鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

タッタラドッタラTVショー

2018-06-30 00:00:02 | フリーゲーム(ノベル)
タッタラドッタラTVショー
ノベル・生き残りゲーム・それぞれの罪を暴け
制作者:生爪 万温(イヅメ マオン)様(pixiv

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原色カラフルな画面が目を惹く一品であります。
なんとなく「キミガシネ」に近い雰囲気?

いきなり見知らぬ部屋で目覚めた主人公・ロキちゃん。
どうやら何者かに拉致監禁されてしまったようです。
部屋を出るとそこには、同じように拉致されてきた幼馴染のインゲンと、見知らぬ9人の人物が。
不思議なクマ?型ロボットのタッタラは、ここにいるのはほぼ全員が罪人であると言い、この「タッタラドッタラTVショー」で互いの罪を暴きあい、視聴者の好感度が低いものから殺していく、と説明します。
最後に残り、ここから出られるのは、たったひとり。
タッタラの言う「罪」に身に覚えのないロキは、果たして無事、ここから出られるのでしょうか。

分岐がゆるめでプレイしやすいボリュームの作品でした。
エンドは3つ。途中いろいろありますが、エンド分岐に関係してくるのはラスト付近の、数個の選択肢だけ…かな?
あまり複雑な分岐はなく、途中はほぼ一本道の様相。
選択肢でちょっと文脈が変わるくらい…(だと思う)なので、気楽にプレイしていきませう。

あー、ちょっと最後が…生き残る人が意外といえば意外…?
いや、ある意味当然ではあるんだけど、あまり主人公と接点のない人だったから…
これ、途中のフリータイムにプレイヤーがロキちゃんを自由に動かして、いろんな人に話を聞けたりすると、全員に感情移入できて面白かったかも。

一応「人が殺されていく」話なので、それなりの殺人描写はありますが、絵はドギツくはない。
ていうか、原色チカチカの画面&タッタラやドッタラの見た目がゆるめ&ノリが軽め、なので、全体にあんまり残酷っぽく感じないんだな。

生き残りデスゲーム系、狼ゲーム系の好きな方におすすめですよー

鈴音の祓い屋~竜宮邸晩餐会~

2018-06-29 00:00:23 | フリーゲーム(乙女)
「鈴音の祓い屋~竜宮邸晩餐会~ 」
ホラー探索ADV・乙女風味
制作者:砂原みたけ様(せんやも、いちやも

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鈴音の祓い屋の続編ですー。

かつて、大きな商船を沈没事故で失い、娘もまた若くして亡くした過去を持つ、富豪・竜宮家。
不吉な噂がまといつくこの家の晩餐会へ「祓い屋」浅井忍は、起こるかもしれない怪異に備えて招待された。
師匠の忘れものを届けるために、あとを追って晩餐会場へ向かったシズカもまた、半ば行きがかりでその仕事を手伝うことになってしまう。
やがて、オークション開始の挨拶の最中に、突然電気が全て消えたかと思うと目前に怪異が現れ、その場から竜宮家の主人・船継と、もう一人の同行者が姿を消した。
他の招待客を守るため身動きできない師匠の代わりに彼らを救い出そうと、シズカは一人、祓いの鈴を手にして異世界へ足を踏み入れる…


今回は、同行者(攻略対象)に、金髪のキザなお兄さんが加わりました。
ほか二人…君島と妖ヶ原は、以前と変わりなく、真面目で鈍感(霊的に)だったり、ややヘタレだったり。
そして今回も、師匠は攻略できないのね…! くぅ…!

個人的には妖ヶ原くんのキャラが好きですね~
高いところのものをとる時、支えきれなくて転ぶところとか、らしすぎて笑うわー
ただ「目」の良さは、シモンのほうが上なのかな?
シモンが見える霊が、妖ヶ原くんには見えなかったりしてたけど…
うーん、シモンは人の幽霊がよく見えて、妖ヶ原くんは妖怪のほうが得意、って感じ?

君塚くんは安定の現実志向。随所で話に出てくるスーパーお兄さんは、一体どんな人なんでしょうね?
まあ、長男が大切にされる時代ですから。案外彼が思いこむほどには偉大じゃないのではないか…なんて思ってみたり。

ADVの攻略自体はぜんぜん難しくないので、詰まることもないと思います。
同行者と合流できたあとは「相談」でヒントを貰えますし。
そうそう、各部屋で「会話」を選ぶと、それぞれ個別のお話が聞けるので、ぜひとも会話しまくってみてください。
マップのオブジェクトを調べたときの反応も、三者三様なので必見!
中には、好感度が上がる会話もあるんですってよ。グッドエンドを目指すならココ重要。

エンドは6つ。それぞれの同行キャラで、グッドとバッドが一つづつー
まあ、つまりは好感度を上げるか下げるかの差でござる。
グッドはもちろん、バッドもそれぞれ違う結末が用意されており、美麗なスチルが最後に入るので見応えがありますよー!

ただ、個人的に残念だったのは…
これね、もう少しラストを長く引っ張ってほしかった!
最後が、スチル出た後、あっさり終わっちゃう印象なので…
終わった後、メニューにオマケが出ていないか探した探した。この後日談が見たいよう;

君塚がガチゴチになりながらシズカちゃんを誘いに来て、師匠に胡散臭い目で見られるとか。
妖ヶ原はバッドエンドのその後、先が見えないまま二人で過ごしていく様子とか。
シモンはシズカちゃんを強引に自国へ連れ去ろうとするけれど、結局絆されて自分から取りやめちゃうとか。
エンドの先が楽しそうなのになぁw


今作は、話としては独立していますが、前作で出たサブキャラが再登場したりして、前作プレイ済みの方には「あっ」と思えるうれしい仕様。
今作を初めてプレイして気になってしまった方は、前作も続けてぜひどうぞ。

ホラー風味ADVが好きな乙女様におすすめですよー

五番目の首 -5th HEAD-

2018-06-28 14:43:46 | フリーゲーム(ホラー)
五番目の首 -5th HEAD-
ホラー探索ADV・体を取り換えて進め!
制作者:ひんじゃくごりら様(ひんじゃくごりらのナワバリ

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「なまくびる」で衝撃の世界観を創り出してくれた作者様です。
今回はそこからさらに一歩進んで、なんでもアリすぎる異形たちの世界を垣間見せてくれましたぁ!
あー、面白かった。

主人公は「クチル」と名乗る女性型の異形と「バサシン」(馬刺しん…;)という名前の首のない馬。
ある日森の中で強力な力を持つ同族に出会い、首をもがれて身体を奪われてしまいます。
身体がなければさすがに不便なので取り戻しにいくことになりましたが、後を追ってたどり着いた古城には、同じように体を奪われて、首だけにされて閉じ込められた同族たちが…
クチルは彼女たちの身体とその能力を借りつつ進み、城の中を探索していきます。

主人公は生首で、いろんな異形の身体をとっかえひっかえしながら進む。
…というシュールな物語です。

それぞれの身体には、固有の能力があり、それを使うことで新たな道が拓ける仕組み。
つまりー、新しい身体が手に入るということは、その能力で先に進める場所が必ずどこかにあるってこと。
空を飛べれば縦穴を上下に移動できるし、水に潜れればそこから水路を進んでいける。
飛び道具が使えれば遠くにあるスイッチを入れられますし、ものが押せれば棚の陰にある通路を見つけられる。
いろいろ工夫し、能力を駆使して探索範囲を広げていきましょう。


一応、カテゴリ的にはホラー…ではあるかと思うんですけど。
異形たちの性格がみんなユルユルすぎて、怖いとかそういう感じじゃないんですよね。
結局、彼女ら的には、体を取った取られたとか、そんな重大なことじゃないっぽい?
各所で見られる死にエンドからも、「頭部」そのものが破壊されるとさすがに死ぬようですが、そうでなければ身体は取り換え可能なのかもしれませぬ。

(この死にエンドも、死因によって一つ一つグラフィックが違っていて楽しい)

エンドは一つ。実際にプレイすると「えっ…それで本当にいいの?本当に!?」
という気分になるかもしれませんが、エンドは一つです!
ユルーい異形たちのやりとりを楽しみつつ、最後まで頑張ってみてください。



謎解きで難しいのは…うーん、詰まりそうなのはあそこらへんかね。

「片足つま先立ちなら、トゲの間を移動できるよ」と、
「落ちることができる場所は全て、アカツキの身体で登り降りできるよ」
「登り降りは、基本、その場所からまっすぐ上下。
 降りる位置取りによっては思いがけないところに行けるかも」

前段でも書きましたが、その時の手持ちの身体の特技を使えば、必ず道は拓けます。
セーブポイントはあちこちに多めに配置されているので、いろいろ試してみるとよろしいかと~


シキヨク-夢魅テルは夢見てる(第九話 夢魅美々子失踪事件)

2018-06-28 10:44:44 | フリーゲーム(ゲームマガジン)
「シキヨク-夢魅テルは夢見てる(第九話 夢魅美々子失踪事件)」
電ファミニコゲームマガジン・連載ADV
制作者:アイムシアン様(ImCyan

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ルナと今テルを結ぶ「赤い糸の呪い」は、若テルの出現により、そちらへ繋ぎ先を変更されてしまいました。
自分の指から赤い糸が消えたことに動揺して、関係修復を図ろうとする今テルの姿が妙にリアルで不憫w
まるっきり、自分のものだと油断しきっていた妻にいきなり他の男の影が見えて、焦る夫みたいな構図なんですけどwww
ふふふ…13歳のルナちゃんから見れば、犯罪レベルで年上の今テルより、一歳年上の若テルのほうが妥当というかお似合いと言うか。イイ感じに見えちゃっても仕方ないよねぇ…
しかも初恋におちた時そのままの姿なわけだし!!

今回は、そんな昼ドラ展開になりつつある二人のテルとルナの三角関係シナリオのほかに、4年前の事件の詳細、ルナの正体、さらに「シキヨクの呪い」についての情報もオープンになりました。
謎が謎を呼ぶシキヨクの世界も、いよいよ終盤?
真実に向けて徐々に秘密が明かされ、事態の収束に向かい始めた様子ですね~

今まで顔がわからなかったミミコ母さんは、若いころの三輪さんっぽい印象の美魔女!
浮世離れした母を、傍で支えるしっかりものの若テルがかっこいい回でした。
昔愛した人に似たイケメンの息子か…確かに、これでは母は子離れできまいて…
結局、テルが他の女の子と仲良くする姿に嫉妬メラメラなミミコ母さんは大暴走してしまいます。

そもそも、彼女が息子への愛情と執着とをはき違えてしまったことが、悲劇の発端ではあるのですが。
テルくんの母への想いもまた、密かに相当拗らせている印象の話でしたね~

「シキヨクの呪い」…それはテルくん自身が、母の想いを確かめるために、自分にかけた呪いだったのです。
その詳細はここでは触れずにおきますが…
これは本人だけでなく、周囲の異性を巻き込む傍迷惑な呪いである…とだけ申しておきましょう。
(まさか、チェリーちゃんとのハッピーエンドフラグ…?(←w))

自分と距離を置こうとする若テルに、かつての夫を重ねて理性を失ってしまったミミコ母さん。
しかし、14才くらいの子なら、ちょうど思春期&親離れの時期だし、女の子なら父親キライ!臭い!と言い放ち、男の子なら母親をババア呼ばわりするお年頃。
テルくんのそれも、それまでの家族仲はどうあれ、ふつーに健全な成長の現れだったんだろうけど…
下手に「夢魅の力」なんか持っていたばかりに、とんでもないオオゴトになってしまいましたっす。

テルの言葉を聞いて、最終的には愛に目覚めたものの…その直後にああなってしまうだなんて…;
なんとも業深い展開でした。

ちなみに、4年前のルナちゃんは、いかにも儚げな女の子でしたよ!
怖いところや、強かでふてぶてしいところが無くて、まさに正統派美少女!
実のところ、テルのように魂が分けられるなら、ルナちゃんは悪霊化したミミコ母さんから分離した「良心」の部分なのでは?と思っていたのですけど。
いやあ、ルナちゃんはきちんと最初からルナちゃんでした!

結局、ルナちゃんの行動は…「お兄ちゃん大好き!」というヤンデレ表現だけでなく、シキヨクの呪いからテルと周囲を守るためのもの…だったんですかねえ。
でも、ルナちゃんてばいつ、テルに「シキヨクの呪い」がかかってることを知ったんだろう?
口止めもされてたみたいだし、4年前の事件のあと一度、若テルとの接触があった…ってことかなぁ


あと残る謎は…えーと、ジェイソンさんの絡む組織について、かな。
結局4年前の事件にその組織は関わってないっぽいし。
プレイヤーへの、4年前の事件のネタバラシはすんだものの、果たしてこの先、どうなるのか…


いきなり龍我さんが影のラスボスとかだったらどうしよう(←無いて)


とりあえずは、次回はルナちゃんの捜索回かな?
まだコドモな外見だし、そうそう行けるところもなさそうだけど…身近な知り合いに匿われているか…
それとも、ロリな危ない人に拾われて、その夢に囚われてしまう流れ?かも?

ぜひとも、テルとルナの感動的な再会シーンが見たい見たいー










…由里さんがいまだになんともないってことは、まだそんなに、テルに対して本気じゃないってことなんですかね。

メルフォお返事

2018-06-28 10:29:02 | 雑事



>>もふお様

お久しぶりです。いつもありがとうございます。
地震は、まったく違う方面に住んでいるので、こちらは影響はありませんでしたが、大都市圏の地震は、人口が密集しているだけに、本当に怖いですね…
けれど、あれだけの規模の地震でありながら、亡くなった方がかなり少なかったことは不幸中のナントヤラ…とか思ってしまうのは、東北地震から感覚が麻痺してしまっているのでしょうか。

もふおさんは揺れる地域に住んでいたとのことで、その後に長く続く余震でも怖い思いをされたと思います。
いまだに数日おきに揺れているようですし、なかなか不安はぬぐえないと思いますが、できるだけご自愛くださいね。



アルネの事件簿 Case.1 解決編 Teil3

2018-06-19 21:17:14 | フリーゲーム(ゲームマガジン)
アルネの事件簿 Case.1 解決編 Teil3
推理ADV・読者参加型・ニコゲーマガジン
制作者:春太郎様・むらさき様

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待ちに待った解決編が来ましたよ~
なんとなく気になってたところが一部だけ当たってたり、疑ってたところが全然関係なかったり←wしてましたが、やっぱり、きちんと説明されるとスッキリするわあ

無事、死の淵から生還できたリンちゃん。
もう謎が解けたというアルネの指示で、館の人々を全員集めてまわります。
けれど、皆の前でアルネが提案したのは「探偵二人の推理合戦」。
にわか名探偵のリンちゃんとアルネとが、容疑者一人一人を犯人と仮定して、互いの推理を披露しあいます。
…結果、現れた真犯人は、意外な人物で…?
おっとネタバレはここまでだw

もう解決編がオープンされたと言ってもね。
やっぱり大っぴらに「犯人はヤス」とか書いてしまうのは抵抗がありますんでー
ニコゲーマガジンはゲームとはいえ、難易度低めのエンタテイメント性が強いものが多いから、基本的に誰であってもクリアは可能ですし。そこらへんはぜひとも自分の目で確かめてみてくださいまし。


うーん、実は一番疑ってたのは、

ベルントが死体を見つけたときは、まだ父親隠し部屋で生きてたんじゃない? 
ならその瞬間のアリバイあっても無効なんじゃない?
むしろ疑うべきは、ベルントが死体を発見したあと→アルネが隠し部屋を発見するまでの間…

とか思ってたんですが…いやあ、見事にハズしましたー

協力者(人外)と真犯人は別であり、父親の死はむしろ協力者にとって不本意だった、という可能性も考えましたが、そこもハズレ。
それぞれの「高いところ苦手」とか「血が苦手」とかの特徴も、何か逃げ道があるわけではなく、そのままで証拠になっていましたので、プラスして、協力者=真犯人=人外、と考えれば、かなり容疑者絞れてましたね…;
考え過ぎちゃうのはよくないらしい??

人外のものと、人間との考え方の違いは、前作でさんざん伏線として語られた部分ではあったんですが…
動機や感性にここまで開きがあると、被害者も探偵もたまらんですね…
これからの事件も、基本はこんな感じで進むんでしょうか…

んー…逆に考えれば「動機」を考慮しなくていいぶん、むしろ推理はラク…になるのかな?
「この人はこういうやり方は絶対しなさそう」は考えなくていいってことですもんね。
人外&人間両面で、物理的に可能かどうか、だけを見て行けばいい?


さて、その後はいろいろあって…前作で自分の中の残留思念…いや、残留血液と戦って制した「ナハツェーラー」の本体?がついに復活。アルネと対決してくれます。
「ナハツェーラー」って名前、響きカコイイ!と思っていたんですが、ググったらドイツの吸血鬼なんですね。

何やら強力な力を持つ吸血鬼であると書かれているんですが…
「ナハツェーラーは死後蘇生した死体だが、生き返っても食べるものがないのでまずは自分の衣服を、次いで自分の肉体を食べ始める。」
とかいう、ちょっとお間抜けな感じの説明文が気になります。肉体はともかく…服…だと…?
お腹すいてるからって力技すぎやしませんか。さすがは脳筋。

で、その戦いの中でアルネは「自分の中にあるのはまさしく王の心臓!」と言ってくれちゃってますんで、やっぱり今残ってるのは最初の9人の1人…らしい。
生誕当初よりずいぶんと丸くなってる?みたいだから、そもそも中身が違うのかと思ったんだけど。
もともとそういう「面白ければいい」お茶目な性格の王が混じっていたってこと…?


結局屋敷は壊れ、行く場所をなくしたリンちゃん。
1人、ラインヴァイス家の復興を心に決めて、アルネに別れを告げますが…
ふふふ、もちろん、この先は皆さん予想通りの展開に!

リンちゃん、これからはあの西洋版ゲゲゲ横丁で暮らすのかしら…

そういえば、いまだ謎の、リンちゃんのお祖母ちゃんとアルネの関係も気になるところ。
今作でわかったリンちゃんの体質?の件も、そのへんに関わってくるのかなぁ。
次の事件は果たして、どういう状況で起きるのか…楽しみですね。











最後までベルントのクズっぷりが清々しいwww


せとぎわメトロレギオン

2018-06-18 09:01:36 | フリーゲーム(SF)
「せとぎわメトロレギオン」
近未来SF・DQNRPG
制作者:冷凍しじみ様(しじみのおすまし

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近未来・崩壊した世界・異能に目覚めた人類…と、いろんな意味でヒャッハーな世界観に加え…
主人公含む登場人物たちが大体DQN!という、やたら個性的なシナリオでありました。

特に何の説明もなく物語が始まるので、雰囲気掴むまでは「??」って気分になるかもしれませんが、プレイしていくうちにそこがクセになる、魅力にあふれたゲーム。
ってか、この、シビアなんだかゆるいんだかわからない、独特の雰囲気は面白いですねぇ~

今作の舞台は、広島・瀬戸内近辺のとある港町。
朝の缶詰工場から始まるそれは、一見、田舎町に住まう893やDQNたちの抗争の物語…に、見えます、が。
実は、この世界は20年くらい前にタコ型宇宙人の侵略を受けており、人間の持つテクノロジーはごっそり後退。人間の数も激減。
ただ、幸か不幸かその際の兵器の影響で、異能を手に入れた人間たちが現れたことで、なんとかこれを撃退し、それなりの生活を取り戻しかけている…という。とってもハードな世界観なのです。

異能を身に付けた人は身体的には驚異的な治癒能力を持ちますが、反面、異能を行使するための「SP」はなかなか回復しないという特徴があり、宇宙人のエネルギーから精製される「エーテル」や「ポーション」が無ければ、連続でちからを使い続けることは難しい。
宇宙人を撃退してしまった今、新しく手に入る算段がつかない「ポーション」類は高価な品であり、それらを手に入れ、精製できる設備を持つ人間はウハウハな勝ち組。
で、その「勝ち組」の一人が、この港町を仕切る「クロサキ」だったりするという。

ツッカケサンダルで鉄パイプや警棒持って突っ込んでいく、DQNスタイルの登場人物たちの話のウラに、こんな壮大なSF設定があろうとは…;
しかも主人公は巨乳で妙齢のお姉さんと、高校生の制服を着たハタチの女の子。
またグラフィックがね…スクショを見て貰えばわかるとおり、綺麗&可愛いんだよね!
顔グラも微妙な表情の変化が細かくて、プレイしていて楽しいし、何か一気にプレイしちゃったわー

周囲のどーしよーもない人間たちを、謎の包容力で受け止める主人公・アオリさんが凄い。
てか、ひと昔前のDQNって、極端に友情に篤いというか…面倒見がいいというか…
こういうタイプが多かったような気もするね…?
一緒に行動する、ドライな若者。見た目の清楚さに似合わずバイオレンスな性格のタマコちゃんも好きでした。

狭い町の出来事ながら、章ごとに絡む登場人物が多く、一人一人にきちんと性格や、背後関係の設定がなされているのが深みがあって面白いっす。
メインになるのは、クロサキの「探し物」を見つけること、なんですが。
なんだかんだと、登場人物全員が、自分の「物語」を持っているゲームなんですよね。
プレイしながら、この人の物語も見たい!と思わせてくれる、設定の分厚さがすごい!
ただ、もう一人の主人公・タマコちゃんの復讐物語は、できれば作中で詳しく見たかったわー

章ごとに入る細々したエピソードも、世界観の補完として役立ってくれました。
情報屋のところへ向かう途中にあるサブイベント…学校の先生の話は、なんともいえない気持ちになるので必見です。
夜の幽霊アパートの描写も面白かったよ!

しかし、女にも男にもモテモテすぎるアオリさん。
なんであの年齢まで一人なんですかね……?(←余計なお世話)



あー、えっと。攻略面では、特筆するようなことはないかな…
敵を倒してレベルを上げる、普通のRPGですし。
SPは自然回復しませんが、ポーションは途中のイベントで大量に手に入るので、普通に能力を使いまくっても、まずSP切れはないと思われ。
ただ、米屋の左奥の道に落ちている「歩くとSPを回復してくれるアクセサリ」は拾っておくと便利です。

アオリのメット割りは強力だし、タマコの「敵を行動不能にする」能力と合わせると、どんな敵にも苦戦はしません。
さらに、しっかり索敵してレベルを上げておけば、最後のボス敵?も余裕で倒せます。




今まで、1話使い切り?の比較的短編なゲームを作ってらっしゃる印象の作者様でしたが、これだけの分厚い設定を、これ一作で終えるのは惜しいですね…
個性と魅力のある話だけに、続編とか、同世界観の別な主人公の物語、とか、もっと見たい…!
続編作ってくれないかなぁ…

DQNに抵抗のない方におすすめします。
いや本当に面白いので! プレイしてみて!

血染めのナナ -Bloody 7-

2018-06-17 00:41:15 | フリーゲーム(ホラー)
「血染めのナナ -Bloody 7-」
脱出ホラーADV
制作者:夜雨ドッド様(ドッド工房◆Atelier Dodd

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「Myosotis -ミオソティス」や「Efframai -エフレメイ-」などでお馴染みの作者様です。

当初は「恐怖」に重きを置く演出をなさっていましたが、最近はそれに加えて、ある種の切なさ…物悲しさ、のような複雑な感情を呼び起こす、深みのあるシナリオを作られるようになりましたー。
今回も、調べれば調べるほどにわかる主人公の置かれた現状と、なんともいえない気持になるエンディングは必見ですよー

主人公は、倉庫の奥のような一室で、なんの記憶もなく目覚めた少女。
見知らぬ誰かの通信に導かれながら、「外」への道をたどります。

えー、エンドは3つ。
難易度はそれほど高くないので、サラっとプレイできて、シナリオを堪能できる良作品でした。
最後のパスワードのヒントは左側のクリーチャーがウロウロしている場所の奥にあります。
これは、フラグも何もないただのヒントなので、一度突撃して見てしまえば、もう二周目以降は部屋に入る必要はありませぬ。見た後死んでも、わざわざ見直す必要なはいよー。
最終的にパスは5文字の英単語。
ちなみに「me」は自分のことじゃない!


個人的に、意外性があったのはセーブポイント。
えっ、ここなの!?と思ったし、そこで安らぎを感じるナナちゃんに、最初はびっくり。
その理由については、その後見られるいろんな資料で納得できましたが…
なんというか。彼女の存在を考えると、エンディングの後が……一体どういうことになるのか、ちょっと恐ろしい気もしますねぇ。

どんな姿でも、ただ、生きていて欲しい、という愛情ゆえの行動だったんでしょうが……
本当にこれは、解き放って良いものだったのだろうか、と…

とりあえず、この場所から出ることは、彼女にとって第二の生誕。
ここから出て、自由を得て。やっとこの世界に生まれ出たばかりの彼女が、果たしてこの先、どのように成長していくのか…
彼女がこれから「ヒト」として生きて行けるよう、導いてくれる人との出会いがあることを願いましょう~


死体のドットと描写がチョイ細かいので、苦手な方は注意かなぁ。
とはいえ、決して、怖がらせることがメインのゲームではないので…
興味を抱かれた方は、プレイしてみてくださいな。


湖底の童歌

2018-06-16 01:35:56 | フリーゲーム(ホラー)
「湖底の童歌」
探索ADV・民俗学ホラー
制作者:shizuka様(公式サイト

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大学のゼミの一環で、かつて、水害で湖の底深く沈んだ村を調査しにやってきた、国守和真。
「耳が良い」彼は、人ならぬものたちの存在を、音で感じる特技を持っていた。
神社の息子で、和真よりずっと目も耳も効く友人・真代悠也とともに、発掘調査に加わったものの、そこは案の定、見えない存在がひしめく場所で…初日からまんまと家に幽霊を「お持ち帰り」してしまう始末。
その日は、そういったことの対処に詳しい保護者・黒田咲樹のおかげでことなきを得たが、さらにその翌日、どこからともなく響くわらべ歌に導かれるように、和真は、遠い昔…まだこの場所が水に飲みこまれる前の村へと引きこまれてしまう。


というわけでー。久しぶりの正統派ホラー!
うーん。やっぱり考古学や民俗学と、ホラーって相性いいですよねぇ。
今作は、水害で水底にしずんでしまった村を舞台に、そこにまつわる姉妹巫女の無念と後悔とを解き放つ物語となっております。

水底にそのままの姿で沈んだ建物! 廃墟好きならその言葉だけでも超アガっちゃいますね。
高度成長期にはあちこちで作られていたダム。おそらく、そういう場所はいっぱいあったのでは…と思うんですが。日本の建物は木でつくられたものが多いぶん、すぐに朽ちて原型とどめなくなっちゃうのが残念ですねぇ…

さてさて「湖底の童歌」に話を戻して。
探索中は、けっこうドキっとさせる演出があちこち盛り込まれているんですが、思ったほどは恐怖度は高くありません。
出てくる巫女姉妹幽霊は、怖いってより健気で可愛いし…何より、主人公が一人っきりじゃない!っていうのが、すごく心強いんですよ。
このテの探索ゲーは「たった一人」で無人の屋敷をウロウロしなければならないことが多いんですが、このゲームは、主人公の和真以上に霊感のあるキャラが3人、一緒の世界に入ってきてくれています。
…まあ、探索自体は一人でやらなきゃいけないんですが、何かあっても助けてくれそうな人がいるって、それだけで安心。

ただ、探索の仕方によっては…最後にだけ、少々ゾっとする展開が…!
これは、今後の物語への伏線?続編への布石?らしいので、気になる方は、ぜひともチェック!しておきましょう。
屋敷のあちこちで現れる黒い着物の少女を、すべて見るとフラグが立ちますので、がんばってウロウロしませう。

あ、一応、即死イベントが何カ所かあるので、セーブはこまめにするのが無難…
主人公の「耳の良さ」を駆使すると、危ない場所はある程度察することができるかも…?







主人公の和真くんの身の上や、保護者の咲樹さんには、まだまだ語られない秘密がありそうな様子…
果たして、この続きでは、そこに触れてくれるのでしょうか?
続きが楽しみな作品ですー


てか……まさかと思うけど、咲樹さんて…??

雪に咲く薔薇

2018-06-16 00:00:31 | フリーゲーム(ノベル)
雪に咲く薔薇
ファンタジーノベル・マルチエンド
制作者:塩屋あにか様

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魔女の呪いによって、見た目が異常に生まれついた青年と、彼を支える使用人の少女の物語ですー

最初のほうのマリアンヌのあれこれを見た時は、仕返し?のためにここまでやるとは、なんちゅう性格の悪い女かと思いましたが…読み進めていくと、いろいろ納得!できる話運びになっております。

呪いや過去の出来事ではなく、主人公二人の恋愛模様だけに焦点をあてたシナリオは、なんとも物悲しく、せつないラブストーリー。
結局のところ、どんな酷いことを言われても、マリアンヌはゼビエを見捨てられないし、傍にいたかったんだなぁ…
自分の境遇や見た目にコンプレックスのあるゼビエの葛藤も、とても繊細に描かれていて、いい話でした。
それぞれのキャラの「素直になれない具合」が妙にリアルなので、なんか共感持ててしまうね!

ただ、えーと、マルチエンドではありますが…
どのエンディングも、シビア、というか…完全ハッピーとは言い難く…
綺麗だけれど、胸の痛みの残る終わり方でありますので、そのへんは覚悟のうえでどうぞ。


一人残された魔女ちゃんは、この薔薇の物語を、大事に守り、語り継いでいくのでしょうか…
アンハッピーエンドに耐性のある方におすすめですー









時代がもう少し未来なら…彼はふつーに「尖ったパンクなお兄さん」で通用しただろうになー