鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

紅く追憶の水葬

2018-05-08 12:46:52 | フリーゲーム(ノベル)
「紅く追憶の水葬」
推理ADVノベル・多重構造の謎と嘘
制作者:kotonoha*(蒼木ことり)様(言葉の書庫)キャラデザ:つれ様

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ラハの人・kotonoha*様の新作になりますー。
計算されつくした戦闘システムや難易度調整で、戦いごたえのあるゴリゴリのRPGだった「ラハ」シリーズから一転、今回は「文章」に重きをおいた推理ノベルへの挑戦でした。
シナリオの作りの良さにも定評のあるかただけに、今回も独自性のある「場」を作られてますんで必見ですよ!

ゲーム内容としては、普通に…シナリオの途中にある選択肢を選んでいくだけ。
そのすべてで正しいものを選んでいけば、トゥルーにたどり着ける仕様です。
選択肢でのセーブも可能なので、全ポイントでセーブしておけば、クリアはそう難しく…ない…?

…いや、私はけっこうクリアまで時間かかったんですけどね…orz;

推理ゲームほんと苦手なんですよ。
推理小説は読みますし、作者さんの仕掛けにハマりながら、最後に「そういうことだったんだ!」って思わされるのも大好きなんですが…自分で推理しろってなるとねぇ…
考えれば考えるほど、こんがらがってわからなくなってしまう。
…思えば私「この中の誰かがウソをついている」系の謎解きも不得意なんだわ…;

特に今回は、二重三重に知るべき「前提」と解決すべき「事件」があって、よけいに惑わされました。
ほぼ全選択肢総ナメでクリアした、推理のスの字もないプレイスタイルです。ははは;
いいの。私にとって推理小説は、作者さんの思考の形を愉しむものだから。
翻弄されてナンボですよええ!!

さてさて、今作の主人公は記憶喪失で入院している、名もない人物です。
わずかに心に残っているのは、血に染まった曖昧な記憶と誰かの悲鳴。そして自身の血への渇望のみ。
身に付けていた漆黒のコートはまるで不審者の装いで、一体自分が何者なのか、判断がつきません。
行き場のないまま入院生活を過ごすうち、やがて主人公は、ふとしたきっかけで紅家の令嬢・静莉に出会います。
静莉は重度のミステリーマニアにして、当の本人も「刹那の探偵」としていくつもの事件を解決し、世に知られる存在。
彼女に気に入られた主人公は「オセロ・カーディナルロート」の名を与えられて、記憶が戻るまで、その屋敷でお世話になることになりました。
しかし、オセロが屋敷に来てすぐに開かれた、静莉のバースデーパーティの夜。出席者の一人が殺される…という事件が起こります。


シナリオ面では安定の仕上がりでした。
途中でさんざん、十戒とか出てきた割には設定にファンタジックな要素がありますが…プレイしていただければわかるとおり、推理自体にはあんまり影響しないんですよね。
たとえば、本来なら聞こえないはずの声を聞くことができたとしても、そこで得た情報は現実的な範囲なので…超常的なフライングはない。
強いて言えば、主人公が記憶喪失のため、本来「語り手」が知っているはずのこともプレイヤーには隠されている…というのはちょっとギリギリ感があるかなあ。
特に、登場人物の一人が身に付けていたアレについては、過去の記憶のフラッシュバックか何かで、一瞬でも画像が出てたら、かなり違うと思うんだよねん…

まー、謎解きに関しては…これ以上語ってはいけない部分なので割愛。
選択肢は、事件に関する部分が何カ所か…あとは、主人公の「血」への姿勢が主に問われます。
主人公が最初、やたら物騒な印象なので、血に関する部分では迷いが出るかと思いますが…
とりあえず自分を信じてみましょう。

えーと。あとはグラフィック?
RPGの時はデフォのキャラグラを使っていたのですが、今回はオリジナル!
絵師様を迎えて、美麗な立ち絵をつけてくれました。
立ち絵の微妙な表情付け良いですね! 薄く笑う静莉ちゃんがとても印象に残ります。
あと、ところどころ入る一枚絵がとても良かった。
静莉ちゃんがオセロに押し倒されてるところとか、おお!?と見入ってしまいましたです(←どこを見ているw)
後半の、オセロの素顔も端正でイイ!
フードで隠しているうえ、途中で素顔に何か…?と思わせるようなシーンもいくつかあったので心配しましたが…そういうことだったのね~

ノベルゲームはもともと、文章がメイン。
とはいえ、ゲームとして公開するなら、グラフィックは重要だと思いますです。
だって、本当に文章だけなら…わざわざゲームにしなくても…?(とか言ってしまったら暴論か?)
いや、まあ、とりあえず文章だけだと、とにかく最初にこれをDLしてプレイしようと思うまでの切っ掛けがなかなか…ね。
サムネに文字が並んだ絵面では、内容の面白さはわかりませんから…「軽い小説」だって表紙絵で選んで手に取る人が多かろう~
そういう意味でも、今回はかなり効果的だったし、人を惹きつける、魅力あるグラフィックだったと思います。



そして、トゥルーエンド後に、最後に追加される「オマケなエピソード」は、本筋の重さがウソのように明るくて和気あいあいとしていて素敵でした。
そういうノリの日常話も読んでみたい気分になりますねえ。
これって、この一作で終わりなんでしょうか? 
何かキャラと設定が勿体ないっすね…シリーズ化とかしないかな~












主人公の能力……もしかしてその人の健康状態チェックとかもできたりして。
脂っぽいとかもっと野菜喰えとか、薄いからタンパク質多めにしなさいとか。
病気の発見もできたりしたら便利そう。

2 コメント

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レビューありがとうございます! (kotonoha*)
2018-05-08 18:41:45
いつもレビューありがとうございます!
参考にさせていただきます!

推理の選択肢というよりは、正解の見えにくい心理的な選択肢が多かったので余計にこんがらがったかも知れませんね(汗)。

実は「Select Scene」で正しい選択肢が選ばれているかどうかのチェックが可能な仕様にしていたのですが、使わないプレイヤーさんも多いですし、その説明はTwitter上でしか公開していなかったので、不親切だったかも知れません。そもそも「選択肢が必要だったか」という意見も多かったですね。
不慣れなノベルゲームゆえ、手探りで色々実験した次第です。まだまだ勉強不足ですね(-_-;;

今作は一応シリーズと銘打っているので、私自身が忙しくない状態と、モチベーションの状態と、そして絵師さまにお願いするご依頼料の状態(裏事情)の3つにうまく折り合いがつきましたら、ぜひ続編を作りたいと思います(笑)。
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Unknown (鼠喰い)
2018-05-11 10:46:15
お返事遅れてすみません。
いつも気にしてくださって有難うございます^^
そして復帰作制作お疲れ様でした&ありがとうございます。

確かにどれが正解なのか、わかりにくい選択肢が多かったかもしれませんが…主に私自身の苦手意識のせいもありますね~
でも、ミステリの作者は綺麗に騙してナンボ、読者は騙されてナンボって気もしますので、これからも騙され上手な自分でいたいと思います←w

そして正解チェック機能、あの赤字で表示されるやつがそうだったんですね!
なんで赤いんだろう…とか思ってたんですが…
そうか。あれがそうだったのか…

選択肢についてのコメントは見ましたが、これは絶対必要ですって!
無いと本当にゲームで創る意味がなくなってしまう…

ただ、全体に今作の物語の焦点は、目先の事件の推理ではなく、主人公自身の身の上の謎の方にあっている印象を持ちました。
とりあえず目先の謎を解こう!としているプレイヤーとは、そこで視点・感覚のずれ?が出てしまうの…かな?
とはいえ今回は、そこが大事な仕掛けでもあるわけですし、難しいですね…;

シリーズ作ということで、次回も美しいお嬢と愉快な使用人たち(オマケエピソードの彼らの楽しい感じがとても好きです)とまた出会える日を、楽しみにしております。
女同士が仲良くイチャイチャしてるのに比べ、料理人の彼の報われなさときたら…w
不憫な彼のその後がとても気になります!
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