「震災後の不思議な話(三陸の怪談)」
飛鳥新社 宇田川敬介
買ってみちゃった。
東日本大震災。
あの日はごく普通の平日で、私はふつーにネットしてました。
そこに、いつもよりゆっくりとした、ひどく揺れ幅の広い、変な地震が…しかも、長い。
これは自分が眩暈を起こしているのか?と一瞬錯覚し…
近くのハンガーにかけた衣類が揺れているのを見て、あ、やっぱり地震だ、と。
うちはモノが多い家なので、地震が起きたら、まず廊下に出ることにしています。
部屋だと家具が倒れたり物が落ちてきたりするけど、廊下は何もないのでねー
で、廊下に出て…いつまでたっても、揺れが、おさまらない。
その後、なんとか揺れが収まったあと、テレビをつけて。
ああやっぱり大きいな、と思って…
夜中とか朝方でなくて、まだよかったな、と思ったのを覚えています。
神戸の時は早朝だったので、逃げられなかった人が多かったですから。
しかし、それから数時間後の、同じ画面の中には、
現実とは思われない光景が映し出されておりました。
あの、数分の揺れから、たったの数時間で、二万人近い人の命が失われてしまいました。
正直、規模が大きすぎて…非現実感しか沸かなかったですね…
さて、話を本に戻しましょうか。
内容は、震災時にあった不思議な出来事や幽霊譚を、
当時の状況や、民俗学的な考察なども含めて書かれています。
怪談としては、些細で…ソフトな感じのものが多いかな。
オドロオドロしい扱いもしてなくて、どちらかというと鎮魂の意を込めた語り口。
最終的には被災地の復興を願う形でまとめてありますので、
決して、不謹慎な感じの本ではないですよ。
多少感情移入しすぎて、ウェットな感じを受ける文章ではありますが…
お話を聞かせてくれた方々の気持ちや、身内をなくされた方々の思いに留意すれば、
こうなってしまう気持ちはわかります。
作者さん、きっと良い方なんでしょう。
タクシーに乗る幽霊や、自分の遺体を見つけてほしくて車を事故らせた幽霊、
子供の死体を運んできた(!)母親の霊、
災害の起こった時刻に必ず聞こえる「その日の音」。
中には夜だけでなく、まだ日のあるうちから出てくるケースもあったり、
生きた人間が、影響されてちょっとおかしくなっちゃったり。
まあ…あれだけ大勢の方が、何が何だかわからない状態で亡くなったのですから、
一人も化けて出るなというのが無理な話。
それに加えて、あれだけの異常事態では、生きてる人もみな、
普通の精神状態ではないでしょうから~
いろいろ敏感な、普通より感じやすい状態だったのかもです。
それにしても、タクシーの話と、バスの中の遺体の話はどこかで見たけれど、
それ以外は初見のものばかりでしたね~
たぶん、細かな体験であれば、もっとたくさんあるのだろうけど…
不思議とたいした噂にならなかったのは、身内を亡くした方々にとって、
幽霊話は「他人事でない」ことだったせいかもしれないし、
震災後は「生き残った人間が生きていくのに必死」で、
幽霊や死者に怖がってる余裕もなかったせいかもしれない。
ぶっちゃけ、警察がきちんと機能できないうちは、
幽霊より、生きてる人間…火事場泥棒や強盗のほうが怖いわな。
こういう本が、いまになって出版された、ということは、
それだけ時間がたって、心の余裕が生まれてきた…ってことかもしれません。
飛鳥新社 宇田川敬介
買ってみちゃった。
東日本大震災。
あの日はごく普通の平日で、私はふつーにネットしてました。
そこに、いつもよりゆっくりとした、ひどく揺れ幅の広い、変な地震が…しかも、長い。
これは自分が眩暈を起こしているのか?と一瞬錯覚し…
近くのハンガーにかけた衣類が揺れているのを見て、あ、やっぱり地震だ、と。
うちはモノが多い家なので、地震が起きたら、まず廊下に出ることにしています。
部屋だと家具が倒れたり物が落ちてきたりするけど、廊下は何もないのでねー
で、廊下に出て…いつまでたっても、揺れが、おさまらない。
その後、なんとか揺れが収まったあと、テレビをつけて。
ああやっぱり大きいな、と思って…
夜中とか朝方でなくて、まだよかったな、と思ったのを覚えています。
神戸の時は早朝だったので、逃げられなかった人が多かったですから。
しかし、それから数時間後の、同じ画面の中には、
現実とは思われない光景が映し出されておりました。
あの、数分の揺れから、たったの数時間で、二万人近い人の命が失われてしまいました。
正直、規模が大きすぎて…非現実感しか沸かなかったですね…
さて、話を本に戻しましょうか。
内容は、震災時にあった不思議な出来事や幽霊譚を、
当時の状況や、民俗学的な考察なども含めて書かれています。
怪談としては、些細で…ソフトな感じのものが多いかな。
オドロオドロしい扱いもしてなくて、どちらかというと鎮魂の意を込めた語り口。
最終的には被災地の復興を願う形でまとめてありますので、
決して、不謹慎な感じの本ではないですよ。
多少感情移入しすぎて、ウェットな感じを受ける文章ではありますが…
お話を聞かせてくれた方々の気持ちや、身内をなくされた方々の思いに留意すれば、
こうなってしまう気持ちはわかります。
作者さん、きっと良い方なんでしょう。
タクシーに乗る幽霊や、自分の遺体を見つけてほしくて車を事故らせた幽霊、
子供の死体を運んできた(!)母親の霊、
災害の起こった時刻に必ず聞こえる「その日の音」。
中には夜だけでなく、まだ日のあるうちから出てくるケースもあったり、
生きた人間が、影響されてちょっとおかしくなっちゃったり。
まあ…あれだけ大勢の方が、何が何だかわからない状態で亡くなったのですから、
一人も化けて出るなというのが無理な話。
それに加えて、あれだけの異常事態では、生きてる人もみな、
普通の精神状態ではないでしょうから~
いろいろ敏感な、普通より感じやすい状態だったのかもです。
それにしても、タクシーの話と、バスの中の遺体の話はどこかで見たけれど、
それ以外は初見のものばかりでしたね~
たぶん、細かな体験であれば、もっとたくさんあるのだろうけど…
不思議とたいした噂にならなかったのは、身内を亡くした方々にとって、
幽霊話は「他人事でない」ことだったせいかもしれないし、
震災後は「生き残った人間が生きていくのに必死」で、
幽霊や死者に怖がってる余裕もなかったせいかもしれない。
ぶっちゃけ、警察がきちんと機能できないうちは、
幽霊より、生きてる人間…火事場泥棒や強盗のほうが怖いわな。
こういう本が、いまになって出版された、ということは、
それだけ時間がたって、心の余裕が生まれてきた…ってことかもしれません。