
うん、でも、ブログ側にコメント欄があるので、不要といえば不要なのですよね。
一言&メルフォもあるしー。ということで、そのままいきまする。

ああ。いろいろ模様替えしたいなぁ。
…と正月前からずっと思い続けているのですが…
まだちょっと落ち着かない…

**

もう既にテレビを見ても花見一色…いや、それどころかもう花の季節も終わり?
という感じなのに、こちらでは未だに咲いておりません! 桜!
いつも、桜前線はゴールデンウィーク近辺に来ますしねー。

うちの前の道の両脇は、一応桜並木であるわけですが、
いつも連休中にどこか行ってるときに咲いてしまうので、
帰ってきたときはもう散り際!
一体いつ咲いてたの?と全然記憶に残りません。可哀想な桜です。

あー。でも、数年前、毛虫が大発生したときは、さすがに「この桜っ!」
と大注目を集めてましたね。
小指大の緑の毛虫が道に一面に、無数に落ちていたので、歩くの凄く嫌だった!
避けられないのよ。もう本当に道一杯なんだもん。
踏んじゃったときの感触が、もう微妙で…ざーっと総毛立つんですよね。
しかも、潰れた死体も累々と積み重なって…おぞぞぞぞぞ。
本当ーに!大発生だったの! いくら桜は虫がつきやすいといったってねぇ…
数百メートルの歩道にバラバラと一面に毛虫!ってイヤじゃない?(汗)

翌年も同じ状態になるのかしら? と物凄く慄いていたのですが、
さすがに駆除作業だが消毒だかをしたらしく、それ以来、一度も毛虫が出たことはありません。
さすがだ! クローバー町内会(仮名)!

夏の魔術

2005-04-25 19:51:52 | 本(小説)

「夏の魔術」 田中芳樹
徳間ノベルズ 1988年
講談社から 2003年文庫化

***

20年近く前に「銀河英雄伝説」(スペースオペラ風ファンタジー?)
で一躍有名になった田中芳樹さん。
同作品はアニメ化もされ、また、同時期に出版されていた異世界ファンタジー?
「アルスラーン戦記」(角川文庫)も人気を博し、アニメ映画化されました。

それぞれ、細かく設定された国々や、絡み合うそれぞれの立場の利害や思惑があり、
大変好きなシリーズですが、一番好きなのは、実はこの一作なのです。

とある夏休み、偶然駅で出会った大学生の耕平と、小学生の少女来夢(らいむ)。
彼らと、どこか一癖も二癖もありそうな乗客たちが載った蒸気機関車は、いつしか、見たことも無い景色の中を走り、異形のものたちのいる異世界へと人々を誘う。
そして、列車を下りた人々の前に現れた、石造りの洋館。黄昏荘園。

全編に、魔術っぽい設定やアイテムが散りばめられ、ストーリーの内容はとても残酷です。
それにも関わらず、耕平と来夢のキャラクターの健全さ、明るさによってそれを感じさせない…そんなお話になっています。どこか、お伽話風な感触もあったりして。

このシリーズ「窓辺には夜の歌(講談社文庫2004年)」「白い迷宮(講談社文庫2005年)」と続きます。
ですがこの二作品は、一作目と同じパターンで話が続く感じがありまして、最初の作品で感じた新鮮さがなく、個人的にはあまりお勧めできないかなー。

まだまだシリーズは続くらしく、次作品のタイトルは「春の魔術」の予定だとか。
夏から始まって、秋、冬、と続いたストーリーですから、もしかしたら、次回作が完結編となるのかな?と勝手に想像しています。
もう一度、あの魅力的な黄昏荘園と執事さんが出るといいなぁ。

「九怨」をプレイ

2005-04-25 19:07:46 | 商業ゲーム(コンシューマ)

「九怨」 
プレイステーション2
ホラー・アクション・アドベンチャー

***

はしぞろえ~ はしぞろえ~ 御簾に映った唐衣~♪
…と、プレイした後延々と頭の中でリフレインするわらべ歌(汗)
プレイ済のひとに「そうだな~簡単モードなら、丸一日あれば終わるんじゃないか?」と言われて手をつけてみたのですが、なるほど…昼間に数時間づつやって、3日ほどで終わってしまいましたよ…。確かに簡単。

平安時代…寝殿作りの建物という設定なのですが、日本家屋って怖いな、と素直に思う…
少ない灯りに、調度品の死角が陰になり、そこに何かがいるんじゃないか?!という恐怖感が凄いのですよね。
また、この屋敷が…物凄く血塗れで死屍累々。床に残る血溜りを踏んだ後、しばらく足跡が紅くぺたぺた残ったり、廊下に血文字や手形が残っていたり、血塗れの何か(もちろん死体)を引きずっていった痕が廊下をずっと扉まで残っていたり、ビジュアルが凄く怖いです。
敵キャラクターも、切りつけると血飛沫が散り、トドメを刺すとじゅわーっと大きな血溜りが出来る様がとってもジューシー!(笑)
全体的に、文字通りの「出血大サービス」で、そのために余計、陰惨なイメージが強くなっているような気がします。

また、登場キャラクターが最初から死人顔なのが怖い…。口を開かずに喋るのも、人形臭くて余計に気になったかなー。

妙に見通しの悪い場所で敵と会った時は、暫くドラクエをやっていた関係上(?)見やすいように視点変更をしたくなりますが、それが出来ないのが辛い…攻撃する時の距離感が掴めません。
アクション自体は、それほど難易度は無いとはいえ、動かすキャラクターが弱すぎて、最弱の敵、餓鬼にすら7回も8回も斬りつけなければ勝てないし~。攻撃魔法ともいえる符は、簡単モードなら沢山手に入るけれど、狙いがシビアで使い勝手はいまいちだ…。

ストーリーは…難解でした。ゲームだけやって、物語の全貌に気付いた人間ってどのくらいいるのかな(汗)私は攻略本読んでやっと、…そうなのか、って感じだったけれど。
主人公は、3人。陰の章は神社の神主の娘浮月、陽の章は陰陽師の娘咲耶、九怨の章の安部晴明(なんと女性!)九怨の章は、陰陽の章を両方クリアすることでプレイできるようになります。
そして、三つの章を全てプレイすることで、物語の謎が明らかになる…ということらしい。

陰の章:夜な夜な怪異が起こるという少納言の屋敷を舞台に、そこを訪れたまま帰らぬ陰陽師の父を探しに来た姉妹、暮葉と浮月。姉はわらべ歌に惹かれるように姿を消してしまい、妹の浮月は、姉を探して奇怪な生物と死者のはびこる館を一人、彷徨うことになる。

陽の章:少納言の屋敷に起こる怪異を調査するため、師である蘆屋道満から命じられてやってきた4人の陰陽師。彼らが見たのは、血に塗れ死者に満ち、異形のものが跋扈する、変わり果てた屋敷の姿だった。そのうちの一人、咲耶は調査するうち、師である道満の娘、浮月と出会う。

九怨の章:少納言の屋敷に調査に放った、都の陰陽師たちが誰一人戻らないのを怪しみ、自らやってきた阿倍晴明。陰陽二つの章の果てに完成しようとしている九怨の呪法を解き明かし、その成就を防ぐために、屋敷に足を踏み入れる。

ストーリー通して出てくる不気味な双子と、彼ら(彼女ら?)が歌う、音程が合ってるんだか外れてるんだかわからなくて、一層怖い(笑)わらべ歌が、場を盛り上げてくれまする。
そしてラストは、雰囲気はからりと明るいものの、それでいて「後をひきそう」なつくりになっておりました。続編出るのかなー? もしかしてー?

そうそう「はしぞろえ」の歌の意味。
大体は攻略本に書いてあったのですが、それでも「なんではしぞろえなの?」という根本的なことがわからず、調べてみました。

「箸ぞろえ=「お箸初め」とは、赤ちゃんに生まれてはじめてご飯を食べさせる儀式です。」

…お食事ですか…なるほどー。


白いおうむの森

2005-04-22 01:47:17 | 本(小説)

「童話集 白いおうむの森」 安房直子
ちくま文庫 1986年 (初出は1973年)

***

安房直子さん。私のころには、学校の教科書に「きつねの窓」や「鳥」が載っておりましたが、今は使われているのかなぁ? 
ファンタジーというかメルヘンというか、どうにもジャンルの判別しがたいお話を書く方です。
大人のための童話…なのかな。
安房さんの本は、他にも講談社文庫からも「南の島の魔法の話」「夢の果て」など出ていました、が…その多くは、今は絶版。まあ、どれも初出が1960~70年代の話では無理もないかもしれませんが。

しかし、ネットの「復刊ドットコム」さんの活動もあってか、ぽちぽちと復刊される動きも多少あるようです。
また、最近になって偕成社から「安房直子コレクション全7巻」が発売された模様。
価格がちょっとお高めなので(だって、全部揃えたら”いちまんごせんえん”なんだもん)購入はかなり迷っていますが…うう、今買わないと、もう二度と買えないような気がするな…。

今は購入できない本を紹介するのってどうなのよ??と思うむきもあるかとは思いますが…
だって好きなんだもんね。ホラーファンタジー好きなら、きっと安房さんの書く世界も惹かれるはず。つーか、もしエンがあったら、多くの人に読んでみてほしい!と思う作品なのですよ。

で、この本なんですが…タイトルに「童話集」とうたってありますが、
…こんなん小さい子供に読んだら泣く事うけあい(笑)
他の短編集は、わりと可愛い話も多いのですが…この短編集には全編とおして「死」の影がつきまとい、どこか陰鬱でグレイな感じがします。
ことに、2話目の「鶴の家」と最後の話「野の音」。

「鶴の家」は鶴を殺した男の家に、鶴の化身がもたらした大皿が起こす不思議な現象がテーマのお話で、最初の「…殺した相手に福をもたらすの?」という疑問が、後々背筋が寒くなるような展開にもっていかれる感じがたまらない。

「野の音」は、耳をすますと心地よい不思議な音の聞こえるボタン穴を作れる仕立て屋さんで、次々に行方不明になる少女達の謎。いなくなった妹を探すため、弟子入りした男の見るものは?
…ってお話で、これも、出てくる背景描写はとても綺麗なのですが、よく考えるとすごく怖いという(汗)

昔の…(といっても、まだ30年くらいしかたっていないのにー)作家さんの中には、とてもいい話がありながらも、すでに絶版、てひとが結構いますね。
今はたくさんの出版社とたくさんの作家さんがいますから、新しいものを出していくためには古いものは削らざるを得ない、というのは勿論わかるのですが。
でもねー、自分が子供のとき読んで面白かった本が、あっという間に消えてなくなり、次代の子供に伝えられないのは悲しいもの。
これからも、ぜひ、復刊ドットコムさんの活動は頑張ってほしいなぁ、と思います。個人的に。

ひとめあなたに…

2005-04-21 19:05:39 | 本(小説)

「ひとめあなたに…」 新井素子
角川文庫 1985年

***

古い本ばかり出してくるな!と言われそうです(汗) すいませぬ…
最新の情報がちゃんと書けるほど、経済的にも時間的にも余裕が…(汗)

ええと、新井素子さん。今でこそ、一人称で軽くて読みやすい文体は、ことにライトノベルの世界で常識的に使われるようになりましたが、私が知っている限り、そのさきがけとなった方々のひとりではないかと思います。(他には…そうですねぇ、火浦功さんとか?)

私が彼女を知ったのは集英社コバルト文庫の「星へ行く船」(1981)ですが、
「ええっ?! そんな…そんな…でも…ああ、困るぅ!」
「んーと、んーと、でも、現状ではそんなん、どうしようもなさそうだけど…ああ、そっかぁ!」
なんて感じの書き方は、その頃すごく斬新でした。
そして、皆が日ごろ思ってる言葉、使ってる言葉で書かれた文体は、その後広く若年層の指示をうけまして、今日に至ります。

今回「ひとめあなたに…」を選んだのは、うふふふ。やはり、ホラーな部分があるからで!!
粗筋としては、もうすぐ地球に大きな隕石がぶつかり、地球は滅亡する!という状況の中で、練馬に住む一人の女性が西鎌倉に住む恋人のもとへ、徒歩で会いに行く!という物語です。

徒歩…そう、もう全員が死ぬという極限状況で、電車やバスは動いていないし、自暴自棄になった人々の群れで車も危ないし…ということになると、歩くしかない。
作者自身が、あとがきにおいて「これは、極限状況に追い込まれた女の子や女達がどういう風に狂うか、という物語」と言明しているとおり、そうして歩いていくうちに、様々な…心身に異常をきたした人間に出会っていくというもの。

そうして、その出会う人間のひとりめ「由利子」の物語が…
うーん、これ書いちゃうとネタバレになりますか?
隠しとくので、知りたい人は以下反転。


……
………愛ゆえの、人肉嗜食もの。



たしか、これを読んだのが…小学校高学年か、それとも中1くらいだったか…
びっくりしましたね。仮にも少女向け(…のつもりは本人なかったのかもしれませんが、この文体とコバルト文庫で人気があったことを考えると、読者層はかなり若かった筈)でこんなん書く人いなかったもの。
しかも、なんだか料理シーンがリアルだしー。

最初の由利子さんがなにしろ強烈なので、他の子の印象がちょっと薄くなりがちですが、それぞれ皆いい感じの狂気を抱いていまして、そういうのが嫌いでない人には面白いと思いますー。