鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

細胞神曲 -Cell of Empireo-

2018-05-30 18:35:02 | フリーゲーム(ホラー)
「細胞神曲 -Cell of Empireo- COMPLETE EDITION【完成版】」
探索ADV・アクションあり・深読みできるゲーム
制作者:鱶尾工業(ふかおこうぎょう)様(公式サイト

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最近、ツイでブツブツ呟いていた細胞神曲、やっとハッピーエンド行きつけましたぁ!
いろいろすばらしすぎて鼻血が出そうです。これはすごい!!


体験版をプレイしたときは、研究所ステージ脱出したら終わりなのかと思っていたんですよね。
しかし、今回の完成版は、そのあと場所を変えてもう1ステージ、さらにそこが終わってもう1ステージ!ルートによっては、さらにもう1ステージ、それでも物足りなくて最後のほうだけもう一度リプレイ!と…なかなかのハイ・ボリュームなゲームになっていました。
こんなにプレイ後に、満足感を感じるゲームはそうそうありませんな~

シナリオも、タイトルどおり科学とカルト宗教が微妙にフュージョンした不思議な感じで、展開に全く予想する隙を与えず、終始プレイヤーをグイグイ引っ張っていく良い仕上がり!
これだけの大風呂敷を広げまくって、それを最終的にまとめあげて、ちゃんと収束できるってすごいっす。

ん? 結局それはどんな話かって…
うーん、そうですね…探偵事務所に勤める頭脳派で華奢なお兄さんが 登場人物みんなに奪い合われるハーレムな話 新興宗教に拉致られて脱出するまでの話。ですかね。

根幹に「神曲」を使っているだけあって、宗教的な比喩表現が多く、敵のセリフや主張が難しい部分がありますが…ま、そこは大体のニュアンスが掴めればOK。
大きな目的としては、もちろん、その場を脱出すること、が一番なんですが…
その合間に『一緒に行動する人たちをどう守るか』と『その宗教では何か行われていたのか』そして『主人公・阿藤くんとその宗教の謎の関わり』を紐解いていくゲームになっております。

がっつり探索・謎解きゲーなのかと思えば、アクション要素・ミニゲー要素もあり、システム的にもメリハリの利いた飽きさせないつくり。

途中の、会話イベントの盛り上げや、戦闘イベントの演出もウマかった!
セリフに合わせて細かく変わるキャラグラの表情や、ドットキャラの信じられないくらい細かい挙動もあいまって、プレイしてて自然と話に引き込まれてしまいました。
てか、マップ上のドットキャラがチラっと横に目線を投げる、とか、しゃがんで相手に手を添える、とか、片膝で座る、とか、ほんと動き細かい。
ドットで「表情豊か」とか感じたの初めてじゃなかろうか。

また、広いマップに配置されたたくさんのオブジェクトは、その殆どに調べたときのコメント文がつけられており…しかもそれが、その時のストーリー進行で細かく変わったりするっていうね!
また、同行しているキャラとの「会話」も、その場その時でないと聞けないものも多くて楽しい。

ちなみに、このテの込み入ったマップが何枚も何枚もあるゲームの場合、通行判定が甘いことも多いんですが、これはそのテの設定ミスがほとんど…いや、ぜんぜんなかった、と思うな。
本棚通って壁が登れるとか、マップの外側歩けるとか…3周しましたが、少なくとも私は気付かなかった。
エンド分岐の細かいフラグ管理もそうですが、総じて、信じられないほど手抜きなく、綿密に…丁寧に作られている印象のゲームでした。

難を言えば、長めの会話イベントが多く、周回プレイするときにちょっとダレるかな~ってとこですね。
特にこのゲームは、クリアデータから引き継いでプレイしないと、到達エンドの記録を引き継いでくれないので。(一応、各チャプターの頭からやりなおせる設計ではあるのですが。その頭に長い会話イベとか入ってるるのが何気に面倒なんだな)
これ、イベントスキップ…あったら嬉しいんだけどなぁ…



さてさて、話を戻して。今作で忘れてならないのが「キャラ自体の魅力」!
主人公の阿藤くん、そして準主役?の信濃くんと磯井くんはもちろん、他の登場人物も全員が、それぞれの正義、それぞれの価値観…それぞれの『譲れないもの』を持っていて、とても個性的でした。
味方だけでなく、敵の皆さんもご同様。残酷で傍迷惑なのに、いろいろ知るにつけ憎めなくなっていきます。

中でも、ちょっとイカれた雰囲気を持つ異色なキャラ、嘉納さんは味のあるキャラでした!
Sルートでの最後の彼は本当にすごかった。
こんなん一生、忘れようったって忘れられない存在になりますわ。

全員憎めない、なんて書くと、誤解されそうですが…べつに「全員、本当はイイヒトだった」って話ではないんです。
むしろ、みんな人間らしい狡さや卑屈さや、弱さや自分勝手さを持って、それを基準に動いている。
正しいとか正しくないとかじゃなく、その時その時の「そうするしかない」選択肢の連なりが、結果的に悲劇になったり、希望となったりしていく様子が、とてもリアルに感じました。
人の為、と書いて偽りと読むのですよ…にんげんだもの!www

なんだかんだと、一番ブレずにまっすぐだったのは警察官のあの人ですかね…
甥っ子は、大物だけどまだ若すぎて、他人を支えるにはちょっとまだ頼りない…ってか頼ったら可哀想な気がするし。
ちなみに、私的には、麗しくて慈しみのある磯井君がお気に入りです。生意気な癖に、背があんまり高くないのもいい!



エンド分岐は…えーと、Sと、A~Eだから…6種? いや、Sのあとのハッピーエンドがあるから7種?
あと、途中死亡のバッドエンドが10個くらい…あるのかな。
これはコンプ関係ないんで、あんまりしっかり見てないんだけども。

このうち、私はE、B、S、そしてハッピーエンドをクリアしています。
分岐フラグが、何気ない会話だったり行動だったりで、とてもわかりにくいです。
また、フラグが立ってすぐに話が分岐するのではなく、その先のチャプターに入ってから、手に入る持ち物が違ったり…イベントの会話が違ったり…という微妙な差異がカギとなるので、攻略を作者様が出してくれるまでは…ほんと迷走してました。
下位エンドの分岐条件の『仲間が何人死んでるか』というのは、すぐにわかる部分だったんですが…上位エンドの条件が見えなくてね…
もう5章6章は、総ざらい・総チェックで何度やりなおしたかわかんない。
クリア自体は3回ですが、そのあたりのチャプターは10回以上往復してるぞい。

で、結局、何が悪かったかって…「手に入れた文書を、アイテム欄から見直す」という一手順が抜けていたせいだったという!
二周目では、中身知ってるからついつい見忘れてたというオソロシイ罠!w

とりあえずこのレビュー書いたら、下位エンドを埋めていこうと思います。
EやBを見た印象だと、それぞれの下位エンドもまた一味違うものになっていそうで楽しみですねぇ。


あとは…アクション難易度?
…うーん。後半がけっこうアクション目白押しなんですよね。
ただ、大体「覚えゲー」だと思うので、得意な人はなんてことない…のかも、しれない?

私がすごく苦戦したのは、蛇淵戦の『柳庇うバージョン』ですが…
これ、結果的に庇わなくてもよさそうな流れ?
てっきり、ここで柳を庇いきらないとSエンドに行けないのかと思ったら、そうでもなさそう。
(というか、庇いきらなくても、その後ちゃんとSエンドに行けました)
とりあえず自分が生き抜けるよう頑張りましょう。

あと、後半の、上から降ってくるツララを避けるやつ!
落ちてくるパターンは画面下部であらかじめ教えてくれるし、それも毎回決まった順序で繰り返すので…
対策としては、覚えて避ける!しかないんですが…
まあ、皆さん大体予想がつくとおり、すっトロい私は苦労しましたよー

ここ、連続してアクションイベントがある部分で、リトライはあっても途中セーブはなく。
一度手を付けたらやりきる!しかない仕様となっておりますwww
アクション下手な同志たちよ! 頑張れ、マジ頑張れ!


シナリオ・グラフィック・ゲーム性…そのすべてが見どころ!みたいな贅沢な作品でした。
まだプレイしてない人は、ぜひとも!一度プレイしてみるべき^^w
激しくおすすめですよー!









「あなたを拘束します」からの会話の流れ…ものすごく妄想がはかどりました。
阿藤さんから離れろ!と刺さってくる信濃、そして横から力づくでかっさらう宇津木まで美味しい!
絶対にこれ…狙ってますよね! …狙ってますよ、ね!! (大事なことなので二度ry)

嘉納さんといい、宇津木といい…いろんなカップリングで薄い本ができそうなゲームでもありました。
そっち系が好きなら、さらにさらに、別な楽しみ方がありそうですぜ奥さん!

満月の夜に

2018-05-21 14:15:39 | フリーゲーム(ホラー)
「満月の夜に」
探索ADV・真エンドはバッドエンド
制作者:鷹羽旦様(猫又は夜に鳴く

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キャラに魅力のある、しっとりしたホラーゲーム「愛霊の贄」シリーズ、そして、全てを振り切った面白さを追求した「やり☆クエ」の作者様ですね~

今回は学校モノの正統派ホラー!
そして、ちょっぴりせつない恋愛を絡めてくる作風も健在です。
「満月の夜に幽霊が出る」という噂の学校に、夜、友人と待ち合わせてやってきた美月ちゃん。
気が付けば、学校に閉じ込められ、そこには不気味な幽霊たちが次々と…
同じように学校に閉じ込められた謎のお兄さんと一緒に、なんとか学校を出られるよう、探索していきましょう。

ところどころに入る実写画面が効果的!
これ、いい使い方ですね… 
このゲームは全体に感動的な雰囲気の作品ですが、本当に恐怖オンリーの作品で使ってくれたら面白そうな効果だなぁ
特に花束の子のところ、すごい怖くて良かった!!^^;
(幽霊さんそのものは、とても性格のいい子なんですが…絵面がめっちゃ怖いんですよ;)

攻略面では…まあ、普通に探索していけばいいゲームなんですが。
フラグが立たなければ必要なアイテムを見つけられなかったり、手に入れられなかったりする仕様です。
一応、調べた時には、フラグが立ってなくても「〇〇が入ってる」的なことは言ってくれるので、アヤしいところは記憶するなりメモを取るなりしておくといいかもね?

「蝶のブローチ」を完成させてイベントを進めると、さらにキーとなるアイテムが手に入ります。
それをなんとかしてエンディングを迎えると、おまけのバッドエンドへ!

…いやあ…このブローチのカケラ、二つしか見つからなくててこずりましたよ…
後で思えばちゃんとヒントはあったんですけど…目で見えるものだけに惑わされちゃいました。
じっくり二周して、やっと三周目で気付いたぞよ……orz
教室名のパネルさえ画面でハッキリわかるのに、まさかそっちの文字が目に見えないとは思わないじゃないか…;

重要ヒントは「日直」です。
一見なにもなさそーに見えてもしっかり探索の手を抜いてはなりません。

…見つかった時は『ここかぁ~!!』と叫びましたね。ええ。


幽霊はたくさん出てくるんですが、全員『心残りはあっても悪意はない』ので、プレイしていて気持のよいゲームでした。
最後は…バッド…ではあるんだけど、ある意味ハッピーエンドともいえる?

ちなみに、バッドのおまけで手に入る不思議な本で、各幽霊?の設定が見られます。
…ここがね、案外……あんまり悪い話じゃない、のよ。
ブローチの子はまあ、死んじゃってるんで、さすがにアレなんだけど、それ以外の人たちは…
いや、まあ、この辺りは各自で実際に確かめてみて?
これを見た後は、出てくる幽霊たちを見る目が変わりますよ~

とても優しく、静かで綺麗なホラゲーでした。
おすすめです。

ギャロウズ横丁の羊たち

2018-05-20 00:37:23 | フリーゲーム(ホラー)
「ギャロウズ横丁の羊たち」
探索ADV・時間制限厳しめ
制作者:なしのもの様(思考実験N

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面白そう!とは思っていたものの、最初の何回かのVerupで続けざまにバグに逢い、修正が落ち着くまで~と寝かせてあったゲームです。
…自由度が高く、イベントも多く、複雑なフラグ管理が必要なゲームだったので多少のバグが出るのは仕方ないのですが…一筋縄でいかないボリューム・難易度のものだけに、繰り返し詰むと、さすがにやる気が……;

その後、詳しくゲームのデータやイベントを調査してくれていた攻略サイト様の助けなども得まして、無事に全てのエンドをクリアできました。
この調査力すごすぎ!!


えーと、ざっくりあらすじを言うと…

自殺するつもりで森に入ったレイチェルという少女が、羊と人外のものとが住む「ギャロウズ横丁」に迷い込み、そこで一週間過ごす話、です。
ギャロウズ横丁には人間は踏み込んではならず、一週間以内にバスの乗車券を6枚集めて出て行かなければ、処刑されてしまう運命。はたしてレイチェルは、無事、ここを出て人間の世界に帰れるのでしょうか…?

って感じの話です。

なんとなーく日々を過ごしていると、あっという間に処刑エンドになってしまうお約束~
ま、そもそもレイチェルは自殺をするために森に入ったわけですから…別にどっちでも結果は同じ、といえばそうなんですけど。
目の前にクエストをぶらさげられれば、クリアせずにいられないのがゲーマー魂。
とりあえず、あたりをうろついて情報を集めるところからはじめてみましょうか…

エンドは5つ。4つの下位エンドは、どれも仄暗くて後味が悪いものが多いのですが、一番良いエンドは、住人の一人の意外な事実が発覚し、心温まる仕上がりとなってます。
結局のとこ人が救われるのは「自分が正しいかどうか」ではなくて「自分の味方になってくれる誰か」がいるかどうか、なんでしょうねぇ…

トゥルー?の最後で、レイチェルちゃんに銃を構える勇気を与えたのは、他でもない彼の存在でした。
ギャロウズ横丁に、レイチェルちゃんが来ることは二度とない…のでしょうが、二人の友情は、きっとその後の彼女の心の支えとなるのでしょう。

他の住人達の事情が、家の中の新聞記事や日記からチラチラほの見えるのも、興味深かったです。
もし私がこの横丁にいたとしたら、一体何屋になるんだろうなぁ。


さて、続きは攻略面について~
難易度は高め! 自由度が高い分、複雑な手順が要求されます。
そして、その手順をこなすのに、いちいち時間制限があるのがきつーい!

いやー、何が難しかったって、いくつか要因はありますが…
「羊に話しかけすぎてはいけない」という縛りが、まずひとつ。
…謎解きADVでは、モブとの会話は重要なヒント要因だというのに、そこにあえて縛りを入れてくるとはなんたるマゾゲーか…;
結果、とりあえずセーブして、羊全員に話しかけ、ヒントを貰ったらロードして、今度は話しかけずにやりなおす…という、つらい下積み調査が必要になってしまうのでーす。

もう一つは、住人たちのスケジュールが、曜日・時間ごとに決まっており、それにこちらの行動も左右される…ということです。
定められた期日はたった一週間しかないわけですから。
イベントを起こすタイミング、住人にモノを渡すタイミング、話しかけるタイミングetc…
一つ逃すと、あとあとまで全部スケジュールが押せ押せになってしまうのが、なんともオソロシイ。

あー、今日はもう間に合わないから明日行こう!と思った店が、次の日は休みだったりさ!!
先にイベント起こしてしまったら、その日はもうその店にあるはずのアイテムを取りに入れなかったりさ!
ちょっとした行動順で、たやすく日にちをロストしてしまう。
いや、予定が遅れるだけならまだしも、行動を誤ると完全に「間に合わなくなる」イベントもありますからね!
(朝、鳴る電話のイベント、ウサギのイベント、雨の日にジョウロに水をくむイベント、は、一つ間違うとその先すべて消失します)

重要なのは、まずは起こるイベントや、住人の動きをしっかり把握し、主人公の行動を緻密にスケジューリングすること。
そこで初めてトゥルー?攻略への道が拓けるのですよ。
「主人公をいかに無駄なく動かすか」が鍵のゲームといえましょう。

実際は、これらの解析や確認作業は、いくつかある下位エンドを迎えつつ、繰り返しプレイする中でわかってくることなんだろうし、作者さんもそこを想定して作ってるのだと思いますが。
…やはり、何回も同じ作業をするのは、人間飽きてくるわけです。

それに、イベントの手順も、けっこう何日かかけてクリアする、複雑なものが多くてね。
初日の手順を一つ抜かしたがために、3日目のイベントに間に合わなくてやりなおしー
みたいなことも普通にあるゲームなので…
目に見えない実質のプレイ時間…やりなおしの回数・時間がかなり多いイメージでした。

ほんと!スケジューリングが非常に大切。
自力でやるなら、メモ必須だと思います。
それが面倒な場合…? 最初に書きましたが、検索で攻略サイトがありますんで…
ただねぇ。ここも、各曜日の全員の動きやデータ、各イベント個別の攻略法が書かれているだけなので、どっちみち、その日の何時に何をするか、というスケジュールは自分で組まなきゃなりません。
そこは諦めて頑張ってくださいな。

ちなみに乗車券は、要領よく回れば最初の3日間で揃えられます。
ただ。トゥルー?エンドに必要な「水の壜」を全部揃えようと思うと、けっこうギリギリまでかかる…
…まあ、このギリギリ具合が、このテのゲームが好きな人にはたまらないかもしれませんが…
ゆるゲーマーの私としては、もう少し時間に余裕が欲しいところですね…

路地から路地への移動は片道20分。店に入って10分経過、店から出て10分経過。
フラフラしてると、あっという間に時間が進んでいってしまいます。
ここなぁ。せめて半分の、10分&5分の経過時間にしてくれたら、ぐんと難易度下がるんですがねぇ…;

ちなみに、それぞれのキャラのイベントを全てこなし、それぞれの店のスケジュールを埋めると、おまけ画面で彼らのプロフィールが見られるようになります。
ゲーム内で使うキャラグラフィックは下半身が切れてますんで、全身像はたぶんここでしか見られないんじゃないかな?
興味のあるかたはこちらもコンプしてみると良いかもしれません^^


手間はかかりますが、非常によく練られた、複雑なゲーム性を持つ、良ADVでした。
シナリオもいいし、異形のキャラグラフィックもリアルでいい雰囲気!
さすがにもう、目に余るバグはない…と思われるので、まだ未プレイの方はぜひどうぞ!

其の線を越えて

2018-05-18 16:56:21 | フリーゲーム(ホラー)
「其の線を越えて」
謎解きADV・逃げあり・ちょっぴりBL
制作者:ニグラム様(なつの遊技場

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主人公の田武良トモくんは、家の事情で一人暮らしをしている高校一年生。
成績も悪くはなく、趣味で作っているゲーム実況動画の評判も上々で、傍から見ると充実した生活を過ごしてように見える彼が…実際は生きている意味を感じられず、毎晩の悪夢に悩まされながら日々暮らしていることを、誰も知らない…


というわけで、過去のいろんな出来事のせいで精神的に不安定なトモくんをどうにかするゲームです。

エンドは8つ…あるらしいですが、6つしかまだ見られていません。
とりあえず一番いいエンド&オマケエピソードは見られたので先にレビューをば。

最初、フーン仲の良かった女の子が亡くなったせいか~と思って話を進めて行ったら、それ以外にも不幸に次ぐ不幸で、すっかりトモくんが不憫になりました。
家族にちぃと「難あり」の場合、代わりに友達関係に居場所を求めてしまうのはよくあることで。
それが全部一度に壊れちゃったら、病んでも仕方ないかもですねぇ…

とりあえず、一緒に実況をやってる友人・颯太くんがいい味出してます!
トゥルーだと随所でトモくんに絡んでくるエピがあるんですが、これ絶対、颯太くんのほうからも矢印出てる!!
颯太君の家は家族多くて狭そうだし、もういっそトモの家で二人で暮らせば良いと思います。
ちなみに、クラスメートの隣の席の子もなんとなーくアヤしく見えてしまうのは、私の心が濁っているせいでしょうか…?w

また、事故死しちゃった女の子は、ヲタクあるあるな容姿と口調。
トモくんがちょっと女性的で可愛いタイプなせいか、こちらもとてもお似合いに見えました。
最後の方で出てきたときのセリフがとてもカッコ良くてイイ!

キャラグラフィックもキレイで良いですね。
トモくんの髪型(寝るときはピンはずしてる!)とか服装とか、表情とかポーズとか…颯太くんのメガネとか、その場その場に合わせて種類がやたら多く、細かく作られてて見応えがありました。
ときどき入る一枚絵もいい。桜莉ちゃんも可愛かったけど、最後の、颯太とトモくんが二人でいる構図が幸せ~!


謎解きや探索は、ほぼ一本道なので迷いません。
全てのオブジェクトを調べ、できることをすべてやりましょう。
5×5のライツアウトは、たぶんヒントが無ければ最難問。
私は解き方を調べて自力で解いちゃったあとにヒントがあるのに気付いて…ガックリでしたorz

途中にいくつか、トモが「死にたい」か「生きたい」かの選択肢が出ますが、これは多分、エンディングのフラグなのかな…
とりあえず「全死にたい」と「全生きたい」だけプレイしましたが…
「全死にたい」だと、親戚のオニイサンが出てくるシーンで、二択のどっちを選んでも死にエンド。「全生きたい」だと、どっちかの選択肢で生き延びてシナリオが進行します。

ちなみに、一周目では、良いエンドに必要なフラグを立てられない仕様なので~
がんばって二周しませう!!


さて、アクション下手にとって気になる、逃げの難易度は…やや難しめ!
まー…これは、とにかく道を覚えて走る! 以外に攻略方法はないと思います。
キャラがしっかり上下左右に向きを変えて動く移動方式のため、何度も向きを変えると、それだけでタイムロスして追いつかれてしまいまする。
進路変更はくれぐれも最低限で!


今作は、BLとホラーが好きな方なら二度美味しい話かと思います。
興味を覚えた方はぜひプレイして、トモくんを幸せにしてあげてくださいな。


ボーダーライン

2018-05-17 00:00:13 | フリーゲーム(乙女)
「ボーダーライン」
年の差恋愛ノベル・乙女向け
制作者:きさらぎ様(公式サイト

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分岐無し・読み進めるだけの乙女向けノベルです。

お金持ちの貿易商のお嬢様と、彼女が小さなころから知っている、エルフ属の使用人のお兄さんとの恋物語。
ヒロインのリセちゃんがやたら一途で可愛いかったのでご紹介!


この世界では、エルフは人間と戦争して負けて以来、被差別種族として生きています。
そんな中で、リセちゃんのお父様は差別意識にとらわれず、自分の片腕としてエルフのウォルターを雇い、きちんとした仕事を与えていました。
なので、リセちゃんにとって、ウォルターは自分が小さなころから傍にいてくれる身近な存在。
エルフへの差別意識ももちろんありません。
家族か兄のように慕い、ほぼ毎日会ってたわいない話をする…それだけで満たされる、平和で安らかな日々。
けれど、ある日仕事から帰ってきたお父様はリセに、そろそろ将来のことを考えよう、と、舞踏会へ出るよう命じます。
いつかは父の決めた相手と結婚するのだとわかってはいたものの、どこか心の底に違和感を感じてしまうリセ。
思いあまってウォルターに相談してみても、彼もまた、リセの縁談に賛成の様子で……?


…って感じで、年の差、そして種族の壁を越えた恋物語。

私はどちらかというと、男女ともに、自分からグイグイ行っちゃうキャラを好む傾向がありますが…
このゲームのリセちゃん、は、すごく育ちの良さがにじみ出たキャラなんですよね。
ああ、大事にされて育てられた本物のお嬢様ってこういうものなんだ!って思ってしまった。

なんとなく自分の心に違和感は感じても、それを特に追及することなく、周囲に合わせていこうとするんですよね。
そうするのが当たり前なんだから、とか、そうするのが周りにとっても一番いい、とか。
皆がそれがいいというなら間違いない、とか。
最終的には、彼女の持つ特殊な能力?がきっかけで、自分の本当の気持ちに気付きますが…
たぶん、アレがなかったら、そのまま親のいいなりに結婚したんだろうなぁ。

対するエルフのウォルター。
彼も敬語キャラなので、二人の会話は、見ていてほんとお行儀が良いっす。
もともとの育ちは…昔の仕事のことを考えると、それほど良くはないんでしょうが、落ち着いた印象の物腰で、料理から護衛までなんでもできてしまうスーパーエルフ。
前半はあまり、リセちゃんに恋愛めいた感情は持ってなさそうだったんですが…
たぶん、これは、一途さに絆されたんでしょうねぇ。

立場が立場なせいか、リセに対し、自分といるより縁談通り結婚する方が幸せだろう…と、終始、一歩引いたスタンスで臨んでいきます。
あまりの老成っぷりに、実は(中身は)かなりの年齢なのかと思ったんですが…(だってエルフだし!)
後半でのラフな感じの立ち絵と、イケイケな行動力が若々しいので、案外人間と老化の速度は変わらないのかなー…?
作中では自分のことを「顔もよくない」と卑下する発言がありましたが、見た通りのイケメンキャラでした。

…イケメンといえば、リセちゃんのお父様もなかなかの…。
そして、婚約者の彼がまた、見た目が超王子!だったりします。

こういう話の場合、ヒロインの婚約者はロクでもないとか、難ありな見た目だとか…粗がある場合が多いんですが。
この話の彼は、まったく比のうちどころがありません。
顔が良くてお金持ちで性格もよくて仕事ができて、女性に優しい。
…まあ、ある意味、欠点がないところが欠点なのかな…
イイヒトというのは、ほんと損だな、と思うキャラでありました。


いろいろとあった末に迎えるエンディングは、もちろんハッピーエンド!
昔の事件や、世相に少し残酷な部分がありますが、それほど、内容ドギツくはないので大丈夫。
心温まる、可愛いラブストーリーを読みたい方におすすめですー



アントールの犬

2018-05-16 00:08:23 | フリーゲーム(ノベル)
「アントールの犬」
無言劇・字の無いノベル・犬好きの犬好きによる犬好きのための作品
制作者:3色ぱん様(公式サイト

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「狂い月」と同じ作者さん(というか、サークルメンバーの一人の方)の作品になりますー。
ほぼ一年くらい前にアップされていたんですが、こちら、公式サイト内だけでひっそり公開されていたため、私が気付いたのはかなり後…半年以上経ってからでした。

何かタイミングを外してレビューしていなかったのですが、今回、過去DLゲームの入ったファイルを整理していて、目に付いたのでご紹介ー

モノは一本道のADV…ノベル?…ドラマ?
特に分岐や選択肢があるわけじゃないので、とりあえずノベルに突っ込んでありますが、いやコレ、ジャンルに迷いますねえ…
むしろイメージが近いのは無声映画…かな。
状況と細かな動作…パントマイムで、とある人物の一生を追っていく形の作品です。


些細な日常生活の一コマの中で、彼の隣に常によりそうのは忠実な愛犬。
子供が生まれ、少年になり、青年になり、恋人ができ、結婚して、また子供が生まれて…
一人のヒトの長い長い一生の中、種類を変え姿を変え、何頭も何頭も。
ただ、一緒に過ごす時間、一緒に歩いていく日々を繰り返し…愛情と思い出だけを残して、やがて去っていく…

「ただ、一緒に歩いただけ」っていうモノローグがカッコイイ!
ヒトと犬とは、種族も寿命も違うけれど…それでも、一時、同じ時間を共有することはできるのですね。
プレイして、なんともいえない余韻を残すゲームでした。
いやぁ、これは犬好きにはたまるまい!
私自身は、犬は好きでも嫌いでもないんですが、それでもじわ~っと来たものね。
主人公?と愛犬の、なんともいえない距離感というか、空気感がすごくイイんですよ。

…つみきのいえ、ってあったじゃないです?
水に沈んだ家が積み重なって、その時々の家族の姿や思い出がそこに残されているやつ。
形は違うけれど、アレと同じようなノスタルジックな気分になってしまう作品でした。

時の流れは、不思議と、物理的な「距離」に近い感覚を呼び起こしますね~
ときに振り返って「ああ、いつのまにか、こんなところまで歩いてきた」って気分になるの。
まあ、距離と違って、戻ることはできないんだけど。


で、シナリオの良さに負けないくらい、スゴイのがグラフィック!
三色ぱんさんは、狂い月でも美麗なグラフィックやマップを魅せてくれていましたが、ドットの表現力も群を抜いていますね~
たぶん、背景から何から、全部これ自作でしょう?
登場人物や、いろんな種類の犬たちのドットの作りの細やかさと、生き生きした動きは必見です。
また、キャラクターだけにとどまらず、彼らの過ごす「家」や、周囲の景色が、時代に合わせて移り変わってゆくのも良い!


小品ながら、全てにおいて手がかかっている…作者様の想いがこもった良作品でした。
どうして、もっといろんなところにアップしないんだろう?勿体ないなぁ…


それなりに大人な年齢の人…そして犬好きな人におすすめしたいゲームです。
じっくり、ゆっくり、大切に…味わいつつプレイしてみてくださいまし。


機人に至る。

2018-05-15 07:39:06 | フリーゲーム(SF)
機人に至る。
アツマール・未完成・SFRPG
制作者:そるてぃナントカ様

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「はこにわエデン」や「OFFERING」「漆黒ニ猫ノ声」の作者様の新作ですねぇ
今はまだ、ゲームの途中までしかプレイできませんが、惹かれるものがあったので期待をこめてご紹介!
いつもイイ感じにSFとクトゥルフが混在した、夢と現実が入り混じる世界観のゲームを作られていましたが、今回は…いまのところ、純粋に近未来SF、なの、かな?
「オートマタ」や「人形」と呼ばれるロボットと、普通のヒトとが混在して暮らすアングラな街で、少女型(ピクシーフレーム)のアメちゃんがいろいろ活躍する話です。
んー、最近流行のサイバーパンク?

主人公・アメちゃんは、どこから来たのかもわからない、謎の少女型ガノノイド。
血塗れで街を彷徨っているところを「ママ」に拾われて、彼女のお店…オートマタ専門のキャバクラ?で暮らしています。そのためグラフィックがランジェリー姿という、際どいことに!
…ただ、どんな恰好をしていようが、それは皮一枚のことで…本当の姿・本質は機械。
というわけで、メニュー画面での彼女は「フレーム」と呼ばれる骨格のみの姿なんですよね。
うほっ、幼女の下着姿ー、なんて喜んでる人に水を差す、なかなか粋な趣向であります。

主人公が機械、ということで、特徴的なのは「状態異常」
通常の「毒」が「腐食」や「漏電」。
「バーサク」が「オーバーヒート」
「混乱」が「バグ」…というように、機械っぽい設定がなされています。
また、攻撃属性についても独自のものが使われていて、細かいところの作りこみがイイ感じ。


戦闘システムは、普通にRPG…だと思いますんで、苦労はないかと。
そうですねぇ…唯一注意すべきは……敵のビジュアル?
実は、最初にアメちゃんが依頼されるのは、狂った害虫駆除ロボット「ゴキブロイド」の討伐?駆除?なんですよね…
その名のとおり、見た目がゴッキー(しかも、あえて腹側から描く凶悪な絵面)なので、嫌いな人には悲鳴モノかもしれないっす。


まだ話は中盤なのですが、お店のママから依頼される事件を解決していきつつ、アメちゃんが一体何者なのか?って謎に迫っていくシナリオ…であるようです。
なにしろ未完成なので、あまり語れることもないのですが…前半だけでも期待値の高まるクオリティの作品でした!
早く続きをプレイしたいわ…

パっと見の趣味性の高さに比べ、案外中身はしっかりSFっぽいので、好きな方はぜひぜひどうぞ!

霧の村

2018-05-12 09:13:40 | フリーゲーム(ファンタジー)
霧の村
アクション探索ADV・逃げあり・プレイできる映画
制作者:oo-heppo様

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父と二人、船に乗ってこの国を出るために旅をしてきたエクアリナ。
しかし、途中の宿屋で、近くの山にかかっていた霧が晴れた時、父は一人でその山に登ると言い出しました。
実は、この山の上には父の生まれ育った村があり、そこには息子…エクアリナの兄がいると言うのです。
そういう事情なら、と、エクアリナは一人宿屋で待っていましたが、やがて天候がくずれて雨が降ってきたのを見て、心配のあまり、後を追って山に入ります。
しかし、そこで見たのは、崖から落ちて血塗れで動けなくなっている父の姿でした。

霧が出ると身動き一つままならない崖の道。
夜になれば、人を襲う山犬が出る、恐ろしい山。
徐々にたちこめ濃くなりだした霧に、父は自分を見捨てて村まで急げと訴えます。
置いては行きたくない、けれど、自分一人では、大怪我した父を運ぶことはできない。
混乱しながらも、村で助けを呼んでこようとエクアリナは山道を急ぎ走りました。

霧で道が完全に閉ざされる頃に、やっとたどり着いたその村は、自分たちの住む場所を「聖地」と呼ぶ、火を崇める特殊な宗教を持つ人々が住んでいました。
穏やかな人々は礼儀正しくエクアリナを歓迎し、再び霧が晴れ山を下りられる日まで、ここで客人として過ごすことを許してくれました。
もう助けに戻ることもできない父を想い悲しんでも、エクアリナには他にどうする術もありません。

エクアリナはこの村で、これからどんな日々を過ごすのでしょうか。
「村では絶対に自分のことを話すな、兄も探すな」
という父の最後の言葉は、果たしてどういう意味なのでしょうか…




と、いうわけでー、カルトな村に一人迷い込んだヒロインが、自分の兄を探して暗躍する話です。

グラフィックもご覧の通りのリアルさなんですが、作中の人物のキャラづくりがまた、やけに現実的で!
複数の人間の思惑が絡んだ、甘すぎず苦すぎず…のドラマチックなシナリオになっております。

最初に注意書きが出てきますが、画像的には、そんなに怖い部分はないんですよね。
(最初の父親の血塗れの姿くらいですかね?ビジュアル的にやや怖いのは)
ただ、それ以上に、過去の出来事や一部のイベントで、倫理的にショッキングなシナリオ展開がありますんで…そういったものが苦手な方は覚悟のうえでプレイしてください。


主人公のエクアリナちゃんは勇敢で、物怖じしない性格の良ヒロイン。
自分からどんどん動いていく、かっこいい女の子でした。
明るく強く、いつも前向きの、まさしく主人公にふさわしいキャラだったと思います。どんとこい!

他のキャラはそれに比べて、癖がある…というか、けっこう見ていて「これはないわー;」という気分になる人が多いんですけど。
しかしですね。むしろこのゲームの凄さは、それらのキャラのリアルな性格設定にあるように思います。

特に複雑だと思ったのは、婿候補?のクリスくん。
善良だけれどヘタレな性格で「聖地」のルールを一切疑わずに生きてきた彼は、エクアリナにもそれを当然のものとして守らせようとします。
決して悪人ではないのですが…「言われたことを自分で考えることなく、そのまま信じている」せいか、言動がとても薄く感じるんですよねぇ。
エンド近くでは、エクアリナとのアレコレで成長?し、彼なりの決断や勇気を見せてくれますが…
心が弱いのは、それだけで一つの罪なんじゃないか?と考えさせられるキャラでした。

ちなみに、彼のご両親は、ラストまでいい人だった…
あまりにも良い環境に置かれると、かえって子供は成長できないもんなのかな?

酒場のマスターは、逆に聖地の問題や思想の偏りを知っていながら、それに従っている人。
ルールに逆らうことなく一定の距離を置きながら「自分ができることだけをやる」在り方の人です。
暴走気味な主人公にいろいろ教えてくれて忠告もしてくれる有難い人ですが、大人であるゆえの分別は、冷たく感じる部分も。

ほかにも、醜いものにふたをして、とにかく、今をやり過ごせばそれは平和であると考える人。
自分の境遇に不満を抱き、それを目下のものにぶつけることで晴らす人。
多くの人間関係の鎖に縛られて、身動きできないまま諦めて生きてきた人。
突然やってきて特別扱いを受ける人間に反感を持つボス的な少女と、それに進んで迎合する子、逆らえずに従う子。
噂話に惑わされ、急に態度を変える多くの人々…と。

あー、こういうの、あるあるあるーーー
と言いたくなるような、とても普通の人々の姿がテンコ盛りです。
見ていて、自分にも通じるところ…理解できるところがあると余計に『うへぇ』と思ってしまいますね~


人が集まるところには「場」ができて、そこだけのルールや雰囲気や、暗黙の了解ができてしまう。
作ろうと故意に思っていなくても、自然とそうなってしまう…ものなのかも。
群れて生きるのは人間の本能で避けられないことだけど、願わくば、このゲームに出てくるような集団の持つ圧力や、それ以外のものへの鈍感さ、を自分が行使することがないよう、気を付けていきたいものだわ…



さてさて、気になるアクション難易度は、やや高め!
作者さんは「よほど苦手な人でない限り、何回かやればクリアできる程度」と書かれていますが…
「よほど苦手な人」の私の場合、一か所の逃げに、大体20分~1時間ほどかかっております。
前半は人に話しかけて話を進めるADV要素が強いんですが、4日目~5日目くらいはもう次から次へとアクション要素が入ってくるので、私と同じタイプのゲーマーの人にはツラいかもしれないね…

苦戦したのは、穢れの道で山犬から逃げるところ、崖の道である人物に追いかけられるところ、村人たちから逃げて穢れの道に向かうところ、ラスト付近で落石の中をゆっくり逃げるところ。

…途中の障害物にさえひっかからなければ、案外余裕がある難易度…なのかもしれないんですが。
見えててもわかっていても引っかかる、それがアクション下手というもの!
…特に後半、追手や岩が一緒の画面でウヨウヨ動くと処理落ちしちゃってね…
キーの反応悪くて余計に難しかったです。

あと、画面切り替え処理が遅めなのに比べ、追手が出てくるタイミングが早く感じますかね。
そこの一瞬で油断して捕まって死ぬこと多かったっす。
画面切り替えの時は、ぜひとも方向キーは押っぱで!!

また、後半は「火打石」を使ったアクションが出てきます。
複数の灯明に時間内に火をつける、というイベントでは、基本・一発で火をつけられないと間に合いません。
案外これが…難しい; 
ふふふ…アクション下手はリズム感もないんですよ…orz
(昔リズ天プレイしてめちゃめちゃ苦労した思い出が…)

しかし、そんな苦手なアクションイベントをひたすら粘ってクリアしたのは、ひとえに「先が気になる」話だったから。
無事、エンディングを迎えられた時は感無量でしたよ!
…これ、アクション下手用に、EASYモードを作ってくれたら嬉しいなぁ…



最初、リアルめなキャラグラに、最近にしては珍しいな?と思いましたが、プレイ後にはむしろ、このシナリオには二次元な漫画絵はつけられないな、と感じました。
シナリオが濃くて面白い話だったので、興味を持たれた方はぜひぜひプレイしてくださいませ。

紅く追憶の水葬

2018-05-08 12:46:52 | フリーゲーム(ノベル)
「紅く追憶の水葬」
推理ADVノベル・多重構造の謎と嘘
制作者:kotonoha*(蒼木ことり)様(言葉の書庫)キャラデザ:つれ様

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ラハの人・kotonoha*様の新作になりますー。
計算されつくした戦闘システムや難易度調整で、戦いごたえのあるゴリゴリのRPGだった「ラハ」シリーズから一転、今回は「文章」に重きをおいた推理ノベルへの挑戦でした。
シナリオの作りの良さにも定評のあるかただけに、今回も独自性のある「場」を作られてますんで必見ですよ!

ゲーム内容としては、普通に…シナリオの途中にある選択肢を選んでいくだけ。
そのすべてで正しいものを選んでいけば、トゥルーにたどり着ける仕様です。
選択肢でのセーブも可能なので、全ポイントでセーブしておけば、クリアはそう難しく…ない…?

…いや、私はけっこうクリアまで時間かかったんですけどね…orz;

推理ゲームほんと苦手なんですよ。
推理小説は読みますし、作者さんの仕掛けにハマりながら、最後に「そういうことだったんだ!」って思わされるのも大好きなんですが…自分で推理しろってなるとねぇ…
考えれば考えるほど、こんがらがってわからなくなってしまう。
…思えば私「この中の誰かがウソをついている」系の謎解きも不得意なんだわ…;

特に今回は、二重三重に知るべき「前提」と解決すべき「事件」があって、よけいに惑わされました。
ほぼ全選択肢総ナメでクリアした、推理のスの字もないプレイスタイルです。ははは;
いいの。私にとって推理小説は、作者さんの思考の形を愉しむものだから。
翻弄されてナンボですよええ!!

さてさて、今作の主人公は記憶喪失で入院している、名もない人物です。
わずかに心に残っているのは、血に染まった曖昧な記憶と誰かの悲鳴。そして自身の血への渇望のみ。
身に付けていた漆黒のコートはまるで不審者の装いで、一体自分が何者なのか、判断がつきません。
行き場のないまま入院生活を過ごすうち、やがて主人公は、ふとしたきっかけで紅家の令嬢・静莉に出会います。
静莉は重度のミステリーマニアにして、当の本人も「刹那の探偵」としていくつもの事件を解決し、世に知られる存在。
彼女に気に入られた主人公は「オセロ・カーディナルロート」の名を与えられて、記憶が戻るまで、その屋敷でお世話になることになりました。
しかし、オセロが屋敷に来てすぐに開かれた、静莉のバースデーパーティの夜。出席者の一人が殺される…という事件が起こります。


シナリオ面では安定の仕上がりでした。
途中でさんざん、十戒とか出てきた割には設定にファンタジックな要素がありますが…プレイしていただければわかるとおり、推理自体にはあんまり影響しないんですよね。
たとえば、本来なら聞こえないはずの声を聞くことができたとしても、そこで得た情報は現実的な範囲なので…超常的なフライングはない。
強いて言えば、主人公が記憶喪失のため、本来「語り手」が知っているはずのこともプレイヤーには隠されている…というのはちょっとギリギリ感があるかなあ。
特に、登場人物の一人が身に付けていたアレについては、過去の記憶のフラッシュバックか何かで、一瞬でも画像が出てたら、かなり違うと思うんだよねん…

まー、謎解きに関しては…これ以上語ってはいけない部分なので割愛。
選択肢は、事件に関する部分が何カ所か…あとは、主人公の「血」への姿勢が主に問われます。
主人公が最初、やたら物騒な印象なので、血に関する部分では迷いが出るかと思いますが…
とりあえず自分を信じてみましょう。

えーと。あとはグラフィック?
RPGの時はデフォのキャラグラを使っていたのですが、今回はオリジナル!
絵師様を迎えて、美麗な立ち絵をつけてくれました。
立ち絵の微妙な表情付け良いですね! 薄く笑う静莉ちゃんがとても印象に残ります。
あと、ところどころ入る一枚絵がとても良かった。
静莉ちゃんがオセロに押し倒されてるところとか、おお!?と見入ってしまいましたです(←どこを見ているw)
後半の、オセロの素顔も端正でイイ!
フードで隠しているうえ、途中で素顔に何か…?と思わせるようなシーンもいくつかあったので心配しましたが…そういうことだったのね~

ノベルゲームはもともと、文章がメイン。
とはいえ、ゲームとして公開するなら、グラフィックは重要だと思いますです。
だって、本当に文章だけなら…わざわざゲームにしなくても…?(とか言ってしまったら暴論か?)
いや、まあ、とりあえず文章だけだと、とにかく最初にこれをDLしてプレイしようと思うまでの切っ掛けがなかなか…ね。
サムネに文字が並んだ絵面では、内容の面白さはわかりませんから…「軽い小説」だって表紙絵で選んで手に取る人が多かろう~
そういう意味でも、今回はかなり効果的だったし、人を惹きつける、魅力あるグラフィックだったと思います。



そして、トゥルーエンド後に、最後に追加される「オマケなエピソード」は、本筋の重さがウソのように明るくて和気あいあいとしていて素敵でした。
そういうノリの日常話も読んでみたい気分になりますねえ。
これって、この一作で終わりなんでしょうか? 
何かキャラと設定が勿体ないっすね…シリーズ化とかしないかな~












主人公の能力……もしかしてその人の健康状態チェックとかもできたりして。
脂っぽいとかもっと野菜喰えとか、薄いからタンパク質多めにしなさいとか。
病気の発見もできたりしたら便利そう。

キョウキドリップ

2018-05-07 14:14:03 | フリーゲーム(ホラー)
「キョウキドリップ」
会話するADV・暴かれるのは人か自分か
制作者:旨味まづ様(丸得基地

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記憶を失い、謎の施設の中で目を覚ました主人公。
そこに半ば閉じ込められて暮らしているのは、まだ若い少年少女ばかり。
どこかワケアリな彼らの「正体」を暴いて、自分自身が何者なのかをつきとめよう。


ZENOの作者様ですね~。同じように近未来的なSF要素を盛り込みつつも、今作は、マップ探索より「会話」を重視&特化したADVゲームとなっております。
6人いるキャラにいろいろ話しかけて、新たな話題を増やしつつ交流を深めていくと…
ここがどんな場所なのか、なぜ彼らがここで暮らしているのか、見えてくるかもしれません…


エンディングは4種類。
探索不足エンドのほか、最後の二つの選択肢で分岐する二種と、トゥルーで四種類。

全体の設定がちょっとボンヤリしていて、話を掴み切れない部分はあるんですが…
「会話」でそれぞれのキャラと仲良くなる様子や、ガンガン容赦なく増える会話のバリエーションが楽しいゲームでした。
最初は感じの悪いキャラも、話していくうちに、可愛く憎めない面を見せてくれるのがなんともいえず。
私が好きなのは天才の青い彼! 面倒くさいけどいい人。

ただ、あれだけ大量の、凝った会話のほとんどが、物語の主筋にはほとんど影響しない…のが、ちょっと心残りではあるかな~
仲良くなる相手や、仲裁の有無によって、さらに違うエンドがあってもいいかも?と思ったけど…
まあ、トゥルーエンドがアレだと思えば、誰との会話がどうこうってのは、些末なことかもしれない、ね?

何が正気で何が狂気か?
狂っているのは自分か相手か、それとも世界か?
裏の裏はオモテであるように、狂気に狂気をかけ合わせればそれは正気?

うーん…大体そんな感じの話ってことでいいんでしょうかね…
そもそも、主人公には本来どんな役割を期待されていたのか…そして、それに関わるあの子の立ち位置や、気持ちや、行動理由…を、もう少し補完してくれると嬉しいかもしれない。


「繰り返し」みたいなエンドも一部ありますが、その場合、寮のメンバーは総入れ替えになるんだろうか?



人との会話が苦にならない方(?)におすすめします。